真紅、恵方巻きになる。
- 132 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:21:30 ID:0TE/evFM0
- §桜田家一階・電話
真紅「へー、あら? そうなの~? それはそうよねぇ。うん、あー、なるほどなるほどー」
雛苺「ねえねえ翠星石ぃ。真紅がさっきからずっと電話をかけているのよ」
翠星石「そのようですね。一体、どこの誰と長電話してるんだか」
真紅「やーだ、もう! そんなのイカが可哀想じゃない。本当にあなたって…」
翠星石「相手も気になるですが、話の内容も気になるですぅ」
真紅「え? マジで? あー、そうなんだ~。そりゃ大変だわ。ええ、それじゃあ、また電話するわ」ガチャン
雛苺「電話が終わったみたいなのね」
翠星石「そのようです。お~い、真紅ぅ」
真紅「翠星石に雛苺? いつからそこに?」
翠星石「ついさっきですぅ。ところで真紅はどこに電話をしていたのですか?」
- 133 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:27:06 ID:0TE/evFM0
- 真紅「隣の世界の巻かなかったジュンの部屋に入り浸っている雪華綺晶によ」
翠星石「へー、あいつもまだあっちが気に入ってるんですね」
真紅「それもそうだけど、ついでに巻かなかったジュンと斉藤さんの仲の進行具合を週一で報告してもらっているの」
雛苺「そんなスパイみたいなことをさせちゃいけないのよ」
真紅「だまらっしゃい。下僕の繁殖計画管理も主人の務めなのだわ」
翠星石「繁殖て…。ゲスの極みですね真紅は」
真紅「最近は斉藤さんもよく巻かなかったジュンの部屋に来て、ご飯を作ってくれているとか」
雛苺「仲良しさんなの」
真紅「いいえ。思ったよりもまだまだ、ぬるい進展だわ。このままでは
斉藤さんがジュンに抱きついて『愛してる』と言ってくれるには数世紀かかりそう」
翠星石「そ、それはそうと、どんなご飯を作ってもらったりしているのですぅ? あのデカチビ人間は?」
真紅「この間は節分だからって、例の劇団のみんなと一緒にダイオウイカで恵方巻きイカ飯を作っていたらしいわ」
翠星石「はあ? 恵方巻きは分かるですが、ダイオウイカて…?」
真紅「巻かなかった世界って、ここよりちょっと未来の世界じゃない」
雛苺「うぃ」
真紅「未来では漁業資源の深海魚への依存度がさらに進むとともに
研究や技術の発達により、ダイオウイカも一般家庭の食卓へ並ぶようになったそうよ」
翠星石「マジですか。すげーですね未来」
真紅「アンモニア臭くて食べられたもんじゃないダイオウイカの消費を伸ばすために
漁業組合の呼びかけで、巻かなかった世界では恵方巻きもイカ飯が主流に置き換わっている」
翠星石「マジですか。えげつねーですね未来。それにイカ飯ってイカの体にご飯つめる料理ですよね?
全然、巻く料理でもないのに恵方巻きに便乗するのは無理があるんじゃないのですぅ?」
真紅「巻かなかった世界だけに、恵方巻きも巻いてないって? 面白いこと言うわね翠星石」
翠星石「いや、別に翠星石はその辺を洒落っぽく言いたかったわけじゃあ…」
真紅「こっちの時間世界ですら、サンドイッチやワッフルまでもが恵方巻き商戦に乗っかってるのよ?
だったらイカ飯も全然ありじゃない。と言うか、既に今でもどっかでやってそうな気がする、イカの恵方巻」
雛苺「そう言われれば、そんな気もしてきたの」
- 134 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:28:39 ID:0TE/evFM0
- §桜田ジュンの部屋
真紅「というわけで私達も隣の世界に負けていられない」
ジュン「何が『というわけ』なのか、全然分からないんだが…」
真紅「いいの、ジュン? 相手は彼女や大勢の友達と一緒に
キャッキャウフフしながらダイオウイカの恵方巻きを作っていたのよ?」
ジュン「……」
真紅「なのに、あなたったら一人さびしく、自分の粗末な股間の恵方巻きをイカ臭くしているだけ」
ジュン「してねぇよ!」
雛苺「ええ? ジュンって恵方巻きを、おまたに隠しているのよ!?」
ジュン「ねぇよ!! 頼むから適当なこと言うな真紅! 雛苺が信じる!」
真紅「まあ、今のは物のたとえ。それでもこっちのジュンが巻かなかったジュンに出遅れているのは確か」
翠星石「別にいいんじゃねーのですぅ? どうせあっちの方が未来に生きているんですし」
真紅「そんなことでは永遠に追いつけない。そう、相手が死ぬまでこっちに勝ち目がないことになる」
翠星石「むむむ…、確かに」
真紅「ジュン、あなただって巻かなかったジュンに対して『すぐに追い越してやる』だとか
『あいつに笑われたくない』だとか大見得きって言っていたじゃない」
ジュン「う…」
- 135 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:31:34 ID:0TE/evFM0
- 真紅「このままだと次回の雪華綺晶との定期連絡会でも『こちらのジュンは前回の報告と特に変化なく
毎日、自分のせがれいじりに熱中しているだけの猿です』って報告せざるを得ないじゃない!!」
翠星石「おっ、白薔薇にはこっちのチビ人間の状況を教えていたんですね」
ジュン「と言うか、嘘の報告をするな! 馬鹿!」
真紅「だって、報告内容がしょぼいと雪華綺晶に鼻で笑われるんだもの」
ジュン「その報告例だって失笑もんだろうが」
真紅「たまには、この真紅ちゃんに報告会で華を持たせて頂戴ジュン」
ジュン「ああもう、どないせいっちゅうんだ?」
真紅「こっちも夢と希望に満ち溢れたオリジナル恵方巻きを作ってキャッキャウフフしてリア充アピールするのだわだわ」
翠星石「みんなで料理ですか」
雛苺「楽しそうなのー」
ジュン「まあ、それぐらいなら何とかなりそうだな」
真紅「本当!? それじゃ早速、オリジナル恵方巻きのアイデアがあるから聞いて頂戴」
翠星石「どんなのです? 言ってみるがいいです真紅」
真紅「ずばり、マッコウクジラ丸ごと一本巻き」
ジュン「却下」
- 136 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:33:43 ID:0TE/evFM0
- 真紅「ジュン!? 名前しか聞いてないのに却下とは何事よッ!」
ジュン「名前だけで嫌な予感しかせんわ! クジラなんて、どこで調達するんだよ!」
真紅「だ、だって相手はダイオウイカよ! それに勝つにはマッコウしかないじゃない!」
翠星石「うむ。確かに真紅の言うことにも一理あるです」
ジュン「無い。無理だ」
真紅「しょうがない。マッコウが駄目なら次はアナコンダ巻きよ」
ジュン「却下」
真紅「なっ!? またもや名前だけで!? どういうつもりよジュン!」
ジュン「お前こそどういうつもりだ。もうちょっと現実的に考えろ」
雛苺「クジラさんもアナコンダさんも、簡単には手に入らないのよね」
ジュン「そういうこと。雛苺でも分かっているんだぞ、真紅」
真紅「ぬうう…」
翠星石「見た目だとか中身のインパクトで勝負するのは止めたほうがいいですよ。
インパクトでダイオウイカに勝つためには、かなり無茶しないといけなくなるです」
真紅「くっ…」
ジュン「手巻き寿司セットとかで、地味でも皆で仲良くやればそれで充分だろう?」
- 137 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:36:38 ID:0TE/evFM0
- 電話『WRRRRRRYYYYYYY』
翠星石「お? 一階の電話が鳴ってるですぅ?」
雛苺「ヒナが出るの!」
ジュン「いや、いい。僕が出てくる」
雛苺「ぃやーん! ヒナが! ヒナが出たいの~っ!」
ジュン「しょうがないな…。じゃあ最初に出るところだけやらせてあげるから、すぐ代われよ」テクテク
雛苺「うんっ」トテテテ
翠星石「チビ人間とチビ苺が退席したです。で、真紅はもうホームメイド恵方巻きでOKなんですよね?」
真紅「予定から大幅な路線変更を強いられそうだけれども、しょうがない。恵方巻きができれば良しとするわ」
翠星石「真紅の当初の予定では、どこでマッコウクジラを手に入れるつもりだったんですか…」
- 138 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:39:53 ID:0TE/evFM0
- ジュン「おい! 真紅! 翠星石!」ダダダッ
雛苺「大変なのー!」タタタッ
翠星石「ん? どうしたですチビチビ共? 電話を取りに行ったはずじゃあ」
真紅「ひょっとして悪戯電話でパンツの色でも聞かれた? そういう時は『はいてない』って答えれば…」
ジュン「違う! 蒼星石から電話だ! 『薔薇屋敷で恵方巻き作りパーティーやらないか』ってさ!」
翠星石「なんですとーっ!」
真紅「何てジャストでグッドなタイミング!」
雛苺「ワタアメに笛なのよね、真紅!」
ジュン「それを言うなら渡りに船だ。で、どうする?」
真紅「どうもこうも、行くに決まってるじゃない!」
翠星石「たとえ真紅達が嫌だと言おうが翠星石だけでも行くですよ!」
ジュン「だと思って、蒼星石にはこちらからは全員参加だと伝えておいた」
真紅「下僕にしてはやるじゃない。よろしい、それでは準備を整えて出発よ」
翠星石「おおーっ!」
雛苺「うぃー!」
- 139 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:44:32 ID:0TE/evFM0
- §薔薇屋敷の庭園
金糸雀「毎度毎度、こんな広い場所で思いっきり料理ができて食べられるなんて楽しいかしら」ワイワイ
みつ「いやはや、持つべきものはやっぱり華族でローゼンメイデンのマスター仲間ですわ」ガヤガヤ
一葉「私の場合は、どちらも頭に『元』が付くがね」
巴「いつもありがとうございます、結菱さん」
一葉「こちらも大勢の方が楽しい。じきに桜田君達も来る予定だよ」
二葉「そうそう。メイド見習いやってたオディールちゃんもフランスに帰っちゃって寂しいし」
蒼星石「はーい、どんどん巻いて食べてくださいよ~。ご飯、重くしてありますからね~」
水銀燈「重く…?」
二葉「ああ、それウチの家庭内隠語(?)で、ご飯いっぱい炊いてあるって意味だよ」
めぐ「ほらほら水銀燈! 手がお留守よ、じゃんじゃん作りましょ、じゃんじゃん!」
水銀燈「そんなに作ってどうすんのよ。どうせ、あなたあんまり食べないのに…」
めぐ「私、食べるのは苦手だけど作るのは好きなの」
水銀燈「……」
二葉「お、めぐちゃん調子よさそうだね? 幽霊生活ももう慣れた?」
めぐ「はい。もう絶好調です」
- 140 :名無しさん:2014/02/03(月) 20:49:34 ID:0TE/evFM0
- 水銀燈「どこがよ。相変わらず顔色は悪いわ咳き込むわのくせに」
二葉「まあ、病気で死んじゃった人は、幽霊になってもその状態で固定されちゃってることが多いから。
それに顔色の良い幽霊なんてのも、おかしいだろう?」
水銀燈「あんたは随分と元気ハツラツなようだけどねぇ、二葉」
二葉「僕はほら、幽霊として年季が長いから外見も少しは変えられる。
ふやけた肉とむき出しの骨の姿がお好みだって言うのなら、そうしようか?」
水銀燈「あら、いいわね。今のにやけた面よりそっちの方がよっぽど私の好みよぉ」
みつ「銀ちゃん! 二葉さん! それはちょっと今は…」
一葉「食欲が失せるだろう。二人とも悪い冗談は止めなさい」
二葉「ごめんごめん」
水銀燈「私は別に冗談で言っていたわけじゃあなかったんだけど」
めぐ「え? そうだったの!? だったら私も少し自分の骨を見せといた方がいい?」
巴「か、柿崎さんはそういうの似合わないと思うけど」
めぐ「見せパンとか見せブラとかあるんだから、見せモツとか見せ骨とかもアリよね? ね? 水銀燈?」
水銀燈「…ばっかじゃないのぉ」
金糸雀「そういうのが許されるのはシグルイくらいかし
- :-:2014/02/04(火) 18:26:10
- >ご飯、重くしてありますからね~
グルグルwwwwwwwwwww
寿真紅って書くとあれだな……寿老人みたいだ
- :-:2014/02/04(火) 18:27:13
- めぐもいろいろやんちゃしちゃったけど本人なりにみんなとエンジョイできるようになってよかった。
アナザーめぐのことを知っている水銀燈は幽霊になっためぐをどう思ってるかは少し気になるな
あとたびたび出てくるイカが可哀そうな下ネタってなんなんだ・・・
- :-:2014/02/04(火) 18:35:34
- 早いなオイ。なんという速筆。
ところでめぐを消しかけた金糸雀に水銀燈はノータッチなのね。
- :-:2014/02/04(火) 18:44:55
- 次はきらきーがロゼリオン化しちゃうの(´・ω・`)
- :-:2014/02/04(火) 18:45:35
- 真紅って横から見たら寿司みたいだよな
- :-:2014/02/04(火) 20:15:56
- >>※107524
昔なら兎も角今のきらきーなら大丈夫だろう、そもそも薔薇乙女はロゼリオンにならないんじゃね?
- :-:2014/02/04(火) 21:58:15
- 幽霊めぐの生活環境が気になるな、病院に留まる訳にもいかんし
……まさか銀ちゃんと一緒にサバイバル?
- :-:2014/02/04(火) 22:23:28
- ご飯重くしておくってグルグルの作者が実際に宿のおばちゃんに言われたんだっけwwww
しかし巴は巻かなかった世界とはいえJUMが他の女と仲良くしてもいいんだろうか?
- : :2014/02/04(火) 23:14:16
- 本当にイカの話をしてるとは…