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小学生の時、古本屋の親父さんと仲良くなってね 続・妄想的日常

続・妄想的日常

おかえり。 
612 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2013/12/16(月) 22:11:56.70
小学生の時、古本屋の親父さんと仲良くなってね
本ばっかり読んでる暗い子供だったけど家が貧乏で新刊本は手が出なかったから
本はもっぱら図書館で借りて
小銭を貯めてはその古本屋の50円均一の文庫コーナーに行くのが唯一の楽しみでさ
そのうち親父がおすすめの本や作家を薦めてくれるようになって
小銭がなくてもよく立ち寄るようになったんだよ
服や靴で貧乏だってのが分かったのか
たまに全集の半端ものなんかを「どうせ売り物にならんから」ってタダでくれてさ
ほんとうれしかったな
お礼に本棚にはたきかけたり、本を運ぶの手伝ったりしてさ
今考えるとずいぶん邪魔したんだろうけど、楽しかったよ

ある時、親父さんが店を閉めることになったって言ってきて
「これやるよ」って山岡荘八の「徳川家康」全32巻が入った段ボールをどんっと出してきたんだ
そのころ歴史小説にハマってた俺の気に入るものをと思ったんだろうな
でも俺は親父さんがいなくなるのが悲しくてろくにお礼も言えなかった
それから毎日数巻ずつ徳川家康を持ち帰った
天井まで本が積み上がってた店内もどんどん片付いていって寂しかったよ
最後の日、残った1冊を取りに行ったら親父さんが待ってて
「お前が最後のお客さんだ」って言ってしっかり包装した本を渡してくれた
「お金払えなくてごめんなさい」って泣いたら
「そんなの気にするな、本屋にとっては本が好きな客が一番いい客なんだ」ってさ
家に帰って包装紙をはがしたら、1万円分の図書券が入ってた
「もう古本屋は辞めるからこれはただの近所のじじいとしての小遣いだ」って手紙が入ってた
次の日、お礼に行ったらもう古本屋は閉まってて誰もいなかったよ
親父さんがその後しばらくしてがんで亡くなったって知ったのはだいぶ後になってからだ
もう一度会ってちゃんとお礼を言いたかったな
俺がずっと本好きでいるのが何よりの恩返しだと今は思うようにしている
「徳川家康」はもうぼろぼろだけど一生捨てられない




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コメント
この記事へのコメント
こういう話、本好きには堪らんわ…
2014/02/05(水) 17:46 | URL | #-[ 編集]
本屋いっぱい潰れてるよな
2014/02/05(水) 17:50 | URL | #-[ 編集]
全徳川が泣いた
2014/02/05(水) 18:15 | URL | #-[ 編集]
「あんな汚い本ない方が」とか言い出す嫁さんが出て来なくて良かった
2014/02/05(水) 18:23 | URL | あ #-[ 編集]
こんな話も無くなっていくんだよなぁ。
2014/02/05(水) 19:27 | URL | #-[ 編集]
これはアカン、泣く。
2014/02/05(水) 19:29 | URL | #-[ 編集]
今じゃ絶対無い話だよね
2014/02/05(水) 19:31 | URL | #-[ 編集]
世代を超えたこういう交流っていいよね
2014/02/05(水) 20:26 | URL | #-[ 編集]
ブックオフや古本市場に席巻されて
普通の古本屋が姿を消しつつあるよなあ
かっぱ横丁とかのザ・古本屋街!って感じのとこはちょっと敷居が高いし
2014/02/05(水) 20:28 | URL | #-[ 編集]
新刊が定価でしか売られないのに
古本屋は二束三文でしか買わない
業界全体が自分の首絞めてるようなもんだわ
そういう意味ではamazonは良くも悪くも革命的だ
2014/02/05(水) 20:56 | URL | #-[ 編集]
酒飲みながらこんなんみたら、泣いてまうわ(´;ω;`)
2014/02/05(水) 21:23 | URL | 774 #-[ 編集]
殿様商売するような古本屋よりブックオフのほうが俺にはありがたい
2014/02/05(水) 23:52 | URL | #-[ 編集]
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