児童養護施設を舞台としたドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系 水曜午後10時)

の過剰演出について、制作側の日本テレビが文書で謝罪しました。

画像:【「明日、ママがいない」】
「明日、ママがいない」
http://www.ntv.co.jp/ashitamama/index.html

5日、全国約600の児童施設からなる全国児童養護施設協議会などが記者会見を開き、日本テレビ

から文書で

「施設の子どもたちが傷ついたりすることは意図するところではなく、重く受け止め衷心より子どもたちにおわびしたい」
「事前に協議会に施設の実情を詳細に伺い、表現上留意すべき点を慎重に確認する必要があった」

と謝罪し、その上で

「これまで以上に子供たちに配慮していく」
「ストーリーは当初の構想に従って展開する」

とドラマ自体は続行するとし、具体的な変更点については

「ドラマという性質上、説明できない」

と回答しました。

[日本テレビの回答文書全文]

本ドラマは、子どもたちが厳しい境遇に立ち向かいながら、前向きに愛情をつかむ姿を描くことをテーマに企画されたもので、そのことは、本ドラマを見続けていただければ必ずやご理解いただけるものと考えております。また制作にあたっては、児童養護施設の施設長を経験された専門家に監修をお願いするなどの配慮をいたしておりました。

しかしながら、貴協議会が1月29日付書状等においてご指摘されるように、本ドラマを視聴した施設の子どもたちが傷ついたり、同書状別紙の実態アンケートに記載されたような事実が存在するのであるならば、もとより本ドラマの意図するところではありませんが、そのような結果について重く受けとめるとともに、衷心より子どもたちにお詫び申し上げます。

さらに、貴協議会から事前に児童養護施設を取り巻く環境などの実情を詳細に伺い、表現上留意すべき点などをより慎重に確認しておく必要があったと認識しております。

本ドラマにおきましては、貴協議会からのご指摘も踏まえ、これまで以上に子どもたちに配慮してまいります。具体的かつ詳細な点につきましては、ドラマという性質上、ご説明することはご容赦頂きたく存じます。ご指摘頂いた点については重く受け止め、すでに主体的に番組制作に活かしております。

しかし、同協議会は

「一定の改善が図られると受け止めた。引き続き見守りたい」

と評価する一方、

「このドラマを見て悪影響が出たとの報告も約20件報告がなされており、この文書での謝罪では済まない

とし、日本テレビ側は公開会見を開いて謝罪すべきと抗議しました。

画像:【記者会見
(左から)慈恵病院の蓮田・産婦人科部長、全国児童養護施設協議会の武藤副会長、藤野会長、全国里親会の星野会長、木ノ内副会長】
記者会見に挑んだ関係者
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/02/06/gazo/G20140206007527120.html

また会見に同席した全国里親会の星野崇会長は

「反省しながら続けてほしい。すでに多くの人を傷つけているのだから、これでよかったとは絶対に思わないでくれ」

この問題のテーマともなっている「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する慈恵病院(熊本

市)の蓮田健産婦人科部長は

「放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てた審議は取り下げない。今後のドラマ制作に当たり、社会的弱者を題材にする場合の配慮をメディア全体で考えてほしい」

とそれぞれ話しています。

会見を受け、日本テレビ総合広報部は

「ご指摘をあらためて真摯(しんし)に受け止め、引き続き細心の注意を払いながら番組制作に努める」

と回答しています。

同番組の騒動をめぐっては、厚生労働省も調査に乗り出すと今月3日に発表しています。

この騒動では、ドラマの題材になっている「赤ちゃんポスト」(※)に関連し、芦田愛菜(あしだまな 9才)

さん演じる主人公が「ポスト」とあだ名を付けられ、施設ではペット扱いされるなどの過剰演出で物議を

かもし出しています。

「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を運営する慈恵病院(熊本市)や、全国児童養護施設協議会

が日本テレビや制作側に抗議しています。

※「赤ちゃんポスト」
…諸事情で育児ができない母親が匿名で養子に出す施設とシステム。
設置目的は赤ちゃんを「殺害」や「中絶」から守ること。
日本では唯一、熊本県熊本市にある慈恵病院がこのシステムを採用しているが、同病院では「こうのとりのゆりかご」という名称を用いており、「赤ちゃんポスト」とは俗称である。
また海外ではアメリカ、ドイツ、イタリア、中国などが同様のシステムを採用している。

なお、同日放送された第4話では抗議を受けて、暴力シーンや暴言はなくなりましたが、 芦田愛菜さん

演じる主人公の”ポスト”などのあだ名はそのまま使用されています。

また視聴率が前回より1.9%ダウンし、13.1%とこれまでで最低の視聴率を記録したことも報じられ

ています。

公式動画:【「明日、ママがいない」PR】

日本テレビ側も記者会見を開くことになりそうですね。