昆虫やクモの世界ではメスにオスがぱっくりと食べられちゃうという行動が見受けられるが、オスの方も必死なのである。生き残るため、メスに捕食されないようあの手この手でメスから逃れようと様々な対策を練っている。
コガネグモ科のクモのメスは、糸を張り巡らせた巣の中で獲物を待ち構えている。しかし交尾をするためには、オスはメスのクモの巣に自ら入っていかなければならない。ところがメスは眼が良く見えないため、オスをおいしいごちそうだとうっかり勘違いして食べてしまうことがあるのだ。まさに命がけのミッションである。
オーストラリアにあるマッコーリー大学の生物科学部アンネ・ウィグナールとマリー・ヘルベルシュタインは造網性のコガネグモの仲間(Argiope keyserlingi)を使って、交尾行動を研究した。
オスはまず、メスの作った網の一部を切る。そして、開けた穴を覆うように“交尾糸”を作る。そこで"交尾糸ダンス"と呼ばれる求愛ダンスを始める。このダンスは腹部を素早く前後にゆすり、網を振動させるというものだ。
このダンスこそが生死の分かれ目。オスの運命は全てこのダンスにかかっているのだ。ダンスが速く、そして長く続くほど、メスに食べられる危険が回避でき、交尾確率もぐーんとアップする。逆にあまり冴えないダンスだと、メスのおいしい養分となってしまう。
研究チームは、オスがダンスをする時の網の振動と、餌が網にかかっている時の振動の違いに着目した。そこでレーザー振動計と呼ばれる技術を使って、メスの網に餌を付けた時の振動と雄が歩く時の振動を比較した。これは振動している網にレーザーを当て、反射したレーザーを解析し、網の振動を読み取るというものだ。
その結果、雄が出すダンスの振動は、餌が動くときにでる振動とは異なったタイプの振動で、この振動によりメスの動きが鈍くなることが分かった。
今回の研究から、オスが独自の振動によりメスから捕食されにくくしていること、また別種のオスのクモでも同じ行動が見られたことが分かった。
今後、研究チームは、他のクモでも似た行動が見られないか研究を進めるつもりだ。もし他の多くの種でも同じことが観察されれば、このオスの行動が遺伝的に受け継がれてきたものであることが証明できるかもしれない。
via:io9・原文翻訳:Copris
まさに命がけ。命を懸けてメスグモに接近しなければならない過酷なオスグモの生き様を目の当たりにしたわけなんだけど、そうまでしなきゃ種を残せないとか、クモの世界ってディープだぜ。
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コメント
1. 匿名処理班
クモ苦手…
でも興味深い生態を持つものが多い…
記事を見たい、見たくないのこのジレンマ
2.
3. 匿名処理班
俺なら「食べないでね 好きだよ」って言うよ
4. 匿名処理班
よく見えないって、何のための複眼だよ・・・
5. 匿名処理班
人も本質は変わらないかと
6. 匿名処理班
ちょっくら踊ってくる
7. 匿名処理班
なぜだろうか…人間のオスもそんなに変わらないような気がしたのは…(白目)
8. 匿名処理班
まじ草
9. 匿名処理班
※3
雌蜘蛛「断る」パクー
10.
11. 匿名処理班
庭にいるクモにちょっとだけ同情したくなった
12. 匿名処理班
ぐおおダンス、すっぱいだーったぁ〜
13. 匿名処理班
俺らと対して変わらんよな、本能って残酷
14. 匿名処理班
蜘蛛の糸にもすがる想い
15. 匿名処理班
まさに綱渡り
16. 匿名処理班
「食べちゃいたいほど好き!」ならいいけどそうじゃないんだよなぁ...
17. 匿名処理班
雄カマキリ「なるほど、踊れば安全なのですね」
18.
19. 匿名処理班
ヤマアラシのジレンマ
20. 匿名処理班
※17
ちょwwwまっwwwwお前はダメだwwwww
21. 匿名処理班
クモ怖くて凄い苦手な癖に、何故かいつもこの手の記事見てしまうという・・・
怖いもの見たさって奴ですな。
22. 匿名処理班
巣を構える蜘蛛は、ホントにどう見ても雄は雌に敵うわけないもんなあ