フィギュアスケートのジャンプを科学的に見る。ジャンプ後には体重の8倍もの力がかかる(動画)
美しく優雅なフィギュアスケートも、あくまでスポーツであり、選手の身体への衝撃は尋常なものではない。
ソチオリンピックのフィギュアスケート。その試合は、日本時間では夜中行なわれたにもかかわらず、多くの人がライブで見たのではないでしょうか。技術力、演技力、その裏にある選手たちのドラマ。フィギュアスケートには、普段スポーツを見ない人をも巻き込む大きな力があります。しかし、選手達には、人を惹き付ける大きな力以上にもっと大きな力がかかっていたとは…。
米国はユタ州にあるブリガムヤング大学の研究室がフィギュアスケートにおける、選手にかかる衝撃を研究中です。ジャンプ着陸時の衝撃を調べるために、スケートシューズに装着できるセンサーを開発しました。前、中心、後ろの3箇所の衝撃データを集め、選手の動きを追い研究を進めています。
ここからわかったのは、ジャンプして着陸時に選手にかかる力が、なんと体重の5倍~8倍もあるという結果でした。このとんでもなく大きな力は、すごいスピードで動いていることと、ジャンプの高さによって生まれるもの。比較するならば、ランニング時の足が地面につく際にかかる力は、体重の2倍~3倍と言われています。
約8倍という大きな力を、スケート選手は演技中に身体全体で吸収することができず、力は全て下半身と腰~背中だけで受けることになります。大会を控える選手達は、練習で1日50回~60回のジャンプをこなすそうです。動画にでてくる選手の「若いうちから、自分がものすごく年寄りに感じる」というコメントが、その辛さ、身体の疲労、摩耗をわかりやすく表しているではないでしょうか。
このような研究が行なわれるのは今回が初めて。フィギュアスケートは大きな衝撃を受けるスポーツなわりに、プロテクター等の身体への保護はゼロに等しいスポーツでもあります。安全性と選手の技術を高めるために、研究をさらに進めていく予定だそうです。
そうこ(ANDREW LISZEWSKI /米版)
- サンデー毎日増刊 ソチ冬季オリンピック全記録
- 毎日新聞社
- フィギュアスケート日本男子応援ブック2 感動をありがとう!
- ダイアプレス