ウクライナの政変で首都キエフを離れたヤヌコビッチ大統領の邸宅が22日、反政権派の市民らに公開されました。敷地内には飼育していたダチョウやシカなどの動物のほか、5階建ての豪邸や庭園、緑地が広がり、その豪華な暮らしぶりが訪れた市民らを驚かせました。
この邸宅はキエフから車で1時間のNOVIPETRIVTSIにあり、高い塀で囲まれ厳重な警備が敷かれていたといいます。これまで訪れた人はヤヌコビッチ氏と家族やごく少数の人たちだったとされています。
敷地面積はモナコの約半分で、衛星画像ではゴルフコースやヘリコプターも確認できます。ダチョウなどの動物はオーストラリアやアフリカなど、出生地を示すプレートがおりに付けられていました。食用の牛や羊、ヤギも飼育され、豆類なども育てられていました。
邸宅を訪れた市民らはぜいたくな暮らしぶりに驚き、妻と3歳の息子と一緒に来たという男性は「こんな場所とは全く予想していなかった。一般市民のお金を遣って建てられた」と述べました。ウクライナの平均月収は500ドル(約5万1260円)以下とされています。
また翌23日には、キエフから約650km離れたフタ近郊にある同氏の別の邸宅も公開され、クマやキジなどの動物や、小さな池などもありました。地元メディアによると大統領は年に数回、この邸宅を訪れていたといいます。
ウクライナの最高会議(議会)は22日、職務不履行を理由に大統領の解任を決議。ヤヌコビッチ氏は22日早朝にキエフを離れました。
ウクライナでは大統領が昨年11月、ロシアからの支援を受け入れ、EUとの協定締結を見送ったことが引き金となり、反政府デモが続いていました。反政権派と治安部隊の衝突により、過去数日間で82人が死亡しました。