千早「961プロの、如月千早です。」
- 1 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:22:51.84 ID:Q/qHPif0o
- 私の夢は、歌手になる事。
「思い出をありがとう」
「勇気までもらえた」
あの子に、歌を届けるために……。
「悲しみやせつなさ」
「今日ですべてサヨウナラ……」
「あぁ君、ちょっといいかな。」
「は、はい。何か御用でしょうか。」
「私はこういうものでね。いや、君のすばらしい歌声にティンときてねぇ、つい声をかけてしまったよ、はっはっは。」
「……765プロ、社長。……あの、それでいったい……。」 - 2 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:24:15.37 ID:Q/qHPif0o
- 「あぁすまんすまん、実は私はアイドル事務所を経営していてね。君に、ぜひ我が事務所のアイドルになってもらいたいのだよ。」
「スカウト……ということですか?」
「その通りだ。」
スカウト……、これは、私の夢に近づくチャンスかもしれない……、けれど……。
「アイドル……、ということは、その、歌だけではなく……。」
「うむ、歌って踊って、演技やバラエティ番組など、やることは様々だが、お客さんに笑顔になってもらうということは一緒だと思うよ。」
「……。」
私がなりたいのは、歌手。歌以外のことに時間をかけるなんて……。
「……その、ごめんなさい。声をかけていただけたのはうれしいですが、わたしは、アイドルになるつもりはありません。」
「う、うむ?そ、そうか。いやなに急にこんな話を持ち出して悪かったね。」
「だが私はいつでも待っているから、気が変わったら、いつでも連絡してきてくれたまえ。ではこれで。」
……これでよかったのかしら……。もうこんなチャンスは二度とないかもしれないのに。
「……。」
- 3 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:25:15.66 ID:Q/qHPif0o
-
―――――
千早「はぁ。」
千早(あまり寝られなかったわ。考えても仕方ないとはいえ、あのチャンスを手放して、私は歌手になんてなれるのかしら。)
がちゃ、こと、とぽとぽとぽ
千早「んっ、ぷはぁ。……もうこんな時間。」
キーンコーンカーンコーン
先生「うーい、じゃあ気をつけて帰れー。」
千早(今日も川原で発声練習していこうかしら。)
ざっざっざっ
千早「この辺でいいわね。んん、あっあっあっ、あーー。」
ざっざっざっ
??「ふん、毎日学校帰りに土手で発声練習とはご苦労なことだな。」
- 4 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:26:03.62 ID:Q/qHPif0o
- 千早「(また邪魔が……)あの、何か御用ですか。」
??「まあ、こんな場所で発声練習を重ねたところで、プロになんぞ到底なれっこ無いがな。」
千早「なっ……!なんなんですかあなたは!初対面の相手に言う言葉ではないでしょう!」
??「ウィ。挨拶がまだだったか。私はこういう人間だ。」
千早(961プロ……代表取締役、黒井崇男……またスカウト?こんなことあるのかしら。)
黒井「この私が、かのセレブな961プロダクション社長だと知って、言葉も出ないか。」
千早(でもこの人、昨日の人と違って、あまり真面目そうには見えないし、本当に社長なのかしら。)
黒井「何とか言ったらどうなんだ。」
千早「失礼ですが、あなた本当に一企業の社長なんですか?とてもそうは見えないのですけど。」
黒井「ノンノン。人を見た目で判断してはいかんな。」
千早「はあ、まあ、なんでも、いいですけれど。それでいったい何の御用なんですか?」 - 5 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:26:51.72 ID:Q/qHPif0o
- 黒井「先程は、貴様はプロになどなれない。そう言ったが、それはあくまで、こんな練習を続けていればの話だ。」
千早「はぁ……。」
黒井「だから、このセレブな私が貴様に、練習する環境を提供してやろうという話だ。単純明快だろう。」
千早「そんなことをして、あなたに何の得があるんですか?」
黒井「無論、そうなれば我が事務所のアイドルとして、私の指示の下、活動してもらうことになる。」
千早「あ、アイドル……。はあ、申し訳ありませんが、私はアイドルになるつもりはありませんので。では。」
黒井「ま、待て!貴様、なぜそうまでアイドルになるのを拒む。」
千早「私が目指しているのはアイドルではなく歌手です。歌以外のことに時間を割きたくないのです!」
黒井「ウィ。アイドルでも歌手でも同じ事だ。貴様に歌のみで芸能界を勝ち抜く自信があるのならば、そうすれば良い。」
千早「しかし、アイドルになれば歌以外にもやらなければいけないことがあるでしょう。」
黒井「その辺の低俗な弱小アイドル事務所ならな、だが私はそんなものに興味はない。」
黒井「私が必要とするのは、たった一人で日本中、世界中を魅了することができる、『王者』、アイドルだ。」
黒井「それができるのなら、歌だけだろうとなんだろうと、構いはしない。」 - 6 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:27:47.00 ID:Q/qHPif0o
- 千早「っ、ほ、本当に歌のお仕事ができるんですか?」
黒井「貴様がそれを望むのならな。」
千早「私に、『王者』になれる才能があると?」
黒井「ノンノン。なれるなれないではない、なるのだよ。才能ではなく、実力でな。」
千早「……。」
千早(信用していいのだろうか……。でも、この考え方は、私と少し似ている。)
黒井「まあ、貴様にその気がないのなら、この話はおしまいだ。」
千早「ま、待って……。」
黒井「この河川敷でいつまでも練習を続ければいいさ。ではな。」
千早「っ……。」
千早「待ってください!」
黒井「……。」 - 7 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:28:58.56 ID:Q/qHPif0o
- 千早「私は、歌手になりたいんです。いえ、ならなければいけないんです。絶対に!」
黒井「ウィ。いい心構えだ。だが生半可な覚悟では勤まらんぞ?」
黒井「絶対に負けなど有ってはならない。血反吐を吐くまでレッスンをさせる。」
千早「それで……、トップになれるのなら。」
黒井「ふふふ、はははははは!いいだろう。ならば貴様を、わが961プロに迎えよう!」
千早「……貴様ではありません。私は、如月千早です。」
黒井「ふっ。では千早。時間を見つけ次第、いつでも連絡してくるといい。」
千早「はい!」 - 8 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:29:34.54 ID:Q/qHPif0o
-
――――――
千早「すごく大きな建物……。」
黒井「そうだろう。なにせこのセレブな私の経営する会社だからな。ついてきたまえ。」
受付「黒井社長、お疲れ様です。」
黒井「ウィ。ご苦労。」
千早「ほ、ホントに社長だったんですね。」
黒井「まだ言うか。」
千早「す、すみません。」 - 9 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:30:43.06 ID:Q/qHPif0o
-
ギィ
黒井「さて、千早。今後のお前の活動方針だが。当面の間ダンスレッスンをしてもらう。」
千早「だ、ダンスって!?話が違うじゃないですか!わたしは……!」
黒井「早まるんじゃない、まったく。少しは優雅に振舞えんのか。」
千早「しかし……。」
黒井「お前はステージやライブで、何の動きもせずに歌うのか?棒立ちで歌う人間を見て楽しいのか?」
千早「それは……。ですが歌がちゃんとしたものであれば。」
黒井「いいか、音楽とは、歌とは、そんな単純なものではない。ただ感情をこめて正しい音程で歌えばいいなどというのは大間違いだ。」
黒井「歌の中に描かれているストーリー、歌い手自身が持つストーリー、それらを重ねて観客に伝えたい『想い』。」
黒井「それを、観客はステージを通して、歌い手を通して「観る」のだ。」
黒井「ステージ上に無駄な事など一つもない。たとえどんな小さな動きであっても、観客はそれを見逃さない。」
黒井「そういった基本的な事を学ぶためのダンスレッスンだ。今のお前に足りていないものでもある。」
千早「……。」 - 10 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:32:02.33 ID:Q/qHPif0o
- 黒井「どうしても私の指示に従いたくないようならば、この事務所を去ってもらって結構だ。」
千早「そんな言い方……。いえ、レッスンを、受けます。」
黒井「ふん、わかれば良いのだ。」
黒井「では、説明はここまでだ。私も忙しいのでな、後は他の者に任せるとしよう。」
黒井「係りの者が来るまで、そのセレブな!ソファーにでも座って待っていたまえ。ではな、アデュー!」
千早「ありがとうございます。お疲れ様です。」
千早「……。」
千早(何も、言うことができなかった。私はただ歌えればいいと思っていてた。甘い考えだったのかもしれない。……そうね、)
千早(少しは、信用していいかしら……。) - 11 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:33:02.19 ID:Q/qHPif0o
-
――――――
タッ タッ タン キュキュッ タン
千早「はっ、はっ、ふっ。はぁ、はぁ。」
講師「はい、OK。いいわよ千早ちゃん。背筋がぴんと張って、とても良かったわ。」
千早「っはぁ、はい。ありがとうございます。」
ガチャ
黒井「ウィ。調子はどうだ、千早。」
千早「黒井社長。お疲れ様です。」
講師「お疲れ様です。千早ちゃん、とてもいい調子ですよ。まだレッスン期間は短いのに、重心がぶれずに動けています。」
千早「歌のために、筋力トレーニングは毎日行っていたので。そのおかげかと。」
黒井「そうか。そうだろうと思って、今日は仕事を一つ持ってきた。」
千早「本当ですか!?」
黒井「ああ。といってもオーディションに合格すればの話だがな。」 - 12 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:33:53.18 ID:Q/qHPif0o
- 黒井「新人アイドルを発掘する番組、「THE DEBUT」だ。ちょうど一週間後に行われる。」
千早「オーディション……。」
黒井「そしてこれが、お前のデビューシングル、『青い鳥』だ。」
黒井「あとの一週間、ダンスレッスンと平行でボーカルレッスンを行う。完璧に仕上げろ。」
千早「私の曲……。これが……。」
黒井「いいか。最初のオーディションだからといって、負けは許されない。死ぬ気で……」
千早「あの!早速曲を聴きたいのですが。再生機器はどこにありますか!?」
千早「あ、す、すみません!私うれしくて、つい。」
黒井「まあいいさ。おい、ボーカルレッスン室に案内してやってくれ。」
講師「はい。それじゃあ、着替えて、行きましょうか。」
千早「はい!」 - 13 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 18:34:50.28 ID:Q/qHPif0o
-
――――――
「青い鳥 もし幸せ 近くにあっても」
「あの空へ 私は飛ぶ 未来を信じて」
「あなたコメント一覧
-
- 2014年03月02日 22:24
- 速報が復活したのがめちゃくちゃ嬉しいんだが
-
- 2014年03月02日 22:32
- VIPが転載禁止になったけどここはどうなるんだろうか
-
- 2014年03月02日 22:34
- >千早(いよいよね。私は、18番……。ちょうど4分の1くらいかしら……。)
お?何が言いたいんだやんのかコラ?
-
- 2014年03月02日 22:48
- 小鳥さん不意打ちすぎんだろ!鳥肌たったわ
-
- 2014年03月02日 22:50
- けっこー合うのねこの二人
-
- 2014年03月02日 22:51
- ※3
そういうことかwww全く気づかなかったわ
-
- 2014年03月02日 23:02
- 素晴らしい
-
- 2014年03月02日 23:03
- ※2
勘違いされてるけどまだ転載禁止にはなってない
ローカルルールが決まるのはこれからだからな
-
- 2014年03月02日 23:13
- ※3 お前スゲーよ
-
- 2014年03月02日 23:19
- ※3
せっかく気のせいにして済ませてたのにわざわざ指摘するから……
-
- 2014年03月02日 23:22
- ※3 7、72!?
-
- 2014年03月02日 23:23
- クビになってから安易に765に走らないところが良かった
-
- 2014年03月02日 23:25
-
いいねぇ、やっぱりクロちゃん好きだわ。
-
- 2014年03月02日 23:29
- 負けてからなお961に残る方が燃えるよな
765に移ってたらそれこそ仲良しこよしって感じだし
-
- 2014年03月02日 23:40
- いい。すごくいい。
-
- 2014年03月02日 23:45
- 転載禁止ざまぁ
-
- 2014年03月02日 23:54
- ダンスを歌の表現に必要とわかってて何故作品への理解も表現力に必要だと思わないんだクロちゃん、「歌唱力をつけたいなら歌えぇ!とにかくボーカルレッスンだぁ!」みたいなんならともかく
割と初期からクロちゃんに理解を示せる千早も良いけど、反発して怒鳴り合いながらもなんやかんや二人三脚で頂点に立って最終的に結婚式でボロボロ泣きながら感謝する娘と涙を隠しながら感謝し返す父親みたいになる真とクロちゃんのコンビも見たいです
-
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
QRコード
スポンサードリンク