家庭のプリンタで電子回路を”印刷”できる時代に: 東大発ベンチャーがKickstarterで専用キットの出資を募集中
東大発ベンチャー・AgIC株式会社はこのたび、家庭向けのインクジェットプリンタを用いて電子回路を印刷可能とする専用キット「AgIC Print」への出資を募るプロジェクトを、米国のクラウドファンディングサイト・Kickstarter上で公開しました。
入門者向けの電子工作にしろ本格的な基板製造にしろ、電子回路を作製するためには、設計図を眺めながら専用のボード上に部品を配置し、ハンダ付けによって固定するといった手間が必要となります。しかし近年では、インクジェットをはじめとする印刷技術のノウハウをエレクトロニクス分野に持ち込むことで、生産効率を向上させようとする研究が世界中で進められています。
今回公開されたプロジェクトは、東京大学・河原研究室の研究内容をベースとしているもので、家庭向けのインクジェットプリンタによって電子回路パターンを簡単に形成するためのキット開発に係るもの。
出資は12ドルからの受付となっており、29ドル(約3000円)で導電性インクを充填したマーカー、299ドル(約3万円)でプリンタを回路印刷可能にするDIYキット、599ドルでセットアップ済みの回路印刷プリンタを入手可能となっています。
以下は、実際に回路を印刷している様子。導電性のインクで印刷されたパターン図形が出てきます。
キットには豆電池やLED、スイッチといった基本部品も付属するため、印刷したパターンに部品を貼り付けるだけで簡単な電子工作が出来るようになっています。
暗闇に浮かぶ、2つのLEDライン。ともに同じ機能を備えた電子回路ですが、ボード上に部品を配置した場合では見るからにゴテゴテとしているのに対し、プリンタで印刷すると非常にスッキリとしてコンパクトになっています。
印刷された導線の抵抗値は以下のとおり。使用される銀ナノインクの改良を重ね、最新のものでは初期の二十分の一にまで電気抵抗を減らすことが出来ているそうです。
ちなみに、DIYキットを利用する場合は、注射器を使って導電性の銀ナノインクをカートリッジに注入し、これをプリンタにセットすることで電子回路を印刷することが可能となります。
Kickstarterのプロジェクトサイト(ページ下部リンク)によると、DIYキットはメーカーや機種を問わず使用可能であるものの、“we strongly recommend specific printers(特定のプリンターを強く推奨)” とも記載しており、具体的な機種名についてはキットの発送までに公開するとのこと。また、使用済みのプリンターは内部の流路にカラーインクが残っているため推奨しないとされています。万全を期して使用したい場合は、回路印刷用として新品のプリンタを一台購入する必要がありそうですね…。
印刷された回路は、物理的に破損しなければ少なくとも1年間は通電可能であり、購入時に付属してくるインク量は約0.4平方メートルの塗布分に相当(1ミリ幅のラインであれば約400メートルの長さ)するとしています。
出荷は今年の8月を予定しており、米Amazonのアカウントがあれば日本からでも出資は可能となっています。電子工作のために新品のプリンタを購入するというのはなかなか気軽に出来るものではありませんが、将来的には教育材料として広く使用されることになるかもしれませんね。
[Kickstarter] [AgIC]
中学生の頃に始めようとして挫折した、電子工作を始める時期が来たか……。
>>ボード上に部品を配置した場合では見るからにゴテゴテとしているのに対し、プリンタで印刷すると非常にスッキリとしてコンパクトになっています。
そら表面実装用部品とラジアル部品じゃ見た目が違うだろ。
バブルジェットは厳しそうかな。ピエゾ方式じゃないと打てなさそう。
抵抗やコンデンサやトランジスタを印刷できる訳でもなく
ただ導電パターンを印刷するだけなのか
それって電子回路の印刷って言えるのか?
実用的ではなさそう?
お遊びにしかならない気がする
手軽にエッチング出来るようになるって事?
うーん、最近はプリント基板だってネットからCADデータ送って注文すればすぐ届くし、微妙じゃないかなぁ。
教育用つったら電子ブロックが鉄板だったけど、最近じゃシミュレーターもそこそこ多いみたいね。
iModelaとかで生基板をミリングするほうが楽しそう