貧乏な男子は金持ちの住区に引越すとトラウマになる(米調査)
貧乏な住区から金持ちの住区に引越せば子どもは幸せ…と思いきや。
米国医師学会発刊「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」に出た最新調査では、幸せどころかPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しむ子ども(特に男子)も多いことがわかりました。
低所得層のエリアは犯罪率も高く、収入も不安定で、予防診断も身近にないため、子どもには不健康、と一般には思われています。が、もっと金持ちなエリアに引っ越せば引っ越したで、そこにはメンタルヘルスの問題増加が待っているようなのです。
そして、この傾向は女子より男子の方がずっとひどく、引越して10~15年後の青年がPTSDなどの鬱(うつ)・行為障害にかかる確率は戦闘兵に匹敵する高さなのだとか。
なぜ男子の方が女子より心理的ストレスに悩まされるのか? ひとつ考えられるのは、高収入なエリアに住む住民側の意識によるものではないか、というなんとも寒々しい仮説です。論文をまとめたハーバード大学のロナルド・ケスラー(Ronald Kessler)教授はこのように書いてますよ。
われわれの研究班にはひとり人類学者もいる。その人類学者が引越し前のエリアと引越後のエリアに行って、そこの子どもたちと話をし様子を観察した。すると彼らの見方はこうだった。男子は新しい住区に引越してくると不良少年という目で見られる。一方、女子は全く正反対で、「おお、恵まれないかわいそうな子、よしよし自分が助けてあげるからね」と街ぐるみでかわいがられる。
むおお…それを言っちゃーおしまいよ…。
ケスラー教授が使ったデータは「Moving to Opportunity」というプログラムから得たものです。
これは米政府住宅都市開発省(HUD:Housing and Urban Development department)が1994年から行っているもので、ランダム抽出した低所得家族4600世帯に賃貸無料サービスを提供してるんですね。ただし引越し先は金持ちのエリアの人もいるし、そうじゃない人もいるんです。まさに人生ルーレット。
このHUDの進め方(近年は改善している模様)も問題ですよね。ケスラー教授はニューリパブリックにこう語ってます。「HUDも家族や福祉ともっと密に連携をとらないと…となんとなく感じた。いろんな制度があるのに互いに対話もない。住宅供給するなら支援体制も整えてやって、人がより良い住区に引越して溺れるのではなく力強く育つようにしなくちゃいかん」
まあ、引っ越しさせるお金があったら、低所得層のエリアの住宅・サービスの改善に役立てた方がずっといいんじゃ…とも思いますけど…。
[New Republic]
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写真:NYブルックリンのフォートグリーンにあるホームレスのシェルター「Auburn Family Residence」前に立つ現入居者のElijah Saltersさん。2014年2月21日撮影。Photo by Spencer Platt/Getty Images
ALISSA WALKER(原文/satomi)
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