水銀燈は動かない『とある野薔薇の要望』
- 269 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:12:41 ID:923XkLgU0
- 今回の話は桜田ジュンのうた『世界が終るまでは…』等の続編です
§深夜・桜田ジュンの部屋
ジュン「…zzZ」
真紅「ハァ…、ハァ…」ごそごそ
ジュン「…zzZ」
真紅「ゆ、許して頂戴ジュン。こんな事、人形が人間にする事として間違っている。
でも私は、この内なる衝動…欲望の野獣を抑えられない」
ジュン「…zzZ」
真紅「最初はちょっと痛いかもだけど、決してジュンを悪いようにはしない。
そのまま、そのまま良い子で眠っていてね。すぐ…、すぐに済むから。ハァ…ハァ…」
- 271 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:15:40 ID:923XkLgU0
- 水銀燈「あぁら、いーけないんだ、いけないんだぁ」バサッ
真紅「ッッ!? す、水銀燈」ビクッ
水銀燈「ちょっと用事があったから来てみたんだけどぉ…、真紅にこんな趣味があったとはね」
真紅「いつの間に部屋の中に」
水銀燈「汚らわしいわねぇ真紅ぅ。契約相手が寝ている間に、その肉体で自分の欲望を満たしてしまうだなぁんて」
真紅「……」
水銀燈「仮にもアリスになった乙女がすることじゃないわぁ。お父様がこの事を知ったら、どうなることやら」
真紅「お、お願い! 誰にも言わないで頂戴! これは、これはほんの出来心で…」
水銀燈「出来心ぉ? ただの出来心で…寝ている人間の右の鼻の穴からピンセットで
鼻毛を一心不乱に引き抜いては、隣の左の鼻の穴の中に移植していたっていうの?」
真紅「くっ! お願いだから! 何でもするから見逃して頂戴!
この事がお父様どころか、ジュンや翠星石にばれただけでも私の桜田家での立場は危うい!」
水銀燈「うふふ、そうねぇ? 考えてあげないこともないわ。もちろんギブ&テイクで」
真紅「……」
- 272 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:18:14 ID:923XkLgU0
- 水銀燈「さっき、用事があって、ここへ来たって言ったでしょ? ちょっと頼み事があるの」
真紅「あなたが私に頼み事だなんて珍しいわね」
水銀燈「めぐをしばらく預かってほしい」
真紅「?」
水銀燈「少しの間だけど、めぐの傍を離れてnのフィールドを行動したいのよ」
真紅「勝手にすればいいじゃない。わざわざマスターを私に預ける必要があるの?」
水銀燈「あの子を一人だけにしておくと、すぐフラフラとどっか行っちゃうのよ。
それに、nのフィールド内にはまだまだ危険な奴らも多い」
真紅「だとしても何故、私のところへ? 金糸雀や蒼星石にでも…」
水銀燈「金糸雀のところだと、私についてあること無いこと金糸雀がめぐに吹き込みかねない」
真紅「あー、なるほど。金糸雀って水銀燈の弱みをいっぱい握っているものね」
水銀燈「弱みじゃあないわよ。金糸雀が勝手にそう思っているだけ、でもそれを
めぐにまで信じこまさせられたら迷惑。あと、蒼星石は薔薇屋敷の皆と温泉旅行に行ってて不在」
真紅「…白薔薇は?」
水銀燈「あの子、改心したとはいえ危険すぎるでしょ。前科ありまくりよ」
真紅「そうよねぇ。まあ、私は構わない。マスターの一人や二人増えたところで何の問題もない」
水銀燈「今回は素直に礼を言うわ、ありがと。じゃ、渡したからね」
真紅「渡した…?」
- 273 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:19:05 ID:923XkLgU0
- ジュン「…zzZ」
めぐ「…zzZ」
真紅「なっ!? いつの間にかジュンの隣に、めぐが寝かされている!?」
水銀燈「眠らせて連れてきていたのよ」
真紅「だとしても、ジュンの隣に寝かせるだなんて」
水銀燈「別に問題ないでしょ。めぐは幽霊だし、そこの冴えないメガネに何かできるとでも?」
真紅「そういうことじゃあないわ。これだと、めぐが邪魔でジュンの鼻毛移植ゲームができない!」
水銀燈「……」
真紅「くっ、こうなったら…」
水銀燈「めぐの鼻毛に手を出したら、ボコボコにするわよ、真紅」
真紅「そ、そんなことするわけないじゃない! それよりも水銀燈…
一人でnのフィールドで行動したいだなんて、一体何をするつもり?」
水銀燈「……」
- 274 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:22:17 ID:923XkLgU0
- 水銀燈「野薔薇と会う」
真紅「!?」
水銀燈「勘違いおしでないわよ。会うだけ、争うつもりは無い」
真紅「けど、その野薔薇って何者?」
水銀燈「知らなぁい。私も今回、初めて会う個体。向こうからメイメイにコンタクトを取ってきた」
真紅「相手の目的は? あなた一人で会いに行って危険なんじゃ?」
水銀燈「野薔薇の目的は会話よ。向こうも争うつもりだなんて毛頭ない、多分」
真紅「信じられるの?」
水銀燈「野薔薇にとってみれば、私達は誰でもアリス級の存在。
私達だって、アリスが実在しているのならば会って話ぐらいしたいと思うでしょ?」
真紅「あなたの目の前に実在しているじゃない、見事アリスになった超真紅様が」ピョンピョン
水銀燈「それに、たとえ向こうが争うつもりだとしても私が遅れを取るはずない」
真紅「ちょっと! アイアムアリスよ! その件を華麗にスルーしないで!」
水銀燈「…アリスゲームを真紅が制覇したのは認める。
けど、イマイチあんたにはアリスの品格ってのを感じないのよねぇ」
真紅「うぬぬ…。けど、少しこれで合点がいったわ。わざわざ、めぐを連れてきたのも
唯一の弱点となるマスターを私に預けるためだったのね」
水銀燈「じゃ、弱点ッ? 私に弱点なんて…」
真紅「あら、違う?」
水銀燈「…ともかく、相手は私一人だけを指定している。その希望を破って
こっちがゾロゾロと出向いたりしちゃあ、おちおち会話にもなりゃしない。
そろそろ出発しないと、待ち合わせの時間にも遅れるから、もう行くわ」
真紅「水銀燈…」
水銀燈「万が一にも何かアクシデントが起きたら、メイメイを飛ばす」
真紅「……」
水銀燈「その時は、後を頼んだわよぉ真紅」バササッ
真紅「『後を頼む』…ね。アリスゲームをやっていた時には天地がひっくり返っても水銀燈からは聞けない言葉だわ…」
- 275 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:26:24 ID:923XkLgU0
- §nのフィールド・メメントリオン蓄養海岸
隊員A「隊長ぉ~、もう充分でしょう~! 帰りましょうよ~東果重工の本社にーっ!」
隊員B「男の癖にだらしのない。まだ、仕事は始まったばかりだろう」
小隊長「その通り。それに、あんまり早く帰っても、どうせ本社の白襟達にまた嫌味を言われるのがオチだ」
隊員A「そんなこと言ったってですね、海岸のゴミ拾いを仕事でさせられるなんて間違ってやいませんか。
罰ゲームですよ、これじゃあ! 俺らが何か悪いことでもしたっちゅーんですか!」
隊員B「自覚が無いのか貴様。僕達は前回の任務を失敗して…」
隊員A「前回の任務はハードル高すぎだって! 桜田ジュンの心の樹を確保しろだぞ!
ローゼンメイデンや庭師連盟の十人兄弟クラスが守っている、それを俺達三人だけで!
いくら黒襟の絶対数が少ないからってさ! そもそも無理ゲーだったんですよ! 無理ゲー!」
小隊長「そう言うな。本社のお偉方もそこは一応分かっている。だから…考えようによっては
任務失敗したのに、ゴミ拾い程度で済んでいるとも受け取ることができる」
隊員B「確かに。僕達は何かの人体実験やらの被験体に回されても、おかしくなかった」
隊員A「嘘だろぉ! ああっ、やっぱ東果重工って超絶ブラック企業じゃねーか。
俺みたいな馬鹿でも衣食住に困らないって誘われたから、おかしいとは思っていたが…」
- 276 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:29:35 ID:923XkLgU0
- 隊員B「本当に馬鹿な奴め。今更、そんな事に気付いたのか」
隊員A「んだと、コラ! だったらお利口さんのお前は何を好き好んで東果に…!?」
隊員B「僕は東果重工で生まれた。他に行くところなんて最初から無かった」
隊員A「っ!? それって…?」
小隊長「東果重工の社員の中にはそういう奴も結構いるってことだ」
隊員A「わ、悪いことを聞いちまったかな」
隊員B「別に。これでもそれなりに気に入ってるんだ、この生活を」
隊員A「…そうか。ところで隊長はどういう経緯で東果重工に?」
小隊長「俺もお前と同じで採用担当の甘言に騙されたクチだよ。
あと、先に言っておくが東果重工は社内規定で転職活動を禁じているからな」
隊員A「ええぇっ!?」
小隊長「それと、いい加減に口だけでなく手も動かせ」
隊員A「あ、はい!」
隊員B「しかし、ゴミの多いところですね。ここ一帯は渡し守の管轄でしょう?
彼らにとっても大切なメメントリオン養殖場なのに付近の清掃を怠っているのですか?」
小隊長「俺達のために、しばらく掃除をしていなかったんだとよ。
わざわざ東果重工と渡し守の集いの上層部との間で、そう取り決めがあったらしい」
隊員A「なんですか、そりゃ。どうでもいいところで、とんでもない協調性を発揮しやがって」
小隊長「雨降って地固まるとは言わんが、桜田ジュンの心の樹の攻防戦で
東果と渡し守達との関係は良好に向かっているらしい」
隊員A「はぁ~…」
- 277 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:32:39 ID:923XkLgU0
- 隊員B「それはそうと、さすがに隊長は手馴れていますね。ゴミ拾い」
小隊長「うん? そうか。掃除屋は結構長くやらされていたからな。
俺も嫌いじゃなかったし。慣れてくるとなかなか面白いぞ」
隊員A「本当ですか?」
小隊長「それに色んなところの掃除にも行かされたもんだ。軍艦(※1)だったり、星幽祭(※2)だったり」
隊員B「へえ…」
※1 薔薇乙女のうた『ある野薔薇とワタハミの樹』
※2 桜田ジュンの良能『星の幽けきは愛』
- 278 :以下、名無しにかわります:2014/03/12(水) 21:34:34 ID:923XkLgU0
- 小隊長「ただ、どっちも薔薇乙女のせいで、滅茶苦茶になってんだよな。
そのせいで未だに俺は本社では死神呼ばわり…」
隊員A「け、けど隊長! 『掃除屋』とか『死神』とかの異名ってカッケーすよ」
隊員B「フォローになってない」
隊員A「うっ! じゃあ話題を変えましょう隊長! 今まで一番きつい掃除って何でした?」
隊員B「あまり変わってないぞ話題」
小隊長「きつかった掃除…?」
隊員A「え、ええ! やっぱり薔薇乙女絡みの事件だったりします…?」
小隊長「そうかもな。けど、どちらかと言えば俺の自業自得かもしれん」
隊員B「どういうことです?」
小隊長「さっきも少し話したが、東果重工で禁じられている転職活動を俺はやってしまったことがある」
隊員A「えっ!?」
隊員B「何に転職しようとしたんです?」
小隊長「第五真紅丸の副船長だ。ちょうど求人広告を見てな(※)」
隊員A「がっつり薔薇乙女絡みじゃないっすか」
※
2014/03/13(木) 13:15:16
コメント(10)
ユーザータグ ローゼンメイデン
- :-:2014/03/13(木) 14:09:58
- SLPYお得意の未来への自分のパスが出た!
とりあえずシンクミスティカの正式名称はモゾーミスティカで決定したみたいだな
- :-:2014/03/13(木) 14:40:23
- 小隊長がロゼリオン化しなかったのはそういうことか
金糸雀の差し入れ喉に詰まらせてたから恨みは消えてないと思ってたけど
- :-:2014/03/13(木) 14:43:55
- モゾーミスティカをモリゾーミスティカと空目したのは俺だけだな、きっと
- :-:2014/03/13(木) 15:03:44
- よかった、貧乏くじを引いている掃除屋が無事で。
今回銀ちゃんが嬉しそうで何よりです。
- :-:2014/03/13(木) 16:48:44
- 冒頭でまた鼻毛かな?と思ったらやっぱり鼻毛だった。
今回の野薔薇に名前が欲しいな。
- :-:2014/03/13(木) 17:24:08
- 寝ている男子中学生の鼻毛を抜くアリスの人って・・・
- :-:2014/03/13(木) 17:57:56
- めぐが同衾するという事態にベタベタな期待をしたが、そんなことはなかったぜ…
ジュンが目覚めて驚愕し、めぐが一瞬で事態を理解しジュンをいじる とか。
アリスになっても方向性が全くブレない真紅が一緒じゃ、なぁ…
- :-:2014/03/13(木) 18:24:00
- エロ…い…のか…?
これもうわかんねぇな
ところで掃除屋さんに平和は訪れるのだろうか
- :-:2014/03/13(木) 22:19:13
- 動かないのは真紅の方じゃ・・・
ところでタレコミしたのは誰なんだろうか?
今後の伏線になるのかな
- : :2014/03/13(木) 23:25:26
- 早速前回のミスティカ騒動が今後の中核に…
ロゼリオンの時以上に各勢力から狙われそうだなローゼンマイスター
自分のまま強くなりたいが三者三様で出て来たが、真紅だけは何かの間違いだと思いたいw