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テレビとオカルトの意外な関係。科学者を魅了した”遠くの世界を見る”ということ。 : カラパイア

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 ステファン・アンドリオポーラスは著書、ゴーストリー・アパリションで、テレビとオカルトの歴史を研究した。その研究によると、テレビという発明の背景にはスピリチュアリズムとオカルトが深く関係しているのだという。

 実際、テレビ(正式名テレビジョン)という言葉は「遠くの映像を見る」という言葉からきている。「テレフォン」が「遠くの声」を聴く事だったり、「テレスコープ(望遠鏡)」が「遠くの物体」を見る事だったりするように、テレビジョンという言葉も、魔法の箱が遠くの世界を映像として見せてくれる所から来ているわけだ。
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 以下の文章は「ゴーストリー・アパリション」に記述されていた内容である。

 テレビの歴史を詳しく調べると、ルネサンス期までにも遡る。ルネサンス期は凹面鏡や幻灯機、煙で作られた壁を利用したイリュージョン等、これ以外にも数多くの「幻影を作る機械」が登場した時代であった。この時代はまさしく、人間が何処まで「視覚」からの情報を作り出せるかの挑戦だったのだ。

幻灯機―遠くの出来事を見る為の技術の発展―

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 先に述べたとおり、幻灯機などの技術は、超常現象的ともいえるような「遠くの映像を見る」という行為を夢見た人間たちが作った機械だ。言ってしまえばオカルトを夢見る人間が作った機械ではあるのだが、これらの発展が後に、19世紀に登場するラジオやテレビの先駆けとなったのは間違いない。そしてこれは、オカルトと科学が御互いが干渉しあう事で、出来た機械なのだ。

 確かに我々が良く知る、リビングに置かれているテレビは「超常現象」という類の物ではない。しかし、テレビと言う物は「遠くの映像を見る」という超常的な行為を、人間が電磁式伝達装置や電波を自由にコントロールして得ようとしたうえで誕生した産物であることを忘れてはいけない。

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英国の科学者で空想科学小説家がロンドンで開発されたテレビシステムをチェックしている様子

 これら遠くの映像を見る行為は、超常現象的に考えると「千里眼」と言った方が正しいかも知れない。千里眼(英:Clairvoyance)は、英語で読むと「曇りない映像」という意味である。つまりテレビはこの千里眼という行為を獲得する為に人間が作った、遠くの映像を「一切のノイズを受けず届ける」ための技術だったわけだ。

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1926年のテレビの公開デモンストレーションでジョン・ロジー・ベアードが送信した「動く顔」。

 アンドリオ・ポーラスの本には、他にも数多くのオカルト現象との対比が述べられているが、ここで一度彼の本から離れ、20世紀に時代を移してみよう。


墓、教会、プラネタリウム

 ノルウェーの物理学者、クリスチャン・ビルケランドは7度のノーベル賞候補になった事でも有名だが、彼の「陰極線と磁場」を利用した実験は後にテレビで使われるブラウン管の先駆けとなったことだろう。

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クリスチャン・ビルケランド

 ビルケランドが陰極線の存在に強い関心を示したのは、彼が物理学者であったことも関係している。北極光・オーロラに強い魅力を感じ、ビルケランドは世界で初めて、オーロラが「太陽からエネルギーを得た強い粒子が地球の電磁場に影響されて起こる現象だ」と提唱したのだ。その後、彼はこの光を自分で作り出せないかと考えたのだった。

 ルーシー・ジャゴが書く「ノーザン・ライト(北極光)」では、ビルケランドが「宇宙を見る機械」を発明しようとした事について述べられている。これはまさしく、ポーラスの言う「遠くの映像を見る為」のテレビの先駆けとなった機械であろう。

 ジャゴはこれらの発明を「スペース・アクアリウム(宇宙を入れた水槽)」と言い、「宇宙への窓」とも表現した。

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陰極線を研究中のビルケランド

ビルケランドはその箱の真空に陰極線を通し、強いエネルギーを持った粒子を作ろうとしていた。彼は小さいチューブとより大きな箱を使い、オーロラへの理論を更に一歩先に進めようとしていたのだ。完全な宇宙進化論・宇宙の起源の理論を。


 懸命な努力の末、ビルケランドは後に土星の環、彗星の尾、黄道光を再現する事に成功した。彼は電磁気学をより深く理解し、太陽系の理論を自らの物にする為、日々実験に明け暮れた。

 ただ、彼の「スペース・アクアリウム」は彼が目指す(テレ)ビジョンの最後ではなかったのだ。

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 彼の最後の夢・彼の目指すビジョンは、彼が東京で亡くなる前、訪問したエジプトで明確なものになった。彼の夢、それは「どこかの山の頂上に真空の空間を作り、そこに墓と、教会と、プラネタリウムを一体にしたものを作ろう」というものだった。

 その夢を彼は意気揚々と友人に話したのだが、彼は当時、カフェインとバルビタール(催眠薬)に依存していた人間で、彼が友人に宛てた手紙ではそういった「ちょっといっちゃってる」部分が垣間見えるが、胸躍るものである。以下がその全文である。

ビルケランドが友人に宛てた手紙

私は花崗岩のドームを作るよ!壁は数メートルの厚さにして、そのドームは天然に出来た山の頂上に作るんだ!ドームの頂上だけでも14メートルは欲しいね、そこに金箔を塗った銅球を嵌めるんだ。

ドームの中には何があるか分かるかい?

私は友人を招く時にこう自慢するんだ。「世界で神の次に大きい真空を作り上げたのだ。」とね!

真空は1000立方メートル欲しいな、そして毎週日曜日に眺めに行くんだ。直径10メートルの土星の環、世界で一番美しい太陽、自然に最も近い黄道光・・・そして4メートルのオーロラをね。

最後に土星の球体は、太陽にも、地球にもなるように変形できるようにするんだよ。モーターを使ってね!

 これらの話を全て統合して考えると、テレビという物の発達にオカルトや科学、千里眼は重要であった事が分かるが、オカルトや科学を越えたその先に「自然の美しさを鑑賞する」という人々の夢がつまっていたことが分かる。

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 勿論ビルケランドの発明は決して幽霊を映像化するような物ではなかったが、天が作り上げた世界を、たった1000立方メートルの花崗岩のドームに閉じ込めようとしたのは確かだ。

  彼の夢が実現する事はなかったが、現代の視覚技術が小さく見える程大きな夢であった。そして、それはとても素敵な夢だと、私は思う。


via:gizmodo・riki7119@live.jp

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2014年03月17日 20:42
  • ID:Y7a9VBtG0 #

オカルトの追求でテレビが出来たということ?
霊視みたいなのもいつか科学になることがあるのかな

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2. 匿名処理班

  • 2014年03月17日 21:21
  • ID:iU1iBh590 #

目に見えない神秘を追求すると言う意味においては
オカルトの延長に科学があるとも言える
技術の進歩によって宇宙論だって変化するものだし
世界のありようはいつ変化するかわからない

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3. 匿名処理班

  • 2014年03月17日 21:29
  • ID:028UwFGZ0 #

「雨の日の0時、一人で消えたテレビを見つめると『自分の運命の人』が見える」
らしいぜ!
みんな、試してみよう

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4. 匿名処理班

  • 2014年03月17日 21:32
  • ID:o2TF07Xz0 #

十分に発達した科学は魔法と区別がつかない

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5. 匿名処理班

  • 2014年03月17日 21:43
  • ID:2MrTaAsd0 #

カオなしがいる・・・・

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