幼馴染「はいはーい!立候補しまーす!」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:31:22 ID:RELDEfTA
- 男「って言ってさぁ…お前、委員長になったじゃん?」
幼馴染「うん」
男「でさ、俺は高校に入学したときから言ってたよな?静かに暮らしたいって」
幼馴染「そうだねぇ」
男「なのにお前はさぁ…俺を副委員長に推薦したよねぇ」
幼馴染「したねぇ…でも良かったじゃん。楽しいよ、私は」
男「お前が楽しくてもなぁ…」 - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:36:41 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「でもさ、私がこうして男の背中を押さなかったら、灰色の高校生活になってたんだよ?」
男「決め付けるな」
幼馴染「そう考えたら、むしろ感謝してほしいくらいだよ」
男「なーにが感謝だなにが。……はぁ、これからどうしよ」
幼馴染「どうせ部活も入ってないんだから、こうして放課後に残れるのはいいことだと思うよ?」
男「まぁ確かに…家に帰ってもやること無いしなぁ」
幼馴染「こうやって美少女と一緒に放課後、仕事できるんだから。喜びなよ?」
男「微少女の間違いだろ」
幼馴染「微妙ってことかコラ」 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:39:16 ID:RELDEfTA
- 男「はぁ…面倒だ…俺今何やってるんだっけ」
幼馴染「プリントの整理。全員分あるか、ちゃんと確認してよね」
男「へーい…」
幼馴染「ね、これ終わったら帰りにどこか寄ろうよ?」
男「家に直行したい」
幼馴染「却下」
男「じゃあ聞くなよ…」 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:44:10 ID:RELDEfTA
- 男「大体さぁ…お前違うよ」
幼馴染「違うって、何が」
男「委員長キャラって言うのはさ…もっとこう…眼鏡が似合って、クールで…」
幼馴染「ふむふむ」
男「勉強もできて、みんなを纏める力があって、読書好きで…」
幼馴染「うんうん」
男「お前とは正反対なんだよね」
幼馴染「んなっ…私は馬鹿だとでも!?」
男「学力はいいけど馬鹿な行動が目立つみたいな?」
幼馴染「ふーんだ、どうせ私は物静かなお嬢様キャラじゃありませんよーだ」
男「活発系だもんな。委員長とは程遠いよ」 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:47:14 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「とか言って、手が止まってるぞー」
男「面倒だなぁ」
幼馴染「あと少しで終わるから、もう一踏ん張り!」
男「どうせ明日も明後日もあるんだろ?」
幼馴染「先生によるよ」
男「生徒にまかせっきりにするなよー担任ー」
幼馴染「私は任せてくれてもいいんだけどねー」
男「…俺を巻き込むなよ」
幼馴染「だーめ、男も一緒に残るの」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:49:06 ID:RELDEfTA
男「……やっと終わった」
幼馴染「お疲れ様ー」
男「その紙の束…どうすんの?」
幼馴染「職員室に持っていくよー」
男「そうか…じゃあ行こう」
幼馴染「おうとも!」- 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:52:37 ID:RELDEfTA
- 男「うわー…薄暗い」
幼馴染「もうあんまり残ってる人もいないねー」
男「さすがにこんな時間じゃあな」
幼馴染「こりゃあ、寄り道できそうにないですなぁ…」
男「また明日すればいいだろ」
幼馴染「!」
男「な、なんだよ」
幼馴染「それって、明日も一緒に仕事してくれるってことだよね!」
男「はぁ?……あ」
幼馴染「なーんだ!男も結構やる気じゃん!これからも頑張ろうね!」
男「……」 - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:55:04 ID:RELDEfTA
ガラガラ
幼馴染「失礼しました」
男「…失礼しました」
男「はぁ…疲れた」
幼馴染「相変わらず体力ないねー、私はまだまだ大丈夫だよ?」
男「お前と一緒にすんな…こちとら運動の類は大のつくほど苦手なんだぞ」
幼馴染「全く…男のくせに情けないねー」
男「じゃあお前はもっと女らしくしやがれ」- 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 01:57:32 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「ま、なにはともあれ…こうして委員長としての学園生活が始まったわけですが…」
男「ですが?」
幼馴染「男に言っておこうと思ってね」
男「何を?」
幼馴染「これからもよろしくね!」
男「……」
幼馴染「……」
男「…こちらこそ」
幼馴染「うん!これからたくさん、一緒に仕事しようね!」 - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 02:02:17 ID:RELDEfTA
- 男「はいはい」
幼馴染「はい一回!」
男「さーて帰ろう」
幼馴染「あ!私を置いていくなー!」
男「なんでそんなに元気なんだよお前は」
幼馴染「なんでかなー?……教えない!」
男「はぁ?」
幼馴染「わかったけど教えない!さ、帰ろ?」
男「…なんだぁあいつ?変なの」
幼馴染「はーやーく!」
男「うるせー、ちょっと待て」 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 02:09:01 ID:RELDEfTA
- しかし、この時俺は予想もしていなかった。
まさか幼馴染の身にあんなことが起ころうとは。
もしこのときに異変に気付いてさえいれば、最悪の事態は避けられたかもしれないのに。
幼馴染「…俺は…愚かだった」
男「勝手にモノローグつけるのやめてくれる?」 - 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 17:27:37 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「ただ私たちがイチャイチャしてるだけじゃつまらないと思って」
男「イチャイチャしてたか?」
幼馴染「してなかったの?」
男「お前が一人ではしゃいでいたとしか…」
幼馴染「酷い!」 - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 17:30:35 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「あれ…もう家着いちゃったね」
男「早く感じたか」
幼馴染「そうみたい…男といるからかなぁ」
男「なんで俺といると早く感じるんだよ」
幼馴染「……」
男「なんだよ…そんな目で見るなよ…」
幼馴染「いーだ!また明日ね!」
男「お、おう」 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 17:37:16 ID:RELDEfTA
- 男「なんだぁ…あいつ?」
男「まぁいいや、俺も帰ろう」
しかし、このときの俺は考えてもいなかった。
これが、幼馴染と交わす最後の会話になるなんてことを…
男「しつこい」
幼馴染「てへっ」 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 17:44:16 ID:RELDEfTA
翌日
男「ふわぁ…」
幼馴染「おはよ!いい夢みれた?」
男「放課後、お前と一緒に仕事をするという悪夢をみた」
幼馴染「なるほどねぇ…昨日私と一緒に仕事できたことがあまりにも嬉しくて、夢にまで出てきちゃったかぁ」
男「ポジティブだなー」
幼馴染「暗い私なんて見たくないでしょ?」
男「正直見てみたい、幼馴染が泣いているところ」
幼馴染「えぇ!?」- 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 17:46:19 ID:RELDEfTA
- 男「だってさー、お前とは結構長い付き合いなのに、泣いてるようなシーンが全く浮かんでこないのよ」
幼馴染「そ、そうかな…私は男の前で泣いたことあるような…」
男「えー?あったかぁ?」
幼馴染「あったよ!………あったよね?」
男「聞くなよ」 - 20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:05:29 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「じゃあさ、もし私が今急に泣き始めたら、男どうする?」
男「引く」
幼馴染「もっと紳士的に!」
男「抱きしめる」
幼馴染「だからもっと優し……え!?」
男「その状態から頭撫で撫でして、泣き止むまでずっと傍にいてやる」
幼馴染「え、えっと…その…」
男「って、言ってほしかったんだろ?」
幼馴染「だ、騙したな!うわぁぁぁん!」 - 21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:09:23 ID:RELDEfTA
- 男「文面だと泣きながら走ってどこかに行ってしまったように見えるが、実際は棒読みで依然、俺の前にいる幼馴染であった」
幼馴染「叙述トリックってやつ?」
男「難しい言葉を知ってるな。褒めてやろう」
幼馴染「わぁい!」
男「ちなみに、これは本当に喜んでいるのである」
幼馴染「むしろさっきのが演技だからねー」
男「女って怖いわー……」 - 22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:17:56 ID:RELDEfTA
放課後
男「じゃあまた明日な」
幼馴染「おい」ガシッ
男「なにをするんですか幼馴染さん、しんでしまいます」
幼馴染「今日も仕事があるよ」
男「えぇ……わかっていたとはいえ面倒臭い」
幼馴染「面倒でもやるの。若いころの苦労は買ってでもしろっていうでしょうに」
男「いいよ別に…老いてから苦労するし」
幼馴染「ダメ人間すぎる!」- 23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:22:24 ID:RELDEfTA
- 男「はぁ…やりますよ、やればいいんでしょー」
幼馴染「態度が気に入らないけど…まぁ、やる気があるならよしとしますか」
作業中
男「…まだ、人残ってるのな」
幼馴染「まだ明るいからねぇ…ほらほら、夕日が綺麗だよ?」
男「本当だ…あんなに赤くなるもんなんだな」
幼馴染「そうだねぇ…ちょっぴりセンチメンタルな気分」
男「なにいってんだお前」
幼馴染「い、いいじゃん!たまにはクサいこと言っても!」 - 24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:24:59 ID:RELDEfTA
- 男「でもまぁ…言いたくなる気持ちもわからんでもないけどさ」
幼馴染「おお?男もいける口ですか?」
男「お前ほどではないけどな。こうまで綺麗な夕日見せられちゃ、何も言えん」
幼馴染「確かに、教室も赤く染まったね」
男「赤っていうか橙?」
幼馴染「どっちでもいいよー」 - 25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:26:21 ID:RELDEfTA
- 男「……」モクモク
幼馴染「……」モクモク
男「……」
幼馴染「……なーんかさ」
男「ん?」
幼馴染「こういうの、いいよねっ」
男「こういうのってどういうの?」
幼馴染「今の状況!」
男「?」 - 26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:31:46 ID:RELDEfTA
- 幼馴染「夕日で赤く染まった校舎…グラウンドから響く運動部の掛け声…かすかに聞こえる吹奏楽部の楽器の音色…」
男「うん」
幼馴染「これぞ……青春!」
男「うん」
幼馴染「絵に描いたような青春だよ!そう思わない!?」
男「そうかぁ?」
幼馴染「そうだよぉ!これ以上の青春っぽいことってある!?」
男「んー……じゃあ、一つ」
幼馴染「ほうほう?」
男「……恋とか」 - 27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/02(水) 18:36:16 ID:RELDEfTA
コメント一覧
-
- 2014年03月19日 22:49
- うーんこのなんていうか
-
- 2014年03月19日 22:57
- よかった!!
-
- 2014年03月19日 22:58
- 初っぱなの「静かに暮らしたい」でワロタ。
その後は山なんか無くただただ下降のみの妄想SSだった。
-
- 2014年03月19日 22:58
- めでたし、めでたし
-
- 2014年03月19日 23:12
- うん、よかったね以外に感想がー
文章はとてもテンポ良くて好きだけれど
-
- 2014年03月19日 23:18
- よしここは俺に任せろ!!!!
あっ
-
- 2014年03月19日 23:25
- やっぱりこういうのが務まるのは幼馴染みだけだよな。すごくいい
-
- 2014年03月19日 23:59
- 灰色てか無色の青春を過ごしたぼっちのおれにゃ辛くて見るに耐えない内容だったよ
-
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