サンフラシスコ名物のパン、美味しさの秘密は160年前の生物!?
ロブスターとかカメとか、いろんな形がありますが…。
サンフランシスコ名物といえば、ボーディン(Boudin)のサワードウ・ブレッド。独特の酸味ともちもちした食感で、1849年のオープン以来大人気です。丸いパンをくり抜いた中にクラムチャウダーが入ってたりする、あれです。
「サワードウ」とはパンの発酵に使われる酵母のことで、転じてそれを使ったパン一般の呼び名にもなっています。でもボーディンのサワードウは、他のそれとは違います。何しろ160年前に創業者が使い始めた酵母を、今でも使い続けているんです。
サワードウ・ブレッドと普通のパンの違いは、普通のパンは急速にふくらませるために人工培養のイーストを使っているのに対し、サワードウ・ブレッドは乳酸菌や複数の微生物を含むサワードウを使って、ゆっくりと発酵させていることです。サワードウはライ麦パンなんかでも使われてます。乳酸菌が含まれているので発酵中に乳酸が発生し、特有の酸っぱい風味が生まれます。
ボーディンの創業者、イシドア・ボーディンはゴールドラッシュ時代の初期に米国に移民してきて、サンフランシスコに落ち着きました。1849年にボーディンを開店するにあたって、空気中の天然酵母を集め始めました。小麦粉と水を混ぜ、しばらく外気に置いておくんです。空気中の酵母の種類は地域により違いますが、サンフランシスコの比較的高湿で温暖な空気には、良質な酵母が含まれていました。
サワードウ・ブレッドを作るには、まず全粒粉または精製した小麦粉をぬるま湯と混ぜて、発酵していないパン生地を作ります。それを外気に置いて、自然の酵母に触れさせ、発酵させます。すると小麦粉の中の酵素がでんぷんを麦芽糖に変え、さらにブドウ糖に変えて、酵母がそれを食べます。こうしていったん酵母と小麦粉の間で均衡状態になると、それが「マザードウ」、つまり酵母の土台となって、永続的に生かし続けることができます。
サワードウ・ブレッドに使う天然酵母は、一般的なイーストよりも弱いので、発酵には時間がかかります。でもその分、パンが長持ちするだけでなく、酵母がより長時間発酵して小麦粉と接するので味わいが深まります。だからこの160年間生き続けてきたマザードウこそ、ボーディンの味の秘訣なんです。
[Boudin's Bakery via 7x7、Wiki]
Andrew Tarantola(原文/miho)
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