少女「抱っこをご所望です、おにーさん」 男「困った」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:21:32 ID:JxphUoqg
- 少女「困らなくていいです。黙って抱っこ、これがかっこいいのですよ、おにーさん」
男「いや、幸か不幸か俺はかっこよくないので抱っこしません」
少女「私は目がおかしいのでおにーさんがかっこよく見えます。だから抱っこしてください」
男「くそぅ、この娘はちっともくじけやしねえ。しょうがない、おいで」
少女「執念の勝利です! えやっ」ポフリ
男「はいよしよし」ナデナデ
少女「なでなでまで! これは嬉しいサプライズですよ、おにーさん! ナイスガッツ!」
男「はいはい」ナデナデ - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:22:04 ID:JxphUoqg
- 少女「はふぅ。おにーさんのなでなでは格別ですね。一生なでられていたいです」
男「そんなことはないと思うのだけど」
少女「いいえいいえいいえ! そんなことなはないことはないのです!」
男「ややこしい」ナデナデ
少女「はふぅ」 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:27:25 ID:JxphUoqg
- 少女「つまりですね、おにーさん。おにーさんになでられると、天にも昇る気持ち、ということなのです。あ、この天にも昇るとは、比喩表現なのでそこを勘違いされると困ります」
男「そんな注釈はいりません」
少女「じゃあどんどん勘違いしたらいいじゃないですか!」
男「怒りのツボが分からん」
少女「女の子は怒りっぽいんです。カルシウムが足りないんです。骨を食べたいです、わんわん」
男「犬なの?」
少女「可愛い女の子です」
男「なるほど」ナデナデ
少女「ふにゃー」
男「猫だったか」
少女「可愛いので間違うのも仕方ないかもしれませんが、人です」
男「怪しいものだ」ナデナデ
少女「ふにゃー」 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:32:57 ID:JxphUoqg
- 少女「それよりおにーさん、そろそろ私にちゅーをしてはいかがですか?」
男「意味が分かりません」
少女「ですから、ちゅっちゅぺろぺろしてはどうですか、と言ってるんです。どうでしょうか?」
男「繰り返すが、意味が分かりません。あと、何やらパワーアップしているような」
少女「女の子は無敵なんです!」
男「困ったなあ」
少女「大丈夫ですよ、おにーさん。もちろん初めてですよ!」
男「そんな心配はしてねえ」
少女「私が誰にでもキスするようなはしたない女性と御思いですか! 不愉快です!」
男「んなことは思ってねえ」
少女「謝罪の意も込めてちゅーしてください、おにーさん!」
男「これはひどい策略だ」
少女「ちゅー! おにーさん、ちゅー!」
男「ねずみですか?」
少女「どこをどう見たらねずみに見えるんですか! 人ですよ! おにーさんを大好きな人です!」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:40:05 ID:JxphUoqg
- 男「それよりお嬢さん、そろそろ自分の部屋に戻ってはいかがでしょうか」
少女「おにーさんがちゅーしてくれたら帰ります」
男「はぁ……分かったよ。はい、ちゅー」
少女「はやややや!? ……って、ほっぺじゃないですか! 口にです! もう、ぶべーってくらいどぎついのをご所望です!」
男「中学生にそんなのしたら捕まりませんか?」
少女「親公認ですから大丈夫です!」
母「その通りよ、娘」コッソリ
男「ドアの隙間から……いつから見てた」
母「最初から! えろいぞ息子!」(満面の笑みでサムズアップ)
男「俺はアンタの息子じゃない。お前の母親だろ、なんとか言ってくれ少女」
少女「見てて母様、見事におにーさんを篭絡してみてます!」
男「この家にまともな奴はいないのか」 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:54:06 ID:JxphUoqg
- 少女「じゃあおにーさん、改めてちゅーしてください。それとも、親子丼をご所望ですか?」
母「初めてでそれを推薦するとは……ナイスガッツ、娘!」(サムズアップ)
少女「貴方の娘だもの」(サムズアップ)
男「あの。一応、確認したいのですが」
少女「はい! なんでも聞いていいですよ、おにーさん? ただ、一回質問に答えるごとになでなでしてもらいます!」
男「……まあ、それくらいならいいか。ええと、俺は家庭教師、なんだよね?」
少女「という体で、さらいました!」
男「だよね。なんか街歩いてたら黒い服着た人がいっぱい来て俺をワゴンに連れ込んだもの、犯罪に巻き込まれたと思ったよ」
母「私の手引き。手引き」クイクイ
男「はいはい」ナデナデ
母「うへへぇ」
少女「あー! 母様ずるい! 私も! おにーさん、私もなでなで!」
男「はいはい」ナデナデ
少女「はふぅ」 - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 21:59:46 ID:JxphUoqg
- 男「で、だ。なんで俺を誘拐までして家庭教師にするの? 言っておくが、俺の通ってる学校は正直自慢できるような代物じゃないぞ? 家庭教師を頼むならちゃんとしたところに頼んだほうがいいと思うのだけど」
少女「あれは、今から一ヶ月前のことでした……」
男「あ、なんか語り入った」
少女「色々あって、いま、おにーさんが私を抱っこしています。最高に幸せです」スリスリ
男「省略が過ぎる。もうちょっと具体的にお願いします」
少女「おにーさんのたくましい腕が、私を包み込んでいます。大きな手のひらが私の背中をさするたび、私の心は」
男「いや、その具体性はいらない」
少女「おにーさんのいけず……」
男「おたくの娘さんはちょっと頭悪いですね」
母「学力はすごいザマスよ?」
男「母親も頭悪かったか」 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 22:09:50 ID:JxphUoqg
- 男「じゃなくて、一ヶ月前に何があったか聞きたいのだけど」
少女「そこまで言うなら仕方ありません。特別に教えてあげます。だからなでなでしてください」
男「……まあいいか」ナデナデ
少女「はにゃー。次、ちゅー」
男「いや、いいです」
少女「おにーさんのいけず……。まあ、なでなでしてもらったし、いいです。今回は我慢します。今回だけです。次はないですよ、おにーさん?」
男「帰ろうかな」
少女「分かりました、素早く説明しますっ! ええとですね、一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました。……偉いですか?」
男「いや、普通だろう」
少女「えええっ!? お供も一人もナシで、しかも、徒歩ですよ!? こんな偉業を成したのに、褒めないんですか!? おにーさんの鬼!」
母「そうよ! 男さんの鬼! 悪魔! 三段腹!」
男「別に太ってねえ。で、続きは?」 - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 22:14:45 ID:JxphUoqg
- 少女「私のトーク力におにーさんはメロメロですよ、母様!」
母「やるわね、娘! このまま喋りの力をつけて、将来はひな壇で頑張るのよ!」
少女「折角の激励ですが、私は芸人になるつもりはないです……」ションボリ
母「私も娘が芸人なんかになられたら悲しいわ……」ションボリ
男「帰りてえ」
少女「安心して、母様! 私、将来は、おにーさんのお嫁さんの予定ですから!」ドヤッ
母「まあ! じゃあ私は二号さんね!」ドヤッ
男「こっち見んな」
少女「……母様、殺し文句なのに、おにーさんはちっとも嬉しそうじゃないです」
母「解せぬ」
男「なるほど、母子揃って頭悪いのか。可哀想だな」 - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 22:24:38 ID:JxphUoqg
- 少女「こほん。冗談はここまでです」
母「ええっ!?」
男「お前の肉親が真顔でええって言ってるけど、いいのか」
少女「……一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました」
男「無視か。いい選択だ」
母「くすん」
少女「いつもは車で優雅極まりなく帰っていたのですが、たまには庶民の気持ちを味わうのもいいと思い、徒歩で帰宅してみました」
母「帝王学ね! レッツラーン庶民!」
男「頭悪くても金持ちになれるんだな」
少女「……しかし、ここでとあるトラブルが。あ。……とある黒髪少女の揉め事(トラブル)が」チラチラ
男「言い直すな。こっち見るな。期待するな。揉め事と書いてトラブルと読ませるな」
母「れーるがん!」キラキラ
男「あの笑顔が腹立つ」 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 22:36:30 ID:JxphUoqg
- 少女「暴走自転車が歩道を暴走しており、私はそれに巻き込まれて思わずこけてしまいました」
母「※犯人はあとで黒服が秘密裏に処分しておきました」
男「あれ? この家ヤバいの? ヤのつく職業?」
少女「そこへ颯爽と現れたのが……誰あろう、おにーさんです!」
母「ひゅーひゅー! かっこいいぞ、男さん!」パァン
男「囃し立てるな。クラッカーを鳴らすな。至近距離で俺に向けるな」
少女「紙くずまみれでも素敵です、おにーさん!」
男「いや、嬉しくない」
母「いいえ! よく見なさい、娘! こんな紙くずまみれの男なんて、どこがかっこいいの!」
少女「はっ……! 確かに。みすぼらしいばかりで、ちっともかっこよくないです! 恋心で眼が曇ってたわ。ありがとう、母様!」
母「分かってくれて嬉しいわ、娘!」
男「何も悪いことしてないのに、どうしてここまで悪し様に言われなければならないのか」
少女「大丈夫! 紙くずはみすぼらしいですけど、おにーさんは素敵です!」
母「ちぃっ! 騙しきれなかったか! あわよくば娘の恋心をなくし男さんをもらおうと思ったのに!」
男「早く帰りたい」 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 22:49:23 ID:JxphUoqg
- 少女「母様は後で詰問するとして、私はこけて膝を擦りむいてしまいました」
母「ドジっ子萌え、ね! 萌えるぞ我が子!」スリスリ
少女「ひゃああ」
男「…………」
少女「……母様。おにーさん、ちっとも喜んでないみたいです」
母「百合属性はないのかしら。……否! もっとドギツイ絡みをすれば、開花するかも! 覚悟はいい、娘?」
男「おいそこ、客の前で親子で絡むな」
少女「いや、私はおにーさんが好きなんでそういうのはちょっと」
母「普通に断られた!? 冗談なのになんだかちょっとヘコむわね……」
少女「閑話休題、そこに現れたおにーさん! おにーさんは私に優しく語りかけます」
母「なんつった!? なんつった!?」
男「母親の合いの手がウザすぎる」
少女「『あー……大丈夫か?』……って。きゃーきゃーきゃー!」ジタバタ
母「きゃーきゃーきゃー! 何がきゃーか分からないけどきゃーきゃー!」ジタバタ
男「そこの二人、暴れるのは百歩譲っていいとしても、せめて俺から離れてくれ。手や足が思い切り顔に当たって痛いのだが」 - 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/04/14(土) 23:01:14 ID:JxphUoqg
- 少女「おにーさん、クール……!」
母「ラジカセで喋るくらいクールね、男さん……!」
男「少女はともかく、母の方は明らかに馬鹿にしてるだろ」
母「?」
男「女じゃなかったら殴ってる」
少女「折角おにーさんが声をかけてくれたのに、異性に慣れていない私は、怖くてうつむいてしまいました」
母「それでなくても怖いのに、基本的に無表情だからね、男さん!」ツンツン
男「言うな。気にしてるんだ。頬を押すな」
少女「母様ずるいです! 私もふにふにしたいです! と、というわけで、えいえいっ」ツンツン
男「……はぁ。満足いただけましたでしょうか、お嬢様」
母「まあまあね」
男「お前じゃねえ」
母コメント一覧
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- 2014年03月20日 16:14
- わん
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- 2014年03月20日 16:50
- わんわん
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- 2014年03月20日 17:06
- 可愛い(確信)
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- 2014年03月20日 17:49
- う、うわぁ・・・
え、えーっと、その・・・いや、なんでもないです。
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- 2014年03月20日 17:56
- 最近こんなのばかり・・・
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- 2014年03月20日 18:15
- キツイわぁ
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- 2014年03月20日 19:27
- くどいんだよなぁ…
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- 2014年03月20日 20:29
- お母さんが熟してたら良かった
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- 2014年03月20日 20:43
- お、おう
そうか、よかったね
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- 2014年03月20日 21:30
- はは
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- 2014年03月20日 22:56
- 私は一向に構わんッ
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- 2014年03月20日 23:33
- 電波女と青春男を思い出した
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