鶫「感情を反転させる薬ですか?」千棘「どうしてこうなった!」
- 1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:30:58.60 ID:/keV9MvWo
鶫「なぜそのようなものを作られたのですか?」
クロード「うむ、自白剤を作るときに偶然出来たらしい。まああえて使うことはないだろうが」
鶫「はぁ……」
クロード「それより、お前はお嬢様の護衛に奴の監視とよくやってくれているな」
鶫「はっ」
クロード「ねぎらいといってはなんだが、ビーハイブ特製の栄養ドリンクをやろう。今後も任務に励め」
鶫「はっ! ありがとうございます!」- 2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:31:33.83 ID:/keV9MvWo
――放課後――
千棘「鶫ー! 帰るわよー」
鶫「お嬢。今日は一条楽と帰らなくていいのですか?」
千棘「なんか動物の世話するって言ってたわ。私はいいって」
鶫「そうでしたか」
千棘「それよりその栄養ドリンクみたいなのはなんなの?」
鶫「これですか? これはクロード様が私に、仕事で疲れているだろうとくださったんです」
千棘「あーそっか。私の護衛してくれてるんだもんね。いつもありがとう!」
鶫「いえ、それが私の役目ですから」
千棘「もー、固いわね。それ、せっかくもらったんだし飲んでみたら?」
鶫「そうですね。では失礼して……」ゴクゴク
千棘「どう? おいしい? おいしかったら私ももらおうかなー」
鶫「ええ、味はなかなかです」ピピピ
鶫「っと、すみません。クロード様から電話が」
千棘「出ていいわよ。待ってるから」
鶫「ありがとございます。クロード様? どうなさいまし――うっ」ガクッ
- 3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:32:26.30 ID:/keV9MvWo
千棘「つ、鶫!? ど、どうしたの!?」
クロード『おい、誠士郎!? 何があった!?』
千棘「ど、どうしようクロード! 鶫が栄養ドリンクを飲んだら急に倒れて……!」
クロード『お嬢様ですか? 栄養ドリンク……一足遅かったか』
鶫「ぐ、うぅぅ……」
千棘「遅かったってどういうこと!?」
クロード『お嬢様、ご安心ください。体に害はありません。ただ……』
千棘「ただ!?」
クロード『実は誠士郎に栄養ドリンクと間違えて感情を反転させる薬を渡してしまいまして、どうやらそれを飲んでしまったようです』
クロード『今気づいて電話したのですが、もっと速く電話していれば……』
千棘「感情を反転? よ、よくわかんないけど、とにかく鶫は無事なのね!? よかったぁ……!」
クロード『はい、ですが目を覚ました誠士郎に驚かないでください。効果は1時間から数時間程度で切れますが……いえ、私もそちらへ向かいましょう』
千棘「効果? 驚く?」
クロード『ええ。感情を反転させる……つまり、好きな相手を嫌いになってしまうのです。もちろん、より好きな相手はより嫌ってしま……』
鶫「……おい、桐崎千棘」
千棘「へ?」
- 4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:32:56.42 ID:/keV9MvWo
鶫「貴様、何私の携帯を勝手に使っている」バッ
千棘「え、あ、ご、ごめんなさい」
鶫「フン、これだからお嬢様育ちは……」ピッ
千棘「つ、鶫?」
鶫「馴れ馴れしく話しかけるな」チッ
千棘(え、えええ!? だ、誰よこれ! 好きな相手を嫌いになるってこういうこと!?)
鶫「大体貴様が主だということ自体が心底不愉快だ。友人のように話しかけてくるのも迷惑極まりない」
千棘(うぅ……薬のせいだとわかってても傷つくわね……あれ?)
千棘(今って感情が逆になってるのよね? てことは反対のことを言っているってことで)エエト
千棘(つまり、私が主ですっごく嬉しい。友達みたいに話しかけるのもありがたいと思ってるってことよね!)
千棘「鶇、そこまで私のことを……!」ウルウル
鶇「な、なんだ気色悪い」
鶇「言っておくが仕事でなければ貴様なぞ何があっても話すことはないし、まして護衛なんて死んでもするものか!」
千棘「鶇ー!」ギューッ!
鶇「え、ええい! 離せ!」ドンッ
千棘「わっ! もう、鶫ったら」エヘヘ
- 5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:33:48.60 ID:/keV9MvWo
鶇「ついに頭までおかしくなったか……」
集「……誠士郎ちゃん? どったの?」
鶫「おお、舞子集。どうしたとは何のことだ?」
集「いや、俺の耳がおかしくなってなければ今桐崎さんにすげえこと言ってなかった? つうか突き飛ばしてたよね!?」
鶫「わけのわからないことを言い出したからだ」
集「そういう問題じゃなくて!」
鶫「私があいつのことを嫌いだと分かっていてやってきたのだ。あのくらい当然だろう」
集「誠士郎ちゃん喧嘩でもしたの? いやにしたって信じられないんだけど」
鶫「舞子集。お前のおせっかいなところは好きじゃない……が、喧嘩でもとは何のことだ? 普段から私のあいつへの態度は今と変わらん」
集「……あの、桐崎さん? 誠士郎ちゃんに何があったの?」
千棘「なんかビーハイブが開発した薬飲んじゃったみたいで、好きな相手は嫌いに、嫌いな相手は好きになってるのよ」
集「相変わらず変なもの作るね……」
千棘「今回は感謝してるわ。鶫が私のことをどう思ってくれてるか分かったもの!」
- 6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:34:15.08 ID:/keV9MvWo
集「ああ、好きより嫌いの方がはっきり態度に出しやすいしね。……あれ、俺いつもより優しくされてる気がするんだけど」
千棘「……ほ、ほら。仲がいいからこそ攻撃的なことも出来るのよ。だから今はむしろ距離が開いてるの!」
集「なるほど。そういうことかー」アッハッハ
集「しかし好きな相手が嫌いになる薬ねえ。……よし!」
千棘「どうしたの?」
集「いや、俺ちょっと呼んできたいやつがいるんだ。桐崎さんその間ちょっと誠士郎ちゃん引き止めといて」
千棘「え?」
集「頼んだよー」タッタッタッ
千棘「えー!」
千棘「引き止めるって……いつもの鶫ならいいけど」チラッ
鶫「なんだ、桐崎千棘。用がないならさっさと帰れ。不本意ながら護衛をやっている私も帰れんだろう」
千棘(本心が分かっててもこんなこと言われ続けるのは辛いわよー!)
千棘「こんなときに限って鶫と2人だけだし、誰か来ないかなあ」
- 7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:34:45.58 ID:/keV9MvWo
小咲「あれ、千棘ちゃん。まだ教室にいたんだ」
千棘「あ、小咲ちゃん。ちょっと待っ――」
鶫「おい、小野寺小咲」
小咲「……つ、鶇ちゃん?」ビクッ
鶫「ちょっとパンを買ってこい」
小咲「え? ……………は、はい」
千棘「小咲ちゃん!? 素直に行っちゃダメ! 鶫も何いきなりそんなこと言ってるのよ」
鶫「うるさい。貴様がさっさと帰らんから小腹が空いたのだ。そこへ小野寺小咲がちょうど来たんだ。買いに行かせるしかないだろう」
千棘「私のせいっぽくされてる!?」
小咲「ち、千棘ちゃん? 鶫ちゃんはどうしたの?」
千棘「実は鶫がビーハイブの作った感情を反転させる薬を飲んじゃって、好きな人のことを嫌いに、嫌いな人のことを好きになっちゃってるのよ」
小咲「……? てことはさっきのは……」
千棘「そう、小咲ちゃんの小腹が空いたときにすぐパンを買いに行ってもいいくらい、鶫は小咲ちゃんのことを好きなのよ」
千棘「……って凄いわねこれ。小咲ちゃん鶫に何したの?」ジー
小咲「え!? な、なんにもしてないよ!」
- 8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:35:12.42 ID:/keV9MvWo
鶫「貴様ら、何をコソコソと話している。人の目の前でいい度胸だな」
小咲「ひゃっ。ご、ごめんね鶫ちゃん」エヘヘ
鶫「貴様は本当に腹立たしいな」チッ
小咲「えっ」
鶫「怒るべきところでなぜ怒らない」
小咲「だって薬のせいだよね……?」
鶫「そういう優しさが貴様の性格なのだろうが、私からすれば反吐が出る。とてもそうなりたいとは思えん」
小咲「えっと……ありがとう?」
鶫「何の感謝だ? 言ってくれてありがとうとでもいいたいのか。これだけ言われても変わらないのか。その強情なところも腹が立つ」
小咲「こ、これは恥ずかしいね」ヒソヒソ
千棘「そうね。でも嬉しいでしょ?」ヒソヒソ
小咲「うん」テレテレ
鶫「本当に不愉快な奴らだ」イライラ
- 9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:36:03.47 ID:/keV9MvWo
万里花「何やら面白そうなことをやってますわね」
千棘「あんたまで来たのね」
万里花「感情を反転させる薬ってあなたの組織は変なものばっかり作ってますわね」
千棘「それは私にもよくわからない、っていうかあんたいつから聞いてたのよ?」
万里花「まあ細かいことはいいじゃありませんか。それより私も鶫さんと話してみたいですわ!」
千棘「あんたの場合はどうなるのかしらね」
小咲「私とか千棘ちゃんと似たような感じになるんじゃないかな?」
千棘「それはないわね」
万里花「それはありえませんわ」
小咲「そ、そうかな?」
万里花「まあその辺りは私がよくわかってますわ。だから気になるんですの」
万里花「というわけで行ってきますわ!」
- 10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:36:32.55 ID:/keV9MvWo
万里花「どうも、鶫さん」
鶫「あ、ああ。橘万里花か」
万里花「はい!」ワクワク
鶫「……あー、さっきはあそこで奴らと何を話していたんだ?」
万里花「まあ大したことじゃありませんわ」
鶫「そ、そうか」
万里花「はい」
鶫「……」
万里花「……」
鶫「……」
万里花「つ、鶫さん。何か私に聞きたいこととか言っておきたいこととかありません?」
鶫「き、聞きたいことか? そ、そうだな……」
鶫「……きょ、今日はいい天気だな」アハハ…
万里花「……そ、そうですわね」ウフフ…
- 11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/22(土) 20:37:10.97 ID:/keV9MvWo
小咲「うわあ……」ヒソヒソ
千棘「凄まじく気まずい会話ね」ヒソヒソ
小咲「なんであんなふうになっちゃってるんだろう」ヒソヒソ
千棘「きっと鶫はなんだかんだ言って、気兼ねなく話せる相手だとは思ってるのよ。だから逆に話しづらい相手に……」ヒソヒソ
小咲「なるほど……」ヒソヒソ
万里花「戻りましたわ……」
小咲「お、おかえりなさい」
千棘「めちゃくちゃグッタリしてるわね」
万里花「あんなに疲れる会話は初めてでしたわ……」
千棘「お互いなんともいえない空気だったわね」
万里花「興味本位で近づくものじゃありませんわね。ひどい火傷をしました」
小咲「いつもと違う鶫ちゃんも新鮮だったけど、やっぱり普段の鶫ちゃんがいいね」
千棘「そうねー。一時間から数時間で戻るって言ってたけど、まだ戻らないのかしら」
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コメント一覧
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- 2014年03月22日 22:51
- えんだあああああ
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- 2014年03月22日 22:54
- ビーハイブの開発した薬=ララの発明品、みたいな立ち位置
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- 2014年03月22日 23:10
- 相変わらずクロード舞台装置にされてるな