1: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:57:18.98 ID:ZVk1tQZ/o
【モバマスSS】です

短いです


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2: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:58:29.66 ID:ZVk1tQZ/o
 
 一人で目を覚ます朝。
 一人で身支度をして。
 一人でご飯を食べて。
 誰もいなくなる家を出て。

 仕事に行って、働いて。
 仕事を終えて、
 一人の家に帰る。

 一人でご飯を食べて。
 一人でお風呂に入って。
 一人でテレビを見て。
 一人で布団に入って。
 一人で眠って。




3: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:59:00.47 ID:ZVk1tQZ/o

 これって、もしかして。

 ああ、一人って寂しいんだ。
 気付いてしまった。

 気付かなければやり過ごせたのだけれど。
 気付いてしまうと寂しくて。

「アイドルの卵は、いかがですか?」

 はい? と立ち止まり尋ねたのは、一人の家に帰る途中。




4: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:59:26.51 ID:ZVk1tQZ/o

「お譲りしますよ、お金はいりません」

 アイドルの卵? と聞き返す。

「はい、アイドルの卵です」

 寂しさが紛れそうだと思った。
 そう思ったら、欲しくなった。
 欲しくなったから、財布を取り出す。

「ですから、お金はいりません」

 しかし。




5: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:59:53.09 ID:ZVk1tQZ/o

「成長して、要らなくなったら連絡してください。引き取りますよ」

 そんな無責任な。

「それを無責任だと感じる人だからこそ、お譲りできるんです」

 そういうものなのか、と不思議に腑に落ちる。

「では、この袋の中に卵と説明書がありますから」

 丁寧に受け取ると、存外に軽い。いや、重さがないと言った方が正しいのか。

「それでは、また」




6: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:00:21.18 ID:ZVk1tQZ/o

 そして一人で家に帰る。
 今夜は卵と一緒に。

 一人でご飯を食べる前に、卵を布団の中に入れる。
 一人でお風呂に入る前に、卵の様子を見る。
 一人でテレビを見ていても、卵の様子が気になる。
 
 一人で布団に……
 ああ、布団の中には卵がいるじゃないか。

 そうだ。今日はコタツで寝てしまおう。
 それがいい。

 目を覚ますと、一人でないことに気付く。




7: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:00:51.52 ID:ZVk1tQZ/o

「にょわ?」
「ボク、カワイイ?」
「ふーん」

 三人の小さな子。
 幼児体型の小ささではない。
 体型の比率は少女のそれを縮小したような存在。
 中の一人は他の二人に比べるとちょっぴり背が高いけれど。

 卵が孵ったのだと理解して、袋の中の説明書を確認する。
 昨夜の内に一応目は通していたのだけれど、現物を見ると不安になるのもまた仕方のないことで。

 一人は、嬉しそうににょわにょわ笑っている。
 一人は、褒めて欲しそうなドヤ顔で仁王立ち。
 一人は、「アンタが卵を孵したの? ふーん」とでも言いたげに見上げてくる。

 間違いないのは、三人ともとても愛らしいこと。




8: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:01:19.41 ID:ZVk1tQZ/o

 小さなアイドルを育てよう。

 四人で目を覚ます朝。
 三人に身支度をさせて。
 四人でご飯を食べて。
 三人に見送られて家を出て。

 仕事に行って、働いて。
 仕事を終えて、
 三人の待つ家に帰る。





9: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:01:47.70 ID:ZVk1tQZ/o
 
 四人でご飯を食べて。
 四人でお風呂に入って。
 四人でテレビを見て。
 四人でゲームをして。
 四人で布団に入って。
 三人に絵本を読んで。
 四人で眠って。


 とても忙しい日々。
 だけど楽しい日々。




10: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:02:17.16 ID:ZVk1tQZ/o
 
 小さいアイドルは小さいままで。
 いつまでも自分だけのアイドルで。

 過ぎていく忙しい日々。
 過ぎていく楽しい日々。

 だけどある日気付いてしまう。
 
 




11: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:02:55.34 ID:ZVk1tQZ/o

 テレビを見ている三人が、とても羨ましそうだった。
 テレビの向こうで唄っているアイドル。
 如月千早とか、天海春香とか、星井美希とか
 三人はとても眩しそうにアイドルを見ていた。
 それがとても寂しそうで。
 それがとても哀しそうで。
 それは憧れで、もしかすると諦めで。
 
 諦めさせているのは自分だと、気付きたくなくて。
 だけど、気付かずにはいられなくて。

 皆は、アイドルになりたいんだね。
 尋ねる声が泣いていた。
 
 応える声も、泣いていた。




12: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:03:25.05 ID:ZVk1tQZ/o

 
「こんにちは」

 泣き声が届いていたのだろう。
 訪れたのは、あの日卵をくれた人。

「モバPと申します」

 そうか。
 そうなのか。
 貴方がそうなのか。
 貴方がこの子達をアイドルに、本当のアイドルに。

 それなら、この子達をアイドルにしてください。
 この子達をあの世界に連れて行ってあげてください。




13: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:03:52.80 ID:ZVk1tQZ/o

 自分は寂しくてもいいんです。
 自分は一人でもいいんです。
 
 この子達が寂しくなければ。
 この子達がアイドルになれるなら。
 
 それで満足できます。
 
「そうですか、それでは」
 
 
 
 
 
 
 
 




14: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:04:24.99 ID:ZVk1tQZ/o
 
 
 
 一人で目を覚ます朝。
 一人で身支度をして。
 一人でご飯を食べて。
 誰もいなくなる家を出て。

 仕事に行って、働いて。
 仕事を終えて、
 一人の家に帰る。




15: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:04:55.40 ID:ZVk1tQZ/o

 一人でご飯を食べて。
 一人でお風呂に入って。
 一人でテレビを見て。

 そこにはあの子達がいた。





16: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:05:22.92 ID:ZVk1tQZ/o
 
「みんな、はぴはぴしてゆ~!」
「ボクは、カワイイですからね」
「残して行こうか、私たちの足跡」

 あの日々は夢じゃなかった。
 三人はきっとここにいた。
 ここに、四人でいた。
 あれは夢なんかじゃない。
 誰も知らない日々だったけれど。

 良かったね。
 アイドルになれて良かったね。
 貴女達は、とても輝いているから。




17: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:06:03.83 ID:ZVk1tQZ/o
 
 
 ああ、寂しいなぁ。
 あの子達にはもう会えないけれど。

 だけど……
 
 
 
 
 




18: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:06:36.80 ID:ZVk1tQZ/o
 
 
 
「また、会いましたね」

「新しい卵はいかがですか?」

 そして、日々が始まる。




19: ◆NOC.S1z/i2 2014/03/23(日) 21:07:20.74 ID:ZVk1tQZ/o
 
 以上お粗末様でした

 
 解釈は、ご自由に




20: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:07:38.31 ID:3lCnBiu10

絵本みたい(小並感)




23: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 21:34:41.87 ID:yhY69QsR0





引用元: モバP「アイドルの卵」



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