魔王「ふぇぇ……勇者が来たよぉ……」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:18:58 ID:b..ehsUk
- 魔王「まだ心の準備ができてないよぉ……」
勇者「な、なんだ……子供……?」
勇者「……いや」
勇者「こんな場所に子供がいるわけがない」
勇者「誰だお前は、名乗れ」ジャキッ
魔王「ふぇぇ……やる気満々だよぉ……」 - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:22:15 ID:b..ehsUk
- 勇者「名乗れと言っている」
魔王「ふぇぇ……魔王だよぉ……」
勇者「魔王?」
勇者「長たる者がそのような姿でだまし討ちとは」
勇者「やはり魔族、滅ぼすほか無いようだ」
魔王「ふぇぇ……これは生まれつきだよぉ……」 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:25:53 ID:b..ehsUk
- 勇者「……」
魔王「?」
魔王「来ないのぉ?」
勇者「……卑怯者め」
魔王「???」
勇者「分かったうえで言っているんだろう?」
勇者「その姿でいる限り、子供が操られている可能性は拭えない」
勇者「お前がその力を持って自身を証明するまで」
勇者「……私は手を出せない。先手を許すことになる」
魔王「ふぇぇ……」 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:29:16 ID:b..ehsUk
- 魔王「じゃあ……これでいい?」
ボォォオオオ
勇者「!!!」
シュバッ
魔王「きゃっ」
魔王「ふ、ふぇぇ……見るなり斬りかかってきたよぉ」
勇者「当たり前だ」
勇者「人間ではその大きさの火球を瞬時に作ることなどできない」
勇者「少なくともお前は魔の者だ」 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:33:07 ID:b..ehsUk
- 勇者「……が」
勇者「火球をそのまま私にぶつけなかったところを見ると」
勇者「最低限の礼儀は弁えているようだ」
勇者「私も礼なく斬りかかったことを詫びよう」
魔王「ふぇぇ……」
魔王「この人堅苦しいよぉ……」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:38:27 ID:b..ehsUk
- 勇者「私は勇者だ!」
勇者「勇者とは勇気を示す者!」
勇者「例え倒れることになっても!」
勇者「後に続く者の勇気となるような戦いをしなければならない!」
勇者「よって!その生涯に一切の偽りや逃げがあってはならないのだ!」
勇者「いざ!!」
魔王「ふぇぇ……気持ちで負けたよぉ……」 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:44:46 ID:b..ehsUk
- 魔王「だから、手持ちで勝つよぉ」
勇者「なにっ?」
魔王「……おいでぇ」
グルルル……
勇者「ド、ドラゴンが……3匹……」
魔王「逃げてもいいよぉ?」
勇者「……先ほど言ったばかりだろう」
勇者「勇者に、逃亡の二文字は無い!」 - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:48:43 ID:b..ehsUk
- 魔王「ふぇぇ……」
勇者「……」
魔王「楽しかったねぇ」
勇者「……早く殺せ」 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 20:53:25 ID:b..ehsUk
- 魔王「ついこの間まで4人がかりでやっとだったのに」
魔王「1人で2匹も殺しちゃうんだもん」
魔王「びっくりだよぉ」
勇者「……」
魔王「ドラゴンを殺すときの顔、かっこ良かったよぉ」
魔王「わたし、二番目に好き」
魔王「一番は……」
魔王「やっぱり腕を飛ばされちゃった時の顔かな」
勇者「……殺せ」 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:00:22 ID:b..ehsUk
- ドラゴン「グルル……」
魔王「よしよし」
魔王「ドラゴンちゃん、この後どうしよっか?」
魔王「勇者をどうしたらいいのか、わたしには分からないよぉ」
勇者「な、なんだと?」
魔王「ふぇぇ……」
魔王「魔王ってねぇ、えっと……かりすま?」
魔王「ちから・かしこさ・かっこよさのどれかがあればなれるの」 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:06:38 ID:b..ehsUk
- 魔王「とっても頭のいい幹部の子たちが今まで考えててくれたんだけど」
魔王「みぃんな殺されちゃった」
勇者「……」
魔王「まあ、勇者の仲間も死んじゃったみたいだけどねぇ」
勇者「……そうだ」
勇者「私は……仲間の仇を取ることができなかった」
勇者「仲間の想いに応えることができなかった」
勇者「……無念だ」
魔王「ふぇぇ……仇討ちなんかやめなよぉ」
勇者「なんだと?」 - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:09:41 ID:b..ehsUk
- 魔王「戦いは自分のためにするのが一番だよぉ」
魔王「わたし、お友達をみんな殺されちゃったけど」
魔王「別に勇者のことは嫌いじゃないよぉ?」
魔王「だって」
魔王「お友達よりも、それを殺した時のあなたの表情」
魔王「あれのほうが好きだから」
勇者「……悪魔め」
魔王「ふぇぇ……魔王だよぉ……」 - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:13:35 ID:b..ehsUk
- 魔王「きめたよぉ」
魔王「ドラゴンちゃん、勇者を王都に返してあげてぇ」
勇者「な、なに!?」
勇者「私を愚弄するのか!?」
魔王「ふぇぇ……」
魔王「ボロボロになった勇者が空から落ちてきたら」
魔王「みんなどう思うかなぁ」
勇者「貴様……!」
魔王「わたし、もうワクワクしてきちゃった」 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:17:31 ID:b..ehsUk
- 魔王「きっと、みんな絶望しちゃうよねぇ」
勇者「そ、そんなことは無い!!」
勇者「必ず私の意志を継ぐものが現れる!」
魔王「……ふぅん」
魔王「そういえばお友達が言ってた」
魔王「希望は絶望の中からいくらでも湧いて出るって」
魔王「ほんとかなぁ……」
ドラゴン「グルル……」
魔王「あ、待たせちゃったねぇ。 もういいよぉ」
ガシッ
勇者「ぐぁっ!」
魔王「傷口を持たれて痛いだろうけど」
魔王「世界一周の旅、いってらっしゃあい」 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/15(火) 21:24:03 ID:b..ehsUk
- 魔王「ふぇぇ……」
魔王「本当に希望がぽこぽこ出てくるなら」
魔王「勇者みたいな子がたくさん来るんだねぇ」
魔王「その度にお城へ落としてあげたら……」
魔王「えへへ~」 - 22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:15:14 ID:hmn3bt0Q
- 数ヶ月後
魔王「ふぇぇ……」
戦士「」
魔法使い「」
魔王「弱すぎるよぉ……」
魔王「勇者みたいな強くてかっこいい子が全然来ないよぉ……」 - 23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:20:02 ID:hmn3bt0Q
- 側近「お言葉ですが」
魔王「あれぇ? だれぇ?」
側近「本日付けで魔王城勤務になった側近です」
魔王「あれぇ? わたしが戦ってるの、黙って見てたのぉ?」
側近「私は事務担当ですので」
魔王「ふぇぇ……」
側近「……よろしいですか?」
魔王「ふえ?」
側近「勇者とは神の加護を受けた神聖なる役職」
側近「決して心構えやトレーニングではたどり着けない境地なのです」 - 24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:24:49 ID:hmn3bt0Q
- 側近「聖なる剣の破壊力は戦士のそれを大きく上回り」
側近「光の魔法は魔法使いと一線を画す威力を持ち」
側近「自分一人を回復させるなら上級聖職者にも全く引けをとらない」
側近「一人で完成されたパーティ、それが勇者です」
魔王「ふぇぇ……すごいねぇ……」
側近「もし魔王様が勇者との戦闘を望むのであれば」
側近「今の勇者にとどめを刺し、次の世代に託す他ありますまい」
魔王「ふぇぇ……」
側近「勇者とは選ばれし者」
側近「あらゆる時代に一人しか存在しないのですから」 - 25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:29:41 ID:hmn3bt0Q
- 側近「さあ魔王様、ご命令ください」
側近「王都に攻め入り、憎き勇者もろとも皆殺しにすると」
魔王「ふぇぇ……」
魔王「……」
魔王「にっくき?」
魔王「仇討ちは良くないよぉ」
側近「……なぜですか!」
側近「あなたのご友人は!私の恩師は!」
側近「あいつに殺されたんですよ!!」
魔王「ふぇぇ……」 - 26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:33:35 ID:hmn3bt0Q
- 魔王「みんな殺したらなんにもなくなっちゃうよぉ……」
側近「人間など、絶滅させても問題は無いでしょう!」
魔王「それはつまらないよぉ……」
側近「あくまで面白さのためだけに行動すると?」
魔王「ふぇぇ……」
側近「……」
側近「失言でした」
側近「私は魔王様に反論はしますが決定には従います」 - 27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:37:42 ID:hmn3bt0Q
- ――
銃士「」
魔王「ふぇぇ……」
魔王「この人、変なもの持ってたよぉ……」
側近「粉末を爆発的に燃焼させ、その衝撃で鉄を飛ばす武器のようですな」
魔王「ふぇぇ……怖いよぉ……」
側近「まだ我々の脅威になるような代物ではありませんが」
側近「これが軽量・量産化されると厄介です」 - 28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:41:47 ID:hmn3bt0Q
- 側近「こちら側も武器の未来化を進めますか?」
魔王「ふぇぇ……逆がいいよぉ……」
魔王「呪いをかけちゃおう」
側近「呪い……ですか?」
魔王「うん、爆発しちゃうの」
魔王「つかった人が。ときどきね」
側近「これから出てくるであろう武器……全てにですか?」
魔王「そうだよぉ」 - 29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:45:31 ID:hmn3bt0Q
- 側近「そのようなことが本当に……」
魔王「はい、側近ちゃん」
側近「これは……」
魔王「この本のこのぺぇじ開いてもってて」
魔王「あとは……おいでー」
ドラゴン「グルル……」
側近「この城最後のドラゴンですか。いつ見ても立派なものですね」
魔王「えへへー、準備できたよぉ」 - 30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:50:02 ID:hmn3bt0Q
- 魔王「それじゃあ読んでぇ」
側近「はっ」
側近『あらゆる理を司る神々よ』
側近『我、力と魂を持って全てに干渉するものなり』
側近「……魂?」
魔王「うん」
魔王「それじゃあドラゴンちゃん」
ドラゴン「グルル……」
魔王「わたしのために」
魔王「死んでくれる?」 - 31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/01/16(水) 20:53:36 ID:hmn3bt0Q
- ドラゴン「……」
コクン
魔王「えへへ、ありがとぉ」
側近「ま、魔王様!そコメント一覧
-
- 2014年04月03日 20:11
- ふぇぇ… むずかしいかんじはよめないんだよぉ…
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- 2014年04月03日 20:40
- 魔王ちゃん!ぼくの股間のエクスカリバーで今すぐ退治してあげるからね!ボロン
-
- 2014年04月03日 20:45
- ※2
そのひのきの棒しまえよ
-
- 2014年04月03日 20:54
- 魔王「マツコデラックス」の外見だろ
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- 2014年04月03日 21:10
- ふぇぇ・・・とてもたのしかったよぉ・・・・
-
- 2014年04月03日 21:11
- おっそろしい話
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- 2014年04月03日 21:12
- ちゃんとしたってのも変だがこれこそ魔王て感じだな
-
- 2014年04月03日 21:24
- すげえ話だ。最後のオチはぞわっとした。
あと村長天使は普通にジジイで脳内再生してたわ
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- 2014年04月03日 21:34
- 召使いちゃん…
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- 2014年04月03日 21:49
- 最後のは娘が魔王の生まれ変わりってことでいいの?ゾワッとしたんだが
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- 2014年04月03日 21:58
- 面白かった。特に国を滅ぼしたあと王と散歩する辺りとか
まさに鬼畜
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- 2014年04月03日 22:02
- これは良いタイトル詐欺
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- 2014年04月03日 22:06
- この絶望が魔王だよな
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- 2014年04月03日 22:17
- 無限ループって怖くね?
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- 2014年04月03日 22:35
- ふぇぇ・・・長いよぉ・・・。
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- 2014年04月03日 22:42
- 魔王してるなあ…
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- 2014年04月03日 22:52
- 魔王が魔王してた(粉ミカン)
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- 2014年04月03日 22:53
- ふぇぇ・・・このシリーズすきだよぉ・・・
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- 2014年04月03日 23:09
- これと刀で人を斬るの楽しいよぉが好きだったわ、懐かしいなぁ
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- 2014年04月03日 23:09
- >魔王「あのお姉ちゃんはとっくに死んじゃったよぉ?」
ふぇぇ・・・素晴らしいセリフだよぅ・・・
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- 2014年04月03日 23:19
-
ふぇぇ……マジもんの魔王だよぉ
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- 2014年04月03日 23:36
- ふぇぇ…夜に読むんじゃなかったよぅ…
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- 2014年04月03日 23:40
- ふぇぇ…威厳に溢れた魔王は久しぶりだよぉ…
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- 2014年04月03日 23:41
- 良い、こういうの待ってた
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