米史上最短命のハリソン大統領はホワイトハウス近隣の人糞野原が原因で死んだ?
ウィリアム・ハリソン大統領と言えば…
- 冷雨の中、大統領就任演説を2時間近くぶち(米史上最長)
- 肺炎でぶっ倒れて1ヶ月で亡くなった大統領(米史上最短命)
…ですが、今頃になって「死因は肺炎ではなかったのではないか?」という新説が出てきました。なんと原因の一端はホワイトハウス近隣の衛生環境にあるというんですね。
ジェーン・マクヒュー(Jane McHugh)氏とフィリップ・A・マコウィアック(Philip A. Mackowiak)氏はNYタイムズに、19世紀のワシントンDCの芳ばしい衛生環境をこのように書いてます。
首都と言えども当時は下水道もなかった。1850年まで汚水はただ垂れ流しで、ホワイトハウスからすぐの空き地に淀んでジメジメしていた。ホワイトハウスの水の供給源は、「糞尿」の肥溜の下流からたった7ブロックのところにあり、毎日公費でそこからホワイトハウスまで運んでいた。この人糞の野原から致死性バクテリア2種が増殖した、とも考えられる。チフス菌(Salmonella typhi)とパラチフス菌(Salmonella Paratyphi A)――腸チフス(typhoid)とパラチフス(paratyphoid fever)の病原菌だ。腸チフスは消化系に壊滅的打撃を与えることから「enteric fever」とも呼ばれる。
ハリソン大統領は症状と時間経過から見て肺炎とは考えにくく、むしろ腸チフスの可能性が高い、というわけです。同じくホワイトハウスに下水が整備される前の時代に就任したジェームズ・ポーク(James Polk)大統領とザッカリー・テイラー(Zachary Taylor)大統領もやはり、重度の胃腸炎に罹ってます。
今でこそワシントンDCもモダンになってますけど、世界を見回せばうんこに巣食う菌は未だに深刻な病原としてはびこっており、5歳未満の子の死因では世界第2位なのだとか。腸チフスなんて途上国のもので縁遠い気がしてましたけど、このアメリカの首都のど真ん中を直撃した時代もあったんですね。
[New York Times]
関連:ベルサイユのばらの時代って糞尿垂れ流しだったと昔聞いたのですが本当ですか?、江戸の屎尿施肥事情
Top image: Harrison via Wikimedia Commons and Salmonella typhi bacteria via CDC
Sarah Zhang(原文/satomi)
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