携帯電話事業者らで構成される電気通信事業者協会(TCA)は、2014年3月の携帯電話契約数を発表しました。速報値でお伝えします。
春商戦の3月は、1年の中でもっとも契約者を稼げるタイミングです。各社の契約数は3月だけで、ソフトバンクが64万9500件、ドコモが51万5500件、auが49万4600件と増加しました。また、電話番号を変更せずに携帯会社を変更する番号ポータビリティ(MNP)の結果は、auが5万2300件、ソフトバンクが4万6100件と契約者を獲得する一方、ドコモは9万3800件の流出となっています。
なお、TCAは通信事業者各社の共通の課題に取り組むため、1987年に設立された業界団体です。1996年より毎月、携帯電話の契約者数を各社が公開してきましたが、四半期ベースの公開になります。解説します。
3月の契約者数
携帯会社 | 3月純増数 | 3月MNP | 総契約数 |
NTTドコモ | 515,500 | - 93,800 | 63,105,200 |
au | 494,600 | +52,300 | 40,522,000 |
ソフトバンク | 649,500 | +46,100 | 35,924,800 |
純増数トップのソフトバンク、MNPトップのau、契約者を増やすも、他社への流出が止まらないドコモ。ここ最近、この構図に大きな変化はありません。3月は新生活や新入学シーズンということもあって、大きく契約者が獲得できます。ドコモは、9万3800件の流出と、先月の4万件超の流出よりも数字が大きくなっているのも、そもそも母数が大きいためです。昨年の同月は18万件近い流出を記録しており、ドコモ側では流出の幅が小さくなっているとしています。
ちなみに各社ともに、学割施策やiPhone効果などが契約増に繫がったと話しています。ソフトバンクでは、スマート体組成計なども貢献しているそうです。
契約数は四半期毎の公開
現在、1億3000万弱と言われる日本の総人口に対し、無線契約者数は1億4000万弱にまで拡大しています。スマートフォンや携帯電話、データ通信端末などを使わない世代を除けば、確実に一人1契約以上の無線通信回線の契約が存在していることになります。
黎明期における毎月の契約数の公開は、携帯電話会社の好不調を見る側面もある一方で、無線インフラが国内に普及拡大している指標として機能してきました。しかし、日本の利用者が1契約以上を結ぶ現在の状況では、純増数はあまり意味をなさない数値と言えるかもしれません。「純増首位」とアピールするために、ほぼ使われない寝かし回線で水増ししたり、1契約者に複数契約を呼びかけたりするといった話も散見されます。
こうした中で、契約者の直接の動きがわかるMNPに重きを置いているのがauです。同社が、適切なキャッシュバックなどで、顧客獲得に動いているのは確かで、そこに各社も対抗しているような状況にあります。
ただし、キャッシュバック競争が加速すると、行き過ぎた価格競争になる可能性も否定できません。auでは適切なキャッシュバックを「わりと気持ちいい」と表現しています。こうした中、データ通信の業界ではありますが、4度も価格競争に終止符を打っているところもあります。
TCAは今後、四半期ベースの契約者公開に切り替えます。これは純増契約、MNP契約の加熱する競争はとりあえず、2013年度で一区切りしよう、という携帯各社の総意です。
なお、四半期ベースの情報公開については、すでにイー・アクセスやUQコミュニケーションズが実施しています。一部ではソフトバンクが主導的に四半期毎への切り替えを行ったと報じていますが、ソフトバンクはこれを否定しています。
4月7日15時、TCA側から四半期毎の公表に切り替えるとの発表がありました。
「携帯電話サービス市場の急速な成長を受け、TCAは、1996年より携帯電話等の月次の事業者別契約数を公表することで市場規模の現状を速やかに伝えるという役割を担ってまいりましたが、一人ひとりが携帯電話等を持つようになり、市場が成長期から成熟期に移行したことで、一定の役割を終えた」
とコメントしています。