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北斗の拳でいうところの世紀末な雰囲気の漂う廃墟と化したゴーストタウンは世界中いたるところに存在する。そこにある退廃的な風景は人の心をそそるものがあるが、中にはきわめて危険度の高いゴーストタウンも存在する。
ゴーストタウンの中には、危険な薬品が放棄されていたり、化学兵器が原因で毒物が残留したりなど、有害物質による多大なる被害により放置された場所もあるのだ。海外サイトにて、そんな危険なゴーストタウンが、その原因と現状を踏まえて紹介されていた。
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今回リストアップされている場所は、汚染被害により住民が立ち退き勧告をうけ、都市から離れた為に廃墟化したものが大半を占めている。特にアメリカの地名が多いのは、この国が「スーパーファンド法」(有害廃棄物を浄化する法律)を制定しているからだ。この法は「汚染に関わった全ての責任者が浄化費用を負担する。」と定められており、有害物質を発生させた町をガス会社や電気会社が責任を取って買い上げたという例もある。
1.ウィトヌーム、西オーストラリア州(オーストラリア)
第二次大戦中にクロシドライト鉱山、一般にはブルー・アスベスト(青石綿)と呼ばれる繊維状鉱石の採掘で発展した町。労働者達はアスベストの粉塵を吸い込んだり、衣服に着けたまま町に戻ったため、1940年代に政府がその粉塵に関連する肺疾患や中皮症などの危険性を警告。しかし採掘は続いたため、政府は1978年に鉱山業の段階的縮小の方針を定めた。
かくして住民の家屋の買取と退去勧告がなされ、1993年までには公共施設が閉鎖され、最終的には町名までもが地図から抹消された。鉱山の仕事に従事した人数は2万人で、アスベストの影響による死亡者数は2千人といわれている。
現在の状況:
備蓄品が何年も汚染され拡散し続けたため、採掘現場から数km下った所まで鉱石の屑が続いているという。政府は立ち入らないよう呼びかけているが、完全な廃墟にはなっていない(2013年現在)。当局では全員退去を目標に現地に留まっている住民を捜索しているが、ある地質学者によると現在アスベストは安全なレベルまで減少しているという。
2..Kantubek(ウズベキスタン)
人々の間で「アスベスト島」と揶揄されたヴォズロジデニヤ島にあった町。化学兵器の実験区域の拠点であると同時に、そこに常時滞在する1,500人の住民の故郷でもあった。
研究所では炭疽菌のワクチンの他、天然痘やペスト、ブルセラ症、そしてツラレミア(野兎病)の培養などが行われていた。その試験が原因で1971年には島民10人が天然痘に罹り、うち3人が死亡した。
1988年には研究所スタッフが、1972年に結ばれた化学兵器禁止条約に反してロシア(1979年に致死性の炭疽菌事件が発生した)に保管していた数トンもの炭疽病を大慌てで埋めた。その後、1992年に研究所は遺棄されるが、その芽胞は残されたままだった。Kantubekの町はその残骸の中にある。
現在の状況:
2002年、アメリカとウズベキスタンは共同で炭疽病を埋めた現場10ヶ所を除染するプロジェクトを行った。しかし2003年、かつてその島で細菌研究を行っていた学者が米紙のインタビューに対し、島内のげっ歯類の一部が残留していた細菌兵器レベルの伝染病にさらされ、ノミを媒介に次々と感染した恐れがある、と答えている。
3.ラブ・キャナル、ナイアガラの滝(アメリカ)
ラブキャナル(Love Canal)という名称とは裏腹に、アメリカ史上最悪レベルの環境被害に見舞われた都市。1890年代、ある田園都市のために安価な電力を利用することを考えたウィリアム・T・ラブが、ナイアガラ川の上流と下流間の運河を掘削する計画に着手した。しかし計画は頓挫し、その後ラブの運河は公共のゴミや工業化学薬品の廃棄場になったが、その埋立地の管理はずさんだった。
1953年、化学薬品会社がその土地を市に売却するため土で覆った時も、その猛毒は残されたままだった。その状態で住宅や学校が建てられたが、1970年代後半に米環境保護庁が、住民の流産と先天性欠損の異常な多さ、さらに白血球数の多さや染色体損傷率の高さを報告した。腎臓疾患で死亡した児童の検死では、ダイオキシン中毒と似通った症状がみとめられた。ついに政府は800を超える世帯を移転させ、彼らの住居を弁償した。ラブキャナルにまつわる様々な問題は、環境廃棄物の一掃を行うスーパーファンド法の成立にある程度影響をもたらしたといえる。
現在の状況:
電線と駐車場を除き、この都市の面影の大部分は無くなったが、米環境保護庁は一部の区域を安全とみなした。その区域が何度もチェックされているという保証があるため、安価な住宅に引きつけられて転入する者もいる。だがここは未だに人体に有害だと主張する住民もいる。2011年に下水管から有害な薬品が流出したことで、過去と現在の近隣住民によって新たな訴訟がなされたという話もある。
4.ピッチャー、オクラホマ州(アメリカ)
1983年、鉛と亜鉛鉱山の町ピッチャーを含めたタールクリーク区域は、スーパーファンド法適用地に指定された。1990年代半ば、この町の子供達の血液中に認知障害の原因になりうる高レベルの鉛がみとめられた為だ。町の教育委員会は、学習困難な児童の割合が高いと報告した。だが、この町全体が集団移動に踏みきるきっかけになったのは、2006年に示された「採掘が原因で地面が崩落する」という調査結果によるものだ。実際に運転手が地面の穴に落ち死亡する事故も起きた。これにより政府主導による土地買収と移転作業が進められ、2011年の時点で町に残るのは6世帯と1企業のみとなった。
現在の状況:
ピッチャーに組まれた長期計画には人の居住地としての予定は含まれていない。町は徐々に撤去されており、浄化作業も1度終えている。この土地は、採掘開始以前の先住者だったクアパウ族のものになるらしい。彼らはそこを湿地にする考えだ。その区域の他の町は、ほぼ放棄されている。
5.タイムズビーチ、ミズーリ州(アメリカ)
1970年頃、この町では舞い飛ぶほこりが問題視されていた。そのため廃棄物を運搬するラッセル・ブリスがほこりを抑えるため廃油を道路に散布した。しかし問題となったのは彼が、枯葉剤の一種である「オレンジ剤」の製造にも使用されていた消毒剤工場の廃油を使ったことだった。
彼は知らなかったと主張しているが、使用した廃油には極めて高いレベルのダイオキシンを含まれていた。1982年にメラマック川が氾濫した後、米環境保護庁は安全値の100倍のダイオキシンを検出したと公表し、町に避難命令を出した。レーガン大統領は特別に機動部隊を編成し、数ヶ月後に町は買い取られた。
現在の状況:
町の建物の大半は消え去ったものの現在では安全な状態となっている。環境保護庁が大規模なダイオキシン一掃作業を行ったタイムズビーチの土地は州立公園になっている。当時を忍ばせる建築物は、作業の際に同庁の幹部が使用した古い民宿のみだ。
一方で町の避難は本当に必要だったのか、という疑問が残る。イタリアでは市民がもっと大きなダイオキシンの惨事に見舞われたが、その都市は結局放棄されなかった。ダイオキシンの危険性についての調査は浄化後も続いている。
6.ブリオトニック周辺地域 、テキサス州(アメリカ)
ハリス郡にあるブリオ精製工場跡地は、その工場が倒産する1982年まで多数の化学薬品会社が集中していた。そこでは土を固めた穴の中に蓄えられていた末精製の石油と廃棄物が地下水に漏れ出し、近隣住民に影響を与えていた。廃棄物の露出は白血病や先天性欠損、そして奇病につながり、1992年には6つの化学薬品会社と不動産会社1社が、汚染された地域に住む700人の子供達の大学の学費の支払いに同意した。大半が取り壊されたが、フレンズウッド市の分譲地に廃墟の一部がまだ残っている。
現在の状況:
米環境保護庁はその精製工場から出た汚染物質を囲むため、深さ約14mにおよぶ粘土防壁を設置した。しかし、2010年に複数の監視用井戸により、工場の地下約15mを超える位置で汚染物質がみとめられた。同庁は工場の跡地を国家的優先リストから外しているが、監視は続いている。
7.ニューアイドリア、カリフォルニア州(アメリカ)
この町が放棄された要因は環境問題ではない。住民が転居したのは、ニューアイドリアの鉱業会社が閉鎖した1972年以降だった。そこは他の鉱業を営む町同様、天然の岩層から微細なアスベスト繊維が剥がれ落ち、水銀も流出するという自然災害の恐れがあったからだ。
現在の状況:
2011年、米環境保護庁はこの有名なゴーストタウンをスーパーファンド法の適用地リストに加えた。アメリカの地図専門出版社はニューアイドリアの南部を「アスベスト危険区域」だと警告している。
8.セントラリア、ペンシルベニア州(アメリカ)
視覚的にも衝撃的な環境災害の一つに、セントラリアの地下で50年間も燃えつづける石炭がある。火災が起きた経緯の詳細を知る人は皆無だが、膨大な石炭が眠る鉱山は燃え続けている。熱とガスで町の道はよじれ、炎は大気に毒を巻き上げている。住民が裏庭にできた穴に転落した事故が起き、その穴に致死レベルの一酸化炭素が充満していることが明らかになった。1984年に移転作業が始まり、大半の住民は買収を受け入れ、正真正銘のゴーストタウンであるセントラリアを去ることにした。
現在の状況:
新しい転入者がいないにもかかわらず、この町は大勢の観光客を引きつけており、廃墟を去るのを拒む少数の人々が居残りの許可を受けている。近隣の町も火災の影響で崩壊した。その炎は休みなく空中に毒ガスを吐き出し続けることだろう。なぜならそこには今後250年間燃え続けるのに十分な石炭があるからだ。
9.プリピャチ(ウクライナ)
チェルノブイリ原子力発電所事故を受けた数日後に避難が行われたこの都市は、汚染地域として最も有名な場所だろう。事故前の人口は49,400人だった都市は、現在広大かつ魅力的なゴーストタウンだ。観光客や写真家は人々の私物が残ったまま崩れ落ちる建物や、不気味なアミューズメントパークに引きつけられている。
現在の状況:
事故以降の放射能レベルはかなり低下しており、多数の企業が孤立したチェルノブイリを訪ねるツアーを提供している。しかし崩壊する建物自体に危険が伴っている。
10.福島県の立入禁止禁止区域
2011年、東北大震災により福島県の原子力発電所で事故が発生、その後施設は閉鎖され、近隣の町は避難を強いられた。立入禁止区域から20km圏内の浪江町は、地震で被害を受けた地域に囲まれながら、住宅や社屋が建ち並ぶ「現代のゴーストタウン」として月日を刻んでいる。
現在の状況:
2013年にWHOが、福島のガン罹患率は低いとしたにもかかわらず、日本政府は浪江町を要警戒地域のままとしている。住民は特別な許可を得て帰宅することはできるが、一晩泊まることはできない。(※海外サイトの英文をそのまま直訳しています。)
via:10 Of The World's Most Dangerous Toxic Ghost Towns・原文翻訳:R
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