現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS
フランス・ソルボンヌ大学のClaudia Fritz氏を中心とする国際研究グループはこのたび、世界的な演奏家によるブラインドテストを行ったところ、現代に作られた新しいヴァイオリンが数百年前に作られたストラディバリウスよりも有意に高い評価を得たとする研究結果を発表しました。この成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されています。
批判にさらされた4年前の研究
今回の研究から遡ること4年前の2010年、Fritz氏らは3台の新しいヴァイオリンと2台のストラディバリウスとを21名の著名なソリストたちに演奏してもらい、その結果として「最も好まれたのは新しいヴァイオリンで、プロでも両者の違いを聞き分けることは不可能であった」とする研究結果を発表しています。
しかしこの論文では、用いられたヴァイオリンの数が少ないこと、また演奏がホテルの一室という狭い空間で行われたもので実際の使用シーンとは著しく異なるといった批判が寄せられていました。今回の論文では、実験条件を拡張することでより現実的な演奏状況が設定されており、そうした反論に対して一定の回答を示す形になっています。
・この時の論文も掲載ジャーナルはPNASです。原著は以下。
→Player preferences among new and old violins(PNAS)
・この時の実験に関して、参加者の1人であるLaurie Niles氏がコメントを発表しています。
→「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは(GIGAZINE)
10人の世界的ソリストによるブラインドテスト
実験では、世界的に名の知られたソリスト10名を対象に、1700年代から1800年代にかけて製作されたヴィンテージ・ヴァイオリン6挺(内5挺はストラディバリウス)と、それらの百分の一ほどの価格で購入できる比較的新しいヴァイオリン6挺の計12挺を使用したテストを行っています。
参加者には小さなホームスタジオで12挺全てのヴァイオリンを50分間にわたって試奏してもらい、好みの順にランク付けをするよう依頼。その後、ランキング上位2挺のヴァイオリンとソリスト自身が使用しているヴァイオリンの計3挺を、12分間にわたって演奏してもらいました。
ホームスタジオでのテストの後、300人を収容する音楽ホールでも同様のテストを実施しています(この時は試奏の時間を45分間に設定)。
これらのテスト中、スタジオ又はホールの照明は暗く落とされ、演奏者には楽器の外観が見えないよう目隠し用のメガネを着用してもらっています。さらに、新しいヴァイオリンは製作された年代を隠すためにアンティーク調の処理が施されていたとのこと。
4:1で新しいヴァイオリンが「勝利」
実験の結果、個々のヴァイオリンの比較で最も高評価を得たのは「新しいヴァイオリン」に分類されるある1挺で、4人のソリストが最も優れたヴァイオリンとして選び、さらに8人が次点としての評価を与えています。また、2番目に好評化を得たヴァイオリンも別の新しいヴァイオリンで、3番手にストラディバリウスの中の1挺がランクインしたとのこと。
さらに新旧の分類による比較では、最も良い楽器として6人が新品のバイオリンを選択し、4人が古いヴァイオリンを選択。また、ソリストが評価したランキングの4位以内に新しいヴァイオリンが登場する頻度は、古いヴァイオリンに比べて実に4倍にものぼったとのことです。
論文の共著者の1人であるJoseph Curtin氏は今回の結果について、「かつての巨匠たちをけなす意図などないが、現代の職人たちがストラディバリウスやグァルネリの域に到達できないと考える理由もない」と語っています。
…クラシック音楽に馴染みのある人間としては、思わず「そんなバカな…!」と考えたくなるところですが、異なる実験条件下で同様の傾向が見られたいうこともまた事実です。もちろん楽器の価値は科学的な分析によって一義的に決まるものではありませんが、一つの知見としては興味深い結果と言えそうですね。
[PNAS via livescience] [the guardian]
というか古い楽器の響き=よい音みたいな循環もあるだろうしなぁ。なんだかんだ人間、ブランドで決めちゃってるんだろうな
来年の芸能人格付けチェックに反映されるのか?
あれは値段が高い方を当てる番組だから、純粋にいい音を出す現代のヴァイオリンを当てるのとはまた趣旨が違うんじゃないか
「私はいまストラディバリウスを弾いている」と意識するといい演奏ができる、みたいな効果はあるんじゃないかな。
いくらブラインドテストで現代のバイオリンの方がいい音だと思っても、それを選ぶかどうか。
一つの結果としては面白いね
ただこの結果だけでストラディバリウスのなにもかもが否定されたかのように受け止めて騒ぎ出す人は一定数出てきそう
音の良し悪しの判断においてはプラシーボ効果の影響相当あるからなあ
なんだか佐村河内事件を思い出すなあ
作られた年はともかくとして材料の木材は古い物の方が良いとか聞いたことはあるけど
正直木なんかより優れた材料あるだろうと思うわ
環境に悪いし、重いし、非効率的だし、音にバラつきがあるのも材料として最高とは言えない
まぁ、クラシックは雰囲気やブランドが重要なんだろうけどw
いやそれはちょっと違うと思う
そもそも人間がこの文化の中で生きてるから「木の楽器が出す響き=よい音」ってすり込まれてるわけで、そらもっと共鳴しやすい素材はあるんだろうけれど共鳴して倍音だせば良いってもんじゃないし。音を数値化して良い悪いだせるなら、そもそもシンセサイザーが出す人工の音が最高になるけど、大半の人はそうはおもわない。
もちろんその中でもさらにブランドだけのプラセボはあるとは思うし、いい素材あるなら研究すべきだと思うけど、木でやってるのにもそれなりに理由はあるよ。他の素材で音つくるにしても木の楽器の音にどれだけ近いかが前提になっちゃうし。
そりゃクラシック好きの大半はシンセサイザーの良さは分からなんだろうなぁ、クラシック嫌いも沢山いるように
バイオリンを製作している職人の人たちは、そりゃそうだろって思う人多いのでは。
製法や素材もそこまで大きく変わっていないだろうから、もし現在のバイオリンの方が
明らかに劣っているのなら、職人のレベルが昔より落ちているということになるわけで、
それはそれで問題
いや、昔と違って良い材木を持ってる製作家が限られている。
木なら何でも良いというわけではなく楽器に使われる樹種は決まっているし、マホガニー等の樹種は保護されていて国外に持ち出せなかったり〜〜。
もちろん木以外の材質では味が出せません。
結局、古い箪笥等を使って楽器を作ってる製作家も居る始末。
代々続いた製作家なら古材の蓄えもあるかもしれないけど、新しく始めた製作家では乾燥した良い材質の木材を入手するのは困難ではないでしょうか。
そんな中で、現代のバイオリン〜といってもどのくらい前のものかわかりませんが、古い楽器より良い音というのは、製作家の技と経験によるものでしょうね。
時代が進み製作のデータも現在の方がケタ違いですから、構造上の工夫もあるかもしれませんし、ストラディバリウス製作時と音の好みも違っているでしょうから、そういう問題もあるかもしれません。
機能性を超える価値があるからこそのブランドでしょ。
ずっとそうだろうと思ってたわ
技術は進歩するものだし、どんな精巧な物でも劣化する
すくなくてもコンディションの良い30万クラスのヴァイオリンだと古いものの方が音はでかい。
ブラックジャックであったなーストラディバリウス
あの話は若干納得いかなかった
くまむんさん
10コメ超えおめでとう!
古い木材のほうが硬くていい音を出しやすいとは聞くが
ふだんAKBしか聴かない連中が何を偉そうに
AKB()とか一般人も聞いてねぇよ
キモオタすら握手目当てだし
フェルナンデスもいい音するのか?
オーオタに5万のイヤホンと1万のイヤホンでやって欲しい。
木材の乾きかたが今のストラディバリウスがちょうどいいんだっけ?よくわからんけど数百年かけてコンディション整うとか大変すぎる