昨日俺の自宅に俺の弟宛に進○ゼミのパンフレットが届いた
漫画の内容も代わり映えのない普段通りのもの
塾に行きつつも伸び悩む主人公が、部活も友人関係もうまくいかず、
塾のやり方に疑問をもちはじめたところへ、先輩のすすめではじめるゼミ
全てうまくいくハッピーエンド
ゼミで効率的な学習ができるところをアピールするのはいいが、
まるで塾に行くのが間違った選択のような漫画の描き方に無性に腹が立った俺は
進○ゼミに電話した

ゼミ「お電話ありがとうございます、
ベネッ○コーポレーション進○ゼミ高校講座、お電話担当の○○です」

俺「あの、パンフレット見て電話したんですけど、
ゼミをはじめれば漫画みたいに頭良くなるんですか？」

ゼミ「案内を見ていただいたということですね、ありがとうございます。
はじめにお伺いしたいのですが、お客様は現在高校何年生でしょうか？」

俺「高２です(弟が)」

ゼミ「そうですね、来年は受験だと思いますし、勉強量が膨大で、
どこから手を付けたらいいのか分からないようなこともあるかと思います。
ゼミではお客様の学力と高校の授業に合わせたサポートをしつつ、
目指されている大学に合格するための教材をご用意いたします」

俺「でも僕、塾に通ってるんですけど」

ゼミ「塾に通っているとなかなか自分の時間が持てなかったり、
塾ではひとりひとりのペースに合わせてくれないことがあると
感じることはありませんか？」

俺「あんまりないですね」

ゼミ「ああ～…そうなんですね。
でも来年になるとやはり受験ということで、
塾の勉強にもどんどん応用力が求められて、難しくなっていくと思うんですよ」

俺「ああー確かに」

ゼミ「そうなったときにですね、
基礎が完璧に身についていなければ、
塾の勉強についていくのが大変だと感じることも少なからずあると思うんですね」

俺「ゼミなら基礎もしっかり復習できるってことですか？」

ゼミ「はい、進○ゼミですとお客様の学力にあわせて
基礎からサポートしていくことが出来ますので」

俺「でも塾に通ってるし……」

ゼミ「塾に通いながらでも少ない時間でニガテをなくせる、
ポイントをおさえた教本をお届けしています」

俺「えっ？」

ゼミ「はい？」

俺「え、あの、受験生になって、行きたい大学に行くための受験勉強って、
やっぱり量をこなすことも大切だと思うんですけど」

俺「塾に行きながらもこなせる程度の教本って、
ボリュームのない教本ってことになりませんか…
お金払う側としては、全くボリュームのない教本っていうのもちょっと」

ゼミ「あ、いえ、ゼミでは試験に出るところなどの
ポイントをおさえた教本を提供していますので、
ボリュームがないとか、そういったことではないので……」

俺「でも、やっぱりこの時期になると
塾も真剣に生徒の学力を伸ばそうと必死になってるから、
宿題の量とかもそれなりに多いし、かなり大変なんですけど、
それでも両立できる、ってことですかね」

ゼミ「塾の時間の合間を縫って、
ニガテを埋めていくことに利用してくださる方も多いですね」

僕「まぁいいや、で、あのー、今回うちに来たパンフレットに、
“受験を前に基礎から固める最後のチャンス！”って書いてあったんですけど」

ゼミ「はい」

俺「なんかゼミからパンフレットが届くたびに、
“最後のチャンス！"って書いてある気がするんですけど」

ゼミ「あ、そうですね、えーと…」

俺「本当の最後のチャンスっていつなんですか？
最後のチャンスっていうと、
このチャンスを逃したらまるで受験に失敗するって言いたいようにもとれるし、
受験生の不安を無駄に煽るだけで卑怯だと思うんですけど…」

ゼミ「こちらとしましてはそのような意図があったわけではないのですが、
お客様にそう感じさせてしまったことはまことに申し訳なく思います」
(なんか口調がだんだん面倒くさそうになってきてる)

俺「ぬるぽ」

ゼミ「えっ？」

俺「ぬるぽ」

ゼミ「……」

俺「いや、なんでもないです。ところでゼミって宗教かなんかですか？」

ゼミ「はい？」

俺「漫画読んだことありますか？」

ゼミ「パンフレットに同封させて頂いている漫画のことでしょうか」

俺「はい。それです、読んだことありますか？」

ゼミ「はい、ありますが…」

俺「あれを読んで、宗教みたいだと感じたことはないですか」

ゼミ「……」

俺「ゼミを始める前は、
塾に通っていても勉強についていけなくて、部活もうまくいかない、
友人関係もうまくいかないみたいな、そういう主人公が多いじゃないですか」

ゼミ「そうですね」

俺「で、部活も勉強も完璧で、みんなから慕われてる先輩がいて、
その人に悩みを相談すると、必ずその先輩の成功の理由がゼミなんです」

ゼミ「……」

俺「先輩もノリノリで自分の価値観を主人公に押し付けちゃって、
で、主人公も馬鹿だから、俺にもできる！ってゼミを始めるんですよね」

ゼミ「はい」

俺「親を説得するときに、親から”あんた前にためちゃったでしょう”とか言われても、
そこって実際かなり的確で重い指摘だと思うんですけど、
“いまの教本は勉強するポイントを抑えているからためずにできるよ！"
とか言うんですよね。」

俺「なんでまだ受講してないのに教本の内容がわかるんだって思いますし、
過去の教本をゼミが自ら否定してるのかな？みたいな」

俺「そもそも先輩に感化されて一時的に燃えてるだけで、
一回ためたやつはまたためます。言い切れます。どうせ三日坊主ですぐダレます」

ゼミ「漫画としての表現のひとつですので……」

俺「で、ゼミを始めたとたん、勉強がうまくいきだして、テストの点がいきなりのびて、
部活もうまくいくし、友達との仲もうまくいく。
はじめたとたんなにもかもが上手くいくなんて、
創価学会の勧誘マニュアルかって思います」

ゼミ「……それはひとつの漫画での表現ですし、
当然そういった成功は努力あってのことですので、」

俺「表現なのはいいんですよ。ゼミをアピールする手段ですから。
問題なのは、塾で頑張るだけじゃ足りないみたいな、
ほかを貶めてゼミをアピールしようとする卑怯な姿勢です。
塾で精一杯努力している人の不安を煽りたいんですか？」

俺「悪霊がついてるとか適当なことをいって
高いお守りを買わせるインチキ商法となにが違うんですか？」

俺「それと、ゼミの漫画には、
テスト中に“この問題、ゼミでやったやつだ！”っていう描写が
しょっちゅう出てきますよね」

ゼミ「……はい」

俺「ゼミが抑えてくるテストの頻出問題くらい、塾でだって抑えてますよ！
塾を馬鹿にしすぎっていうか、ゼミはいつも塾を貶めたがりますけど、
塾だって勉強を教えるプロですから、
ゼミが抑える程度の内容はとっくに塾で抑えてるんです！」

ゼミ「………」

俺「だいたい、ゼミの漫画の主人公は、
ゼミをはじめたとたんビックリするくらいの要領の良さで
学力をメキメキ伸ばしますけど、
それって主人公がそもそも天才なだけで、
そういう主人公ならゼミをやらなくたって希望の大学には受かります、確実に！！」

俺「だからゼミはうそ、うそ、うそだらけ！！！！！
うそだらけのカルト宗教なんですよ！」

ゼミ「……お客様、あの…」

俺「僕が言いたいのはそれと、あともうひとつ。
漫画にもう少しお色気シーンが欲しいです。
漫画の主人公くらいの年齢なら、
勉強だけじゃなく性的なことにも興味津々なはずなのに、
そういった描写が全く無いのは不自然です。」

ゼミ「あー……(呆れたような笑い)」

俺「そういうのもストーリーに混ぜると一層リアルだと思うし、
ポロリとかあったら嬉しいです。
これも客の意見として上に伝えてもらえると嬉しいんですけど」

ゼミ「……かしこまりました、貴重なご意見ありがとうございました」

終

ちなみに釣りではない