総勢30名以上の魔法少女たちが繰り広げる学園ラブコメディ「ウィッチクラフトワークス」(以下WCW)。2014年1月よりTVアニメがスタートし、主人公・多華宮仄（たかみやほのか）と火々里綾火（かがりあやか）たちを狙うKMM団がさまざまな拷問を受けるシーンをコミカルに描いた映像と、つい口ずさみたくなる中毒性の高い歌詞が話題になった。

そんな同作のエンディング主題歌「ウィッチ☆アクティビティ」と劇伴を担当したのが、石川智久、フジムラトヲル、松井洋平の3人で構成されたテクノユニット「TECHNOBOYS PULLCRAFT GREEN-FUND」（テクノボーイズ パルクラフト グリーンファンド）だ。

今回は、そんな彼らに、「WCW」に携わることになった経緯や、今後リリースされる自主制作アルバム第2弾「good night citizen」について語ってもらった。


―――早速ですが、今回「WCW」のエンディングや劇伴を担当することになったきっかけは？

松井）直接お聞きしたわけではありませんが、水島監督が「WCW」の劇伴にはテクノがいいとおっしゃったそうで、そこから音楽プロデューサーさんが、「それならテクノボーイズにしてみませんか」と。

フジムラ）今回は、作品の幻想的な雰囲気と、自然界にない音も使うテクノがマッチしてたのかもしれません。でも、もしかしたら作品名が「ウィッチクラフトワークス」だから、“クラフトワーク”つながりでテクノと、そして僕らを思い出してくれたのかも（笑）。

―――なるほど（笑）。ちなみに、EDテーマ「ウィッチ☆アクティビティ」のジャケットは、クラフトワークの「マンマシン」のリスペクトなのでしょうか？

石川）あれは…僕たちのせいではありません（笑）。
松井）というのも、ジャケットを初めて見たのが、「できたから確認してください」って連絡をもらった時なんです。そしたらあのジャケ写だったと。
フジムラ）ちなみに、ジャケ写の製作を担当したのは、音楽プロデューサーの佐藤さんという方です。
石川）僕らは一体何を確認すればいいのって感じだったよね。人数？それとも（首の）角度？
一同）(笑)



松井） Googleで“クラフトワーク ジャケット”で画像検索すると、本家「Kraftwerk」の画像といっしょに表示されるんです。本家と「ウィッチ☆アクティビティ」のジャケ写が並ぶなんて、今年来日する本家のメンバーにお叱りを受けないか心配で心配で…。
石川）楽曲としては、Kraftwerk的な要素はないんです。ネットで購入者の感想を見ていても「これYMOじゃん」といった書き込みをよく見かけますね。




―――続いて、エンディング曲「ウィッチ☆アクティビティ」制作の経緯について教えていただけますか？

松井）最初は、カップリング曲「Saturday Night Witches」がエンディング曲の候補だったんです。ただ、提出したときに、「ちょっとカッコよすぎるかも」と言われまして…。
フジムラ）作品の雰囲気に合った、もっとかわいらしい感じにしてほしいと。クールすぎたんでしょうね。
それでもう1曲作ることになったんですが…、締め切りがもっとクールでした。
石川）明日までに、ってね…。
フジムラ）あのヒトコトは怖かった…。

―――じゃあ「ウィッチ☆アクティビティ」は、1日で制作されたんですか!?

松井）あの…、曲の基本は数時間で完成させて、作詞はだいたい1時間半くらいで…。
その前にしっかり原作や資料を読んでいますので、適当に作っているわけではないですよ(笑)！　
最終的には両方ともリリースされましたが、まさかあのクレイジーな楽曲「ウィッチ☆アクティビティ」が選ばれるとは思いもよりませんでした。

―――作詞するにあたり、特に気をつけた点などありますか？

松井）複数人で歌う曲は、個々のキャラクター性をくずさないように、パート別に歌い分けることは最初から決めていました。たんぽぽちゃんなら、特徴的なケモノ耳が付いているので「耳をピクピク」といったように、フレーズがそのキャラクターと重なるように作っています。

―――たしかに、フレーズからキャラクターが思い描ける歌詞になっていますね。曲について工夫された点はありますか？

松井）今回作曲した曲の中には、ボーイスカウトの歌からインスピレーションを受けたものもあります。
曲作りに悩んでいたときに、昔ボーイスカウトで習った「ユポ～イトゥキトゥキエーヤ」という歌を歌ったら、それを聞いた佐藤さんが「それだ！」と(笑)。そこから「ピクピク」という同じフレーズを繰り返したり…、リズムの効いた言葉を散りばめて、意味よりもノリ重視な感じです。

フジムラ）以前、「同じフレーズを繰り返すのって印象に残るよね」って3人で話していたこともあって、今回は「Witch! Witch!」などに採用されています。

―――「ウィッチ☆アクティビティ」の高い中毒性の秘密はどこにあるとお考えですか？

フジムラ）キャラクター性を込めた歌詞と、ダンスミュージック的なノリのいい楽曲じゃないかと思います。たとえば「胸がキュンキュン」という歌詞があるんですけど、声優さんが声当てたときに声的にもニュアンス的にも「胸キュン」な感じになっているんです。
石川）また、今回エンディング曲のミックスを担当していただいた寺田康彦さんは、YMOを手がけた方々のひとりなんですよ。ミックス中、このフレーズに差しかかったとき、寺田さんが振り向いたって佐藤さんが言ってましたよ（笑）
松井）聞いたことあるフレーズだったら、それは振り向くでしょ！
一同）（笑）

―――ちなみに、「ウィッチ☆アクティビティ」のハイレゾ音源はリリースされる予定はあるのでしょうか？

フジムラ）フルバージョンは未定ですが、TVアニメサイズver.は発売中の「ヘッドホンブック2014」の付録になっています。CD音源とはひと味違うので、ぜひ聴き比べてみてほしいですね。