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Fitbit CEOインタビュー:「原点は3時間並んで買ったWii」。ウェアラブルの未来とは - Engadget Japanese


Jawbone UP のヒットやソニー SmartBand SWR10 の発表が記憶に新しい、健康系ウェアラブルデバイス。ディスプレイは省略するか簡易にして、本体を非常に小さく軽く仕上げてある製品が主流です。連係するアプリも日常生活のなかでの動きを正確に分析し、何カロリー消費したか、どれくらい寝たかをライフログ的に分析することに焦点を当てています。

こうしたトレンドを作ったパイオニアが、米サンフランシスコに本拠を置くFitbitです。日本でも昨年発売の Fitbit Zip や Fitbit One がおなじみですが、米国では活動量計市場の7割近いシェアを持つこの会社。7年前にたった2人で設立されました。来日中の共同創業者の1人、ジェームス・パークCEOに、ウエアラブルデバイスのこれまでとこれからについて話を聞きました。

Fitbit CEO インタビュー

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Fitbit設立のきっかけを与えてくれたのは、06年に買った任天堂のWiiでした。米国での発売当日、家電量販店・ベストバイに朝の6時から3時間も並んで買ったのですが、センサーとゲームコンソール、ソフトウエアを一体化させ、人々をアクティブにさせる魔法のような体験を提供するWiiが、とてもすばらしいと思いました

複数の会社を起業した経験のあるパーク氏は、「この体験をモバイルにできれば面白いのではないか」と直感しました。しかし、ハードウエアを手がけるベンチャーには携わったことがありません。そこでパーク氏は、内蔵する加速度センサーからバッテリー、本体を包むシリコンに至るまで部品レベルの技術を徹底的に学び、自ら中国に飛んで工場と交渉したそうです。「ハードウエアのデザインに関しても知識がなかったので、外注することにしました」(パーク氏)。今では300人近い従業員を抱えるFitbitは、最初はハードウエアのエンジニアも、デザイナーもいない状態で走り始めたのです。



ハードウエアについて学ぼうとする自分の熱意が、Fitbitシリーズの成功につながりました。優れたプロダクトは口コミを呼びます。これまでマーケティングにはほとんどお金を使いませんでした」(パーク氏)

しかし、今年に入って試練に直面します。活動量などが確認できるディスプレイを備えた、リストバンド型の上位機種「Fitbit Force」の発売後、ユーザーから肌が荒れる、発疹が出るという訴えが寄せられます。

ストラップの素材や内蔵電池のニッケルに対するアレルギー反応が主な原因。購入者全体の1.7%という割合でした。パーク氏はFitbit Forceのリコールと販売中止を決断します。国内でもソフトバンクが発売をアナウンス後、音沙汰のない状態が続いていますがこれが原因です。



中国に行けばあらゆる精密機器が簡単に外注でき、ハードウエアを手がけるスタートアップにとっては非常に恵まれた状況の昨今。リコールの経験は、パーク氏に改めて品質について考える機会を与えたようです。部品の外注先はすべて見直したといい、部品に関するデータシートにはすべて目を通しているといいます。

数あるウエアラブルデバイスのなかでも、Fitbitシリーズは他と何が違うのか、との質問には、「One size fits all(一つのサイズを誰にでも)のアプローチをとっていないこと」という答え。

複数の製品をラインアップし、さまざまな装着スタイルはもちろん、さまざまな価格を提案するのも重要なこと。上位モデルのFitbit Zipは8000円台、安価なFitbit Zipは5000円台から買えます。リストバンド型のFitbit Flexにはディスプレイがありませんが、この製品はこれでいいと思っています。すべてはユーザーが選ぶことです

なおFitbit Flexは、国内では今のところソフトバンクが独占して取り扱っていますが、間もなく家電量販店などを通じた販売が始まります。



今後の方向性について、という質問にパーク氏は3つの要素を挙げました。まずはファッション性の向上。同社は1月に、ファッションブランド「トリー バーチ」とのコラボレーションを発表しています。

Googleの発表したAndroid Wearのパートナーにも、ファッションウオッチを手がけるメーカーが名を連ねています。ウエアラブルデバイスは究極的には、ファッションとテクノロジーの融合だと考えています」。

2つ目は、センサーの増加です。サムスンが「Gear 2」で心拍計を採用したのは記憶に新しいところ。「いつも新たなセンサーについて可能性を検討していますが、センサーを増やすと価格と電池寿命とのトレードオフになります。すぐにでも、というわけにはいかないかもしれません」。

そしてもう一つが、ソーシャル連係機能の向上です。「ユーザーが飽きてしまわないよう、ユーザーの注意を引き(アテンション)、Fitbitの世界にとどまらせる(リテンション)ことが必要です。特に友人との励まし合いは効果的で、アプリ上でも応援メッセージを送れるようにしていますが、こうした機能は今後も強化していきます」。