蒼星石と桜大蛇
- 333 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:24:22 ID:iYuecEvo0
- §夜・桜田ジュンの部屋
ジュン「グーグー」zzZ
雛苺「うんしょ、ほいしょ」ゴソゴソ
翠星石「チビ苺、もっと静かにやれですぅ」
真紅「ええ、ジュンが起きてしまうわよ」
雛苺「うぃ! 分かってるのよ。ヒナのこの動きは繊細かつ大胆さを備えた動きなの。
緊張しすぎると、かえって手元が狂っちゃうわ」
翠星石「そういうもんですかねぇ」
真紅「まあ、ここは自分から精密動作性A(超スゴイ)を主張した雛苺の手腕を信じましょう」
翠星石「むむぅ、こういう作業は庭師である翠星石に任せてほしかったのですが」
真紅「あなた最近、庭師らしいこと何一つしてないじゃない。のりから頼まれた草むしりすら、ずっと無視してるし」
翠星石「そ、それは明日やろうと思っていたんですってば…」
真紅「明日っていつよ?」
翠星石「うぬぬ」
- 334 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:28:09 ID:iYuecEvo0
- 雛苺「完成なのー! ジュンの鼻の穴に桜の枝を上手く生け花できたのよ!」
翠星石「マジですか!」
真紅「流石だわ雛苺! これでようやく深夜のお花見パーティができる!」
ジュン「…zzZ」
雛苺「ジュンもグースカ眠ったままなのよね!」
翠星石「いぇーい! 思う存分、お花見するでぇーす!」
ジュン「んなワケあるかーーーっ!」ガバッ
翠星石「ほああっーーーっ!?」
真紅「ジュ、ジュン!?」
雛苺「ジュンが起きちゃったのよ!!」
ジュン「当たり前だ! そんだけ騒がれれば嫌でも目がさめるわ! 何をやる気か
様子を見ようと寝たふりしてたら…鼻の穴に変なものツッコミよってからに!」ズボッ
雛苺「うにゃっ!? ヒナが折角、綺麗に鼻の穴に植えた桜が引き抜かれたのーっ!」
ジュン「ええいっ! いちいち無駄に僕の鼻をオモチャにするんじゃあない!」
真紅「いいえジュン! これは無駄なことではなくてよ!
植物の桜の花と、桜田ジュンの鼻を掛けた超高度なギャグを…!」
ジュン「ふざけるな! くだらなすぎてゲロが出るわ! 花見がしたいなら普通にやれ! 普通に!」
- 335 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:28:47 ID:iYuecEvo0
- 翠星石「そ、そんなこと言ったって最近の強風ばっかりのお天気で桜の花は全部散ってしまったじゃねーですか!」
ジュン「…む? そう言えばそうだったか?」
真紅「そうよ! 金糸雀なんて、やめなさいってみんなで止めたのに
その強風下でお花見を単独敢行して、案の定、風に飛ばされ、それ以来ずっと消息不明なのよ!」
雛苺「1週間ぐらい経っているのに、まだ見つかっていないのよね」
翠星石「だから、せめて翠星石達は室内でささやかなお花見をしようと…」
ジュン「だとしても、僕の鼻の穴を使うな」
真紅「じゃあ、別の穴だったらいいの?」
翠星石「美しき花瓶の運命や如何に? ですか?」
ジュン「ケツの穴もダメ」
- 336 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:30:58 ID:iYuecEvo0
- ジュン「大体、その桜の枝をどこから調達したんだ。そんな見事な枝を手に入れられるなら
そこで花見をすれば…、と言うか、そもそも桜の枝を折って持って来たりしたらダメだろうが…」
真紅「あ、これプラスチックよ」
翠星石「100円ショップのパーティグッズコーナーで買ったんですぅ」
ジュン「え? あ、本当だ。触んないと分からないな、これ」
真紅「流石は技術大国ニッポンよね」
雛苺「でも、これ花びらにメイド・イン・マレーシアって書いてあるのよ」
真紅「……」
ジュン「ともかく、僕の安眠を妨害した罪は重い。お前ら全員正座して反省しろ」
翠星石「んなっ!?」
真紅「馬鹿言わないで頂戴ジュン! 私達西洋人形に正座を強いるだなんて拷問よ!」
雛苺「そんなの無理なの~っ」
ジュン「うるさい。正座ぐらい最近のガンプラでもできるんだ。
ほら、さっさとやれ! その後、太ももの上にでっかい辞書を乗せるからな」
真紅「か、完全に江戸時代とかの拷問じゃない、それ!」
翠星石「膝がぶっ壊れるですぅ!」
雛苺「想像しただけでガクブルなのよーっ!」
ジュン「こっちはもう少しで脳幹にまで桜の枝を突っ込まれそうだったんだぞ」
真紅「人間の脳は30%ぐらいしか使ってないそうだから、いいじゃない別に」
ジュン「よくねぇよ」
- 337 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:32:43 ID:iYuecEvo0
- 蒼星石「どうも僕です。夜分に失礼」ガラッ
ジュン「ッッ!?」
雛苺「みょわわっ? そ、蒼星石ぃ!?」
真紅「そ、蒼星石がジュンの机の引き出しから出てきた!?」
翠星石「ドラえもんですか、蒼星石は!?」
蒼星石「こんばんはドールズ。夜遅くだから、静かに登場しようと思ったんだけど、君達はいつも元気だね」
ジュン「静かに登場する=机の引き出し、という発想なのかよ蒼星石は」
蒼星石「いやぁ、それほどでも」テレテレ
ジュン「褒めてるわけじゃないぞ」
- 338 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:34:31 ID:iYuecEvo0
- 翠星石「で、何の用です? 蒼星石?」
蒼星石「実は力を貸してほしい」
雛苺「うゆ?」
蒼星石「nのフィールド内のとある山に大蛇が出た。退治したい」
真紅「どういうこと? 要点を簡潔にまとめすぎよ蒼星石」
ジュン「まったくだ」
- 339 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:35:36 ID:iYuecEvo0
- 蒼星石「nフィーの領域の一部に桜ばかりが大量に咲き乱れる山がある」
雛苺「桜?」
蒼星石「花見の名所でもあるんだが、そこに大蛇が現れて
観光に来ていたnフィー内の住人が襲われたそうだ。幸い、死傷者はまだ出ていない」
翠星石「なーんか、キナくせぇ話になってきたですね…。そういうのって庭師連盟(※)の管轄じゃねーのですぅ?」
※nフィー内に存在する夢の庭師達の共同体
- 340 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:36:58 ID:iYuecEvo0
- 蒼星石「うん。連盟から僕に大蛇の退治依頼が来たんだよ」
翠星石「やっぱり…。と言うですか、どうして毎度毎度、蒼星石は安請け合いするのですぅ!」
蒼星石「別に安請け合いしたわけじゃ…」
真紅「まあまあ翠星石、落ち着きなさい。ここは逆に考えればチャンスでもあるわ」
翠星石「へ?」
雛苺「うぃ! nのフィールドの中でそんなお花見スポットがあったとはヒナ達知らなかったの!」
翠星石「むぅ…。そう言われれば確かに。桜を見ながら蛇退治というのも乙なものかもしれんですぅ」
ジュン「全然、乙じゃないと思うが…」
蒼星石「それじゃ、手伝ってくれるかな? みんな?」
翠星石「どのみち、蒼星石だけに蛇退治だなんて危険なことはさせられんです」
真紅「ま、そういうことだわね」
雛苺「うぃ! ヒナもお手伝いするの」
蒼星石「ありがとう、みんな」
ジュン「僕は行かないからな。ヘビ、嫌いだし」
真紅「ふんっ、意気地のない男ね」
ジュン「くっ…」
- 341 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:40:48 ID:iYuecEvo0
- 蒼星石「それは困ったな。最低でも5人は揃わないと桜大蛇(サクラノオロチ)は退治できないのに」
翠星石「さくらのおろち?」
ジュン「何だ、それ?」
蒼星石「桜の山に出現した大蛇の名前だ」
真紅「ヤマタノオロチみたいな名前ね」
蒼星石「同類だからね。サクラノオロチはヤマタノオロチと同じくヒュドラ…
すなわち頭部が複数ある大蛇で、サクラノオロチは全部で5つの頭を持つ」
ジュン「お馴染み、nフィーのびっくりどっきり生物か」
雛苺「頭が5個あるから、ヒナ達も5人がかりじゃないと危ないってことなのよ?」
蒼星石「そういうこと。その全ての鎌首をもたげた姿が、まさに桜の花にそっくりなことから
サクラノオロチと名付けられた。だが、サクラノオロチの特徴はそれだけじゃあない」
翠星石「と言うと?」
蒼星石「この時期のサクラノオロチは鱗も桜花とそっくりの色と形をしているんだ。
だから、桜の花びらが絨毯のように降り積もった山では、無類の迷彩となっている」
真紅「保護色ね。だとすれば見つけるのも困難…」
蒼星石「一人が一つずつの頭に気を配りながら戦わないと、うっかり別の頭に飲み込まれかねない」
翠星石「それは危険がデンジャーですぅ。是非ともチビ人間に来てもらわねば」
ジュン「だから、ただの人間の僕を大蛇退治に引っ張り出すな。あと一人ぐらい、他の姉妹を誘え」
蒼星石「金糸雀がいてくれれば適任だったんだが…、彼女には聖譚曲(オラトリオ)『荒野に燃え立つ蛇』がある」
翠星石「ああ、あの蛇だけに火を点ける曲ですか(※)」
※ある朝、真紅が愉快な夢から目覚めてみると白い大蛇に呑まれていた。 参照
- 342 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:43:22 ID:iYuecEvo0
- 蒼星石「あの曲は火力はほとんどないけど、火を目印に蛇の迷彩を見破ることができる」
真紅「久しぶりに金糸雀が活躍できそうな機会なのに、当人が行方不明だなんて」
ジュン「金糸雀がいないなら水銀燈か雪華綺晶にでも頼めばいいだろう」
蒼星石「その二人も、ちょっと見つからなかった」
ジュン「?」
蒼星石「水銀燈はめぐさんを連れてnのフィールドをあちこち移動しているみたいだし
雪華綺晶も、今はもう一人のジュン君の家を留守にしているらしい」
真紅「やれやれだわ。どの子も好き勝手しちゃって」
ジュン「真紅だってそうだろうが」
雛苺「じゃあ、もう薔薇水晶に頼むしかないのよ?」
蒼星石「薔薇水晶は槐先生と温泉旅行に行ってる」
翠星石「本当にもう、どいつもこいつも…」
真紅「じゃあ、やっぱりジュンしかいないわね」
ジュン「マジで!?」
蒼星石「大丈夫、5人がかりでやれば相手はちょっと大きいだけの蛇だ。噛まれても毒は無いし」
ジュン「人を丸呑みするような蛇相手に、毒とか心配する余裕ないだろ」
真紅「ぐちぐちと男らしくないわよジュン! ここまで来たらやるしかないでしょ! 蛇退治を!」
翠星石「ここで退いたらチビ人間は一生負け犬のままですぅ」
雛苺「うぃ! トモエにも嫌われちゃうの」
ジュン「くっ…」
- 343 :名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 21:46:14 ID:iYuecEvo0
- §そんなこんなで翌朝・nフィーの桜の咲き乱れる山
ジュン子「…で、何で僕は女装させられているんだ?」
蒼星石「やだなぁジュン子ちゃん。サクラノオロチはヤマタノオロチと同類だと言ったろう?
生贄の少女とお神酒を餌におびき寄せるのさ」
真紅「白無垢が良く似合っているわよジュン子ちゃん」
翠星石「いいですね~! 綺麗ですよ~、ほらほらこっち向いて! もっと笑ってですぅ」
雛苺「目線をちょうだいなの~」パシャパシャ
ジュン子「勝手に写真を撮るな! 大体、少女ならお前達が…」
蒼星石「サクラノオロチはピット器官も持っている」
ジュン子「は?」
蒼星石「つまり赤外線…獲物の体温も、普通の視覚とは別に、補助的に感知する」
真紅「人形である私達よりもジュン子ちゃんの方がオロチを呼び寄せやすいってわけね」
蒼星石「そういう
- :-:2014/04/14(月) 20:45:53
- かっこいい真紅さんを1年ぶりくらいに見れた気がする
ここから楽しみだなあ
- :-:2014/04/14(月) 21:04:38
- 真紅も雛もかっこいい
ひさびさに賢い真紅が見えたが気になるのはまーた槐先生が記憶喪失になりそうなことと次は銀ちゃんのターンなことか
- :-:2014/04/14(月) 21:44:12
- SLPYお得意のコメディと見せかけて尻assなストーリー
新章に期待
- :-:2014/04/14(月) 23:03:25
- 金糸雀が行方不明……清掃太郎さんにもワンチャンあるか