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【俺ガイル】やはり阿良々木暦のボランティア活動はまちがっている【化物語】|エレファント速報:SSまとめブログ

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【俺ガイル】やはり阿良々木暦のボランティア活動はまちがっている【化物語】

1: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:03:47.76 ID:kXzV57rP0

これは、

     『物語シリーズ』

         ×

『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』

のクロス小説です。


舞台は俺ガイル寄りで、期間的には俺ガイルは夏休み前。
物語シリーズは、皆、怪異から脱出したパラレルワールドとお考えください。



2: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:04:11.01 ID:kXzV57rP0

 『ボランティア活動についてのレポート』

2-F 比企谷 八幡

 ボランティアとは偽善であり自己正当化である。
そもそも人間は、自らにとって利益が無いものは行わない。
逆説的に、ボランティアにも。無償と喚きつつ、何かの利益があるはずである。

 その解は簡潔だ。体裁である。
良い人。素晴らしい人。出来た人間。そういう世間体を利益として獲得できるのだ。
アーティストがチャリティーライブをやれば、そのアーティストの評価が上がり。
結果、ライブ一回分より大きな報酬になる。CD売上とか。

 しかしながら、それが悪いとは言わない。
やらない善よりやる偽善という言葉がある。結果的に助けられる人間が生まれるのだからWINWINである。
世間体を気にする方々は、もっと率先してボランティアに従事すべきだ。

 そこで言いたい。これはWINWINでのみ成立しなくてはならない。
すなわち、どちらかがルーザーではいけない。
この場合のルーザーとは、世間体や体裁という報酬が利益にならない人間だ。
すなわち、俺みたいなぼっち、いや1人を好む者にとって周りの評価は必要ではない。
赤ん坊に外車を渡すようなものだ。不必要なのだ。
よって、俺がボランティアを学校行事とか言う強制力で行わせるのは間違っている。
それは既に強制労働だ。ストライキも辞さない。全ての時間が残業対象だ。

 そもそも、俺みたいな人間一人が誰かを助けるなんておこがましい。
むしろ俺が助かりたい。この青春とか言うドラマティックな諸悪達から。
更に言えば、俺が助けられるほどの人間なら、自分の力で勝手に助かってるハズだ。

 以上から総合的に考えて。

 ボランティアなんていう偽善事業は、有志を募って行うべきだ。
俺は参加したくともその資格がありません。なので今回は欠席しました。



3: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:04:39.86 ID:kXzV57rP0

序章
『とにかく、羽川翼はブレない』
00

平塚「チッ……はぁ……」

 舌打ちとため息のハイブリッドを繰り出す、目の前の生徒指導の教師、平塚静は俺を先ほどから睨みつけてくる。
俺が提出した、レポートと俺を交互に睨みつけてくる。いや、マジ怖い。やめて。

平塚「私は、先日のボランティアの課外活動に欠席した比企谷にレポートを頼んだのだが?」

比企谷「はぁ……」

平塚「課したものはなんだったかな?」

比企谷「ボランティアについてのレポートです……」

平塚「そうだな?じゃあ何故最終的に欠席の言い訳になっているんだ?」

 その指でトントンするのやめませんか?圧迫面接です。誘導尋問です。
そのリズミカルな音が、衝撃のファーストブリットへのカウントダウンにしか聞こえない。
しかもそれキャンセルボタンなさそうですよね?本当に痛いから勘弁してほしいんですけど……。

比企谷「いえ、その。ボランティアについて自分なりの考えを述べる上で、結果自分の正しさも一緒に証明したんです。ホラ、一粒で二度おいしいってヤツです」

平塚「そうか、なら2度も楽しめたお礼をしなくちゃいけないな……。すまない。私は一粒で一度しかうまみを与えられないのでな」

比企谷「ちょっとタイムタイム!そのうまみって一部の人間がご褒美と崇めるタイプのうまみでしょ!?ノー!ストップ暴力!」

 懇願むなしく、俺の願いは棄却された。おい、朝ごはん。戻ってくるな、喉までただいまをしてくるな。お帰りじゃなくてお帰り下さいお願いします……。

比企谷「ぐへ……」

そうやってすぐ拳で解決しようとするから貰い手が居ないんじゃないんですか?
と、言えばラストブリットが来るのはわかっているので心の奥底に投げ捨てた。

平塚「まあ、セカンドブリットは保留にしておこう。でだ。結局君は何も変わっていないんだな」

比企谷「ふぅ……。前にも言ったように変わる事は本人の意思です。俺のモットーは初志貫徹!」

平塚「あ?」

比企谷「いや、すみみゃへん」

 アンタ、本当に先生ですか?どこにヤンキーみたいに生徒に向かって睨みきかせる教師が居るんですか?咄嗟に謝っちまったよ。寧ろ下半身が緩くなりそうなほどだ。

平塚「そもそも、君に半永久的に課している奉仕部での活動こそ。そのボランティアだと思うのだが?」

比企谷「いえ、それは先生が無理やりさせているからであって。辞めていいと言ってくれれば今からでも辞めます」

平塚「まあ、それなら本格的に君は3年じゃあ卒業できないな」

比企谷「でしょう?それが奉仕部においてのメリットですよ。その利益が無いと俺はボランティアとかしない。そもそも、今回休んだのも不可抗力であり故意ではないので……」

平塚「……」

比企谷「レポート書きなおします」

 無理。正当な意見でさえも言える雰囲気じゃないっす。
警察の取り調べとかも、こうやって無罪の人々が自白させられてしまうのか……。


平塚「よろしい。はぁ、それにしても君の目は4月から寸分違わず腐ったままだな」

 ほっとけ。



4: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:05:06.01 ID:kXzV57rP0

「失礼します。平塚先生はいらっしゃいますか?」

 不意に、職員室の入り口から、透き通る声がした。
例えるならば、メガネを掛けてテレビの中に入るスパッツガールとか。
我儘で自己陶酔なゴールデンな時間を生きるお嬢様とか。
オッドアイで世話上手な麻雀部部長。
みたいな声。

 そして俺と今対面している平塚先生の名前が呼ばれたので、俺はその声の方へと向いた。
まあ、その声の主を見た所で、この学校の生徒という時点で見覚えはあるはずないけど。

 案の定女子だった。リボンから察するに3年生。
見た目から察するに良い人。多分委員長。

 三つ編みが両端から伸びていてメガネをかけていて。まさしく真面目です!と主張せんばかりの見た目だった。いや、失言だった。その胸部は真面目ではない。

平塚「ん?ああ、羽川か」

 平塚先生はどうやら知り合いらしく、手でその委員長さんを職員室に招き入れた。
まあそもそも知り合いだから委員長さんは平塚先生を名指ししたんだよな。

いや、待て待て。
俺今勝手に委員長って名付けたけど、これ委員長じゃなかったら悪口じゃね?

羽川「あ、先日のレポートを提出に来ました」

平塚「すまないな、委員長だからと雑務を任せてしまって」

 あ、今正解発表来たよ!パンパカパーン!比企谷選手大正解です!
やはり、俺のぼっち特有識別眼に狂いはなかったようだな。
ってか、先生一度でいいから俺が雑務している時もそういう台詞くださいよ。
いつもいつも「おう」しか言ってくれないじゃないですか。俺委員長でもないのに。
何?亭主関白なんですか?身近にいるとそれが当たり前になっちゃうんですか?
離婚沙汰よ!そういうのが破局の原因になるのよ!もう信じらんない!八幡ぷぅ!

比企谷「いや、でもそもそも破局以前か……」

平塚「ん?何か言ったか比企谷?」

 ヤベッ!声出ちゃった!家で独り言話す癖でつい音声をオンにしちゃってたよ。
あぶねーあぶねー。あれだよ、PCとかでイヤホン抜けて女性の不埒な声が部屋中大合唱とかそんな感じの不可抗力ですよ。って誰に言い訳してんだよ。

平塚「あ、申し訳ありません。面談中でしたか?」

 俺を視認して改めて委員長さんは畏まった。
なにその言葉づかい。社会人ですか?

平塚「ん?あぁ、そんな感じだ。まあそんな大した話はしていないから。安心したまえ。
 羽川が聞いてマズい話などではないよ」

 すると、委員長と俺は目があった。いや、正直に言うと、胸部を見ようとした時に委員長さんがこっちを向いた。
ヤバい。何あのおっぱい。ダイソンなの?目線の吸引力半端じゃないんだけど。

羽川「あ、初めまして。私。3年の羽川翼です」

 いきなりの自己紹介に俺は目を見開いてのけ反る。いや、別にそんな礼儀正しくされても、俺なんてもう2度と会わないレベルの底辺カーストですよ?何この人。素直にスゲェ。

比企谷「あ、ウス……2年の……比企谷八幡……ッス」



5: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:06:29.61 ID:kXzV57rP0

羽川「比企谷くん?ああ、奉仕部の比企谷くんですか?じゃあ、ひょっとして部活のお話でした?」

比企谷「え?あ……ウス」

 何で知ってんの?怖い、怖いよ。俺の事が実は好きだったパターン…。
は、数学でゼロとみなせる確率なのであり得ないとしても。ユキペディアよりペディってるって。
ペディりすぎてヤバい。もはや、googleのホームにアクセスしただけで『もしかして?○○』って言われてるレベルで怖い。
…………いや、まぁ。そもそもペディってるなんて造語ないけども。

平塚「羽川……君は本当に何でも知っているんだな」

羽川「いえいえ。そんなことありませんよ」

平塚「まあ、一言で言って、問題児のような子だよ、比企谷は」

比企谷「誰が問題児ですか誰が。多感な時期の子供に滅多なこと言うと不登校になりますよ?俺」

平塚「自分で言える奴は不登校にはならんよ。……あ、そうだ」

 平塚先生が手を叩いて、何かを思いついた素振りをする。
絶対楽しい事じゃないのは予想できる。だからこそ俺は無言で聞かない。
こういうときは敢えて空気を読まずにスルーするのが良いに決まっている。
アレだ、友達の「あー…もう最悪」と一緒。どうしたの?って聞いたら愚痴のオンパレード。
ってか俺に友達いねーけど……。

羽川「どうされました?平塚先生?」

 はぁ……。この委員長さんはどうやら空気を読んでしまったようだ。そのパンドラの箱を開けると被害が来るの俺なんだけどな……。

平塚「羽川、君は今週末の課外活動にボランティア活動を選択していたよな?」

羽川「え?ああ、はい。山のゴミ拾いですよね?」

平塚「ああ、そうだ」

 オチ、読めるんだけど。いや。えー……それは嫌だ。断固拒否。

平塚「比企谷?」

比企谷「………嫌です」

平塚「まだ何も言ってないのだがな?」

比企谷「どうせアレでしょ?そのボランティア活動に俺も参加しろって言うんでしょ?
    3年生の人たちの中に1人行けと?いやーペナルティにしても重すぎる刑罰ですよそれ。
もう少し情状酌量の余地という物もあっていいんじゃないでしょうか?」

 もう殴られてもいい。ただこの状況で最悪なのはこの議題が否決される事だ。
だからこそ俺は拒絶する。必死に否定する。
だってそもそもボランティア活動を欠席したのも。小町が熱出しちゃったからなんですよ?
お涙頂戴の美談ですよ?
だから俺は悪くない。故に理不尽だろうが勘違いだろうが。
殴られても俺は、このボランティアには行かない!



6: ◆EHGCl/.tFA:2014/01/08(水) 18:09:16.34 ID:kXzV57rP0

平塚「情状酌量の余地……ねぇ?」

 平塚先生が口をとがらせて、人差し指を唇にあてる。
その考える仕草。ちょっと可愛い……。でも年齢的にアウトです。残念……。

羽川「私は構わないよ?比企谷くん。基本的に班行動で、私たちだけ3人班だから」

委員長さんが笑顔を向ける。
いや、その聖母みたいな包容力にも俺は騙されない。ここで更に!

比企谷「いやー