阿良々木暦「たかねデイフライ」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/23(水) 17:54:32.03 ID:xmFWOzvD0
- ・化物語×アイドルマスターのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは箱マス基準
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阿良々木暦「やよいリバーシ」 - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:18:40.19 ID:KjY5e/6Q0
-
001
駅の改札を抜けて、空を見上げる。
時刻は午前九時、天気は快晴。
体調もすこぶるいい。
今なら空も飛べそうな気がする――なんてのはさすがに冗談だけれど。
気温も丁度良く、そろそろ冬が来るこの季節にこの暖かさを満喫しておこう。
そう思い、思いっきり深呼吸をした。
都会の空気はおいしくないが、こんなのは気分の問題だ。
その場で雰囲気さえ作ることが出来ればいいのだ。
駅を出て徒歩十分。
幾度か改築された小さなビル。
一階は居酒屋さん。二階が私の職場であり、私の夢。
窓には安っぽいチープな字体で765プロダクションと綴られている。
あれは私がここに所属する前からずっと変わらないけれど、いつ直すんだろうか?
それとも、直す気はないんだろうか。
初心を忘れないために敢えて残しておく、みたいな。
実際は恐らく、ペンキで塗るのも面倒だし経費もかかるから今のままでいいや、って感じだとは思う。
うちの社長は大物だとは思うけど、その辺りは適当だ。
私もいきなり街中で直にスカウトされたし。
千早ちゃん風に言えば、まあ、どちらでもいいんだけどね。
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:20:36.93 ID:KjY5e/6Q0
- いつもの階段を登る。
事務所の入り口、ドアの前でアイドルとしての嗜み、最終チェック。
最近――と言うか、今年の春休みのこと。
私には、気になる人が出来た。
勿論、異性として気になる人、だ。
私はアイドルだ。
恋なんかしちゃいけない。
それはアイドルとして生きる上で、初めに覚悟することだ。
でもいくらアイドルとは言え、私はこれ以上ないほど普通の女の子だ。
普通に恋をして、いつか普通に結婚するだろう。
アイドルとしての活動をいつか終える時が来る日まで、天海春香は恋をしない。
でも、心の中で微かに思うくらいは許されるはずだから。
……うん。
彼は半年前、プロデューサーとして765プロに入社した。
彼、プロデューサーさんの入社には私も一枚噛んでいる、と言うか私が契機でプロデューサーさんは入社したようなものだ。
明確に言えば、私は絶体絶命のところを彼に助けてもらったのだ。
それは、感謝なんて言葉じゃ表せないくらい大きなもの。
プロデューサーさんがいなかったら、私は今頃アイドルを続けていられなかっただろうから。
- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:23:04.46 ID:KjY5e/6Q0
- そのお礼も兼ねて、当時就職活動中だったプロデューサーさんを社長がスカウトした形になる。
ちょっと変で、子供みたいで、ぼーっとしてて、よくよーくよ――――く見るとかっこいい人。
私が最近、ちょっと気になっている人。
でも彼には恋人が既にいる。
だから絶対に叶わない恋ではあるのだけれど。
それでも――。
「……よしっ」
小さな声で気合を入れる。
ファッションチェックも家で十全に済ませたし、昨日作ったスコーンも鞄に入っている。
あとは笑顔。
春香さんスマイルはコストゼロ円で印象ばっちりのまさに優良アイテムなのだ。
「さーて、今日もお仕事お仕事っ!」
ドアを開け玄関に入る。
靴箱を見ると、来ているのはプロデューサーさんと貴音さんだろう。
プロデューサーさんや小鳥さんは事務仕事もあるから早いのは当たり前なんだろうけど、貴音さんがいるのは珍しい。
私は家が遠いという理由もあって毎日早めに来ているため、アイドルの中では早い方だ。
そして毎日私より先に来ているのは、大抵が社員の二人に律子さんなのだけれど――。
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:24:56.37 ID:KjY5e/6Q0
- なんで貴音さんが?
とりあえず中に、と思い扉に手をかけた瞬間、事務所の中から微かに声が聞こえた。
『……だよ、四条』
『しかし……まだ……』
「…………?」
何やら話をしているようだった。
盗み聞きをするつもりではなかったが、思わず扉を開けるはずの手が止まる。
『もういいだろう、四条』
『ですがあなた様……まだ、準備が……』
『何言ってるんだ、もうこんなにトロトロじゃないか』
『と、とろとろなどと……卑猥です、あなた様』
「………… !?」
なにが……なにが起こってるの!?
『卑猥ってお前な……四条だってそんな涎まで垂らしてるじゃないか。ははっ、見かけによらず卑しいんだな』
『はっ……は、恥ずかしゅうございます……』
『ほら、もう入れるぞ、僕のバナナ』
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:26:39.26 ID:KjY5e/6Q0
- バナナ!?
バナナって何!?
プロデューサーさん、彼女いるのに何やってるの!?
『だっ、駄目です! まだ早いです!』
『もう充分だろ。ほら、もうこんなになってる』
『ああっ、そんな、あなた様ぁ……っ! お慈悲、お慈悲を……っ』
『駄目だ、いくぞ』
『いやぁっ……いやぁ……っ!』
『ん……っ、ほら、入った』
『あぁっ……んん、大丈夫のよう、ですね……』
『だから言っただろ 、少しは僕を信用してくれよ』
「ヴぁ――――――――――――――――――――――――いっ!!」
思いっきり扉を開けた。
「…………」
そこには、
「…………」
対面に座って小鍋を挟んでいる、プロデューサーさんと貴音さんがいた。
突然、奇声と共に入って来た私を丸い目で見ている。
- 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:28:10.99 ID:KjY5e/6Q0
- 「……おはよう、天海」
「おはようございます……なにしてるんです?」
いや、聞かなくてもそれが何かくらいはわかる。
立ち込める甘い匂いと、プロデューサーさんが鍋に突っ込んでいるものを見れば一目瞭然だ。
「何って……なぁ」
「ちょこれえとふぉんでゅー、というものらしいですよ、春香」
「何せ初めてだからな、どのタイミングで入れていいかわからなかったんだ」
「営業先で大量にいただいてきたそうですよ」
「しばらくおやつはフォンデュだな」
チョコレートフォンデュ。
その名の通り、チョコレートを鍋で溶かし、パンや果物をコーティングして食べる料理だ。
自分でチョコをつける楽しみと、瑞々しいチョコレートの風味が素晴らしい。
私もやってみたいのだけれど、手間は掛かるし一人でやるものでもないので手が出しにくい料理でもある。
「紛らわしいんですよ!」
「何が?」
「あっ……いえ、そのっ…………なんでもありません」
……本当に自覚がないのだろうか。
そう言えばプロデューサーさんは人一倍こういう事に鈍いのだ。
本人の言質を取ったところによると、妹のファーストキスを奪ったりおっぱいを触った事があるらしい 。
……それって流せないことなんじゃ……。
- 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:29:18.50 ID:KjY5e/6Q0
- 「それよりもあなた様、早くいただきましょう」
「そうだな、チョコが固くなったらフォンデュが台無しだ」
竹串に刺さる黒くコーティングされた、一口サイズのバナナを口に含む。
「おっ、美味いな」
「あっ、ひどいプロデューサー! ボクを差し置いて先に始めるなんて!」
真が果物やパンが覗くコンビニ袋をぶら下げて事務所に入ってくる。
材料を買いに行ってきたのだろう。
「悪いな菊地、四条がどうしても我慢出来ないって言うからな」
「申し訳ありません真、この甘い魅力には抗い難く」
……私もあとで参加させてもらおう。
- 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:30:51.35 ID:KjY5e/6Q0
-
002
「ほら四条、あーん」
「あ、あぁん……」
チョコに包まれたイチゴを四条の口に突っ込む。
「あっ、あふ、あらははやま… …あっ、あふうごじゃいまふ……」
「我慢しろよ、これくらい」
「ん、んぁ……あひゅ……」
「んー、美味しい♪」
「…………」
天海が僕をゴミを見るような目で見ている。
女子高生に軽蔑の眼で見られる、ということ自体は非常に悲しいのだが、そこにアイドルという要素が上乗せされるだけで個人的にはとても興奮する。
僕だけだろうか。
いや別にアイドルじゃなくても興奮するんだけどね。
羽川には何度こういう眼で見られたことか数え切れない。
もっと見てくれないかな。
ついでに罵ってくれたりしないかな。
- 14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:32:39.11 ID:KjY5e/6Q0
- 「……なんでプロデューサーさんが貴音さんに、あーんなんて恋人イベントを発生させているんですか?
どこかでフラグ立ってたんですか?」
「ああいや、これには訳があってな」
「訳? あーんするのに訳があるんですか?
プロデューサーさんはバカなんですか? 死ぬんですか?」
どうしよう、天海が怖い。
「んくっ、ふう……あ、あなた様、春香にはわたくしから」
「いいよ、僕が話す」
「でも……」
「天海も菊地と同じで知っている」
「……! そう、でしたか……」
「……?」
僕は一旦フォンデュを作る手を止め、天海に向き直る。
天海には説明が必要だろう。
「天海、聞いてくれ。四条は怪異に行き遭ってしまった」
「怪異……ですか」
- 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/23(水) 18:35:25.48 ID:KjY5e/6Q0
- 「かばみ蜉蝣、そう呼ばれる怪異だ。
漢字で書くと過食蜉蝣、と書くらしい。
地域によっては尸と書いてかばね蜉蝣なんて呼んだりするそうだ」
「蜉蝣って……あの、一日で死んじゃうって言われているあれですか?」
節足動物門・昆虫綱・カゲロウ目の昆虫。
一般的に最も短命な昆虫として有名なウスバカゲロウは、一日の成虫期間で死亡する、と言われている。
実際はもう少し長生きらしいが、それでも数日で死ぬことには変わりがない。
「かばみ蜉蝣は一日で宿主の命を奪うなんてことはない。ただ、短命な彼らには共通点がある」
彼らには、摂食機能というものが無い。
それは、言ってしまえば生物として破綻している。
何せ成虫という大人へ進化する過程で、生きるための機能を削ぎ落としているのだ。
蜉蝣が何故、幼虫期間にあった摂食機能を一切失くすのかは、未だに解明されていない。
鳥類などが長期飛行に至って身体を軽くするために食べない、という選択肢があるのはわかるが、摂食機能そのものを失くす理由が不合理すぎて理解が及ばないのだ。
「かばみ蜉蝣は資料が少なくてあまりわからなくてな……とりあえず、憑かれた者は三日間はものが自分で食べられなくなって、三日経てば自然消滅する、ということしかわからなかった」
「自分で、ですか」
「はい、食べようとしても食コメント一覧
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- 2014年04月23日 21:53
- 速筆だな
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- 2014年04月23日 22:04
- この調子で全員分頑張って欲しいものだ…小鳥さんは最後かな?
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- 2014年04月23日 22:12
- しのたか…たかしの……阿良々木、爆発しろ
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- 2014年04月23日 22:22
- 最後は社長だな
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- 2014年04月23日 22:27
- ウスバカゲロウは蜉蝣じゃねえぞ
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- 2014年04月23日 22:59
- 忍×貴音‼︎‼︎
ピヨォォォォォォォォ‼︎‼︎‼︎‼︎
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- 2014年04月23日 23:19
- 待ってました
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- 2014年04月23日 23:23
- 面白いww
春香さんの過去編はまだかな?
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- 2014年04月23日 23:24
- まだ出てない、もしくはあんまりからんでない化のキャラクターってあと誰だろ
八九寺、撫子、専門家の面々かな?
八九寺は遠出できなさそうだが
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