■ヨウスコウカワイルカ
ハクジラ亜目ヨウスコウカワイルカ科ヨウスコウカワイルカ属
●分布
かつては宜昌から上海近くの河口まで、
長江の中流から下流にかけての 1,700km にわたって生息していた。
近年、生息域は数百キロメートルにまで減少し、
主に付属湖である洞庭湖と?陽湖の間にある中流域の長江本流に限られた。
世界の人口の約12%が長江流域で生活しており、
河川の環境に影響を与えている。
三峡ダムの建設やその他のダムの計画も生息域の減少を招いている。
ヨウスコウカワイルカの祖先は約2,500万年前には存在し、
約2,000万年前に海を離れて長江に移り住んだことが化石から分かっている。
2006年12月13日、 ヨウスコウカワイルカはほぼ絶滅していると発表された。
同年11月から12月にかけて、長江流域ののべ 3,500km に渡る大規模な調査が行なわれたが、
ヨウスコウカワイルカは1頭も発見することができなかった。
人類が引き起こしたクジラ類の絶滅としては最初のものであり、15世紀以降の哺乳類における科全体の絶滅としては4例目で、
大型脊椎動物の絶滅としてはここ50年間で唯一の事例であると考えられている。
2007年9月12日にはIUCNも絶滅した可能性があると発表した。
2007年8月19日、ヨウスコウカワイルカと思われる動物が撮影されたことにより、
再調査が計画されている。しかし、種の維持には最低でも50頭程度が必要と言われており、
ヨウスコウカワイルカが危機的状況にあることには変わりがない。
なお、2009年9月には東洞庭湖保護区で江豚(スナメリ)が約132頭確認されている。
スナメリは主に海水域に生息するが、淡水である長江に生息する個体群も存在し、
中国では江豚と呼ばれている。ヨウスコウカワイルカに比べ、体型は小さく、
吻および背びれがほとんどない。確認された約132頭のイルカはスナメリ属の小型イルカであり、
ヨウスコウカワイルカではない。一部報道では長江のスナメリ(江豚)のことを「ヨウスコウカワイルカ」と表記している場合がある。
長江に生息するスナメリもヨウスコウカワイルカと同様に絶滅が危惧されている。