春香「私だけが知っている」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 22:06:16.27 ID:/JqtfWja0
春香「ねー亜美、後どれくらい?」
亜美「……もうちょっと」ギュゥゥ
春香「それさっきも聞いたよ」
亜美「いいじゃん…減るもんじゃないし…」ギュゥゥ
私は知っている
双海亜美は、本当は寂しがりやさんってことを- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 22:13:58.31 ID:/JqtfWja0
亜美「はるるんおかえりー」
春香「あれ、亜美だけ?」
亜美「そだよー」
ある夜のことだった。
私が事務所に戻ってきた時、亜美はいつものゲームをしていた。
小鳥さんもプロデューサーさんもいなくて、ただ亜美一人だった。
春香「小鳥さんは?」
亜美「さぁ? なんか買い出しに行ったっぽいよー」
春香「ふーん…」
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 22:24:07.78 ID:/JqtfWja0
亜美はゲームをやりながら気のない返事をした。
熱中しているのか、画面から目を離そうとしない。
体がソファーからずり落ちて、だらしない格好になっている。
私は亜美の隣に腰掛けた。
亜美「……あっ」
私が座ってから数秒、亜美が声をあげた。
それと同時に聞こえてくる、ゲームオーバーの音。
春香「何やってるの?」
亜美「ちょっ、勝手に見ないでってばー」
身を乗り出して画面を覗きこんだが、すぐに隠されてしまった。
見せてくれたっていいのに、と言う前にそそくさと側においてある鞄にしまってしまった。
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 22:51:54.53 ID:/JqtfWja0
亜美「はるるん何しに来たの?」
春香「何しにって、うーん……なんとなく?」
亜美「ふーん…」
仕事が増えてきても、なるべく事務所には顔を出すようにしている。
大した理由はないけれど、ここに来れば誰かしらと会える気がしたから。
亜美「じゃあさ、これから毎日この時間に来てよ」
春香「…えっ?」
亜美「どうせはるるん暇っしょ? だから来てよ」
春香「暇って…」
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 22:57:05.36 ID:/JqtfWja0
必ずしも暇というわけではない。
家は遠いし、そもそも来る時間がないときもある。
春香「えっと、流石に毎日は無理かな?」
亜美「ふーん…あっそ」
亜美は素っ気無く答えた。
いつもより冷たく感じたし、何かに怒っているようかのようにも感じられた。
春香「どうして来て欲しいの?」
亜美「…。」
それを聞くと黙る亜美。
肝心なところには答えてくれない。
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:08:22.59 ID:/JqtfWja0
春香「えーと…そうだ、ゲームの対戦相手になってほしいとか?」
亜美「はるるんじゃ相手にならないっしょー」
春香「むっ、言うね亜美。私はこれでもゲームには自信が」
亜美「そうじゃなくて! そうじゃなくてさ…」
言葉を遮られる。
語気を強めて話す亜美に、私は戸惑い、言葉を発せなかった。
亜美「えっと……手」
春香「…………はい?」
亜美「手出してって言ってんの! はるるんのニブチン!」
春香「わ、わかった、わかったから…。手でいいんだよね。はい」
脈絡なく、手を差し出せと言う亜美。
また何かの悪巧みかと勘ぐってしまった。
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:12:27.00 ID:/JqtfWja0
亜美「ん…」
春香「えーと…?」
亜美「…。」
春香「何しているの?」
亜美は、差し出された私の手を手にとって揉み始めた。
春香「ハンドマッサージ?」
亜美「…。」
春香「えっと……?」
一心不乱に揉み揉みする亜美。
その表情は真剣で、硬い顔だった。
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:18:12.08 ID:/JqtfWja0
小鳥「ふぅ、ただいま帰りましたー」
亜美「……あっ、ピヨちゃんおっかー!」
春香「えっえっ?」
小鳥さんが帰ってくるがいなや、態度を急変させる。
さっきまでの真剣な顔つきの亜美は何処吹く風で、帰ってきたばかりの小鳥さんを弄り始めた。
春香「一体、なんだったの…?」
意味がわからなかった。
またイタズラでもしてるんじゃないかと思った。
でもこれが、今思うと、最初だった。
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:44:47.90 ID:/JqtfWja0
春香「ただいま帰りましたー…」
亜美「おっ、はるるん来たんだ」
春香「う、うん。来たよ」
さぁなんでも来い、そんな気持ち。
亜美「んーとね、じゃあ今日は肩揉んであげるよ」
春香「分かった。じゃあそこに座ってくれる?」
亜美「何いってんの? ちがうよー。亜美がはるるんの肩を揉んであげるって言ってんの」
春香「……は?」
亜美「何ぼーっとしてんのさー。早く座ってよ」
どういうことなのだろう。
てっきり私がパシられるのかと。
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:52:29.11 ID:/JqtfWja0
春香「えーと…お手柔らかにお願いします?」
亜美「んっふっふ~、まかしときんしゃい!」
少し身構えたが、特に何かをするわけでもなく、普通に肩を揉んでくれる。
思えば前回のハンドマッサージも、私が受け身の立場だったような。
亜美「お客さん凝ってますねぇー」
春香「そ、そうかな?」
亜美には悪いが、正直言うとそれほど肩は凝っていない。
しかし途中で止めるのも悪いので、そのままさせておく。
亜美「……ん」
春香「……亜美?」
突然頭部に体温を感じた。
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/27(日) 23:58:18.29 ID:/JqtfWja0
春香「どうしたの?」
どうやら後ろから抱きしめられたらしい。
亜美が私の後ろから手を回して抱きしめて、私が亜美をおんぶするような形。
その状態のまま、亜美は何も言わない。
春香「……何かあったの?」
亜美「…。」
春香「聞くよ? 悩みとかあったら」
亜美「…。」
亜美の表情は見えない。
体温と息遣いは感じられた。
が、亜美が何を思っているのかは考えつかなかった。
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 00:03:03.86 ID:8LqXuba00
小鳥「ふぃ~、ただいまー」
亜美「んっふっふー! ピヨちゃん、例のものは買ってきたかい?」
小鳥「あら亜美ちゃんまだいたの? はい、ちゃんと買ってきたわよー」
亜美「やったー! さっすがピヨちゃん太ももー」
小鳥さんが帰ってくると、また態度が急変した。
増々わからなくなる。
何も言わない亜美に戸惑う。
春香「はぁ…」
その一方で、亜美の体温をまだ感じていたいとも思った。
- 15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 00:22:15.76 ID:8LqXuba00
春香「ただいまー……ん?」
亜美「んにゃー! また負けたー!」
真美「んっふっふー、腕が落ちましたな亜美」
亜美「ぐぬぬぬ…真美絶対ずるしてるっしょ! チートだよチート!」
真美「はっはっは、なんとでもいいたまへ。勝者のよゆーだかんねー」
どうやら今日は真美がいる模様。
それに奥で小鳥さんも作業しているし。
そもそも事務所に一人だけという状況自体、中々無いことでして。
春香「ただいまー」
真美「あ、はるるんおはー」
亜美「真美、もう夜っぽいよ。それなのにおはーはないっしょ」
真美「亜美知らないの? げーのーかいではその日初めて会う人には、何時であろうとおはーなのだよ」
亜美「ふーん。じゃあ今度から亜美も偉い人におはーって言おっと」
春香「あはは…それはやめといたほうがいいんじゃないかな…?」
人がいるといつも通り。
亜美がああなるのは、必ず私と二人っきりの時だけ。
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 00:40:04.92 ID:8LqXuba00
春香「あ、そうだ。亜美、肩揉んであげようか?」
亜美「えっ」
だからちょっとからかってみたりする。
真美「えーいいなー。真美もはるるんにもみもみされたいよー」
春香「真美も後でしてあげるよ。じゃ亜美、そこに座って?」
亜美「え~……い、いいよ別に」
真美「ええっ断っちゃうの!? 旦那ぁ、それはいくらなんでも惜しすぎまっせ! 女神はるるんにもみもみしてもらうなんて早々無いよ!」
春香「それはちょっと言い過ぎじゃないかな…?」
亜美「や、やるよ! 亜美すっごい凝ってるから、気合入れてもみもみしてよね!」
- 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 00:54:53.89 ID:8LqXuba00
春香「うん、春香さんに任せておきなさい。それじゃあ始めるよ?」
亜美「よしこい!」
真美「どう? はるるんのもみもみ」
亜美「よくわかんない!」
体が強張っているのを感じる。
緊張しているのだろうか。
すっごい凝ってると言っておきながら、全然凝ってない気がする。
真美「でもどうしていきなり肩もみなの?」
春香「どうしてだろうねー。亜美なら知ってるんじゃない?」
真美「そうなの亜美?」
亜美「ええっ!? えっ…えーと、それはー…」
狼狽えているのが手に取るようにわかった。
心なしか顔も赤くなっている気がする。
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 01:05:56.39 ID:8LqXuba00
亜美「いや、亜美は何も知らないよ! 全部はるるんの思いつきで…」
真美「んー? 嘘が見え隠れしてますなー。そうなのはるるん?」
春香「そんなことないよ。ねー亜美?」
亜美「!」
問いかけるのと同時に、あの時と同じように手を回す。
今度は私の番。
やられてばかりの春香さんではないのだ。
抱きしめるとシャンプーのいい匂いがふわりと香った。
亜美「あっ…あのっ……はるっ……」
真美「ん? なんか亜美顔赤くない?」
春香「もしかして照れてる?」
- 20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/28(月) 01:08:56.75 ID:8LqXuba00
亜美「っ……ぅぅうわぁぁああん!」
春香「わっ! ちょ、亜美!?」
突然私の腕を振り払って走り出した。
そのまま事務所を出て行ったしまった。
春香「あー…」
真美「……変なの」
ちょっとからかいすぎたのかもしれない。
そんな後悔をしてしまった。
- 22:VIPにかわりましてNIPPER
コメント一覧
-
- 2014年04月28日 15:15
- なかなか興味深かったぞ
-
- 2014年04月28日 15:21
- なんていうか、久々に先が読みづらくて面白いss読んだわ
-
- 2014年04月28日 15:47
- はるあみ、いいゾ〜
-
- 2014年04月28日 16:10
- 気持ちの自覚、行動の理由
色々判んないことだらけで地味に危なっかしいけど、嫌いじゃない
-
- 2014年04月28日 16:35
- はるあみはゆきまみの余りもんカプという風潮、一理ない
はるあみ流行らせコラ!
-
- 2014年04月28日 16:52
- これいいな…
-
- 2014年04月28日 17:07
- 双子だけど独立した個人であるという描き方
最高です。
-
- 2014年04月28日 17:26
- 真美もぎゅってしてるんだろうな
千早を
-
- 2014年04月28日 17:45
- ※9
(ガンッ
-
- 2014年04月28日 18:42
- 千早「春香を亜美にとられた」
真美「亜美をはるるんにとられた」
から
雪歩「千早ちゃんを真美ちゃんにとられた」
貴音「真美を千早にとられました」
で
真「雪歩を貴音にとられた」
響「貴音を雪歩にとられたぞ」
最後に残った者がPと結ばれる?
-
- 2014年04月28日 20:09
- ※11
無欲なやよいかぼっちな響かババアなあずささんだな >最後に残った者
-
- 2014年04月28日 20:16
- ※12
うーん...屋上?
-
- 2014年04月28日 21:12
- ええな
-
- 2014年04月28日 22:34
- 春香の包容力ってすごいよな
全然違和感ないわ
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はるあみ?
しかしいいものですね