勇者「僕、どうしても賢者に転職したいんです!!」|エレファント速報:SSまとめブログ
勇者「僕、どうしても賢者に転職したいんです!!」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 10:21:21 ID:JAa6K.qM
- 勇者「格好良い魔法でスマートに敵を倒したいんです!!」
神官「しかし、『勇者』というのは天職で変更はきかないんじゃ」
勇者「そんな……」
神官「誰もが勇者になれるわけではない」
神官「そして簡単に勇者をやめるということもできないのじゃ」
勇者「そんな……転職するために必死の思いでここへ来たのに……」
神官「しかし、まあ、方法がないわけではない」
勇者「ほ、ほんとですか!?」
神官「『賢者モード』という裏技があるにはあるのじゃが」
- 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 10:26:50 ID:JAa6K.qM
- 神官「そもそも、なぜ勇者ではいけないのじゃ」
勇者「……」
神官「勇者であることを誇ろうとは思えないのかね」
勇者「僕は……子どもの頃から剣技を教え込まれてきました」
勇者「立派な勇者として世界を救うのよって」
勇者「でも、あるとき魔法使いの伯父が魔法を見せてくれたんです」
神官「ほう」
勇者「僕はその魔法の素晴らしさと格好良さに痺れてしまったんです」
神官「……」
- 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 10:29:58 ID:JAa6K.qM
- 神官「賢者とはつまりすべての魔法を司る神職である」
神官「その領域に辿りつこうと思えば、生半可なことではいけない」
神官「勇者であっても、魔法使いの伯父の血が少しでも流れていれば少々の魔法なら使えるはずだが」
勇者「だめなんです!! すごい魔法が使いたいんです!!」
神官「子どもか」
勇者「炎で敵をなぎ倒したり凍らせてカチンコチンにしたり!!」
神官「子どもか」
勇者「ぜひ、その賢者モードというものを教えてください!!」
神官「ううむ」
- 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 10:35:51 ID:JAa6K.qM
- 神官「勇者よ、お前、覚悟はあるか?」
勇者「はい」
神官「他の何もかもをかなぐり捨てて賢者の力を手に入れる覚悟が」
勇者「はい!!」
神官「……うむ、いいだろう」
神官「そのような迷いなき目をした勇者は久しぶりだ」
勇者「で、では」
神官「うむ、賢者モードの真髄を伝授しよう」
勇者「あ、ありがとうございます!!」
- 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 11:21:18 ID:JAa6K.qM
- 神官「勇者よ、お主はオナ○ーはするのかな」
勇者「オ、オナ!?」
神官「オナ○ーはするのかなと聞いておる」
勇者「……ええ、えっと、えっと、はい、まあ、人並みには」
神官「うむ、そのやり方一つで賢者モードをマスターすることができるぞ」
勇者「は、はあ、そうなんですか」
神官「はっはっは、照れなくともよい」
勇者「無理でしょ」
- 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 11:26:39 ID:JAa6K.qM
- 神官「まず、果てるまで、無我夢中に煩悩の塊になるのだ」
勇者「煩悩の……」
神官「そう、煩悩じゃ」
神官「性欲の塊になってもいいし、まあ、それ以外の欲望でもいいんじゃが」
勇者「食欲とかでもいいんですか」
神官「お前は『美味しいステーキが食べたい』と思いながらオナ○ーができるのか」
勇者「できませんけど」
神官「そうじゃろう」
勇者「で、煩悩の塊になって、それからどうするんです」
- 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 11:48:33 ID:JAa6K.qM
- 神官「果てる瞬間に身体のエネルギーをすべて放出するのだ」
勇者「エネルギー?」
神官「煩悩を体内で具現化するイメージじゃ」
勇者「ふむふむ」
神官「それを放出すると、一定時間賢者の力が得られるというわけじゃ」
勇者「なるほど、それはすごい」
勇者「……ん? 一定時間?」
- 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 11:50:29 ID:JAa6K.qM
- 神官「人によってまちまちじゃが、5分程度じゃな」
勇者「ご、5分ですか!?」
神官「それだけの間、賢者の力が使えるのじゃぞ」
神官「魔法力の修行や才能を必要とせず、お手軽じゃろうが」
勇者「え、えっと、つまり、モンスターの眼前で射精をしろということですか!?」
神官「そういうことになるのう」
- 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 12:53:52 ID:JAa6K.qM
- ―神殿付近の草原―
勇者「ううむ、煩悩煩悩……」モヤモヤ
勇者「……」モヤモヤ
ムクリ
勇者「うむ、僕の勇者の剣も賢者になりたがっているようだ」
スライム「ピキーッ」
勇者「わっ」
スライム「ピキーッ」ゲシゲシ
勇者「い、いたっ、ちょ、待って!!」
スライム「ピキーッ」ゲシゲシ
勇者「賢者になるから待って!!」
- 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 12:56:50 ID:JAa6K.qM
- 勇者「いてて、興奮状態で正常な戦闘は無理だ……」ボロボロ
勇者「となると、事前に賢者モードになってから戦闘に入れば……」ボロボロ
―岩陰―
勇者「はぁ……はぁ……」ゴソゴソ
勇者「煩悩煩悩……」ゴソゴソ
―15分後―
勇者「はぁ……もう少し……」ゴソゴソ
勇者「煩悩エネルギーを……放出!!」ゴソゴソ
勇者「あうっ」ビクンビクン
- 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 13:06:26 ID:JAa6K.qM
- キュウーン
勇者(賢)「ふぅ……」
勇者(賢)「……」
勇者(賢)「メラゾーマ」ボソッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
勇者(賢)「……ふふふ……素晴らしい力だ……魔力があふれるようだ……」
勇者(賢)「この力があれば……魔王をスマートに倒し世界に平和が訪れる……ふふふ……」
- 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 15:58:59 ID:JAa6K.qM
- ―5分後―
勇者「はっ」
勇者「……」
勇者「なぜか草原が焼け野原になっている……」
勇者「これ、僕がやったのかなあ」
勇者「覚えてないや」
- 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:02:32 ID:JAa6K.qM
- 神官「そうか、賢者モードの記憶がないのか」
勇者「ええ、魔法は使えたようなんですけど……」
神官「それに、お主は少々遅漏のようじゃの」
勇者「はあ」
神官「そんなことでは、いざ戦闘になったときに役に立たん」
勇者「はあ」
神官「見たところ、お主は連れがいないようじゃが」
勇者「ええ、まずは転職をと思いまして、まっすぐに神殿を目指したものですから」
神官「お主が賢者モードになるために、戦闘を長引かせ、お主を守るメンバーが必要じゃな」
勇者「そうですねえ」
- 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:22:52 ID:JAa6K.qM
- 神官「まず町の酒場へ行き、パーティを組みなさい」
勇者「はあ」
神官「その後、なにか困ったことがあれば私に相談しなさい」
勇者「は、はい、ご丁寧にありがとうございます」
神官「いやいや、この技を伝授し、一回でものにしたものは初めてでな」
神官「私も嬉しいのだ」
- 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:28:30 ID:JAa6K.qM
- ―酒場の前―
勇者「あ、僕まだ未成年だった」
勇者「……」
勇者「入っていいのかな」
勇者「いや……でも……」
?「ちょっと、酒場の前でウロウロされると邪魔なんだけど」
勇者「あ、すみませ……」
?「おら、入るならとっとと入れよ!!」
ドン
勇者「わ」
- 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:31:47 ID:JAa6K.qM
- ガヤガヤ
勇者「ああ、入っちゃった」
?「いいだろ入るくらい。用があったんじゃねーのか」
勇者「でも僕未成年だし」
?「あたしだってそうだよ。酒を飲まなきゃいいんだよ」
勇者「あ、あの、あなたは……」
戦士「ああ、あたしは戦士だ」
戦士「言っとくけどパーティーには誘うんじゃねえぞ」
勇者「え、どうして」
戦士「めんどくせーじゃん」
勇者「そんなあ」
- 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:35:02 ID:JAa6K.qM
- 勇者「え、と……どんな人がいるのかな」
勇者「あの、戦士さん」
戦士「んだよ。自分で探せよ」
勇者「でも僕ここ初めてで……」
戦士「とりあえず2階に行けば、ヒマそうなやつゴロゴロしてるから」
勇者「あ、ありがとうございます」
戦士「ったく……」
勇者「2階、2階っと」
戦士「……」
- 19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:45:13 ID:JAa6K.qM
- 勇者「うお、なんだここは」
ガヤガヤ
勇者「人がやたら多いな」
勇者「でも、なんかみんなだらけてるって言うか覇気がないっていうか」
主人「いらっしゃい」
勇者「あ、ども」
主人「仲間をお探しかい」
勇者「ええ、そうなんですが……」
勇者「なんかみんな元気ないですね」
主人「最近不況だからね」
主人「ちまちまモンスター狩って、その日暮らしの連中ばっかりさ」
勇者「そういうもんですか」
- 20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:52:51 ID:JAa6K.qM
- 勇者「今度魔王を倒しに出発することになったんですが」
主人「ああ、やっぱりあんた、勇者さまかい」
勇者「なんというか、諸事情で、僕の護衛になりそうなメンバーがほしいんです」
主人「そうだな……とにかく回復役の僧侶は必須だな」
勇者「僧侶ですね」
主人「あとは戦闘系で戦士や武闘家、それから魔法使い」
主人「旅を楽にするなら盗賊とか商人もお勧めだよ」
勇者「なるほど」
主人「ただし、いまどき魔王を倒しに行くっていう血気盛んな奴がいるかどうか……」
勇者「ですよね」
勇者「さっきも女の戦士さんに早々に断られました」
主人「ああ、あの目つきの鋭い…」
勇者「そうそう、性格のキツそうな」
- 21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 16:58:34 ID:JAa6K.qM
- 主人「あの戦士さんはお勧めだよ」
勇者「え、そうなんですか」
主人「かなり強いよ」
主人「結構魔王の城の近くまで行ったこともあるそうだ」
主人「まあだいたい飽きて途中で帰ってくるんだけど」
勇者「へえ~」
主人「あと胸がでかい」
勇者「あ、それは僕も見ました」
主人「もし一緒に旅をすることになれば……」
勇者「……色々とチャンスが!!」
主人「お勧めだよ」
勇者「ですね」ワクワク
- 22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 17:43:34 ID:JAa6K.qM
- 戦士「あたしがなんだって?」ギロ
勇者「!!」
主人「!!」
勇者「い、いや、なにも」
戦士「てめえら失礼なことばっか言ってんじゃねえぞ!!」
戦士の「まじんぎり」!!
カウンターは粉々になった!!
勇者の右足は砕け散った!!
勇者「うわああああああああああああああああああああ」
- 23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/25(日) 18:07:40 ID:JAa6K.qM
- 戦士「ったく、そういうことはあたしのいないところで言えよな」スタスタ
勇者「足が!! 足が!!」ヒィヒィ