1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/04/30(水) 18:27:58.89 ID:nmbmsLX+0.net
唯は、天を、仰いだ。
ギー太の弦買うためのお金、全部すっちゃったよ。

「武豊の7番さえ来てくれてたらなぁ」

外した馬券を眺めながら、トボトボと帰路につく。
馬単の7番一着軸。3,4,12への流し馬券。

「相手は来てるんだけど~」

沈みかけた夕日に透かして見たところで、当たり馬券に変わるはずもない。

「あーあ。もうちょっとだけ、古い弦で我慢してね。ギー太」

足元の小石を、ぽかり、と蹴り飛ばした。

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/04/30(水) 18:28:30.60 ID:nmbmsLX+0.net
「昨日のレース、どうだった?」

部室に入るなり、律が鼻息荒く話しかけてきた。
この様子だと、当てたんだろうな。うらやましい。
話すのが少し、億劫になる。

「ダメだったよぉ。相手は来たんだけど。……律ちゃんは?」

聞き返すのを、ためらった。
だって。どうせ、自慢話が始まるんでしょ。

「それがさー、唯!聞いてくれよ!万馬券取ったんだよ!万馬券!」

万馬券。100倍以上の配当の馬券を、俗称でこう呼ぶの。
一口100円の馬券が、1万円以上になるから、万馬券。

「えー!すごいじゃん、律ちゃん!詳しく聞かせてよ!」

本当は、少しも聞きたくなかった。

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/04/30(水) 18:28:37.97 ID:tVgOuIy50.net
500円で馬券買えるのか

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/04/30(水) 18:29:33.24 ID:nmbmsLX+0.net
「えー、であるからして……」

今週は、授業もずっと上の空だった。
だって、今週末は、G1のレースがあるんだもんね。
唯は机の下に隠して、スマフォをずっといじっている。
この時間なら、もう枠順も発表されてるはず。

「やった、私が推してる馬、内枠に入ってるよ」

思わず声が出てしまった。

「ん?平沢さん。何か言いました?」

歴史の先生が、不思議そうな顔でこっちを見ている。

「あああ、えーと!な、なんでもないです!」

ああそうですか、と言うと、先生はすぐに授業に戻った。
危ない危ない。競馬やってるなんてばれたら、停学になっちゃうよね、きっと。
唯は、先生が黒板の方を見ているのを確認してから、スマフォにまた、目を落とした。

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/04/30(水) 18:29:35.83 ID:Gc+rN0ur0.net
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