阿良々木暦「りつこドラゴン」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:39:03.82 ID:Jt/5r6cB0
- ・化物語×アイドルマスターのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは箱マス基準
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阿良々木暦「いおりレオン」 - 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:45:04.42 ID:Jt/5r6cB0
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001
かたん、ことん。
かたん、ことん。
規則性のある音と、心地の良い揺れで私の目は覚めた。
どうやら新幹線の中でうたた寝をしてしまったらしい。
少し焦って時計を見ると、時刻は記憶から五分程度。
よかった、寝過ごしたりはしなかったみたいだ。
とはいえ、例え眠ってしまっても隣に目的地が同じ人間がいる以上は、その可能性も低いだろう。
「……うぅん……」
「…………」
隣人も船を漕いでいた。
例え二人いようとも二人揃って寝過ごしてしまったら話は別だ。
しっかりしているんだか、いないんだか良くわからない人だなあ。
小さな溜息と共に自分の表情が綻ぶのを感じる。
でもこの陽気の中、呆れ返るほどのいい天気で眠気を倍増させる列車内――うたた寝のひとつもしたくなる、か。
これも旅の醍醐味と言えるのかも。
- 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:47:12.78 ID:Jt/5r6cB0
- そう、私、秋月律子は旅に出ていた。
有給休暇を利用した旅行だ。
本来ならば休む暇もないほど忙しい私の勤め先だが、社長が私は働きすぎだし有給は消化してくれないと困るよ君ィ、という恐らくは社長の気遣いのもと、こうして三日の休暇を取った。
働きすぎだとは思わないが、確かにここ一年、ろくに休みも取っていなかった気がする。
アイドル業に土日休みなんてありえないし、休みが不定期な以上、まとまった休日なんて夢のまた夢だ。
二連休? なんですかそれ? と皮肉を言いたくなるくらい。
でも私にとってもアイドル達にとっても、今が一番大切な時期なんだ。ここで踏ん張らなきゃいけない。
窓の外、滑っていく景色を眺めながら、日常との差異にちょっとした空虚感を覚える。
今日は確か雪歩がグラビア撮影だっけ。大丈夫かな、また緊張して現場に穴掘ったりしてないかしら。
あと伊織とやよいもラジオ収録が……あそこのディレクター、ちょっといやらしいのよね。
プロデューサーがついてるから大丈夫だとは思うけど、心配になってきた。今からでも遅くはないし、対策を電話で――。
……ああ、駄目駄目。
休みの日まで仕事のことを考えていたらまた彼に仕事人間なんてからかわれてしまう。
仕事人間、なんてのは身を粉にして働くことこそ美徳、とされた古き良き日本の就業態勢に対する嫌味がたっぷりと込められた言葉だが、私自身がそうは思っていないからいいのだ。
これは私の夢なのだから。
私の夢くらい、私が応援してあげないで誰が応援するんだ。
夢を夢のままで終わらせない事が、私の唯一の生き甲斐なのだから。
それに彼のことも少しは信頼してあげなくちゃいけないよね。
- 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:49:52.52 ID:Jt/5r6cB0
- けれど彼は、私を完璧超人か何かかと思っている節がある。
事あるごとに秋月がいれば安心だ、秋月に任せておけば大丈夫、と口癖のように言う。
そりゃあ、信頼されていること自体は嬉しい。
嬉しいけれどそれにしたって限度はあるし、それに何より彼にそうやって頼られても、何処か馬鹿にされている感が否めないのだ。
……単純に私の被害妄想かも知れないけれど。
彼の名は阿良々木暦。
今年の春、新卒プロデューサーとして我が765プロダクションに入社。
出身はかなりの地方、家族構成は両親に妹が二人。
彼が只者ではないことは入社以前に知っていた。
今年の春、ようやく気温も安定して暖かくなって来た頃の話。
765プロの所属アイド ルである天海春香に異変が起こっていて、それを彼が解決した――という運びで入社に至ったのだが、正直言って最初は胡散臭い宗教勧誘か何かかと思ったくらいだ。
彼でなくともいきなり事務所に現れておたくのアイドルに悪霊が憑いていますよ、なんて言われたら悪徳セールスか宗教くらいしか思い付かない。
そこはまあ彼も自分で自覚していたところだし、許してもらおう。
ともかく、私の彼に対する第一印象は『変な人』だった。
だった、と言うか今でも変だと思っている。
伊織に小学生レベルのいたずらをしたり、仕事中にも関わらず亜美と真美と一緒になって全力で遊んでいたりと、彼なりのアイドルとのコミュニケーション方法なのかも知れないが私には到底理解出来ない。
どんな時でもおちゃらけていて、はっきり言って鬱陶しいと感じることすらある。
けど――どこか憎めない人。
- 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:51:35.85 ID:Jt/5r6cB0
- 悪口ばかりでは流石に可哀想なのでいいところも紹介しておくと、彼はとにかく一途だ。
彼の入社当時は私が教育係として研修に当たったのだが、どんな事でも一度教えた事は何度失敗しようとも成功させる。
最初はプロデューサー業なんてすぐに音を上げて辞めてしまうだろう、と思っていたくらいだったが、今やまだまだとはいえプロデューサーとして形にはなって来ている。
半年で仕事も人並に取れるようになって来た。成長のスピードとしては断然早い方だ。
そんな彼が765プロに来てから、アイドル達にも変化があった。
春香を初めとした『怪異』という存在だ。
怪異。怪しく、異なるもの。
二十年弱生きてきて全く縁のなかった言葉だったが、彼と出会うことで私はその存在を知った。
どうやら彼は怪異を通して他人と関わる星の元に産まれたようだ。
春香の後も私の与り知らない場所でアイドル達は怪異と出会ったらしい。
それ自体は決して褒められた事ではないが、概ね結果オーライとなっているあたりが彼らしいと言うか何と言うか。
こちらとしては呆れるばかりだが、彼を見ていると世の中にはそういう、決して普遍的なルールに当てはまらない生き方をする人間が本当にいることを思い知らされる。
これでは彼が疫病神みたいなので一応フォローしておくが、彼が来たことにより決して悪いことばかり起こっているわけではない。
仕事も難なくこなすようになってくれたお陰で私と音無さんの負担もかなり軽くなったし、春香も彼がいなければ最悪、今頃アイドルをやめていた可能性だってある。
異性ながらアイドル達ともいい友好関係を築けているようだし。
本人の言によると女の子と仲良くなれるのは僕の自慢できるふたつの特技のうちのひとつだ、との事だ。それも特技としてはどうかと思うけど。
ちなみにもうひとつは数学らしい。
どちらも人生においてそこまで役に立たないあたり、またまた彼らしい。
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:54:25.04 ID:Jt/5r6cB0
- さて、ここからが今回の本題だ。
彼も765プロのアイドル達が軒並み怪異に巻き込まれているのは自分のせいだと思っており(本当かどうかはわからないが)、私にも忠告してきたのだ。
秋月、お前にも怪異の手が及ぶ可能性がある。
だからくれぐれも気を付けてくれ――なんて。
おまけに秋月なら大丈夫だよな、なんて根拠も何もない信頼を押し付けて。
私を何だと思っているのだろう。
私は、貴方が言うほど強くない――。
「秋月さん、大丈夫?」
先程まで眠っていた同伴者がいつの間にか起きていたらしく、私の顔を覗き込んできていた。
いきなり現れた、均整の取れた年齢の割には童顔な彼女に少し見惚れる。
彼女の名前は羽川翼。
本名かどうかも定かじゃないけれど年齢は私より少し上。
外見だけなら高校生でも充分に通る。
綺麗だよね、彼女……うちでアイドルやってくれないかな。
スタイルも抜群だしあずささんと貴音とユニット組ませれば無敵艦隊とも評せる程になるだろう。
「なんか、すごい顔してたよ?」
「あ、ええ、ちょっと考え事を」
だから駄目だって。ああもう、プロデューサーのせいで変な語彙も増えてきちゃってる。
よくない、良くないぞ私。
「もう、眉間に皺寄せてたら跡になっちゃうよ?」
せっかく美人なんだから、と私の額を指先でちょん、と突つく。
何というか、掴めない人だ。
いつも通りの私を打ち破ろうと、成り行きで行き先が同じだった彼女と同伴することになったけれど……早計だったかな。
でも、何となく彼女と話をしたかったのは事実だし――。
え、と。
何だっけ?
ああそう、怪異がどうこう、って話だ。怪異に憑かれる可能性があるから気をつけろ、という彼の助言。
だけれど、そんなもの、プロデューサーに心配されるまでもない。
いや、正確にはもう手遅れなのだ。
だって私は、とっくの昔に怪異に取り憑かれていたのだから。
- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:56:15.20 ID:Jt/5r6cB0
-
002
彼女、羽川翼さんと同行することになった経緯について、少しだけ回想に時間を割こう。
大丈夫、それはすぐに終わるくらいにあっけないものだったから、一瞬だけ耳を傾けてくれればそれでいい。
「旅は道連れ、って言うじゃないですか。
私、これでも世界中を回っているんです。旅に関してはちょっと自信があるんですよ」
これだけだ。
本当にこれだけだったのだ。
平日の昼間、地方に向かう指定席なんていうのはガラガラなものだ。
その中で偶然、隣に居合わせたのが羽川さんだった。
長時間隣に座っているのも何処か気まずい――そんな不要な気遣いを私がし始めた頃に、羽川さんは私の心を見透かしたかのように話しかけてきたのだ。
『何処に行かれるんですか?』
と。
列車内で何処に向かっているのか、という話題はごく自然なものだろう。
その会話の末、またしても偶然に私と羽川さんは同じ場所へと旅行へ行く途中だったということが判明し、そして私が了承した、という流れだ。
私は彼女の言う旅のこつ、知識のような『形の不確かな価値のあるもの』が好きだ。
知的財産、のようなものだろうか。
決して形としてこの世に現れることはないけれど、持っているだけで役に立つ――みたいな。
そんな彼女に惹かれたというのも大きな理由のひとつだが、普段なら絶対しないような見知らぬ人との旅は、規則の遵守と緻密なスケジュール通りに動かなければならない私の日常を壊してくれるようで心を揺さぶった。
簡単に言えば、わくわくしたのだ。
それに、彼女とは初見で話をしてみたかった――というのが正直なところだ。
何故かと問われると、それは奇々怪々、摩訶不思議な現象――彼の言うところの怪異絡みになるのだけれど。
- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/30(水) 19:58:18.49 ID:Jt/5r6cB0
- 「羽川さん、お仕事は何をなさっているんですか?」
失礼でなければ、と付け足して聞いてみる。
先ほど世界中を回っている、と言っていたから国際関係の仕事だというのはわかったが、詳細はまだわからない。
見た感じでは外資系のOL、という感じでもないし……イメージとしては翻訳家や科学者、というところだろうか。
「んん、私は……そうだね、言うなら何でも屋、かな」
「……何でも屋?」
「うん、NGOに所属しててね。発展途上国で難民キャンプで支援活動をしたり、あとはアマゾンで自然保護とか、奉仕活動とか……まあ、他にも色々と」
この間テロリストに銃を向コメント一覧
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- 2014年04月30日 22:09
- やっとキター!と思ったら律子かよ!じだんだ踏んだわ!
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- 2014年04月30日 22:33
- ※1なんでや!りっちゃんかわいいやろ!
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- 2014年04月30日 22:37
- りつこドラゴン超強そう(小並感)
もうあと数人か…
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- 2014年04月30日 22:43
- 羽川さんだぁ!羽川さん!…次は誰だろ?
-
- 2014年04月30日 22:45
- 俺得!
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- 2014年04月30日 22:57
- 響、春香、雪歩、小鳥さん?
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- 2014年04月30日 23:02
- ドラゴンフライーエビフライで律子ドラコンか。
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- 2014年04月30日 23:19
- あと残りは雪歩と響、春香か。
元から怪異ぽいのが残ったなぁ。
尋常じゃない勢いで穴が掘れるとか動物の言葉がわかるとか箱を空けるとフタで顔を強打するとか。
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- 2014年04月30日 23:24
- あれ猫、阿良々木君にいつの間にか毒された?
つか羽川さん日本に戻っていらしたのですね
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- 2014年04月30日 23:39
- こういう恋愛絡みクロスは荒れそうだが
コメント自体少ない
アイマス側の人達はスルーしてんのか?
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- 2014年04月30日 23:47
- 扇ちゃんがバイロケーションってしっくりくるな
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- 2014年05月01日 00:00
- ※10
中の人の人気があるからクロス先でモテモテでも許されるんじゃないの?(適当)
キャラ本人の良さとかよく分からんし
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