桜前線北上中金糸雀失踪中
- 394 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:32:00 ID:2E53u8DY0
- 真紅「うがあああああああっーーーーーーーーーーー!」
翠星石「し、真紅!?」
雛苺「どうしたのよ? 突然、叫んだりして!?」
ジュン「昔の恥ずかしい記憶でもフラッシュバックしたのか?」
真紅「違う! これを見てみなさい!」バッ
翠星石「お? ヨーグルトですね」
雛苺「450g入りの大きいヨーグルトなの」
真紅「オヤツに食べようと思って買ってきたのよ! それを今、開けたら…!」
ジュン「虫でも入ってたか?」
翠星石「だったらラッキーじゃねーですか。アサリに小さなカニさんが入ってたようなもんですぅ」
ジュン「……」
雛苺「うぃ。当たりなのよね。タンパク質が多めに摂れるのよ(※)」
※薔薇乙女の食生活はグローバルなので虫も基本的には食材扱い
- 395 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:34:03 ID:2E53u8DY0
- 真紅「そういうわけじゃあない! よく見なさいよコレぇ! 砂糖が付いてないでしょ!!」
翠星石「え? ああ、そう言われればそうですね」
ジュン「最近、健康志向でそういうヨーグルト増えたよな」
雛苺「それがどうかしたのよ?」
真紅「『どうかしたのよ』ですって!? 馬鹿言わないで頂戴! 砂糖のついてないヨーグルトなんて
三つ葉のない親子丼! 私のいないローゼンメイデンみたいなものじゃない」
ジュン「ああ、そう…」
翠星石「砂糖が欲しいんだったら台所から取ってくればいいじゃねーですか」
真紅「だまらっしゃい! うちの砂糖って、のりがこれまた変に健康志向だから
ちょっと茶色くてあんまり甘くもない砂糖しかないじゃない!」
ジュン「精製度が低い砂糖だったっけ? その分ミネラルとか豊富な…」
真紅「私はガチガチに高度に精製された真っ白な砂糖…グラニュー糖が欲しいのよ!
むしろ、それ目当てでこのヨーグルトを買ったといってもいい! なのにッッ!!」
雛苺「砂糖が付いていないことを確認せずに買った真紅がうっかり屋さんなだけなの」
真紅「私を舐めないで頂戴、雛苺。当然、私はヨーグルトの容器の外部表示を
舐めるように見回して確認した。むしろ実際にはちょっと舐めて店員さんに怒られた」
翠星石「……」
- 396 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:38:28 ID:2E53u8DY0
- 真紅「そして、どこにも『砂糖は付いてません』と書かれていないことを確認してから買ったわ!」
ジュン「でも、砂糖が付いているとも書いてなかったんだろ?」
真紅「隣に並んでいた同じメーカーの別タイプのヨーグルトには『砂糖は付いてません』と書いてあった!
ならば何も書いていなかったこっちのヨーグルトには砂糖が付いていると思うのが人情じゃなくて!?」
翠星石「そう言われればそうかも知れねーですが」
雛苺「でも、それだけのことで真紅は怒りすぎなの」
ジュン「まったくだ。そのヨーグルト食べて乳酸菌でも摂って落ち着け」
真紅「これが落ち着いていられるものですか! 怒りよ! もう怒りしかない!!
乳酸菌ごとき下等生物に私の怒りが鎮められるわけがない!!」
翠星石「ぬううっ! 真紅が猛っているですぅ! これほどの怒りっぷりは
KT(くんくんタイム)を邪魔された時と匹敵するやもしれんです」
真紅「ぬおおおおお! 敢えて言わせて頂戴! ゼア・イズ・アンガー・オンリー! 怒りしかないと!」
翠星石「鎮まれ! 鎮まりたまえですぅ! なぜ、そのように荒ぶるのですか真紅」
ジュン「つまらないことで、本当にすぐ怒りが頂点に達するよな真紅は…」
雛苺「格ゲーだったら、超必殺技を打ちたい放題なのよね」
真紅「このやり場のない怒りを誰にぶつければいいというの!?」
翠星石「いつものようにチビ人間にぶつければいいじゃねーですか」
雛苺「うぃ、スネを蹴るなり、わき腹を殴るなり好きにすればいいのよ」
ジュン「ちょっ!? お前ら…!?」
真紅「それもそうだわね」キュピーン
ジュン「あわわわわわ…」
- 397 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:41:00 ID:2E53u8DY0
- 蒼星石「どうも僕です!」ガチャッ
真紅「えっ!?」
ジュン「ああっ? そ、蒼星石!?」
雛苺「蒼星石がジュンの机の引き出しからドラえもんみたいに出てきたのよ!」
翠星石「最近、そんな登場の仕方が多いですね。気に入ったのですか蒼星石?」
蒼星石「まあ、それもあるけど。薔薇屋敷とnフィーを介した通路が…」
真紅「理由は別にどうでもいいわ。それより何の用? 蒼星石?」
ジュン(…ほっ、蒼星石の唐突な登場のお陰で真紅の怒りが逸れたぞ)
翠星石(真紅の熱しやすさ冷めやすさは異常ですからね)
- 398 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:47:26 ID:2E53u8DY0
- 蒼星石「…みんな金糸雀のことを忘れたわけじゃないだろう?」
雛苺「かなりあ…?」
翠星石「何だか微妙なキャラの名前を出してきたですね」
真紅「雑誌企画で募集された第8ドールのこと?」
蒼星石「それは珪孔雀。僕が言っているのは正真正銘第2ドールの金糸雀だよ」
翠星石「おーおー、そう言えばいたですねぇ、そんな奴も」
真紅「その金糸雀がどうかした?」
蒼星石「…数週間前、強風の中でお花見を単独強行して飛ばされてしまって
以来ずっと行方不明だと言ったのは君達じゃないか」
翠星石「そうだったっけですぅ?」
雛苺「そろそろ台風にでも乗って帰ってきそうなのよね」
真紅「そんな昔のことは覚えていないわ。いつだって大切なのは明日に繋がる今日だけ。
今を精一杯頑張った者にのみ明日はやってくる。そうよ、明日って今よ」
蒼星石「ともかく、いくら空気の金糸雀とは言え、あまりに消息不明なのは心配だ」
ジュン「確かに。みっちゃんさんも気が気でないんじゃ?」
蒼星石「みっちゃんさんのところには、槐先生が作った『かなっしー着ぐるみ(※)』を
おっ被った雪華綺晶が金糸雀の身代わり役になっているから大丈夫」
※薔薇水晶用のばらっしー着ぐるみに続いて製作された金糸雀に似せた着ぐるみ
- 399 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:49:08 ID:2E53u8DY0
- 真紅「着ぐるみなんかを、みっちゃんさんは金糸雀だと信じているの?」
蒼星石「細かい差異は雪華綺晶が幻術でみっちゃんさんを騙しているから大丈夫」
翠星石「本当に大丈夫なんですか、それで…?」
ジュン「しかし、雪華綺晶も最近見かけなかったのはそういう理由でか」
真紅「と言うか、この機に金糸雀のポジションを奪う気じゃなくて、白薔薇は?」
蒼星石「さあ? 雪華綺晶の目的はいつもよく分からないしね。
ただ、金糸雀の立ち位置に奪いたくなるほどの価値があるかは疑問だ」
雛苺「それもそうなの」
蒼星石「話を戻そう。何であれ、そろそろ本腰を入れて金糸雀を探さないといけない」
翠星石「そうですねぇ。あんなボンクラでもローザミスティカ…お父様の心の欠片を受け継いでいるですし」
真紅「金糸雀はどうでもいいけど、確かにローザミスティカは惜しい」
ジュン「金糸雀をボロクソに言いすぎだろ。大体、真紅はアリスになった時に
姉妹の誰も置き去りにしないことを究極の少女の願いとして…」
真紅「馬鹿ねジュン。地球が丸い限り、どれだけ離れ離れになっても
誰かを独りぼっちで置き去りにしたことにはならない」
雛苺「わぁっ、真紅は優しいの~」
翠星石「詩人ですねぇ」
蒼星石「ああ、僕達はこういった感性…感じる心こそ大事にしなくちゃ」
ジュン「てめえら…」
- 400 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:50:39 ID:2E53u8DY0
- 翠星石「さてさて、それはそうとしてカナチビを探すこと自体については私達も異存はねーですよ」
真紅「ええ、ちょうど暇だったし」
雛苺「けど、どうやって探すの~? カナがいなくなってから
かなり時間が経っているの。くんくん探偵でも手がかりがつかめそうにないわ」
蒼星石「ぶっちゃけると、金糸雀の居場所の大体の位置は分かっている」
ジュン「え?」
蒼星石「この間、朝のテレビで全国の桜の開花の模様を伝えるローカル番組の特集があった時に
金糸雀がそれらの番組で映された画面の隅に、いちいち登場していたのが見えた」
雛苺「うゆゆ? それってどういうことぉ?」
蒼星石「つまり金糸雀は何を思ったのか桜前線の北上を追いかけて日本列島を縦断しているらしい」
翠星石「なんですとーっ!?」
真紅「よほど桜の持つ魅力に惹かれたのか、死ぬほどの暇人なのかのどっちかね」
翠星石「春の陽気で浮かれたタダの馬鹿という可能性もあるですよ」
蒼星石「僕としてもタダの馬鹿である線が最も高いと見ている」
ジュン「見ちゃってるのかよ」
- 401 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:53:45 ID:2E53u8DY0
- 雛苺「でもでも、桜前線を追いかけるなんて金糸雀は凄いのよね!」
蒼星石「いや、桜前線の北上するスピードは平均すると、人間の赤ちゃんがハイハイする程度の早さだ」
真紅「あらまあ、日本列島を南から北までハイハイで、それは凄い赤ちゃんね」
蒼星石「え? あ、これは物の喩えで…まあ、いいか、細かいことは。それよりも問題なのは…」
ジュン「問題なのは?」
蒼星石「…金糸雀をテレビで見つけて以来、僕は各地のローカル番組の桜の開花特集を
チェックして彼女の動向を探っていたんだが、とある北国を最後に忽然と金糸雀の姿が
うちのブラウン管…じゃなかったハイビジョンプラズマ液晶画面に映らなくなった」
ジュン「ああ、そう…」
翠星石「ふむ、それは奇妙ですね。あの目立ちたがりの
カナチビが突然テレビカメラに紛れ込むのをやめるとは…」
真紅「何か事件にでも巻き込まれたのかしら?」
雛苺「急に心配になってきたの」
蒼星石「というわけで、前置きはこれぐらいにして金糸雀を探しに行きたい。最後に彼女がテレビ画面に
映った地域は特定できている。その周辺から、さらに北に移動しながら探せば見つかるはずだ」
翠星石「しかし北国はちょっと遠いですね。どうやって行くんです?」
雛苺「新幹線!? 新幹線乗るのよね! わぁい! ヒナ新幹線に乗るの久しぶりぃ!」
蒼星石「うん、新幹線を使いたいが目的地までのチケットは一人分しかない」
真紅「ええッ!? ということはそのチケットをめぐって第二次アリスゲーム勃発!?」
蒼星石「違うよ。そこでジュン君にお願いだ」
ジュン「すっげー、ヤな予感…」
- 402 :名無しさん@避難中:2014/05/01(木) 21:56:57 ID:2E53u8DY0
- §数時間後・北国のとある辺鄙な田舎の無人駅
ジュン「はぁー…っ! はぁーっ! も…う駄目! 死ねる…」グッタリ
真紅「情けない。私達四人が入ったザックを背負って歩いただけでしょ」
雛苺「うぃ。それも駅の乗り換えとかだけのちょっとした距離なの」
翠星石「狭いザックの中にずっと押し込められた翠星石達の身にもなってみろですぅ」
蒼星石「新幹線の自由席の車両では、お客さんが他にいなかったから
君達はザックの外に出ていたじゃないか。それも車内清掃員の真似して遊んで…」
翠星石「うっ…! そ、そ
- :-:2014/05/02(金) 10:31:35
- わきまえる・・・か
なんというか、こう、金糸雀のお姉さんであって妹である感性っていいよなあ
- :-:2014/05/02(金) 11:51:17
- 金糸雀メインは本当に面白い
というかきらきーポジション狙ってたのかwwww
- :-:2014/05/02(金) 11:52:33
- タイトルは死刑執行中脱獄進行中 からかな?
- :-:2014/05/02(金) 14:06:08
- >>ゼア・イズ・アンガー・オンリー!
くるぞ、くるぞ、と思っていたら やっぱりきたw
まいてはいけない~ も読んどくもんだなぁ
- :-:2014/05/02(金) 19:33:25
- カナマジプリティ
- :-:2014/05/02(金) 20:08:03
- ローゼンはよく知らないけど、ド外道の赤いのより黄色い次女が頭よさそうでぷりちーかしら
- :-:2014/05/02(金) 20:37:46
- >そんな昔のことは覚えていないわ。いつだって大切なのは明日に繋がる今日だけ。
>今を精一杯頑張った者にのみ明日はやってくる。そうよ、明日って今よ
怒涛の名言ラッシュだなw
- :-:2014/05/02(金) 21:10:23
- 赤い人の言う人は綺麗過ぎてうさんくさいんだよな・・・やっぱ小汚い銀色が一番やな!
- :-:2014/05/02(金) 23:13:12
- 久々のローゼン更新!!と思いきや、更新停止宣言…
4日間とは言え寂しいな。
ヨーグルトにグラニュー糖がつかなくなったって、結構前の話じゃなかったっけか?
普段買わないからよく知らんけど。
- :-:2014/05/02(金) 23:26:58
- 今回は比較的山ナシなお話だったな
もっとカナマジプリティーな冒険譚を期待してたので、ちょっとだけ残念
- :-:2014/05/02(金) 23:32:01
- >>私はガチガチに高度に精製された真っ白な砂糖…グラニュー糖が欲しいのよ!
が「ガチムチ」に見えたのはここがSLPYだから