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佐天「『時を止める能力』、かあ……」 佐天涙子の奇妙な冒険|エレファント速報:SSまとめブログ

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佐天「『時を止める能力』、かあ……」 佐天涙子の奇妙な冒険

1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:27:28.83 ID:6ZnYvtEg0

ジョジョととあるのクロスです。

何番煎じかは知りません。

独自解釈、亀更新。

世界観やキャラ設定などに度々矛盾が生じると思いますが、ご勘弁を。

ジョジョ、とあるの純粋なファンは、そっ閉じを……。



2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:32:07.57 ID:6ZnYvtEg0

怖い、怖いよ。
 
部屋の中で、あたしは一人、膝を抱えて座っていた。身体が震える。嗚咽が溢れる。

部屋の電気は消してある。視界を少しでも暗くさせるために。

なんでこんなことになったんだろう。これは、なにものねだりをした、あたしへの罰なんだろうか。


ヴー、ヴー。


携帯のバイブが、ずっとなりっぱなしだ。見なくても分かる。あたしの一番の親友が、何度も何度も、寝る間も惜しんで掛けて来てくれているんだろう。



3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:32:37.65 ID:6ZnYvtEg0

 でも、駄目だよ。

 あたしに構わない方がいいよ。

 あんたまで取り憑かれちゃうよ。

 ここって、科学の街じゃなかったの?

 どうして、こんなものが見えるのだろう。


佐天「助けてよ……誰か」



4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:33:47.98 ID:6ZnYvtEg0

――【一週間前】。



佐天「もう夏休みだってのに、初春は今日も仕事大変だねえ」

初春「休みに入ったからって羽目を外すおバカさんが多いんですよ。おかげで連日かり出されます」

佐天「あ~あ、折角初春と一緒に行けると思ったのに、一人じゃつまんないよ」

初春「すいません、こればかっかりは……」

佐天「あ、違うよ、別に初春を責めている訳じゃないって」

初春「ふふ、分かってます。私の分も、楽しんで来て下さいね」

佐天「ん~、でも楽しむって言っても、そうそう楽しむ場所も無い所なんだけどね……」


――そう、これは【一週間前】の出来事。

このあたし、佐天涙子が出会う、奇妙な冒険の【序章】(プロローグ)ッ!



5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:35:24.44 ID:6ZnYvtEg0

◆   ◆   ◆



あたしが訪れたこの町、『杜王町』はM県S市、紅葉区にある、特に変わった部分は無い、『普通』の町だ。けれどいくつか有名と言えば有名な場所もあり、観光地として、マイナーな人気を誇っているらしい。

年間に訪れる旅行者は、20~30万人。そのうちの一人にこのあたしも入ることになった。
今時の女子中学生であるあたしが、この、一見派手でも何でも無い、『町』へ訪れたのには、勿論『理由』がある。

それは、いつものように、ネサフして、見つけた『噂話』の一つ。

――杜王町では、『奇妙な』事件が相次いでいる。その記事何となく気になって、あたしは調べてみた。

驚いた、確かに『奇妙』としか言えない事件が度々起こっている。全国平均より五倍の行方不明者。目や耳の内部が破壊されて死亡する変死事件。
けれど、あたしが何より心を奪われたのは、それらの『現実的』な記事よりも、もっとゴシップめいたもの。



6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:36:50.31 ID:6ZnYvtEg0

曰くそれは、『どんな傷でも治す男』だったり、『物体を重くさせることが出来る少年』だったり、『時を止める男』だったりした。

佐天「『時を止める能力』、かあ……」

勿論完全に信じたわけじゃあ決してない。けれど、学園都市に見放された、レベル0のあたしには、とても、とても魅力的な話だった。

なんせここは『学園都市』じゃない。もし、もしも、もしもこの人たちが実際に『居るの』であれば――、あたしも、不思議な力を持つことが出来るんじゃあないだろうか。

そんな、あたしの幻想が、自然と夏休みの旅行先を『ここ』にしていた。


お洒落な外観の住宅街に、聴こえる列車の音。うーん、まるで外国に来たみたい。
空も青いし、今日はいいことがありそうだ。



7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:38:10.53 ID:6ZnYvtEg0

佐天「杜王町か……結構いい所かもね。うん、プチ旅行には丁度いいかも」

そう一人呟いてあたしは地図を広げた(駅前の売店で買ったものだ)。

佐天「あれ、でもどうしよっかな。よくよく考えるとあたし地図なんてあんま見ないし……。というかここが現在地で、あれ、どっち向きに歩けば……きゃっ!」

「わっ!」

どしん、と誰かにぶつかる。ああ、地図が飛んでっちゃった。

「ご、ごめん、余所見してた……」

佐天「い、いえ、あたしの方こそ地図見ながら歩いていたから……」

前言撤回、今日はなんかツイてないかも。



8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:39:04.25 ID:6ZnYvtEg0

あたしに手を差し伸べてくれたのは、まだ中学生かなあー? と思うような、幼さが見られる少年だった。ってあたしも同じ中学生だけどさ。

「ごめんよ、大丈夫かい?」

佐天「う、うん、大丈夫。ああ、でも地図飛んでっちゃったかあ……」

「はい、これ」

佐天「えっ、嘘! これあたしの地図?」

 信じられない、だって空高くに舞い上がったように見えたのに。

「すぐに落ちて来たんだよ、君、観光客かい?」



10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:41:18.25 ID:6ZnYvtEg0

あたしがこの町に来て、最初に出会ったこの町の住人は(駅の売店員は数えない)、名を『広瀬康一』と言って、この町のぶどうヶ丘高校に通う高校一年生(なんとビックリ年上だったのだ!)だそうだ。
町を観光するならと、親切に道案内をしてくれ、数カ所の観光地を巡った後に、二人でカフェで休憩していた。

佐天「いやー康一さんに会えてよかったですよ! なんせ一人旅なんて初めてだから……」

康一「そんな、でも中学生で一人旅なんて凄いねぇー。でも、なんだってここに? 観光地なら他にもいっぱりあったと思うけど」

佐天「あ、そうだ、まだあたしがどこから来てたか言ってなかったですね。あたし、『学園都市』から来たんです」

康一「学園都市!? 凄いや、あの未来都市から来たのかい?」

佐天「あっ、やっぱり外でも有名ですよね」

康一「じゃ、じゃあ君も『能力』を――」



11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:42:29.93 ID:XvaCv/i/o

4部と5部の間?



13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:45:04.78 ID:6ZnYvtEg0

>>11
そうです、そのくらい、どっちかと言うと、4部が終わってすぐぐらいと考えて下さい。



12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:42:36.39 ID:6ZnYvtEg0

そう康一さんが言いかけて、途中で言葉を切ったのは、あたしの『表情』がとても分かり易かったからのだろう。
 
あたしは俯いて口をつぐんだ。

康一「そっ、そっか、確か『誰にでもなれる』んじゃないんだよね、ご、ごめん」

佐天「いえ、いいんです、これも才能なんですから」

才能、才能。あたしはこの言葉が嫌いだ。けれど、多分この言葉を誰よりも使っている。きっと、他の誰よりも。そして、それを逃げの言い訳にして。

ああ駄目だなあ、負のスイッチ入っちゃってるよ。いかんいかん、あたしゃここに『希望』を見つけに来たんだから!

佐天「ま、まあそれはそれとしてですね!」

康一「う、う、うん」

佐天「あたしがここに来たのは――」



14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:49:27.86 ID:6ZnYvtEg0

「おお~い、康一じゃあねえ~かぁ!」

「お前も相変わらず学生服なんだなぁ~」

佐天「イッ! 不良!?」

康一「あ、億泰くん、仗助くん!」

佐天「あ、知り合いですか?」

康一「うん、ぼくの友達だよ」

そう言って紹介されたのは、康一さんと同じ高校に通っているらしい、『東方仗助』、そして『虹村億泰』と言う二人だった。

しかしまた古風な不良だなあ……。学園都市にも不良は大勢居るけど、こんなの見たの初めてだよ。

特に仗助さん、すごい頭してるな、似合ってるけど。



15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:51:47.41 ID:6ZnYvtEg0

億泰「ところでよぉ~康一。オメー由花子が居るってぇ~のに、こんな所で女の子と二人でお茶してていいのかよぉ」

康一「ばっ、馬鹿なこと言わないでくれよ億泰くん! 僕は彼女に観光名所を案内してただけさ!」

仗助「わーってるよ康一。お前が浮気なんてするような男じゃねえーってのはよく分かってるさ。けど由花子の奴にみられたら、危ないのはそっちの子だぜ」

康一「う、た、確かに……」

佐天「あ、康一さん彼女持ちだったんですね。ちょっとショック……かな?」

康一「えっ、そ、そんなっ! ご、ごめん、でも僕には好きな人が居るからごめんっ!」

ありゃま、冗談で言ったのに。真面目な人なんだなあ。

億泰「康一~! なんで毎回毎回オメーばっかモテるんだよぉ~ッ! しかもこんな美少女によぉ~!」

仗助「泣くこたねえだろ、億泰」

佐天「あはは、面白い人たちですねー」



17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/20(木) 16:54:36.67 ID:6ZnYvtEg0

仗助「改めて、俺は仗助、よろしくな」

億泰「俺は億泰だぜ」

佐天「はい、あたしは佐天涙子です、よろしくお願いします!」

旅先で出会ったこの三人。見知らぬ地で出来た、友人たち。けれど、この『三人』と出会うことで、あたしの『運命』が大きく変わることは、まったく……予想していなかった。

そして、その根幹を大きく担う存在、

「ン、仗助たちか、賑やかだな」

仗助「あ、承太郎さんっ!」

承太郎「久しぶりだな」

後に知る、『時を止める男』、空条承太郎との出会いも、ここから始まった。



  /└────────┬┐
 < To Be Continued...   |
  \┌────────┴┘



29:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/21(金) 00:56:17.13 ID:MvpxPtVS0

億泰「承太郎さん、久しぶりっスねえ~っ……てほどでもないっスかね? どうしてまたここに?」

億泰さんが『承太郎さん』と読んだその男性は、190以上はありそうな身の丈で、おまけにプロレスラーみたいにがっちりした体格だっていうのが、厚手のコートの上からも分かった。
けれど不思議と怖いと言う感じではなく、なんと言うか……『荘厳』、と言う言葉が真っ先に浮かぶような、まるで山みたいな、静かな強さと知性を感じさせた。

佐天(でも今夏なのになんでこんなコート着てるんだろ……)

承太郎「ン、いや、ちょっと『調べ物』でな……。ところで、その子は何だ?」

佐天「あ、あたし佐天涙子と言って、今日この杜王町の観光に来た女子中学生です!」

承太郎「……悪いが、ここに何があるか見えるか?」

そう承太郎さんは空中――自分の背を指差した。別に変わったところは無いけど……。



30:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/21(金) 00:57:24.16 ID:MvpxPtVS0

佐天「え、えと、景色が見えます」

承太郎「そうか、なら」