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阿良々木暦「ひびきマーメイ」|エレファント速報:SSまとめブログ

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阿良々木暦「ひびきマーメイ」

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/07(水) 19:32:32.18 ID:EqIdRmm40

・化物語×アイドルマスターのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは箱マス基準


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5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:41:15.18 ID:EqIdRmm40



001


アイドルをひとつの職業としてカテゴライズするとして、業務内容を端的に表すとすれば、歌って踊る、というのが僕の個人的なイメージだった。
だった、と過去形なのは実際にアイドルの仕事に関わって認識を改めたからだけれども、一般的な認識もそんなに遠くはないのではないだろうか。
とにかくアイドルはその可憐な容姿とキュートな立ち振る舞いで男性を癒し、美麗な外見と華麗なダンスで少女に夢を与えるのだ。

そしてまた今日も僕はそんなプリティなアイドルたちをサポートするために全力を尽くすのである。
それはあくまでも仕事だからであり、彼女たちは僕が育てた、とドヤ顔で妹たちや友人に自慢する日を迎える為では決してない。
彼女たちのためにも今日という日 を頑張ろう。

今日は専属契約を結んでいるトレーニングスタジオへと様子を見に来ていた。
今日は我那覇、星井、四条の三人がいるはずだ。
あの三人は以前同じユニットを組んでいたためか、わりかし一緒にいるのをよく見る。

「おはようございまーす」

「おっ、プロデューサー! はいさーい!」

「おはようございます、あなた様」

「おはよう、我那覇、四条」

芸能界は例え深夜でも挨拶はおはようございます、だ。

……って、予定より一人足りない。

「……星井は?」

「更衣室で寝てるぞ」

「いや、お前らも止めようぜ……」

「美希は一回寝ると中々起きないからなー」



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:42:52.24 ID:EqIdRmm40


それには同意だ。
一度熟睡した星井を起こすのは中々に骨なのだ。
とにかく起きない。寝てすぐ、それこそ十分以内くらいなら眠そうながらも起きてくれるのだが、十分を超えるとその先二時間はすぐ横に隕石が落下しても起きないんじゃないか、ってくらいに起きない。
星井を起こすなら十分以内。この鉄則を発見した双海姉妹は『ミキミキの法則』と名付け765プロに広く頒布した。
今度学会で発表するらしい。
星井を一回できっちり起こせるのは世界広しと言えど秋月くらいのものだろう。
いや、あれは起こすと言うよりも連行するって感じだけれど。
僕は星井を起こすのに必要であろう労力に見合った分の溜息をつく。

「仕方ない、僕が起こして来よう」

「ご武運を」

「がんばってなー」

他人事かよ。

さて、星井を起こすという大仕事に取り掛かる訳だけれども、ここで僕がハーレム系ラブコメ主人公であれば、更衣室を開けた途端に星井が着替え中で、あまつさえ『キャー! 阿良々木さんのエッチ!』なんて事になるのだろうが、僕はハーレム系主人公でもなければ星井は今熟睡中だ!

とっとと起こしてレッスンを受けさせよう。



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:44:03.23 ID:EqIdRmm40


「おーい、星井――」

パンモロで椅子に寝ていた。

「きゃ――――!」

「あふ……なんなのもう……うるさいの!」

「星井! お前はもう少し女の子という自覚を持て!」

「う……? ああ、ぱんつ見えちゃってたの。ハニーのえっち」

「それは僕のセリフだ! 可愛い悲鳴を上げちゃったじゃないか!」

「ぱんつの一枚や二枚でガタガタ言うななの」

「それ普通逆!」

「えへへ、でもハニーもミキを女の子として見てくれてるってことだもんね、恥ずかしいけど、ちょっと嬉しいな」

「いや、それはない」

「ショックなの! 即答で女の子を否定されたの! 真クンなら自殺してるの!」

「言っておくが僕は星井くらいの年齢の女の子の下着は見飽きている。高校生の時なんて毎日毎朝毎晩食前後に見ていたね」

まあ 、毎朝毎晩は言い過ぎな上に妹のパンツだけど。
あいつらパンツどころか全裸で家の中うろつき回るからな。



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:45:36.21 ID:EqIdRmm40


「そう……ハニーって変態さんだったんだね」

「違うっての」

「でも大丈夫だよ、ミキそれくらいじゃハニーのことキライにならないよ!」

「頼むから僕が変態だという前提で話を進めないでくれ」

「でもねハニー、今のはちょっと失礼なんじゃないかなって思うな」

「失礼? パンツを見ることがか?」

「ううん、ミキのぱんつ見て何も思わない、ってとこ」

「じゃあなんだ、僕は星井の下着に欲情するんだもっと見せろゲヘヘとでも言えばいいのか?」

そんなこと言った日には首が危ない。
いや、会社を解雇されるというところの比喩ではなくそのまま物理的な意味で。

「そこまで言ったらドン引きだけど……でも、『お前は女の子としての魅力がない』って言われてる気がするの」

「そんなもんか」

「そんなもんなの」

ふむ。そう言えば昔、神原も似たようなことを言っていたな。
年頃の女の子に対して全く欲情しない、と告げるのは失礼にあたる、と。

ましてや星井は十五歳、今をときめく現役アイドルだ。
僕の迂闊な一言でモチベーションを下げてしまうことも有り得ると言うことか……。
プロデューサー道も険しいぜ。



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:47:00.04 ID:EqIdRmm40


「よし、訂正しよう星井。僕は星井の下着に少なからず欲情する」

まあ、嘘ではない。僕も若い男だ。
星井は中学生とは思えないレベルのグラマーだし。
火憐ちゃんや月火ちゃんにも是非見習って欲しかった。
あいつらグラマーとは程遠いしな。

「あ」

と、星井の目線が僕の背後に向かう。

「ん?」

「あ……あ……」

我那覇が、僕を指差してプルプル震えていた。

「変態だ――――! 変態プロデューサーだ――――!」

「違う! 僕はお前たちのことを慮ってだな――」

ああそうか、我那覇も年頃の女の子だったな。
いかんいかん、過去の失敗を省みない人間に進歩は望めない!



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:47:39.06 ID:EqIdRmm40


「我那覇! よく聞け!」

「な、なに……?」

「僕はお前の下着にも大いに欲情する!」

「ぎゃ――――――――!」

「待てって! 何故逃げるんだ我那覇ーっ!」

一目散に背を向けて逃げ出す我那覇。
追ったら余計に勘違いされるのは誰の目にも明らかなのだが、ここで退く阿良々木は阿良々木ではない!

本音を言うと我那覇はいじり甲斐があるからだけど!
765プロいじめて楽しいランキング、三位菊地、二位我那覇、一位水瀬。

「くっ、くるなあああぁぁぁ――――!」

「我那覇あああぁぁぁ――――!」



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:49:50.02 ID:EqIdRmm40


「はぁ……はぁ……」

「な、中々やるな……我那覇……」

「うううー……せめて優しくしてくれぇ……」

「……二人して何をしているのですか」

数十分ほど全力で追いかけっこをした僕と我那覇は結局、元のトレーニングルームに戻り二人して息も絶え絶えに横になっていた。

「貴音ぇ……来ちゃダメさ……犠牲になるのは自分だけで十分……」

「何も、しない、っての……」

まあ、勘違いさせたのは僕だけど。

「あれ……星井は?」

「二度寝です」

「だろうな……」

「仲睦まじきは良き事ですね」

「僕と我那覇は相思相愛だからな」

「嫌だぞぉ……」



12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:50:59.54 ID:EqIdRmm40


「それは結構ですが、あなた様は何か御用があって来たのではないのですか?」

「ちょっと三人が気になってな、差し入れに来たんだ」

わざわざ土産も買ってきたのだ。自分でも忘れてたけど。

「さーたーあんだぎーだ」

「プロデューサー大好き!」

我那覇がさっきまでの全力逃避行はどこに行ったのやら、差し出した沖縄風ドーナツを頬張り出す。
忍にも好評だった逸品だ。
普通のドーナツとは違い外面のカリカリ感と黒砂糖によるコクが売りである。

「現金な奴……」

「まこと、美味です。あなた様、お茶はどこですか?」

「さんぴん茶買って来いよプロデューサー」

「お前ら僕を何だと思ってるんだ……?」

アイドルとは言え、この二人はまだ色気より食い気、って感じだな……四条は一生食い気だけな気もするが、似合っているから良し、だ。

丁度いい、食い物に釣られているうちに仕事の話をしておくか。
鞄から資料を取り出して二人に渡す。



13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:52:10.17 ID:EqIdRmm40


「これは?」

「次の仕事。商店街の一日店長イベントだな。一応目を通しておいてくれ」

「らぁめん屋はないのですね……」

「貴音がラーメン屋の店長やったら自分で食べちゃうだろ」

四条が店員の制服を着てカウンター奥で麺の湯切りをする光景を思い浮かべる。
なんだか意外とハマっている気がした。

「いたっ!」

「どうした我那覇」

「あたたた……ちょっと紙で指切っちゃったみたいさ……」

見ると、我那覇の人差し指に横一文字の傷が出来ていた。次第に血が滲んでくる。
僕は急いで鞄から絆創膏を取り出す。

「響、指を見せてください」

「うー……血が出てるさ……」

「んっ……」

躊躇なく我那覇の指を咥える四条。



14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:53:18.93 ID:EqIdRmm40


「たっ、貴音!?」

「ん……」

ちゅうちゅうと目を閉じて我那覇の指を吸う四条。

大変だ!大変だよ!

緊急事態発生!緊急事態発生!

僕の頭の中で警告音がわーにんわーにんと鳴っている。

なんてエロいんだ!

ひょっとしてこの瞬間の為だけに僕はプロデューサーになったんじゃないか!?

四条はちゅぴ、と卑猥な音と共に口から指を抜く。
唾液が四条の舌と我那覇の指の間で世にも妖艶な橋を架ける。

「あなた様、絆創膏を」

「お、おう」

いかん、正気を失うところだった。
まったく、アイドルってのも困ったもんだ。
天海と如月もそうだし、菊地と萩原、高槻と水瀬、そして我那覇と四条あたりはは時折心配になるくらい仲が良い。
いや、悪いより百倍いいんだけどさ。
ともかく目を離すと女の子同士でイチャイチャしやがる。
僕ともイチャイチャしろよ。



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/07(水) 19:55:08.03 ID:EqIdRmm40


「気を付けろよ、まったく」

「ごめんごめん、カワイイ絆創膏だなー」

「天海にもらったんだよ」

ファンシーなクマの絵柄がプリントされた絆創膏を我那覇の指に
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年05月07日 22:12
      • 待ってたよ。GWで休んでじゃねえよ!
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年05月07日 22:33
      • GW中…ずっと待ってたんだから///
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年05月07日 22:52
      • 5 最後の一文は別作品とのクロスフラグ?

        この人の短くまとまってて空き時間に最適です( ̄∇ ̄)
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年05月07日 23:21
      • 本当に完成度が高い

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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