阿良々木暦「ことりハザード」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:16:48.75 ID:WmSvF+Wh0
- ・化物語×アイドルマスターのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは箱マス基準
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阿良々木暦「ゆきほエンジェル」 - 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:18:03.90 ID:WmSvF+Wh0
- 番外編です。
ちょっとしたら書きます。
- 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:33:16.71 ID:WmSvF+Wh0
-
001
この物語を語る前に、僕の恋愛観について少し語ろうと思う。
恋愛。
響きだけでくすぐったく甘い感触を感じるのは僕だけだろうか。
遠い昔では恋愛すらままならなかったと聞くのだから、自由に恋愛を許される時代に産まれたことをまずは感謝すべきだろう。
陳腐な言葉で表現することになるのを先に謝罪しておくが、誰かを好きになれるということはとても素晴らしいことだと僕は思う。
他人への思いやり、肉親の絆、それとはまた違う人間の感情。
僕もまた、高校三年生にして最初で最後の恋人が出来た。
あれは夜道で暴漢に襲われるが如くの突然の告白だったが、今となってはいい思い出だ。
あの日があったからこそ今日の僕とひたぎがあるのであって、無かったら今頃どうなっているかなんて想像すら出来ない。
それ程に、人が誰かを好きになるという感情は強い。
それは時に人ひとりの人生を丸ごと変えるほどに。
情なしに人は存在出来ない。
一切の感情を持たない人間などこの世には存在しない。断言しよう。
誰だって相手が誰であろうと、好ましいと思うことくらいは一度はある筈だ。
だが、人間の感情は複雑だ。
複雑が故に、時折間違いも犯すだろう。
いや、間違いというのは誤りだ。訂正しよう。
神原のような同性愛者のことを形容しようとしたのだが、彼等は間違っている訳ではない。
よく同性愛を非難する人の定型句に、『生物学的に間違っている』というものを聞くが、この人口氾濫の時代において人口を少しでも減らそうと恋愛の舵を違う方向に向ける者がいてもそれは生物的におかしくないのでは、と思うのだ。
誤解しないで欲しいのは、僕は同性愛を否定している訳でも、槍玉に上げて批判しようという訳でもない。
感情の形なんて十人十色だ。
かと言って理解出来る、と言える程に人生経験を積んだ自信もない以上は偉そうなことを宣う権利などないかも知れないが、それでも言わせて欲しいことがある。
変わった嗜好や趣味、人生観や恋愛観を持つのは一向に構わない。
述懐した通り、そんなものは個人の自由だ。個人の内で完結するのであれば、どんなドン引きするような性癖だろうが勝手にすればいい。
だが――人を巻き込まないでくれ、というのが僕の素直な思いだ。
つまり、感情は個人のものであり、人に押し付けるものではないのだ。
押し付けた瞬間に、それは恋愛とは呼べなくなる。
只の傲慢だ。
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:34:44.50 ID:WmSvF+Wh0
- ここで今回の主役について少々触れよう。
音無小鳥、二十代後半。
765プロダクションでの事務仕事を一身に担う事務員であり、その能力は優秀にして、彼女自身も年下の僕から見たって魅力的に映る。
過去にアイドルをやっていた、という噂までまことしやかに囁かれている程の美女だ。
アイドルたちの若く可愛いというコンセプトとはまた一線を画す、いわゆる大人の魅力を持った女性、である。
それでいて言動や行動には何処か抜けた所もあり、それが妙にはまっていて彼女の魅力のひとつとなっている。
正直、ひたぎという恋人がいなかったら仄かな恋心を抱いていてもおかしくはなかっただろう。
だが――765プロダクションのアイドルたちが怪異と行き逢ってしまったように、彼女もまたその例外から漏れることはなかったのである。
彼女は、狸に慕われた。
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:36:43.17 ID:WmSvF+Wh0
-
002
ただでさえ薄暗い教室内に、闇が次第にその領地を広げ始めていた。
あと三十分もすれば足元すら視認するのが覚束なくなる。
今は相手の顔が辛うじて見える位だろう。
だろう、と曖昧な表現したのは、暗闇は僕にとって視界を黒く塗り潰す代物ではないからだ。
吸血鬼の後遺症を遺した僕にとっては、夜は真昼とそう大差がない。
「どうしたんだい阿良々木くん、何か――いいことでもあったのかな?」
だから、忍野メメの表情も良く見えた。
僕の下で、忍野が薄笑いを浮かべながらからかうように言う。
忍野が根城としている潰れた学習塾。その一室で、僕は忍野を組み敷いていたのだ。
「突然僕を押し倒したりして……あれかい? 僕を殺して借金をチャラにしよう、なんて考えているんじゃないだろうね?」
「忍野…………」
「嫌だ嫌だ、お金は怖いねえ。別にこの世にそこまで未練はないから殺してくれても構わないけど、痛くしないでくれると嬉しいな」
「違う!」
こいつは、いつもそうだ。
いつもはぐらかすように僕を翻弄して、小馬鹿にした態度で誤魔化す。
「違うなら??どうしたんだい?」
わかっている癖に。
こいつのことだから、僕が考えていることなんて百も承知だと言うのに。
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:38:20.14 ID:WmSvF+Wh0
- 「お前のことが好きだって、どうしようもないくらい忍野メメが好きだって僕の気持ちくらい、全部分かっている癖に!」
「……阿良々木くん」
「……わかってる、こんなことおかしいって……けど、どうしようもな いじゃないか……!」
好きになってしまったんだから、と嗚咽混じりに陳腐な台詞を吐く前に口を塞がれた。
「ん……」
僕の口を塞ぐ柔らかな感触に一瞬戸惑うも、それがなんだったのかは理解した。
「……忍野」
「本当、阿良々木くんは鈍感だねえ。そんなんだから吸血鬼なんかに襲われちゃうんだよ」
「……」
「僕だって、出会った時から阿良々木くんが好きだったよ」
「忍野……」
「阿良々木くんったら全然気付いてくれないんだもんなぁ。
この齢になって恋する乙女の気持ちがわかっちゃったよ。ま、でも意外だったな」
相変わらずの口調で、相変わらずの態度で、忍野は言った。
「まさか相思相愛だったなんてドラマみたいなこと、想像もしてなかったからね」
僕は何も言わず目を閉じると、組み伏せた忍野の肢体を??。
- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:40:17.68 ID:WmSvF+Wh0
- 「……何してる、神原」
「む? 阿良々木先輩ではないか、おはよう」
「あら、おはようございますプロデューサーさん」
「おはようございます……速やかに僕の質問に答えろ、神原」
暖かな日差し、心地よく耳朶をくすぐる喧騒、緩やかな職場の空気、それは麗らかな午睡の時半。
デスクワーク最大の敵は眠気だ。
ひたすらパソコンに向かい打鍵をしていると強烈な睡魔に襲われる。
各々で対策をし仕事に励むのが社会人としての義務とも言えるが、僕はこの状況を悪くないと感じている。
睡魔と戦いながらの仕事。
不謹慎ではあるが、何とも牧歌的で平和の象徴のようじゃないか。
波乱万丈な人生とも形容できる道を歩んできた僕でさえ、思わずこの時代に産まれたことに感謝してしまうくらいだ。
そんな穏やかな午後、 僕が営業から戻ると、神原と音無さんは一冊の邪悪な本を読み解いていた。
「何って、私が高校時代に書いた阿良×メメの薄い本だ」
「発禁だそんな本! 今すぐ回収処分しろ!」
「何故だ、別段迷惑を掛けている訳ではなかろう」
「僕が多大な精神的被害を被っているんだよ!」
よりにもよって忍野って!
ってことはこいつ高校の時そんな目で僕と忍野を見ていたのか!?
いや、知ってたけどさ!
目に見える形で具現化するんじゃないよ!
- 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:42:08.28 ID:WmSvF+Wh0
- 「ええい、ここからが見せ所なのだ。必死に攻めるも性技に熟達した忍野さんには勝てず、攻守逆転の結果鬼畜攻めに遭うという――」
「まあ、王道だけど鉄板よね」
「やめろやめろやめろ! 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!」
「でもね駿河ちゃん、やっぱりプロデューサーさんは強気受けだって!」
「いいや違う! 人生の先達たる音無さんに対し失礼にあたるかも知れないが、これだけは譲れない! 阿良々木先輩はヘタレ攻めだ!」
「私も少し前まではそう思っていたからわかるけどね、無理やり襲われて悔しい……でも身体は正直で、溢れ出す若さゆえのリビドーと仄かな恋心に負けて屈しちゃうところにロマンがあるのよ!」
「そのジャンル自体は否定しない、私も好きな類だ。だが阿良々木先輩は攻めなのだ!
好きだけど強引になれず、ようやく勇気を出しても上手く行かず逆に主導権を握られてしまう……そこに歯痒い愛があるのだ!」
「駿河ちゃんはプロデューサーさんとジュピターとの絡みを知らないからそんなこと言うのよ!」
「何!? 阿良々木先輩はジュピターの面々と面識があるのか!?」
「そうよ、生意気で挑発的な冬馬くんとそれに気付いてないプロデューサーさんの会話なんてそれはもう妄想を掻き立てられて素晴らしかったんだから!」
「それは素晴らしい! 今度詳細を教えてくれないだろうか」
「ええ、いいわよ。ちゃんと録音しておいたから」
「流石は音無さんだ。代わりと言っては何だが、この本を献上しよう」
「そう言えば忍野さんってどちら様?」
「簡潔に言うならば、阿良々木先輩の怪異に関する師だ。当時三十を越えていた中年の専門家だな」
「高校生のプロデューサーさんとオヤジの年齢を越えた愛! 凄いわ駿河ちゃん!」
「ふふ、取引成立だな音無さん」
「ええ、これでまたプロデューサーさんコレクションが増えるわ!」
「私が魂を込めて描いた本を熟読してもらえば、音無さんも阿良々木先輩のヘタレ攻めの素晴らしさを認めざるを得ないだろう」
「駄目よ、そこだけは譲らないんだから。プロデューサーさんは強気受け!」
「阿良々木先輩は攻めだと言っている!」
- 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:44:05.16 ID:WmSvF+Wh0
- どうしよう。
何だか二人が地球のものではない次元の言語で会話をしている。
ほんやくコンニャクでも落ちてないかな?
僕には理解出来ないよ。
「二人とも、落ち着いたら?」
「プロデューサーさんは黙ってて」
「阿良々木先輩は黙っていてくれ」
「…………」
今更ながら何故ここに神原がいるのかを説明させていただくと、先日の菊地の件でここが気に入ったらしく、時々理由をつけては遊びに来ている。
大学の単位を卒業に必要な分はほぼ全て取ってしまったので暇、らしい。
それを許容する社長も社長だけど。
バイトでもしろよ、と暇な大学生へのテンプレートたる勧めでも言いたいところだが、神原の家は一線を画する富豪なのでそれも言い辛い。
本人も社交的の鑑のような奴なので、社会勉強と言う攻め口も使い辛い。
で、アイドルたちがいない時はこうして音無さんと僕にとっては新しい政治体制よりも興味のない、不毛な会話を繰り広げているのである。
当人たちは楽しいかも知れないが、傍らでネタにされるこちらの身にもなってくれ。頼むから。
「って言うか本人の目の前でカップリングの話をするな。常識コメント一覧
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- 2014年05月12日 22:18
- ピヨちゃん!ピヨちゃん!
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- 2014年05月12日 22:36
- ハザードってそういうことかよw
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- 2014年05月12日 22:38
- 本編の化物語も含めて一番恐ろしい話だった
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- 2014年05月12日 22:42
- 一人だけ生き物の名前じゃ無いと思ったら……流石はピヨ子
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- 2014年05月12日 22:45
- まとめ早いな
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- 2014年05月12日 22:47
- これはww
流石ぴよちゃんやでぇ...
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- 2014年05月12日 22:55
- ある意味最強の怪異
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- 2014年05月12日 23:00
- こ れ は ひ ど い
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- 2014年05月12日 23:19
- こえええええええ((((゜д゜;))))
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- 2014年05月12日 23:26
- ブラック羽川に負けた時も飄々としてた忍野が憔悴するって相当だぞw
困惑して疲れ果てる忍野とか想像出来んけど
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