磁場データから屋内の正確な位置情報を割り出す「IndoorAtlas」
買い物リストから、スーパー内の完ぺきなナビゲーションを。
世界のほぼどんな建物の中でも正確なマッピングができて、自分がどこにいるのかがわかる、そんな技術が開発されました。その裏側では「magnetic fingerprint」(磁気の指紋、磁紋と言うべきか)なるものが使われています。
磁気指紋なんてSF的だし、建物内のマッピングと言うとドラマ「24」に出てくるビルの図面に赤外線で感知した人物がオーバーレイされた図を思い出します。しかし、この技術は今のところ、監視とか警備の目的ではなく、買い物を便利にするために使われています。
ニューヨークタイムズによると、この技術は動物が生来持っている地球の地場の変化を感知する能力に似ています。でもこの技術を使ったアプリIndoorAtlasでは、磁場の変化を感じ取るのはスマートフォン。人間ではなく、ね。
具体的に言うと、スマートフォン内蔵のコンパスが、ビルの構造に使われている鉄によって歪んだ磁気を読み取ってくれるのです。IndoorAtlasはユーザー周囲の磁気データを収集し、それを既存のフロアマップと統合させることで、磁気データからフロアのどこにいるのかをわかるようにします。誤差は6フィート(約1.8m)ほどに収まります。使えない建物はほとんどなく、強いて言えば全木造の神社のような所ぐらいだそうですよ。
この技術自体もユニークですが、稼ぐ方法も独特です。まずはフィンランドのスーパーでIndoorAtlaが導入されています。そのお店ではユーザがほしい商品のリストを入れると、その商品が店内のどのコーナーにあり、どの順序で回れば一番早いかを提示してくれます。IndoorAtlas社では、米国の大規模な店舗でも採用されることを期待しています。
でもそれだけじゃありません。IndoorAtlasのもうひとつの収入源は、フロアマップの非公開化を希望する施設からお金をもらうことです。価格はビル1棟あたり99ドル(約1万円)です。ニューヨーク・タイムズには次のようにあります。
IndoorAtlasはビルの「磁気指紋」を彼らのクラウドに保存するが、それを非公開とする場合、ビル1棟あたり99ドルとなる。「公開すれば無料です」とIndoorAtlasのワイブ・ウェガーマンズ社長は語った。
大きなスーパーとかショッピングモールのナビゲーションができたら便利そうである一方、ビルやお店の中の情報が筒抜けになることは、運営側にとってはありがたくないこともあるかもしれません。また、ユーザ側としてのプライバシーへの懸念も、特に米国では沸き起こってきそうです。
ショッピング以外にも可能性がありそうな技術なだけに、これからどう普及していけるのか気になります。
source: New York Times
Kelsey Campbell - Dollaghan-Gizmodo US[原文]
(miho)