キョン「――よかったな、長門」
- 1 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:19:00.14 ID:o9Vy9YXvo
- 古泉「昨夜、涼宮さんの機嫌を損ねるようなことをしましたか?」
キョン「おい、顔を見るなりそれか? 随分とご挨拶だな」
古泉「……昨夜、ここ最近では考えられないほど強大な神人が現れました」
「最近は涼宮さんの精神状態も随分と安定をしていましたので、油断をしていました」
「処理するのに大変な時間を取られました。束の間の平和を謳歌し過ぎていたのかもしれません」
キョン「……その原因が俺だと? まるで八つ当たりのような物言いだな」
古泉「気分を害されたようでしたらお詫びしますが、誓って他意はありません」
「我々としては原因を突き止めておかねば安心できません。何か思い当たる節はありませんか?」 - 2 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:20:46.76 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「残念ながらな、俺の頭の中にピンとくるものはないぞ。悪い夢でも見てたんじゃないか?」
古泉「涼宮さんが夢を見た結果、神人が出現することはままあります。が、昨日のそれは度を越しています」
「対人的な要因があったと考えるのが自然です」
キョン「それで俺を尋問しているのか……。言い寄られたところで何も出てこないのが残念だな」
「お前も知ってるように団活も帰宅途中もハルヒの機嫌が悪かったようには見なかっただろ?」
古泉「……ええ」
キョン「途中で女子連中が寄るところがあると言って別れたが、あれ以降何かがあったんじゃないか?」
「どうせお前は会話の内容も把握してるんだろ?」 - 3 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:22:18.53 ID:o9Vy9YXvo
- 古泉「いえ、流石に機関といえども、ガールズトークの内容までは調査しません」
「人の道に反するのではないか、という森さんの意見です」
キョン「超能力者が人の道を語るとは何とも不思議な話だな」
古泉「笑い事ではありませんよ。原因を突き止め、涼宮さんの心の安寧を取り戻さねばなりません」
キョン「出来ることにはもちろん協力するが、今回は俺じゃないと思うぞ」
古泉「では一体誰が――」
ハルヒ「――キョン! いるんでしょ! ちょっと来なさい!」
古泉「やはりあなたなんじゃないですか……? ドア越しにも怒声とわかりますよ」
キョン「そんなはずはないんだが……」 - 4 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:24:09.58 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「なんだ?」
ハルヒ「……あんた有希の誕生日知ってる?」
キョン「いや、知らないな」
(前にもふと思ったことはあったが、あいつの設定ではどうなっているんだろうな?)
ハルヒ「昨日ね、有希と話してたらたまたま誕生日の話になったのよ」
「有希にいつか訊いたら知らないっていうのよ? 信じられる? 自分の誕生日よ?」
キョン「ま、まあ、そういうこともあるだろう……? たまたま忘れただけかもしれない」
ハルヒ「たまたま忘れるってどういう状況なのよ! このアホ!」
「あまり下世話な詮索はいけないけどね、きっと嫌なことがあったのよ……」
キョン(そういえば長門が生まれた原因はこいつにあるんだよな……) - 5 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:25:48.96 ID:o9Vy9YXvo
- ハルヒ「だからね! 有希の誕生日を再設定することにしたから!」
キョン「は……?」
ハルヒ「我がSOS団の団員のことは、団長が責任を持って面倒をみるのが常識でしょう」
キョン「またとってつけたような理由付けだな。まあいいんじゃないか?」
ハルヒ「……」
キョン「おい、どうした?」
ハルヒ「……昨日、有希と別れたあと考えたのよ。あたしは初めて自分の愚かさを呪ったわ」
「知らなかったとはいえ、変なことを訊いて結果的に有希の心を踏みにじったかもしれないわ」
「このあたしともあろう者が……。情けなくて、申し訳なくて有希に心から詫びたいわ」
「自己責任とはいえ、おかげさまで昨日はちっとも寝られなかったわよ!」 - 6 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:27:30.38 ID:o9Vy9YXvo
- キョン(ハルヒにもこういうところがあるんだな……)
ハルヒ「何ニヤニヤしてんのよ! あんたには指令を与えるわ」
「まず、有希の好きなもの、欲しいものをリサーチしてきなさい」
「次に、誕生日についてどう思っているのか訊きだしてきなさい。ただし、自然によ」
キョン「そんなもんお前が訊けばいいじゃないか。きっと長門ならなんでも答えてくれるぞ」
ハルヒ「……悔しいけど有希はあんたの方が話しやすいんじゃないかと思うのよ」
キョン「で、肝心の誕生日はいつにするんだ?」
ハルヒ「もう決めてあるに決まってるでしょ! さっさと行ってきなさい!」 - 7 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:29:09.47 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「――というわけでな、原因はやっぱり俺じゃなかった」
古泉「これはあなたにお詫びをせねばなりませんね。大変申し訳ありませんでした」
「しかし、それにしても面白いことになってきましたね」
キョン「どこが面白いんだ? 長門が自分の誕生日を知らないと言ったんだぞ」
「あいつは自分がどういう立場なのかわかってないんじゃないのか?」
古泉「涼宮さんは長門さんが宇宙人などということを信じるはずがありません」
「あなたが直接話しても信じなかったんですよ? そこは心配の必要がありません」
キョン「それもそうだな……。まったく、どういう思考をしてんだあいつは」 - 8 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:30:51.74 ID:o9Vy9YXvo
- 古泉「さて、今回の涼宮さんの企てが我々に悪い影響を与えるとは思えません。存分に乗ろうじゃありませんか」
キョン「まあ長門がどういう顔をするのかは確かに興味があるところだが……」
古泉「久しぶりに無責任に計画に賛同できると思うと高揚するものがありますね」
「……ただ、この件は長門さんには秘密、ということにしておいた方がいいと思いますよ」
キョン「長門に秘密もクソもないだろう。おそらく俺たちが今会話していることすら筒抜けだろう」
古泉「涼宮さんが内密に進めようとしているのですよ? 我々はそこも暗黙の了解で乗らねば粋とは言えませんよ」
キョン「お前はいつから江戸っ子になったんだ」
古泉「誕生日がいつになるにしろ、各自プレゼントくらいは選んでおいた方がいいでしょうね」
キョン「プレゼントか……。あいつに欲しいものなんてあるのか?」 - 9 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:32:29.07 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「よう、長門」
長門「……」
キョン「お前、昨日ハルヒに自分の誕生日がわからないって言ったらしいな」
長門「……言った」
キョン「適当でも何でも言っておいた方がよかったんじゃないか? ハルヒが在らぬ妄想で勝手に心を痛めてたぞ」
長門「私は概念としては遥か彼方から存在している。このインターフェースが誕生したのは三年ほど前」
キョン「ハルヒにはそうは答えられないもんな……。わからない、が最適解だったかもしれん」
長門「……」 - 10 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:34:18.21 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「で、知ってるだろうけど、ハルヒがお前の誕生日を決めてくれるそうだ」
「ハルヒが嬉しそうに企みを開始してるから、面倒でも乗ってやってくれないか?」
長門「わかった」
キョン「いい機会だから、俺もお前に何かやろうと思うんだが、何か欲しいものはあるか?」
長門「特にない」
キョン「そう言うと思ったよ。まあ多分まだ時間はあるだろうから考えといてくれよ」
長門「……」
キョン「あとな、ハルヒが誕生日についてどう思うかってさ」
長門「……特別な日」
キョン「それだけ聞ければ十分だ」 - 11 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:36:18.12 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「朝比奈さんって誕生日いつなんですか?」
みくる「禁則事項です」
キョン「誕生日もダメなんですか? 昨日、ハルヒに訊かれたりしませんでした?」
みくる「過去の時間平面における……。きっ、禁則事項に則って答えました」
キョン「何でもあるもんなんですねえ。みくる、で語呂合わせでもするんですか?」
みくる「キョンくん、何か用事があったんじゃ……」
キョン「ああ、そうなんですよ。長門の誕生日をハルヒが勝手に設定するようなんです」
「で、押し付ける気はありませんが、各々、長門に誕生日プレゼントを用意した方がいいかと」
みくる「それは楽しそうですね! 何を買おうかなあ」
キョン「もちろん、このことは長門には内密ということでお願いしますね」
「おそらくハルヒからも話があると思いますが……」 - 12 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:38:30.00 ID:o9Vy9YXvo
- ハルヒ「わざわざ有希の目を盗んで集まってもらったのは他でもないわ!」
「SOS団主催で、有希の誕生日会を盛大にやります」
「有希の過去に何があったかは詮索しないわ。あたしたちには関係ないもの」
「ただし、一緒に過ごしている今は別よ。団員である有希が楽しくない思いをしてるなんて嫌だわ」
「みんなにやってもらいたいことがいくつかあるので、これからそれを説明します」
キョン(随分とノリノリだなおい)
ハルヒ「まず、プレゼントね。これがないと始まらないと言っても過言ではないわ」
「各自で有希が欲しがりそうなもの、有希にぴったりなものをチョイスしておくように」
「キョン、有希が欲しそうなものは訊いてこれたの?」
キョン「……それが特になさそうだった」 - 13 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:40:32.31 ID:o9Vy9YXvo
- ハルヒ「あんた本当に使えないわねえ……。まあいいわ。各々で有希に似合いそうなものを選びなさい」
キョン(長門が物欲を見せたことなんてなかっただろうが。いや、夏祭りでお面を買ってたか……)
ハルヒ「プレゼントは本日より三日以内に買って部室に持ってくるように。くれぐれも有希にばれないようにするのよ!」
キョン「ちょっと待て、いくらなんでも急すぎる! 俺は財布の中身が心許ないんだ!」
ハルヒ「あんたね、他でもない有希の誕生日なのよ? どうにか工面してきなさい」
キョン(めちゃくちゃだ。……そういえば古泉や朝比奈さんはどこから金を得ているんだ?)
古泉「僕は異論ありません。可能な限り迅速に用意しましょう」
みくる「あたしは早速今日お店を回ってみたいと思います」
ハルヒ「これはある意味で時間との勝負だからね! 早く集まれば早く実行できるかもしれないのよ」
「言うまでもないけどキョン、遅れたら罰金よ、罰金」
キョン「仕方ない、親に無心でもするか……」 - 14 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:42:17.08 ID:o9Vy9YXvo
- キョン「朝比奈さんは何を買う予定なんですか」
みくる「あたしはもう決まりましたよ」
キョン「後学のために教えてくれませんか?」
みくる「ダメですよ。こういうものは秘密にしておかないと面白くないじゃないですか」
キョン「それもそうですよね……。俺は情けないことに何を買えばいいのかさっぱりわからないんです」
「長門の場合、何を買っても大きな反応は期待できないし、それでも受け取りそうじゃないですか」 - 15 : ◆DefgSpEO2U 2014/05/25(日) 21:43:30.26 ID:o9Vy9YXvo
- みくる「……考えすぎじゃ
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