【父親を殺害した画家】約40年間、精神病院で絵を描き続けたリチャード・ダッドの作品
イギリスの画家リチャード・ダッド(1817-1886)さんの作品をご紹介します。画家としての才能は早熟で、20歳で入学した王立アカデミー・スクールでは素描でクラスの中で1位、才能が傑出したようです。しかし26歳ごろに精神に異常をきたし始め、実の父親を散歩中にナイフで刺殺しています。「自分はエジプトの神オシリスの下僕であり、その命を受け父親に変装した悪魔を刺し殺した」というのが犯行の動機です。ヨーロッパや中東に旅行に行った頃から妄想を抱くようになったと言われています。その後、フランスへ逃亡し、オーストリア皇帝を含む多くの人を殺さなければならないと信じ、殺人未遂で逮捕されることになります。
上は代表作とも言える「お伽の樵(きこり)の入神の一撃」(The Fairy Feller’s Master-Stroke)という作品の細部です。逮捕後、王立べスレム病院付属犯罪者精神病院に収容され、病院の中で10年かけてこの絵を完成させたといわれています。重厚感ある色彩と複雑に入り組んだ階層は見応えがあり、画面の隅々まで描かれた超密度の作品です。こんなに描かれているにも関わらず、未完成だそうです。
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夕べ
1844年にべスレム病院付属犯罪者精神病院に入院した20年後、1864年にバークシャーのブロードモアに新設された犯罪者精神病院へ移送され、42年の間病棟で絵を描きながら過ごし、1886年肺結核で亡くなっています。享年68歳でした。
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