阿良々木暦「になショウ」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:31:49.61 ID:COuFdmL30
- ・化物語×アイドルマスターシンデレラガールズのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
関連作品
阿良々木暦「ちひろスパロウ」
阿良々木暦「ののウィーズル」
阿良々木暦「あんずアント」
阿良々木暦「ふみかワーム」 - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:40:41.23 ID:DNBJrAglO
- 1です。
なお、一年ほど前に自分で書いたニナチャンSSを元ネタにしてますのでご了承下さい。 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:42:42.75 ID:DNBJrAglO
-
001
市原仁奈はアイドルだ。
彼女は弱冠齢八歳にしてアイドルを営んでいるが、彼女の特徴として絶対に着ぐるみを着るという縛りを設けている。
縛りというよりは彼女の趣味が高じて、という側面の方が強いのだが、着ぐるみアイドルという奇抜で新しいジャンルを開拓したことは幼いながらも偉大な功績とも言える。
とは言え、着ぐるみを着て可愛いと言えるのは恐らくは十代が限界だと思われるので、アイドルのジャンルという幅としては狭いが、それでも僕は有りだと思う。
ああいう類のものは十代後半あたりを境目にコスプレというジャンルにすげ変わってしまう気がするのだ。
いや、それはそれで別の魅力があるからいいのだけれど。
話を戻すが、とにかく市原は可愛い。
年齢が一回り以上離れているということもあるが、年齢の割に達しているその小生意気な性格と突っ込みの鋭さはどこか八九寺を連想させる。
先ほどは市原が着ぐるみアイドル、と表現した為に彼女がアイドル活動においてのみ着ぐるみを着る、という誤解を招くような表現をしてしまったが、それは間違いだ。
訂正すると共に素直に謝罪をしよう。
彼女は、私服ですら着ぐるみなのだ。
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:44:25.33 ID:DNBJrAglO
- 「おはようございまーす」
「おはようごぜーます」
そして僕は今日も出勤する。
最近では、市原と会うことが仕事において唯一無二の楽しみとなっている気さえして来た。
「おはよう、市原」
市原は、コアラの着ぐるみを着ていた。
「コアラさんのきもちになるですよ!」
コアラは漢字で『子守熊』と書き、樹に掴まりユーカリを貪り食うことで有名である。
だが愛くるしく剣呑な外見に反比例してその握力は人類のそれを遥かに超越するとか。
「うんうん、可愛いぞー」
「暦!」
「うおっと!」
突然僕の腕に飛びついてくる市原。
そのまま僕の腕を木に見立てて掴まってきた。
「いきなり飛びつくなよ、危ないじゃないか」
「コアラだからしかたないのです」
そう言って離そうとしない市原。
まあ、所詮は八歳児の体重だし全然軽いんだけど。
と、僕はその時、致命的な事実に気付いた。
「市原、大変だ。このままだと仕事が出来ない」
「コアラですから」
「そうか、コアラなのか」
コアラならば仕方あるまい。
- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:46:02.87 ID:DNBJrAglO
- 「という訳で千川さん、僕は今日一日、コアラ市原の拠り所であるところの一本の樹として任命されましたので、仕事が出来ません」
市原を腕にくっつけたまま千川さんに頭を下げる。
言っておくが僕は大真面目だ。
千川さんにその事を告げると、一瞬の間を置いてぼきり、と鈍くかつ心地のいい音が響く。
見ると、千川さんの持つペンがへし折れていた。
同時に中から赤色のインクがあたかも血か何かのように飛び散る。
「あらいけない、欠陥品だったみたいですね」
「……!」
無言で口をつぐむ僕の傍らで、水性ペンで良かった、と上品に笑いながらティッシュでインクを拭き取る千川さん。
「……で、何でしたっけ?」
「いえ、特に何も。仕事に入ります、マム」
「はい、今日も一日がんばりましょうね」
聖母のような笑みを返す千川さんに敬礼の真似事をし、自分のデスクへと戻った。
……。
なにあれ怖い。
「暦? どうしやがりました?」
その日のほとんどを僕の腕に掴まる市原と過ごした代償は、その後三日にわたる筋肉痛であった。
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:48:55.08 ID:DNBJrAglO
-
002
「僕の左腕が真っ赤に燃えるぜ」
「おはようごぜーます」
そして僕は今日も出勤する。
左腕が筋肉痛でまともに動こうとはしてくれなかった。
「おはよう、市原」
市原は猫の着ぐるみを着ていた。
「ねこさんのきもちににゃるですよ!」
「猫……か」
僕に猫と言えばあまりいい思い出はない。
原因は想像通り、羽川に取り憑いた障り猫が一種のトラウマとなっているからだ。
何せ一度目は身体を真っ二つにされたし、二回目は人類滅亡の危機の真っ只中だったからな……。
だが市原ならば問題ない。
むしろ迎合すべき事態だ。
茶トラ模様の布地も猫耳も非常によく似合っているし、今すぐにでも喉を撫でてやりたい。
待て。
落ち着くんだ阿良々木暦。
こういう時に焦っていい結果になった試しはない。
素数を数えるがごとく落ち着くんだ。
そして考えろ。
今僕が導き出せる最高の展開を。
……よし、心は決まった。
後は失敗をしないよう、細心の注意を払い行動に移すだけだ。
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:50:31.77 ID:DNBJrAglO
- 「……くっ」
僕は邪悪な笑みを浮かべ、慎重を持して鞄を探る。
市原は何が出てくるのか警戒しているのかじりじりと身構え、こちらを睨みつけている。
猫は警戒心が強いのだ。
だがこちらも一歩も退かない。
市原への視線を外さずに、手の先の感覚を鋭敏にし集中する。
事務所の朝とは思えない緊迫感が流れていた。
満を持して現れたのは、中から先端にもふもふのついた疑似猫じゃらしである。
ペットショップで売っているアレだ。
いつか前川と遊ぼうと鞄に忍ばせていたのだ。
「……っ!!」
市原の身体がびくん、と一瞬だけ撥ねる。
眼が大きく開かれたのも見逃さない。
「ククク……さぁ、何処まで我慢出来るかな……?」
『ねこのきもち』になっている市原からしたらたまらない一品だろう。
今にも飛びついて来そうな勢いだ。
「う……ひ、ひきょうですよ暦! そんにゃもので、そんにゃもので……仁にゃをゆうわくしようだにゃんて十ねんはやいですよ!」
「クックック……ほーれほーれ」
「あ、あああ、あああぁぁぁぁ……!」
猫じゃらしを左右に振る。
それに対してもう我慢ならないと言わんばかりに身体を震わせて表情を蕩けさせる市原。
動くものに敏感に反応する猫の動体視力にとっては追わずにいられない筈なのだ。
さあ、来るがいい市原!
来たら速攻で捕獲してその喉や尻尾の付け根や首の後ろを思う存分撫でてくれるわ!
- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:52:20.24 ID:DNBJrAglO
- 「にゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ふがっ!?」
突如として背後から襲われた。
振り返る間もなくそのまま変な声と共に顔から地面に激突し、下敷きにされる。
下手人は前川だった。
眼を爛々と輝かせて猫じゃらしを狙っている。
「猫じゃらしにゃあー! 暦チャン遊んでー!!」
「前川ああああああぁぁぁ!!」
怒りと共に阿良々木、大地に立つ。
もろに地面とキスしたせいで鼻血が出ていたがそんなことは些末な問題だ。
「何て事を! 何て事を! お前には失望した! 今日限りでみくにゃんのファンをやめてやる!」
「なんでにゃあ!?」
「僕と市原の蜜月を邪魔しやがって! 何様だお前はあああぁぁぁ!!」
「暦チャンこそ鼻血出しながら仁奈ちゃんと遊ぶなんて変態にゃ!」
「鼻血はお前のせいだ! ウナギ風呂に入る仕事でも入れてやろうかぁ!」
「職権乱用にゃあー!!」
僕と前川が不毛な言い争いを繰り広げている横で、出勤して来た和久井さんが市原と戯れていた。
僕が取り落とした猫じゃらしを使って市原を虜にしている。
「騒がしいわね……あらかわいい。ほらほら」
「にゃー!」
「ふふ、うちの子にしちゃおうかしら」
「ごろにゃー 」
僕と前川が諍いを終える頃、市原はソファーで丸くなって眠っていたのだった。
- 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:54:11.81 ID:DNBJrAglO
-
003
「顔の傷、それは男の勲章」
「おはようごぜーます」
そして僕は今日も出勤する。
顔中に引っかき傷があるのは前川のせいだ。
「おはよう、市原」
市原はパンダの着ぐるみを着ていた。
「パンダさんのきもちになるですよ……」
熊猫。
黒と白の毛色で有名な実に可愛らしい容姿をしている。
某部屋の貴婦人が大好きなことでも有名だ。
だが中身はその名の通りの熊。
本場中国ではパンダに襲われて命の落とす人も珍しくないらしい。
「パンダの気持ちになるのはいいが、ぐだぐだだな……」
「うぅん……すぅ……」
「んが……むにゃ」
市原は遊佐と双葉の三位一体でソファーに寝ていた。
市原は夢うつつだが、 遊佐と双葉は完全に眠っている。
「はたらいたらまけです……」
「双葉みたいな台詞を言うな」
- 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 18:56:52.99 ID:DNBJrAglO
- 実際、動物園のパンダも笹食って寝てるだけの悠々自適生活だし、間違ってはいないのだが。
しかし、確かに幼女の寝顔は可愛かった。
ロのつくコンプレックスの人の気持ちもこれならばわかってしまう。
「……」
ごくり、と自分が生唾を飲む音で我に返った。
おっと、いけないいけない、また僕の中の悪い虫が蠢き出しそうだ。
え? 僕がこの場で眠る三人の天使にイタズラをするんじゃないかって?
馬鹿を言ってはいけない。
寝ているアイドルに手を出すなんて真似、この清廉潔白の塊とも言える阿良々木Pが行うわけないじゃないか。
大体、誰かに見付かったら仕事を首になる、程度じゃ済まない。
現代は過保護とも言えるくらい幼い子供への保護意識は強いのだ。
モンスターペアレントなんて言葉が生まれたこと自体、時代の風潮を感じるじゃないか。
うっかり手を出したらア○ネ○に射殺されてもおかしくはない。
奴らにとって、幼い子供に手を出す輩は人間扱いしなくてもいいのだ。
オーケイ? アーハン?
少し長くなるが僕の意見をここで述べさせてもらおう。
幼児性愛関連に嫌悪感を抱く方や、興味のない方は三レス分ほど飛ばして欲しい。 - 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/05(木) 19:02:26.23 ID:DNBJrAglO
- 最近の児童対象の某法律に関しては行き過ぎだと僕は思う。
いや、先に誤解を解いておくが、何も犯罪を推奨しようという訳ではない。
小さな女の子が暴漢の手によって傷を付けられること自体は決して許されることじゃあない。
もし仮に僕に娘がいて、娘が襲われた、なんて事態になったらその犯人を絶対に殺さずにおける自信はない。
それ程に幼い子は幼いが故に尊く、護られるべき存在なのだ。
ただ、僕は言いたい。
今の現状はやり過ぎだと。
現在はその類の本やデータを持っているだけで逮捕に至ることもある。
つい先日、改正案が通ったとも聞く。
何でもジュニアアイドルの動画コメント一覧
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- 2014年06月05日 21:28
- このシリーズ無茶苦茶好き。まぁ合わない人には合わないだろうけど
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- 2014年06月05日 21:30
- 765シリーズの長さを維持したら死ぬもんなぁ
はっきりとヤバい怪異は出さないスタンスかな
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- 2014年06月05日 21:48
- ショーターイ!
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- 2014年06月05日 21:48
- 相変わらずいい感じ。面白かった
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- 2014年06月05日 21:48
- なんか何時もと違う気が…
だが面白かった!
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- 2014年06月05日 21:53
- イチゴが似合うあの娘の話はまだですか
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- 2014年06月05日 22:18
- やきうのねーちゃんの話はまだですか?
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- 2014年06月05日 22:34
- いつもとはテイストが違うけど、こういうのも悪くないね、乙
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- 2014年06月05日 22:41
- ※1信者しか読まないことを前提としてるんじゃね?
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- 2014年06月05日 22:50
- 合わないなら仕方ないね
楽しめる人間が楽しめばいい
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- 2014年06月05日 23:13
- ※10
認定厨の奴らと、考え方や思考が一緒だな
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- 2014年06月05日 23:16
- 相も変わらず最高だな!
-
- 2014年06月05日 23:47
- 筋肉痛や顔に傷…?
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たぶん>>1は西尾の書き方に似せてるんだと思うが…