男「惚れた相手は幼馴染の母親」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/07(土) 21:31:04.99 ID:BP59jvzO0
男「母ちゃん、なんで俺を四十年前に生んでくれなかったんだよ!」
母「四十年前に生まれてたら、あんたは私の子じゃないよ。私も生まれてないし」
男「齢三千の大妖がなに言ってやがる!」
母「大妖だったら面白かったんだけどねぇ。あんたの母ちゃんはただの人間で、残念ながら神通力はないんだ」
男「ちくしょう……」- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:35:38.35 ID:BP59jvzO0
母「……はぁ。いい加減諦めなさい。確かに幼馴染ちゃんのお母さんは美人だけど、もう何年も前に結婚してるのよ?」
男「俺が四十年前に生まれてたら……正確には三十八年前に。そしたら、一緒に学校に通ったり出来て、そのまま……ムフフ」
母「あんたみたいな馬鹿が息子で、母ちゃん悲しいよ」
男「妄想くらい良いだろ! 妄想してないとやってらんねぇんだよ! 何年片想いしてると思ってんだ!」
母「もう十一、二年になるかねぇ。あんたが小学生になる直前にお隣さんが引っ越してきたから」
男「そうだよ! 十二年だよ! 出会って速攻、僕と結婚して下さい! って言ってから継続中だよ!」
母「どんだけ一途なんだい、あんた」
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:36:34.93 ID:BP59jvzO0
男「父ちゃんの息子だからな。母ちゃんみたいなビッチとは違うんだよ」
母「よし、歯を食い縛れ」
男「覚悟は出来てる。いつでも来い――グフッ!」
母「さっさとお風呂に入って来な、愚息」
男「風呂のお湯を全て俺の涙に変えてやる」
母「はいはい」
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:38:00.97 ID:BP59jvzO0
翌日
幼馴染「おばさん、こんにちは」
母「いらっしゃい、幼馴染ちゃん。で、早速だけど聞くね。幼馴染ちゃんが引きずってるゴミ、今回なにしたの?」
男「ゴミじゃないやい。幼馴染にタコ殴りにされてゴミっぽくなってるだけだもん」
幼馴染「土下座しながら、ペットとして飼って下さい、って私のお母さんに懇願し出したんですよ、このゴミ」
母「いつも迷惑をかけちゃって、本当にごめんね。責任持って、燃えないゴミの日に出しておくから」
幼馴染「よろしくお願いします。では、私はこれで」
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:39:12.45 ID:BP59jvzO0
母「ちょっと待って。渡したい物があるから」
男「幼母さんへのプレゼントなら俺を――ブヘッ」
母「この馬鹿の戯言は気にしないでね」
幼馴染「慣れてます」
母「助かるわ。じゃあ、すぐに取って来るから」
男「……最近、母ちゃんが俺の頭を踏む事に欠片も躊躇いがねぇ」
幼馴染「生かして貰ってるだけ感謝しなさいよ」
男「くそぅ、俺の味方はここにいねぇのか」
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:40:31.13 ID:BP59jvzO0
幼馴染「おばさんは凄く良い人なのに、なんで息子のあんたはそんなんなの?」
男「俺、実は川に流されてた所を拾われた養子でな」
幼馴染「早く鬼退治に行って、鬼ヶ島で一生暮らしたらいいんじゃない?」
男「幼母さんの顔が見えない土地なんて、絶対に行かん!」
幼馴染「近くにいても見るな」
男「お前にどんな権限があって、そんな事言えるんだよ」
幼馴染「私の母親だ」
男「娘さん、お母さんを下さい!」
幼馴染「黙れよ、もう」
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:41:47.50 ID:BP59jvzO0
母「お待たせ。それが変な事しなかった?」
幼馴染「実は川を流れて拾われた養子で、これから鬼退治に行くらしいです」
母「わかった。きびだんごだね? すぐ用意するよ」
男「それを幼母さんに渡して、旅の仲間に……ありだな」
母「ねぇよ。幼馴染ちゃん、はいこれ」
幼馴染「これ、箱から察するにケーキですか?」
母「そうよ。母友から分けて貰ったの。新作だから試食して欲しいってね」
幼馴染「本当ですか! うわぁ、嬉しいな。母友さんの新作を食べられるなんて」
母「ご両親の分も入っているから、分けてあげてね」
幼馴染「はい、ありがとうございます!」
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:42:48.31 ID:BP59jvzO0
母「お礼なんていいわよ。それより、手厳しい感想、よろしくね」
幼馴染「美味しいって思う意外に感想が浮かぶか心配です。人気店の店長さん直々のケーキなんですから」
母「冗談よ。心から美味しいって思ってくれたら、それはそれで母友は喜ぶからね」
幼馴染「任せて下さい」
母「でも、ちょっとイマイチかなって思ったら遠慮せずに言って。抽象的でも指摘があった方が直し易いって言ってたから」
幼馴染「了解です! では、早速家でお母さんと食べてみます。お父さんも食べ終わったら、電話かメールをしますね」
母「うん、お願い」
幼馴染「お邪魔しました」
母「また来てね」
幼馴染「はーい」
- 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:43:36.44 ID:BP59jvzO0
男「話しに入れずに疎外感マックスだったけど、母上よ」
母「なんだい、息子よ」
男「俺のケーキは?」
母「冷蔵庫に入れてるから食べていいよ」
男「母ちゃんはもう食ったの?」
母「お先に」
男「美味かった?」
母「私は結構好みだったかな。甘さも抑えてあったし、後味も悪くなかったから食べ易かったよ」
男「よし、幼母さんに俺の分をおすそ分けに行こう」
母「やめなさい」
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:44:30.16 ID:BP59jvzO0
男「止めるな」
母「止めるから。数分前の私と幼馴染ちゃんの会話、聞いてなかったのかい? 私はともかく、幼母さんは二つもあげたところで食べられないよ」
男「……仕方ねぇ。なら、母ちゃんにやるよ。美味かったんだろ?」
母「おや? どんな風の吹きまわし?」
男「糖分をたくさん摂取して太ってしまえ」
母「残念。糖分やらカロリーやらをなるべく抑えたものらしいから、二つじゃ希望に添えられるような体格にならないよ」
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:47:25.27 ID:BP59jvzO0
男「真面目に答えんな。本気でそんなこと考えてるわけねぇだろ」
母「あんたなら本気で考えてる可能性の方が高いけどね。でも、いいの?」
男「別に良いよ。ケーキは嫌いじゃないけど、煎餅とか葛餅とかの方が好きだし。代わりに棚の歌舞伎揚げ食うから」
母「今度、和菓子も作れないか、母友に聞いてみるよ」
男「よろしくな。んじゃ、着替えて風呂掃除しとくから、飯頼んだ」
母「任された」
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:48:29.70 ID:BP59jvzO0
翌日
母友「おっ、少年。こんなところで会うなんて、珍しいね」
男「あっ、母友さん。こんにちはです。あとお久しぶりです」
母友「お久しぶり」
男「昨日のケーキ、ありがとうございます。ウチの母ちゃん、喜んで食ってました」
母友「そりゃなによりだね。少年は美味しかったかい?」
男「いえ、美味いって言ってたから、俺は母ちゃんにあげちゃったもんで」
母友「孝行息子だねぇ。母のやつ、嬉しかったろうなぁ。私はちょいと残念だけど」
男「すみません」
母友「気にしないで良いよ」
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:49:25.80 ID:BP59jvzO0
男「ところで、母友さんはどうしてこんなところに? まだお店の営業時間じゃありませんか?」
母友「良い小麦が出来たって話を聞いてね、早朝から地方行って、見て来たのさ。今は店に帰る途中」
男「お忙しそうですね」
母友「苦じゃないけどね」
男「羨ましいですね、苦じゃない忙しさを味わえるのは」
母友「少年も本当に好きな事を見つければ、出来るようになるよ」
- 15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:50:38.30 ID:BP59jvzO0
男「もし少しだけ時間があれば、その好きな事でちょっと相談してもいいですか?」
母友「おっ、なんだい? お姉さんに言ってみな」
男「人妻ってどうやったら寝取れますか?」
母友「おっと、これまたぶっ飛んでるねぇ。まさかの寝取り話とは。もしかして、いつか話してた幼馴染ちゃんのお母さんの事かな?」
男「はい」
母友「諦めな。他人の幸せぶっ壊したところで、後味が悪くなるだけだよ」
男「でも先日、ペットにして下さい、ってお願いしたところ、お手、って笑顔で言ってくれましたよ? 手に触れる事が出来て、ドキドキしました」
母友「お手したんだ。幼馴染ちゃんのお母さんも、頭が緩そうだねぇ。幼馴染ちゃんの苦労が垣間見えたよ」
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:52:03.19 ID:BP59jvzO0
男「続いてお代わりをした後、チンチンって言われたので、チャックを開けようとしたところ、幼馴染にボコられました」
母友「うん、警察を呼ばなかった幼馴染ちゃんの優しさに感謝しようか」
男「こんなに深い関係になっても、無理ですか?」
母友「今の話のどこを聞けば深い関係なのか謎だけど、無理だよ。可愛がられているとは思うけどね」
男「でも、簡単に諦める事なんて出来ませんよ……」
母友「だろうねぇ。一番手っ取り早そうなのは、他に好きな子を作る事だと思うけど」
男「あり得ませんね。俺は幼母さん一筋です」
- 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:53:22.97 ID:BP59jvzO0
母友「吃驚するくらい一途だね」
男「当然ですよ。好きな人がいるのに脇見するような男じゃありません、俺は」
母友「それは感心。でもね、相手が悪かったよ。幼馴染ちゃんじゃダメなのかい? 血が繋がってるし、将来は幼母さんのようになるんじゃないのかな?」
男「幼馴染ぃ?」
母友「露骨に嫌そうな顔をされちゃったよ」
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:55:04.22 ID:BP59jvzO0
男「望みはあるかもしれませんが、今はあんなんですから期待値低そうですよ。あいつを選ぶくらいなら、母友さんの方がずっと良いです」
母友「おや? これは嬉しい事言ってくれるじゃないか」
男「そりゃ、こんなに美人さんで暴力も振るわず、性格も素敵な母友さんなら、好きにならないわけがありませんよ」
母友「じゃあ、私の婿さんとしてうちに来るかい?」
男「それは……すみません。俺には幼母さんがいますので」
母友「いや、冗談で言っただけだから。そんなに悲痛そうな表情されたら私が困るよ」
- 19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/06/07(土) 21:56:10.24 ID:BP59jv
コメント一覧
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- 2014年06月07日 23:23
- うん良かった
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- 2014年06月07日 23:31
- だめなのね、もう
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- 2014年06月07日 23:33
- 幼馴染が後20年くらい早く生まれていれば……
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- 2014年06月07日 23:34
- 最後のオチは嫌いじゃないです
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- 2014年06月07日 23:37
- まあ、幼馴染はこんな扱いよね
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- 2014年06月07日 23:44
- やはり幼なじみは不遇か…
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