NTTドコモは、SIMカードなしのスマートフォンやタブレットにかざすだけで電話やメールなどが利用できるようになる小型認証デバイス「ポータブルSIM」を開発しました。今後商用化を目指します。
このデバイスにはSIMカードとBluetooth、NFCを搭載しており、たとえばSIMカードなしのスマートフォンやタブレットにこの端末をかざすと、Bluetoothを介して回線認証し、SIMカードなしでも回線認証し、ネットワークに接続できます。要するに、1つのSIMカードの抜き差しなしで、複数のスマートフォンを1つのSIMカードで利用したり、複数のSIMカードで1台のスマートフォンが利用しやすくなるということです。
ポータブルSIMでは、内部のSIMカードがスマートフォンやタブレットを介してネットワークと相互認証します。これにより、スマートフォンやタブレットにSIMカードがなくてもネットワーク接続が可能になります。
対応するスマートフォンとはまず、NFCでデバイス情報をやりとりした上でBluetoothでペアリングします。ポータブルSIMと認証されたスマートフォンはBluetoothで常時接続状態となり、その間、SIMカードがなくても回線認証されます。
ポータブルSIMをタブレットなどほかの機器にかざせば、元のスマートフォンとのBluetooth接続が解除され、今度はポータブルSIMとタブレット端末で回線認証、同じようにBluetooth接続している間、SIMカードなしのタブレット端末でも回線認証状態になります。
1つの携帯電話番号をスマートフォンやタブレットといった複数の端末で利用しやすくなるほか、複数の携帯電話番号を1台のデバイスで利用する際にも切り替えやすくなるとしています。
たとえば、スマートフォンにかざして認証したポータブルSIMを、タブレットにかざした場合、スマートフォン側は新たな認証先が決まったために画面ロックします。
本体の大きさは約80 x 40 x 5.6mm、重さは約20g。スマートフォンやタブレット端末との通信はNFCやBluetoothで行います。ポータブルSIMの開発メーカーはシャープ。
なお、SIM認証の仕組みを利用し、Webサイトへのログイン認証などIDやパスワードの自動入力も可能です。
ただし、ポータブルSIMに対応するためには、スマートフォンやタブレット側がそれをサポートする必要があり、現在のスマートフォンやタブレットには対応していません。しかしながら、この対応はハードウェアに変更を加えるものではなく、ソフトウェアの書き換えで対応可能としています。
「他社との連携や技術の標準化などはあるのか」と問うと、担当者は「今のところ、デバイスを作ったシャープ以外、社内にとじています」とコメントしており、今後の市場の広がりなどを見ながら検討していく方針です。
またドコモでは、小型化や薄型化を進めてPCやテレビ、音楽プレーヤー、車載機器などとも連携していきたい考えです。
このほかドコモでは、7月23日、ポータブルSIMの利用シーンを広げるためのアイデアを募集する
ポスト・スマートフォンを考えるアイデアソンを開催します。対象はデザイナー、プランナー、エンジニア、起業家、学生など。