南条光「だから、見ててくれPさん…アタシの――変身!」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:00:48.41 ID:WYfb9KTy0
- ワー!ワー!
歓声が聴こえる。
ファンのみんなの声だ。
けど、アレはアタシに向けられたものじゃない。
麗奈「アーッハッハッ……ゲホゲホッ!見なさい南条光!これがゲンジツよ!時代は正義ではなく悪、アンタじゃなくてこのレイナサマを選んだの!」
アタシは……負けた。
麗奈「でも、アタシをここまで追い詰めるなんて見込みがあるわアンタ…どう、アタシの下僕になる気はない?」
ヒーローなのに…負けた。
麗奈「……そう、無視するのね。別にいいわ、所詮アンタはその程度だったってことよ!」
負けちゃダメなのに。
麗奈「アンタなんか!」
ヒーローが負けちゃダメなのに。
麗奈「一生ヒーローになんてなれないんだから!」 - 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:01:39.21 ID:WYfb9KTy0
- 麗奈P「お前…言い過ぎだぞ」
麗奈「ああ?一回負けたぐらいで終わるようならそこまでってことじゃない。ザコよザコ」
麗奈P「何言ってんだ、いつもあの子とバトルするの楽しみにしてたのはお前だろ?」
麗奈「…もうどうでもいいわそんなこと」プイッ
麗奈P「ああもう!ったく、俺は謝罪行ってくるから部屋で待ってろよ」
麗奈「ふん」チラッ
光「…………」フラ…フラ…
麗奈(……何よへにゃちょこ…しっかりしなさいよ!) - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:02:49.67 ID:WYfb9KTy0
- 光「…………」トボトボ
負けちゃった……
光P『初めまして、今日から君の担当になるプロデューサーです。よろしくね』
光『よろしくお願いします!』
アタシの全力を尽くしたのに……
光P『南条は……いや、光と呼ぼうか。うん、そっちの方が良さそうだ』
光『うん!私もその方がいい!』 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:03:52.33 ID:WYfb9KTy0
- 今までいっぱいレッスンしてきたことも……
光P『よし、光。光は特撮ヒーローが好きって聞いたよ。アイドルにスカウトされた時もヒーロー番組の主題歌なんか歌えたらって言ったそうじゃないか』
光『そうだよ!アタシはずっとヒーローが好きで憧れててさ、でもやっぱりどこかで諦めてて……ほら、アタシってちょっと、ちょっとだけ身長低いから余計に』
光P『そうか、だったらこのチャンスを活かさない手はないよね』
光『うん!だから話を聞いた時にね、心の中でパアアって感じになったんだ!希望の光ってきっとこのことを言うんだって思ったなぁ』
今まで頑張って来た何もかも……
光P『ふむふむ、面白い表現をするね。元気いっぱいで素直な気持ちが伝わってくる……ヨシ!』
光『な、なんだ!?』
光P『とりあえず特撮に疎い俺にオススメを教えて欲しいな』
光『あらら』ガクッ
全部無駄になっちゃった。 - 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:05:41.25 ID:WYfb9KTy0
- 光P「光!」
光「Pさん……」ジワァ
光P「惜しかったね」ナデナデ
光「ごめん……アタシ負けちゃった…」ポロポロ
光P「そうだね、今まで勝ってた相手だったし対策もバッチリしてたつもりだったんだけど……今回は相手がそれよりも上手だったよ。ごめん光」
光「なんでPさんが謝るんだよ……!」バシッ
光P「え…?」
光「アタシが負けたんだ!Pさんは何も悪くないじゃないか!」
光「むしろPさんはアタシを怒らないとダメだろ!?アタシは負けたんだぞ!」
光「PさんのおかげでSR+ランクになれたのに…ヒーローになりたいっていうアタシの夢を叶えてくれたのに!」
光「それを全部ぶち壊したアタシをなんでPさんは怒らないんだよ!!」 - 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:06:44.82 ID:WYfb9KTy0
- アタシは馬鹿だ。
何やってるんだよ。
Pさんに八つ当たりしてどうするんだ。
相棒なんだろ。こんなこと言っちゃダメだろ。
謝らないといけないだろ。
麗奈『アンタなんか!一生ヒーローになんてなれないんだから!』
レイナの言葉が頭を巡る。
ヒーローになりたい?
ヒーローになれた?
ヒーローになれない?
こんな身勝手なアタシにはヒーローに憧れる資格すらない。 - 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:07:32.00 ID:WYfb9KTy0
- 光「…………」
帰り道、Pさんの運転する車の中でもアタシは黙っていた。
八つ当たりしたことを謝ることも出来ず、俯いて何も言わなかった。
Pさんも何も言わなかったけど、バックミラー越しにアタシを心配して見てくれていたのは感じていた。
気を利かせてくれたのか事務所には寄らず、まっすぐアタシの家に向けて車は走る。
光P「あの、光……」
光「…………」
光P「お、おやすみ」
光「~~ッ」ダッ
そうして、家の前に着いた時の別れ際の挨拶も無視して、アタシは家の中に逃げ込んだ。
カチャンカチャンと、Pさんが押し入ってくるわけでもないのに鍵を掛けてチェーンまで掛ける。
そんな臆病な自分が堪らなく情けなくて……
光「ヒック…えぐ…ぅぁ……」グスグス
アタシは玄関のドアを背にしてうずくまるみたいに泣いた。 - 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:09:08.69 ID:WYfb9KTy0
- ちひろ「あ、光Pさんおかえりなさい」
光P「あはは…ただいま戻りました」
ちひろ「光ちゃんどうでしたか?」
光P「負けたのがよっぽど悔しかったみたいで……ヒーローに憧れていてアイドルにスカウトされる前から自己流のトレーニングをしていたので、なまじポテンシャルが高くて今まで負け知らずでしたから余計でしょうね」
ちひろ「うーん、本当にそれだけですか?前に光Pさん少し心配な点があるっておっしゃっていましたけど……実はわかっていたんじゃありませんか?光ちゃんがこうなるって」
光P「あー……あはは、いい読みしてますね。プロデューサーやってみませんか?」
ちひろ「まあ、あなたよりこの仕事長いですからね。わかっちゃうんですよ」 - 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:10:00.65 ID:WYfb9KTy0
- 光P「えっと……そうですね、なんというか光はヒーローに憧れて、なんならヒーローになるためにアイドルをやっているわけじゃないですか」
ちひろ「そう……なんでしょうね、あなたが言うなら」
光P「それで、光はヒーローに執着し過ぎてるんですよ」
ちひろ「…………」
光P「ああいやもちろんわかってますよ、そういう風に育てたのは私だって」
光P「ここに来た当時の光はヒーローに憧れてはいたけどヒーローに執着なんてしてませんでした」
光P「私も資料を見せていただいた時は普通に彼女をかっこいい系のアイドルとして売り出すつもりでしたし」
光P「ただね……」
ちひろ「はぁ…わかってます。惚れちゃったんでしょう?一生懸命にヒーローを語る光ちゃんに」
光P「はい、この娘には普通のアイドルになんか成らせたくないなって、本物のヒーローに成らせてやるって思ったんですよ」 - 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:10:42.03 ID:WYfb9KTy0
- 光母「光……ご飯食べない?」
光「いらない」
光母「そう…あのね、食べたくなったらいつでも言ってちょうだい?お母さんまだ起きてるから」
光「……うん」
光母「大好きよ光」
部屋に閉じ籠って何やってるんだろ……
お母さんに迷惑かけちゃったし、本当にヒーロー失格だな。
いつもアタシを満たしてくれていた部屋に飾っているヒーローグッズが今日は疎ましい。
いつもアタシに勇気をくれた戦隊がライダーが光の戦士が、他の全てのヒーローがアタシを責めているみたいに思えてきた。
光P『ごめん光』
光「やめてくれ……」
光母『大好きよ光』
光「アタシに優しくしないでくれ……!」 - 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:12:09.98 ID:WYfb9KTy0
- 光P「はい…はい、わかりました。大丈夫です、こちらこそすみません。失礼します」ガチャ
ちひろ「今日も光ちゃんはお休みですか……一週間、学校にも行ってないんでしょう?」
光P「あはは…そうみたいですね……」ポリポリ
ちひろ「……その顔私嫌いです」
光P「え…?」
ちひろ「その情けない顔は嫌いです。もっとシャンとしてください」
光P「あー……はい」
ちひろ「……はぁ、もういいです」
光P「すみません……」 - 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:14:16.03 ID:WYfb9KTy0
- 光が初めて負けた日から一週間が経った。
光は自分の部屋に閉じ籠ってしまっている。
何度か家を訪ね、部屋の前まで行ったが、結局光とは一度も会話すら出来なかった。
彼女がこうなってしまったのは俺が原因だ。
みんなを勇気づけたい笑顔にしたいという彼女のヒーロー観は、ライブバトルで勝利した時の歓声と賞賛により少しづつ変化してしまう。
勝利こそが正義だと、自分が勝つことがみんなを勇気づけ笑顔にするのだと。
間違いではないさ、応援するアイドルがバトルで勝てば誰だって嬉しい。
ましてやデビュー以来負け無しのヒーローだ。期待しない方がおかしい。
そう、間違いではない……でも、正しくもなかった。
俺はそのことを伝えるべきだった。
負け無しのモチベーションを崩すかもしれないと、言うのを渋ったのは俺のミスだ。 - 14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:15:35.79 ID:WYfb9KTy0
- 光P「はぁ…」
幸子P「…………」
光P「はぁ…」
幸子P「…………」
光P「はぁ…」
幸子P「うおりゃああああああああッ!!!!!!」ハラボコォオオッ
光P「オボェゲエエエエエッ」ドンガラガッシャーンッ
幸子P「昼飯誘ったのは俺だけど超うぜえ!どれぐらいうぜえかというと先攻ドロー廃止ぐらいうぜえ!!!」
光P「カードゲームの話されても知らんし……」ヨロッ - 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:17:16.16 ID:WYfb9KTy0
- 幸子P「俺だってお前が落ち込んでる理由なんて知らんわ!けどな!」
幸子P「お前がグズグズしてても仕方ねえだろうが!」
幸子P「俺達がすべきことは!アイドルを輝かせることだろうが!」
光P「さ、幸子P…!」
幸子P「フッ」ドドドドヤァアアアッ
光P「だからって幸子ちゃんを南極に送るのはどうかと思う」
幸子P「ダイアモンドダスト幸子!!これはSRランク待ったなしやで!!」 - 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:18:48.88 ID:WYfb9KTy0
- 光P「ふう…ただいま戻りました」
ちひろ「おかえりなさい……お茶飲みますか?」
光P「いただきます」
ちひろ「それじゃあ、淹れてきますね」
光P「ありがとうございます」
幸コメント一覧
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- 2014年06月11日 23:17
- 颯爽!登場!ねこさんだー!!
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- 2014年06月11日 23:21
- こんな奴らのために!
これ以上誰かの涙は見たくない!
みんなに笑顔でいて欲しいんです!
だから見ててください!俺の!
変身!!
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- 2014年06月11日 23:22
- 俺の先行ドロー!
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- 2014年06月11日 23:22
- 光好きなのにレイナ様ばっかりフィーチャーされるよな。やっぱりあのキャラ使いやすいのかね
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- 2014年06月11日 23:26
- 麗奈の進化系は時子だろうが、光は誰みたいになるんだろうか。
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- 2014年06月11日 23:28
- おい、知ってるか、夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる らしいぜ。 俺には夢が無い、でもな、夢を守ることは出来る!変身!
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- 2014年06月11日 23:28
- 再登場はよ
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- 2014年06月11日 23:29
- いたずらっ子が進化したら可愛げがなくなるとは悲しいな
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- 2014年06月11日 23:30
- 明日のフェスは光が来て欲しい
絶対に取るぞ!
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- 2014年06月11日 23:37
- おうモバついてんぞ。変なのも沸かんやろ。
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- 2014年06月11日 23:40
- ただの………人間だ!
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- 2014年06月11日 23:43
- 君には、こんな寄り道はさせたくなかった。
クウガのラストバトルは何回見てもいよな。
2話も熱いけど、雪山での二人の会話はすげー切ない。
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- 2014年06月11日 23:45
- 人を守るためにライダーになったんだ
だったらライダーを守ったって良い!
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- 2014年06月11日 23:50
- 先行ドロー廃止くらいウザいか
かなりのもんだな
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- 2014年06月11日 23:54
- 手が届くのに、手を伸ばさなかったら、死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ
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- 2014年06月11日 23:56
- 泣きながら爆死する五代
笑いながら爆死するダグバ
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- 2014年06月11日 23:57
- 子供の頃見た時はアルティメットもっと見たいって思ってたけどな。変身解除までが早過ぎんよ~
ライアルも嫌いじゃないんでもっと活躍の場を!
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- 2014年06月11日 23:57
- その涙はなんだ!その目は!
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- 2014年06月12日 00:00
- 英雄の歌詞が浮かんで来た。
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- 2014年06月12日 00:01
- ここからはオレのステージだ
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