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過去の良作の再投稿です。
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死神「核? よく分からんが全滅した」
死神「ふー、魂狩るの大変だった……」
死神「全人類いっぺんにだもんな。勘弁してくれよ」
死神「人間狩り終わったし、生き物全滅だし、やることなくなっちゃったな」
死神「……これで僕もニートか」
死神「……はぁ」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 13:34:40.86 ID:47E+bBDh0
死神「……あー、見渡す限りの焼け野原」
死神「よ、っと。建物の残骸で歩きづらい……」
死神「ここもついこの間まで人間であふれ返ってたのになぁ」
死神「さっぱりして、気持ちいい」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 13:46:46.20 ID:47E+bBDh0
死神「しっかし、やることないなぁ」
死神「どっかに生き残ってる奴居ないかなー」
辺りを見回す死神。
死神「……居ないよなー、やっぱり」
死神「……はぁ」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 13:54:46.33 ID:47E+bBDh0
死神「……おお、死骸だらけ」
死神「邪魔だなぁ」テクテク グシャグシャ
死神「真っ赤。トマトみたい」テクテク グシュグシュ
死神「トマトー、トマト―♪」グシャグシャ グシュグシュ
死神「……飽きた」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:04:54.10 ID:47E+bBDh0
死神「蟻一匹居ないもんなー」グシュグシュ
死神「虫けら一匹くらい生き残ってないかな」グシャグシャ
死神「狩る楽しみが皆無なんてつまんない」
死神「何か他に面白い遊び無いかなあ」
きょろきょろと死骸の山を見渡す死神。
死神「あ」
折り重なった死骸から比較的状態の綺麗な少女の死体を引っ張り出す。
死神「こいつで良いや」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:11:39.22 ID:47E+bBDh0
少女の死体をずりずり引きずりながら当てどもなく死神。
死神「お。あれで良いや」
半壊した家の戸を開ける死神。
家の中は煤けて滅茶苦茶、窓ガラスもほぼ割れている。
死神「きったない場所だな。まあいいや」
死神、少女の死体を椅子に座らせる。
ぐたっと椅子に凭れる少女。
死神「……うん、これで良し」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:20:07.43 ID:47E+bBDh0
少女「……」
死神「え? 何するのかって?」
少女「……」
死神「おままごと」
少女「……」
死神「僕、お父さん。君、お母さん」
少女「……」
死神「ちょっと待ってて。子供探してくるから」
少女「……」
死神「はいはい、いってきまーす」
死神「……我ながら虚しい遊び考えたなぁ。ま、どうせ暇だし良いか」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:25:31.17 ID:47E+bBDh0
死神「子供子供ー」
死骸をグシャグシャ踏みつけながら進む死神。
死神「お、これなんかどうだ?」
死骸の山から引きずり出した子供、肉がずる剥けで下半身はほぼ骨状態。
死神「却下。いらね」ポイッ
弧を描き飛んでいく子供の死体。
ぐちゃっと生々しい音を立てて荒れ地に落ちる。
死神「他に良い死体ないかなー」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:39:38.08 ID:47E+bBDh0
死神「……これはどうだろ?」
五、六歳くらいだろうか?
状態の良い男の子の死体があった。
死神「これにしよーっと……あれ?」
しかし男の子の死体はその母親らしき死体が強く抱きしめている。
大方、死ぬ時に我が子を庇ったのだろう。母親は黒く焼け焦げている。
死神「うざったいなぁ。ほら、離せ、ほら」
無理矢理母子を引きはがす死神。
死神「よーし。良いモン拾ったなぁ」
子供をぶら下げ上機嫌で帰路につく死神。
黒焦げの母親は子を抱き抱えたポーズのまま固まっている。
死神「ふんふーん♪」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:49:02.19 ID:47E+bBDh0
死神「ただいまー」
少女「……」
死神「子供見つけて来たよ。ほら!」
ぶらんと逆さ吊りになった子供の死体を少女の死体の前に突きつける死神。
死神「新婚生活。ラブラブで、あったかな家庭。そういう設定で行こう?」
少女「……」
死神「さて、この子の名前何にしよっか?」
少女「……」
死神「……」
少女「……」
死神「何とか言えよ生ゴミ」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 14:57:04.04 ID:47E+bBDh0
死神「……飽きた」
子供の死体をガラスの割れた窓からぽいっと放る。
少女「……」
死神「だって喋らないもん」
少女「……」
死神「お前も捨てようか?」
少女「……」
死神「……面倒くさい」
死神、半分焼けたベッドの上にどさりと横たわる。
死神「あー、何もかんも面倒くさい。暇だ、暇すぎる」
少女「……」
死神「何とか言えよ」
少女「……」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:03:40.56 ID:47E+bBDh0
死神「あー、死にたいな」
少女「……」
死神「知ってた? 死神って死ねないんだよ?」
少女「……」
死神「こんな死骸だらけの世界で永遠に独りぼっちだよ」
少女「……」
死神「あーあ、くそつまらない」
少女「……」
死神「死にたいなぁ」
少女「……」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:16:38.06 ID:v/28oyapO
窓から地球の惨状を眺める死神。
死神「良い眺めだなぁ。何にもなくて綺麗」
少女「……」
死神「……暇だなぁ」
少女「……」
死神「地球終わったなぁ。もう生き物なんて永遠に現れないんだろーなー」
死神「暇だなぁ……」
少女「……」
死神「……はぁ」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:23:38.22 ID:v/28oyapO
死神「自分で作った物で全滅とか、人間っておかしな生き物」
少女「……」
死神「狂ってるよなぁ。そう思わない?」
少女「……」
死神「ああ、君も人間だったね」
少女「……」
死神「……何か面白いことしてよ」
少女「……」
死神「駄目だこいつ死んでるから」
少女「……」
死神「ふあぁ……あくびしか出てこない……」
少女「……」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:29:40.68 ID:v/28oyapO
死神「こいつが生き返れば少しは楽しくなるのに。君、結構美人だし」
少女「……」
死神「……生まれてこの方死んだの狩ってきたけど、生き返って欲しいって思ったの初めて」
少女「……」
死神「……どう? 生き返ってみたい?」
少女「……」
死神「返事しろよ」
少女「……」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:39:30.14 ID:v/28oyapO
死神「僕は死神だからね。仮に君が『生き返りたい』って言っても無理だけどね」
少女「……」
死神「ふふふ。悔しいだろー」
少女「……」
死神「……」
少女「……」
死神「……悔しいだろー」
少女「……」
死神「……」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:43:54.70 ID:v/28oyapO
割れた窓から吹きすさぶ風が、ボロ布と化したカーテンを揺らす。
死神「毒の風が吹いてる」
少女「……」
死神「ウジも死滅してるから君も腐らないよ。良かったね」
少女「……」
死神「外の死骸の山もそのまんま」
少女「……」
死神「ふふっ。地球の時間は止まったまんま」
少女「……」
死神「永遠に、全てがそのまま」
少女「……」
死神「これが君たち人間の望んだ世界?」
少女「……」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:57:32.60 ID:v/28oyapO
死神「日が落ちてきたね」
少女「……」
死神「地球が滅茶苦茶になっても宇宙は全部いつも通り」
少女「……」
死神「所詮、地球なんてそんなモンだよ。全宇宙から見ればちっぽけな物」
少女「……」
死神「……僕らも、ね」
少女「……」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 15:58:24.68 ID:v/28oyapO
死神「じゃあ散歩してくる。暇だし」
少女「……」
死神「いってきます。留守番よろしく」
少女「……」
死神「……あ、ドア壊れて外れちゃった」
少女「……」
死神「直そうかな?」
少女「……」
死神「……やっぱ止め。面倒だし」
少女「……」
死神「じゃ、行ってくるよ」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 16:10:31.91 ID:v/28oyapO
死神「……とは言ったものの行く場所なんてないよなぁ」
てくてく
死神「お。死体の山」
死体をわざと踏んで歩く死神。
死神「ぐにゅぐにゅ。ぐにゅぐにゅ」
死神「……お。車がある」
死神「死体もある。男女二人」
死神「カップルかな? ヒューヒュー、お熱いねぇ」
死神「ま、死に際はマジで熱かったんだろうけど」
死神「……ぷふっ」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 16:16:54.19 ID:v/28oyapO
死神「でも、愛し合う者同士側で死ねて本望だったんじゃないの?」
男女「……」
死神「良いねぇ。僕もそういうの憧れるよぉ、ちょっとはね」
男女「……」
死神「駄目だこいつら喋らねぇ」
男女「……」
死神「じゃ、末永くお幸せにねー。そこに座って、永遠に」
すたすた…
死神「さて、次はどこに行くかな……」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 16:27:02.09 ID:v/28oyapO
ぽつ…っ
死神「あ。雨だ」
ぽつぽつ、ざあああ……
死神「本格的に降って来ちゃった。しかも何か黒いし」
死神「どっか雨宿りできるとこ無いのかなぁ……」
死神「……あ、さっきの車」
元来た道を引き返す死神。
死神「雨だなんてついてないなぁ……まぁ、何事も無いまま暇よりいっか……」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 16:37:30.76 ID:v/28oyapO
とりあえず車まで戻った死神。後部座席のドアを開けようとするが、壊れているのか中々開かない。
仕方ないので割れた窓から身体を滑り込ませる。
死神「……っと。お邪魔しまーす」
男女「……」
死神「いやぁ、急に雨降って来ちゃって。嫌になりますねぇ」
男女「……」
死神「……いつになったら止むのやら」
男女「……」
死神「まあ、何も急ぐ用事なんてないからどうでも良いんですけどね」
男女「……」
死神「だから何とか言えって。つまんないだろ」
男女「……」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 17:05:35.21 ID:47E+bBDh0
死神「止みませんねー」
男女「……」
死神「……あ。良く見たら手ぇしっかり握りあってやんの」
男女「……」
死神「ラブラブだねぇ」
男女「……」
死神「うちにも居るんですよ。可愛い恋人。ま、さっき拾って来たばっかなんですけどね」
男女「……」
死神「……死体に向かって何やってんだろ、馬鹿みたい」
男女「……」
死神「……本当、馬鹿みたい」
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 17:11:53.78 ID:47E+bBDh0
死神「……止まないな」
男女「……」
死神「しっかし黒くて不気味な雨だなぁ」
男女「……」
死神「……止むまで一眠りしよう」
男女「……」
死神「んじゃ、お休み」
男女「……」
死神「……」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 17:25:29.49 ID:47E+bBDh0
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