千早「if」
- 1: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:29:57.33 ID:yyXq5Zcd0
目覚まし時計が電子音を鳴らして朝を告げます。
時刻は朝の6時。
ベッドの中から手を伸ばして目覚まし時計を止める。
千早「ん……あと五分……」
まだ余裕があると思い瞼を閉じて微睡みに沈んでいく。
この二度寝に落ちていく時が気持ちいいんです。
視界が黒く塗りつぶされ、意識はもう一度夢の中へ。
- 2: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:31:05.74 ID:yyXq5Zcd0
体が揺さぶられて、目が覚めました。
私の体を揺らしているのは弟の優。
優「お姉ちゃん起きて、遅刻するよ~」
母に頼まれたのでしょう、優は私の腕を掴んで体を揺すり懸命に起こそうとしています。
千早「んっ……ふぁ~……おはよう、優」
優「おはよう、お姉ちゃん」
時計を見ると、アラームを止めてから1時間ほど経過していました。
部屋の扉を開けてリビングへ足を運びます。
- 3: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:33:24.34 ID:yyXq5Zcd0
千種「やっと起きたわねお寝坊さん」
千早「おはよう、お母さん」
リビングで母が朝食の準備をしていました。
メニューはトーストと目玉焼きにサラダ。
千種「ほら、早く顔洗って朝ごはん食べちゃいなさい。遅刻するわよ」
千早「はぁい」
まだ眠い目をこすって洗面台へと向かいます。
冷たい水で顔を洗う、目も覚めてすっきりした気分になりました。
- 4: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:33:52.95 ID:yyXq5Zcd0
タオルで顔を拭い、ついでに寝癖を直してリビングへと戻る。
テーブルでは既に優が朝食を食べ始めていました。
私も自分の席に座り用意してある朝食にありつきます。
千早「いただきます」
こんがりと焼けたトーストにバターとジャムを塗ってひとかじり。
トーストの香ばしい香りとジャムの甘さが口いっぱいに広がります。
- 5: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:34:20.83 ID:yyXq5Zcd0
テレビには同年代位のアイドルが歌って踊っている映像が流れ、それを見て盛り上がっている客席の様子も映し出されていました。
頭にリボンをつけた女の子が、楽しそうに歌って、観客もそれを全身で楽しんでいます。
それを、どこか遠い世界の出来事のように眺めている。
私には、縁のない世界よね。
私のそんな考えを知ってか知らずか、同じようにテレビを眺めていた優が口を開きました。
優「お姉ちゃんもこんな風に人前で歌ったりしないの?」
千早「へ?」
全く予想外の問いかけに素っ頓狂な声を漏らしてしまう。
- 6: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:35:15.83 ID:yyXq5Zcd0
千早「わ、私には無理よ。こんな風になんて、歌えないわ」
優「う~ん、そうかなぁ?僕、お姉ちゃんの歌は上手だと思うし大好きだよ」
小さな頃から優は私の歌を楽しんでくれていた。
それは今も変わりません。
けれど、所詮素人の私が、テレビに出たり人前で歌うなんて事、できっこない。
私は、大好きな歌を歌えたらそれで良いと思っています。
千種「喋ってないで早く食べちゃいなさい、いつまでたっても片付かないでしょ」
- 7: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:35:51.30 ID:yyXq5Zcd0
母に急かされるように朝食を食べ終わると、学校に行く準備をします。
制服に着替え、忘れ物がないか鞄の中をチェック。
うん、大丈夫。
時計を見るとそろそろ家を出る時間ね。
お弁当箱を受け取って、優と家を出ます。
千早、優「行ってきます」
千種「行ってらっしゃい、気をつけてね」
母に見送られ、二人で学校まで歩いて行きます。
中学生の優とは途中の道で別れて、高校に着きました。
- 8: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:36:20.24 ID:yyXq5Zcd0
校門を抜け、教室を目指します。
途中、クラスメイトと合流して一緒に教室へ。
席に着くと先に来ていた友人の智秋が声をかけてきました。
智秋「おはよう、千早」
千早「えぇ、おはよう」
智秋「今朝のニュース見た?やっぱり可愛いよね!天海春香!」
この子が言っているのは、朝見ていたテレビに映っていた女の子の事だった。
- 9: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:36:54.36 ID:yyXq5Zcd0
千早「芸能関係の事はよく分からないけど、あんな風に大勢の前で歌うなんてすごい事よね」
私が言うと智秋は面食らったような顔を見せ、そして大きな声で笑い始めました。
智秋「何言ってんのよ、あんた合唱コンクールで1位の実力でしょ!」
笑いながら背中をバシバシと叩いてきます。
痛い……。
雑談をしていると先生がやってきました。
それを見た智秋が席へと戻って行きます。
- 10: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:38:20.50 ID:yyXq5Zcd0
――――HRと授業が終わりあっという間に昼休みになりました。
智秋「千早~、一緒に食べよ」
千早「えぇ、勿論」
お昼ご飯を持って二人揃って屋上へと移動します。
智秋「あんた進路とかどうすんの?」
食べながら少しだけ先の将来の話になりました。
- 11: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:38:50.27 ID:yyXq5Zcd0
千早「まだ、何も……」
智秋「アタシはさ、あんたならマジで歌手になれると思ってるよ。歌うまいし」
そう言ってくれるのは嬉しいのだけれど、私には無理よ。
歌は好きだけど、それだけだもの。
千早「……智秋はどうするの?」
智秋「アタシは……とりあえず進学かな~」
千早「そう……」
- 12: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:39:32.64 ID:yyXq5Zcd0
少しだけ、想像をしてみる。
私がステージに立って、大勢の前で歌っている姿を。
スポットライトに照らされて、煌びやかな衣装を着て。
仲間達と歌い、踊る。
そんな未来を。
千早「やっぱり、私には縁遠い世界だわ……」
隣に聞こえないように独りごちる。
何よりあんなに大きなステージで歌うなんて恥ずかしくて……。
- 13: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:40:10.89 ID:yyXq5Zcd0
そんな事を考えていたら予鈴が鳴りました。
お昼休みも終わりです。
二人並んで教室に戻り、午後の授業をやり過ごす。
何も変わらない、いつも通りの日常。
放課後、友達とファミレスでおしゃべりをして、カラオケに行って。
辺りが薄暗くなってから家路につきました。
- 14: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:41:26.76 ID:yyXq5Zcd0
家に帰るとお母さんが夕食の準備をしています。
玄関を見た感じだと、優はまだ帰っていないようでした。
昔から絵を書くのが好きだった優は、中学に入って美術部に入ったらしく、日々楽しく絵を書いているみたいです。
千早「ただいま」
千種「おかえり、千早」
部屋に戻って制服から部屋着に着替えて、キッチンでお母さんの手伝いをします。
料理は得意ではないけれど、こうやって少しずつでも出来るようになれたらいいと。
- 15: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:41:54.88 ID:yyXq5Zcd0
優「ただいま」
夕飯作りを手伝っていると優が帰ってきました。
千早「おかえりなさい、優。今日はカレーよ」
優「カレー!?やったぁ!」
千種「ふふっ、早く着替えてきちゃいなさい」
優「はぁ~い!」
どたどたと駆け足で部屋に入っていく優を見送ります。
- 16: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:42:51.60 ID:yyXq5Zcd0
千種「もう、慌てなくても無くならないわよ。ふふっ」
小言を漏らしてはいますが、その顔が嬉しそうなのは見間違いじゃありません。
料理を楽しみにされたり、美味しそうに食べてもらうのは、きっと喜ばしい事なのね。
私には、まだよく分からないのだけれど。
母に教わりながらポテトサラダを作ります。
作るといってもマヨネーズを入れて混ぜるだけなのだけれども……。
着替えが終わった優がリビングに戻ってきた所で丁度夕飯の準備も出来ました。
食卓に三人分の食事が並べられます。
- 17: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:43:55.66 ID:yyXq5Zcd0
千早「お父さんは今日も遅いの?」
千種「今、忙しい時期みたいね」
優「大変そうだなぁ……」
朝は私達よりも早く、夜は私達よりも遅いので、もう何日もお父さんと顔を合わせていません。
私達家族の為に頑張ってくれているのは分かるけど、あまり無理はして欲しくないですね。
- 18: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:44:34.38 ID:yyXq5Zcd0
三人「いただきます」
お母さんのカレーを、今日学校であったことを話したりテレビを見ながら食べます。
テレビ画面は朝とは違う金髪の少女が歌って踊っている姿を映し出していました。
激しいダンスを楽しそうに踊っている少女は、とても輝いて見えます。
千種「……千早、貴女がそういう道に進みたいのなら私は止めないからね」
特に深い意味も無く、ただ見とれていただけなのだけれど、お母さんにはそういう風に見えてしまったのでしょうか。
- 19: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:45:22.56 ID:yyXq5Zcd0
千早「もう、お母さんまで……。私には無理よ、こんな風に激しく踊ったりなんてきっと出来ないわ」
優「お姉ちゃんならできると思うんだけどなぁ」
千早「よしてちょうだい、恥ずかしいわ……」
逃げるようにリビングを後にして部屋に戻ります。
もう、みんなして……。
けど、さっきの金髪の子、すごかったわね……。
激しく踊りながら、それでも綺麗に歌っていて。
たくさんレッスンしたら、そんな事も出来るようになるのかしら?
- 20: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:45:55.49 ID:yyXq5Zcd0
宿題を済ませてお風呂に入り、部屋に戻ってベッドに潜り込みます。
時刻は22時を少し回ったところ。
明日も学校だし、もう寝ましょう。
それにしても、どうして皆私が人前で歌う姿を見たいのかしら?
憧れが無い訳では無いけれど、とてもあんな風にできるとは思えません。
……なんて、考えるだけ無駄ね。
私には縁のない世界なのだから。
そんな事を考えながら眠りに落ちていきました。
- 21: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:46:22.48 ID:yyXq5Zcd0
――――――
――――
――
- 22: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:48:22.70 ID:yyXq5Zcd0
目覚まし時計が電子音を鳴らして朝を告げます。
時刻は朝の10時。
ベッドの中から手を伸ばして目覚まし時計を止める。
千早「……夢……か」
お母さんがいて、優がいて、でも、私はアイドルではなくて。
もしも、優が生きていてくれたら、家族が離れなければ、あんな現在があったのでしょうか?
ベッドから起き上がると、リビングの方から音がします。
何かしら……?
- 23: ◆sIPDGEqLDE:2014/06/21(土) 15:48:55.88 ID:yyXq5Zcd0
扉を開けコメント一覧
-
- 2014年06月21日 18:28
- 切ないなぁ…
※1
屋上
-
- 2014年06月21日 18:29
- 絶対智秋さんの方が歌上手いでしょ…
にしても合唱コンクール1位という書き方が引っ掛かった
個人の実力を見られるわけじゃないし
-
- 2014年06月21日 18:30
- 夢の中でも胸でかくしたりしない千早クオリティ
-
- 2014年06月21日 18:34
- 健全な生活を送ってたら72なんて無かった
-
- 2014年06月21日 18:39
- まあ実際女子高生に人気がありそうなのは真、響、美希、貴音だろうな。
あと千早の歌唱力なんて智秋の足元にも及ばんだろ。
歌唱力で言ったらあずさ、貴音、響、小鳥、美希以下なのに。
-
- 2014年06月21日 18:40
- (´;ω;`)ブワッ
-
- 2014年06月21日 18:42
- ※3
友人の励ましだから(コンクールで1位取った合唱部に所属してるから実力はあるって意味で)いいんじゃないかな
千早のこういう話はたくさんあるけど
響の話はない不思議
重くなり過ぎてしまうんだろうか
-
- 2014年06月21日 18:46
- 千早が板っしーとして活躍しててお母さんも心配なんだよ
-
- 2014年06月21日 18:46
- サンキューキング
-
- 2014年06月21日 19:35
- 合唱コンクール一位ってのは単に千早が合唱部入ってたからってだけだろ。
-
- 2014年06月21日 20:05
- アイドルやってない千早はより高槻さん可愛い状態だろうな…
智秋って誰?
キング?
-
- 2014年06月21日 20:13
- クソリボンが人気って時点で夢オチってわかるの
-
- 2014年06月21日 20:16
- アラサーおばさんがクラスメイトってことは夜間高校かな?
-
- 2014年06月21日 20:28
- アラフォーだよ!?
-
- 2014年06月21日 21:24
- キングのことは気にするな
-
- 2014年06月21日 21:26
- ですますが一貫してないのが気持ち悪い
周りのDQNが書く文章がこんな感じ
-
- 2014年06月21日 22:00
- ※6
春香はあざとい言われたり愚民を囲ってたりするイメージが付きまとうが
どこにでもいる普通の女の子が頂点に立っている姿はカリスマ性パないぞ
キャーキャー騒がれたりはしないだろうが普通に憧れの的だろ
個人的な見解だがフェアリーは全員不得意曲がない万能型だから
こんな曲でも違和感ない!=うまい!という印象があるだけだと思う
アカペラの歌唱でサマになるのはあずさ、千早、小鳥。これっきゃない
-
- 2014年06月21日 23:01
- 母親を見る限り、ストレスや食生活の乱れがなければ72なんて無かった.
-
- 2014年06月21日 23:33
- そんなに言うほど千早の歌、下手か?
俺はあの歌い方好きなんだけど……。
-
- 2014年06月21日 23:51
- 地味な所での人気声優だからそのアンチが千早に向いてるだけ
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わかってないなぁ