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Engadget電子工作部 in 大垣 活動報告:今回も多彩なスマホ連動ガジェットができました - Engadget Japanese
Engadgetではこれまで、さまざまな「部活動」を実施してきましたが、3月には岐阜県大垣市で「電子工作部」を開催しました。今回はそのリポートをお伝えします。

電子工作部の第1回は、2013年8月に秋葉原で開催しましたが、今回は大きく場所を移し、岐阜県は大垣市にて実施。大垣市は自治体としてIT教育に力を入れているほか、電子工作部の講師をお願いしている小林茂氏が教授を務める情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の所在地という縁もあって、今回の電子工作部の開催と相成りました。

電子工作部 in 大垣

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2月23日と3月9日の2日にわたり、エンジニアやプログラマ、情報・電子工学系の学生だけでなく、ITとは関係のない職業の人たちが、大垣市のソフトピアジャパンセンターに集まり、ガッツリと電子工作に取り組んだ。1日目は今回の工作のメインとなる「konashi」のレクチャーとアイデアスケッチ/ハードウェアスケッチ、2日目は実機の製作とブラッシュアップそして成果発表を執り行いました。参加者は5つのグループに分かれて、アイデア出しから実機の完成まで、共同で作業しています。


この電子工作部で使用する「konashi」は、ユカイ工学が開発したiOSからJavascriptのプログラミングだけでコントロールできる電子工作キット。これにセンサーやモーター、LEDなどのデバイスを接続することで、さまざまなハードウェアを手軽に製作できます。今回の電子工作部でも、konashiを活用して、ユニークなアイデアとそれを実現する多様なガジェットが飛び出しました。

1日目は、グループ分けの後、皆が頭をひねってアイデアを出し、そして具体的なハードウェアのイメージまで落とし込みます。これだけで9時間にもなりますが、それだけでは時間が足りないため、2日目が実施される3月9日までの2週間はFacebookグループなどを使ってオンラインでのディスカッションを行ったり、メンバーごとに分担しての素材やデバイスの準備を実施。そして、2日目の実機製作へとなだれ込んだのです。



中には、メンバーのひとりが2日目の朝になって急遽体調を崩したため、参加できなくなってしまったグループもありました。欠席したメンバー遠隔地に在住していため、それまでに準備していた材料のピックアップが難しく、当日の朝から他のメンバーがかけずり回って、何とか製作に間に合ったという一幕もありました。

2日目は朝10時から会場オープン、15時30分からの成果発表に向けて、各グループともラストスパートで取り組んだいます。すでに実現するアイデアとハードウェアの基本設計は終わっているため、皆が製作に入ると会場はいたって静かなもの。ただ、ときおり順調に製作が進み途中で試験動作が上手くいったグループや、はたまた想定外の事態で動かなかったり、故障したりしたグループから歓声や悲鳴が上がります。

事前の入念な準備が功を奏して、比較的スムーズに製作が進んだグループもあれば、製作途中に想定以上に高度な制御が必要な事が判明して、コーディングに手間取るグループもあり、進捗具合はさまざま。中には、メンバー間で上手く作業を分担して、時間内にプレゼン用のイメージムービーを撮影するところもあります。

A班:シェアするフォーチュンジョッキー

さて、いよいよ発表です。A班の成果物は「シェアするフォーチュンジョッキー」という、単身赴任などのために自宅で"独り飲み"をせざる得ない人の寂しさを解消するアイテムです。木材から削り出した「ジョッキ」に缶ビールを差し込み、缶を開けてビールを飲み、そしてジョッキをテーブルに置くと、それぞれのアクションごとに「カシュッ」「ゴクゴク」「ウマー」といった、ビールを飲むときに付きものの擬音を自動的にTwitterへ投稿してくれるというもの。これによって、ソーシャル上で知人に対して「飲んでいる」ことを知らせて、そのリプライによって寂しさを紛らすことができます。また、ビールを飲み終えたタイミングでメールを自動送信できるため、例えば奥さん宛に送ることで飲み過ぎを抑えるといった効果も期待できそうですね。

B班:思春期の娘を持つ父親のためにコミュニケーションをサポート

B班の成果物は、思春期の娘を持つ父親のためにコミュニケーションをサポートする「オン・ファミリー・ダイアグノスティクス(OFD)」というボール状のガジェット。実際に娘を持つメンバーから出たアイデアを形にしたもので、スマホからOFDにメッセージを打ち込み、OFD自体を相手に投げて渡すと、その時の強さに応じて色が変わるというもの。例えば、不機嫌な時に強く投げれば赤くなり、気分が良いときに優しく投げれば青く光る。受け取った相手は、スマホでメッセージを読むと共に、言葉に出来ない気分をOFDの色から読み取ることができる。また、打ち込んだメッセージとその時の気分をコミュニケーションログとして残し、後から振り返ることも出来る。講師からも、デジタルをフィジカルと繋げているところなどが高く評価されました。



C班:ソーシャルで繋がる人のポジティブな気分を分け合える「元気玉」

C班の成果は、ソーシャルで繋がる人のポジティブな気分を分け合える「元気玉」だ。利用者がTwitter上でフォローしている人たちのつぶやきの中から、ポジティブなワードが多ければだんだんと明るくなり、ネガティブなワードが多ければ暗くなっていくというもの。シンプルなアイデアだが実装には工夫があり、またスマホ連動家電が増えて来ている中で、そこに「ネット上の誰かの存在を匂わせる」というソーシャル性を加味した展などが講師から評価されたようです。



D班:舌に電気を流して目覚める、マウスピース型の目覚まし

D班の「な目覚まし!」は、マウスピース型の目覚ましという、一見地味で、もっとも小さいガジェットながら、大きな注目を集めた一品。マウスピースに舌に振れるように電極を設置、舌に弱い電流を流すことでわずかな刺激を与え、周囲の人に知られぬまま目を覚ますことができます。メンバーは海外の研究論文から「電流が味覚を刺激する」という現象を発見、それに基づいて製作したという。この刺激は、痛みというほどではないものの、ピリッという電流を明らかに感じることから、皆が恐る恐る試してみる様子が笑いを誘っていた。スマホから、人知れず感覚を刺激できるという点が、これまでにない発想ということで、講師のみならず多くの参加者からも注目を集めた。

E班:トイレットペーパーの回転をモーターで制御がエコにつながる!?

E班はエコのためのトイレツール「Forestoilet」を製作した。トイレットペーパーのロールの回転をモーターで制御することで、紙の使いすぎを抑制するというもの。「紙の使用量は1回あたり約1m、1日3回で約3m」という統計データにもとづき、1回の使用量を60cmに設定、それ以上の紙を供給しないようになっている。さらに「チャレンジモード」では40cmだけ供給するようになっており、スリルを味わいつつ積極的にエコに貢献できるような遊び心も盛り込まれている。ユースケースやハードウェアの基本アイデアは高く評価された一方で、開発に手間がかかったために完成度が低く、また想定した機能の実装も間に合わなかったことが惜しまれます。



最後に講師の松村令央氏(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員 ユカイ工学株式会社主任研究員)の総評から紹介すると「アイデアのユースケースを考えることは大事だけど、そもそも(ハードウェアを)作ることができないと、物作りは評価の土俵に上がれない。今回は、物作りをしたことがない人に、物作りを体験してもらうためのワークショップだけど、いろんなコンテクストの人が集まってきて楽しいものになった。この場だけで終わらせず、仕事や趣味に繋げていって欲しい」と、モノづくりの継続を参加者に訴えかけました。


同じく講師の小林茂氏(IAMAS教授)からは「大垣でやって、本当に人が集まるのか不安だった。ふたを開けてみたら、抽選が必要なほどで、非常に驚いたとともに感謝しています。参加にあたって、(成果物の権利に関する)同意書が必要で、戸惑ったひとがいるかもしれないが、これからはそういうことが課題になるので実施したこと。そのくらい、今は小さなチームで物作りをビジネスにすることができるようになっている」と、モノづくりビジネスへのハードルが低くなったことによって、こうした実利的なワークショップにおけるアイデアや成果の位置づけが、貴重なものになっていることへの指摘がなされました。



この電子工作部、多くの参加者から聞かれたのが、スマホと連動するハードウェアが予想以上に簡単にできることへの驚きの声。ひとりではすべて出来なくても、グループで集まるとハードウェアが製作できてしまいます。Makerブームを外から見て楽しむだけでなく、中の人として楽しむ、電子工作部がそんなきっかけになるかもしれません。Engadget Fesでの開催も含めて、今後も継続していくので皆さんぜひご参加ください。



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