「ないた赤鬼」
- 2014年07月02日 22:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:50:45 ID:iPt6vC9.
- むかしむかし、ある山奥に赤鬼がすんでいました。
この赤鬼は変わり者で、ずっと人間と仲良くなりたいと思っていたのでした。
そんなある日のこと、近くに住んでいる青鬼が赤鬼の家へやってきました。 - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:51:27 ID:iPt6vC9.
- 青鬼「邪魔するよー」
赤鬼「あっ、青鬼・・・」
青鬼「なんだい、また本なんか読んでるのかい」
この2人は、小さい頃からこの山に住むいわば幼馴染のようなものでした。 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:52:13 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「うん・・・やっぱ人間ってすごいよ!こんなもん描けるんだもん!!」
青鬼「まったくアンタは・・・そんなことばっかしてるからモヤシみたいな身体してんだよ。たまには外に出て身体でも動かしなさいな」
赤鬼「うるさいなぁ。いいからほら、ここ読んでみてよ」
そういって赤鬼は青鬼に本を手渡します。 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:53:04 ID:iPt6vC9.
- 青鬼「『本当にうちの事忘れてもいいっちゃ!?』」
赤鬼「これだよ!!」
青鬼「何がよ」
赤鬼「今の鬼界に不足してるのって、こういうのだと思わない!?青鬼!」
青鬼「アンタいっぺん医者に頭診てもらったほうがいいんじゃないの?」
青鬼は、見かけによらず辛辣でした。 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:53:43 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「はぁ・・・もっと人間と仲良くなりたいなぁ」
青鬼「まーたそんなこと言って・・・人間と関わっても不幸になるのがオチよ」
赤鬼「そうかなぁ。いや絶対仲良くなれる気がするなぁ」
青鬼「・・・ていうか、アタイじゃ何か不満なの?」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:54:49 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「えぇ?だって青鬼怖いんだもん。すぐ殴るし」
青鬼「暫烈拳!!」
赤鬼「あっ!あっ!あっ!!」ガシボカベキ
赤鬼の身体は宙を舞い、家の屋根には大きな穴ができてしまいました。 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:55:39 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「痛たた・・・ひどいよ青鬼」
青鬼「誰が怖いって?」ギロッ
赤鬼(君だよ)
青鬼「・・・そういう目をしたッ!」
赤鬼「ええッ!?」 - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:56:20 ID:iPt6vC9.
- 青鬼「大体ね・・・この辺じゃもう鬼なんてアンタとアタイくらいしかいないんだから」
そうです。少子高齢化の進んだ鬼界において、今やこの山に生き残った鬼はこの2人だけなのでした。
赤鬼「分かってるよ・・・だからこそ人間と仲良くなりたいんじゃないか」
青鬼「・・・ダメだって。今まで通り二人でひっそり暮らしていくのが一番なんだよ」
青鬼はいつもそうやって赤鬼を諭すのでした。 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:57:33 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「・・・とりあえず、屋根を直すための木を集めて来るよ」
そう言って赤鬼は森の中へ入って行きました。
その後ろ姿を、青鬼は心配そうにみつめているのでした。 - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:58:07 ID:iPt6vC9.
- --
赤鬼が森の中に入ってしばらくすると、何やら話し声のようなものが聞こえてきました。
「・・・おい、本当にこんなとこきて大丈夫なんか?」
「大丈夫だって・・・」
赤鬼(あ・・・麓の人間かな)
赤鬼は人間達を驚かせないよう、茂みの中に姿を隠します。 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:58:56 ID:iPt6vC9.
- 若者A「すげーな、この山にこんなとこがあったなんてよー」
若者B「だろ?俺の秘密の場所なんだ。秋になると椎茸なんかも採れるしよ」
若者A「椎茸!?そりゃすげえ」
赤鬼(ああ、それで去年何も採れなかったんだ・・・)
そこは、赤鬼が森の中で切り拓いた場所だったのです。 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 19:59:38 ID:iPt6vC9.
- 若者B「ほれ、お前も飲むべ」
若者A「お前これ、酒でねえか!?」
若者B「こないだ総代んとこの仕事手伝ってな、ちっとばかし貰ったんだよ」
若者A「いやぁ、なんか悪いなあ」ハハハ
若者B「何言ってんだ、俺とお前の仲でねえか」ハハハ - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:00:22 ID:iPt6vC9.
- その様子を赤鬼は羨ましそうに見つめていました。
赤鬼(いいなぁ・・・俺もあんな風に仲良くできる友達が欲しいなぁ)
若者B「そういやよぉ、この山にゃ鬼が住んでるって噂だっけどもよ」
若者A「鬼ぃ?」
赤鬼(!!)
その言葉に赤鬼は息をのんで聞き耳をたてます。 - 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:01:02 ID:iPt6vC9.
- 若者B「おうよ・・・なぁ、もし今ここに鬼が出てきたらどうするよ?」
若者A「どうすってそりゃあ・・・とって食われたかねーし、逃げるべよ」
若者B「逃げきれっべか?鬼っちゅうたら、えらい力を持ってるそうでねえか。俺らなんか、あっちゅう間に捕まるんでねえか」
若者A「んだなぁ・・・したら、話あってみるしかねえべな」ハハハ
その言葉に、赤鬼は意を決して茂みの中から顔を出しました。 - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:02:30 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「あ、あの・・・」ガサッ
若者A「」
若者B「」
二人の若者は、無言で顔を見合わせたかと思うと一目散にその場を駆け出しました。
人間、マジで驚いたときは意外に声が出ないものです。 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:09:27 ID:iPt6vC9.
- 若者A「ひっ・・・う、うわ・・・!」
逃げ出した若者のうちの一人が、道を外れて森の中を走っていきます。
赤鬼「あっ、そっちに行っちゃダメだ!!」
その先には大きな滝があるのでした。 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:10:03 ID:iPt6vC9.
- 若者A「はっ・・・はっ・・・!うわあっ!!」ガラッ
後ろを確認しながら走っていた若者は、そのまま崖から足を踏み外してしまいました。
眼下には大きな岩がゴロゴロと転がっている滝壺が見えます。落ちたらひとたまりもないでしょう。
その様子をみた赤鬼は、それを追いかけるように全力で崖から飛び出しました。 - 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:10:55 ID:iPt6vC9.
- 若者A「」
失神しながら落ちていく若者を、飛び出した赤鬼が空中で抱きかかえます。
その様子はまるでカリ○ストロの城の終盤で怪盗がお姫様を抱きかかえる姿そのものでした。
凄まじい音を辺りに響かせながら、赤鬼は大きな岩の上に着地しました。 - 19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:11:55 ID:iPt6vC9.
- --
若者A「う・・・ううん」
若者は気が付いて驚きました。なんと自分のすぐそばに鬼が立っているではありませんか。
若者A「」
赤鬼「あ、気が付いたみたいだね・・・よかった、怪我はないかい?」
赤鬼はニッコリ笑って若者に尋ねます。若者はほんの少しだけ失禁しました。 - 20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:12:50 ID:iPt6vC9.
- 若者A「ひっひいぃ・・・」ガクガク
赤鬼「あ・・・怖がらないで。別に君を食べたりしないから・・・」
そう言って敵意が無いことを示すのですが、若者がビビりすぎて話になりません。
赤鬼「困ったなぁ・・・そうだ!!」
そう言って赤鬼は懐(といってもパンツですが)の中からある本を取り出します。 - 21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:13:34 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「ほら!これ、人間界の本でしょ!?俺、この本好きなんだー!」
若者A「え・・・アンタ、そりゃあ・・・」
その本を見た若者は少しだけ落ち着きを取り戻しました。
赤鬼「特にこの娘!一途でかわいいよねえ」
若者A「・・・鬼もそんなの読むんだべえな」
若者は意外な事実に驚いた様子でした。 - 22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:14:43 ID:iPt6vC9.
- それからしばらく二人は会話を続け、若者もどうやら赤鬼が心の優しい鬼であることを理解してくれたようでした。
若者A「悪かったな、逃げたりなんかして」
赤鬼「いやあ、仕方ないよ・・・それに、俺も君と話ができてすごく楽しかったよ」
若者A「にしても・・・これ、こんなとこ落ちちまって、どうやって村に戻るべえかな」
そういって若者は先ほど落ちてきた崖を見上げます。 - 23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:16:05 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「ああ、これくらいなら俺が担いで登ってってあげるよ」
若者「えっ」
普段、青鬼からモヤシだの切干大根だの散々な言われようの赤鬼でしたが、人間に比べたら大変なフィジカルエリートなのでした。
その言葉通り、赤鬼は若者を担ぎ上げると苦も無く崖を登り切ってしまいました。
この程度であれば、まさに朝飯前といったところです。 - 24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:17:03 ID:iPt6vC9.
- 赤鬼「はい、お疲れ様」ヨイショ
若者A「すっげーなぁ。そいだけの力があったら、村の仕事なんてすぐ終わるべえな」
赤鬼「ははは。でも、俺が行ったら村の人驚かせちゃうから・・・」
そういって赤鬼は寂しそうに笑うのでした。 - 25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:17:43 ID:iPt6vC9.
- 若者A「・・・よっしゃ!俺が村の皆に、アンタのことを話してやるよ!」
赤鬼「ええ!?」
若者の思わぬ提案に赤鬼は驚きます。
若者A「アンタは良い鬼だ。ちゃんと話せば、きっと村の人間も分かってくれるべえよ」
若者のその言葉に、赤鬼は心底嬉しそうに何度もお礼を述べるのでした。 - 26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:19:07 ID:iPt6vC9.
- --
数日後。
若者の言葉に居ても立ってもいられなくなった赤鬼は、青鬼の制止を振り切り人里へ様子を見に行くことにしました。
村の近くまで来ると、赤鬼は茂みの中に身を隠しました。
赤鬼「村の人を驚かせるといけないから、ちょっと様子を伺ってから出ていこう」
赤鬼は思慮深い性格なのでした。ですが、そんな彼の目に映ったのは予想だにしなかった光景でした。 - 27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 20:20:21 ID:iPt6vC9.
- 若者A「や、やめてくれ!!」
村人「うるさい!あっコメント一覧
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- 2014年07月02日 22:18
- まさかのバッドエンド
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- 2014年07月02日 22:23
- 救いがないのが救い
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- 2014年07月02日 22:26
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- 2014年07月02日 23:15
- ナイターヶ鬼
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- 2014年07月02日 23:19
- ビミョー
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- 2014年07月02日 23:22
- 転から結まで早過ぎだろ
最近こういうの多いな
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- 2014年07月02日 23:59
- 祈りは済んだか?
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- 2014年07月03日 00:00
- 原作よりも青鬼の扱いが酷いな
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