クルト・ゲーデルの「不完全性定理」にインスパイアされた作曲が彼の名前を掲げる授賞式で初演される
Philip Ball, 03 July 2014
オーストリア生まれのクルト・ゲーデルは1931年に算術大系が自己無矛盾性を証明できないことを発見して研究者たちに衝撃を与えた。
今年のゲーデル賞(計算機科学者にとって最大の栄誉)はその名前にふさわしい伴奏が演じられる。7月9日にコペンハーゲンで開かれる授賞式で、クルト・ゲーデルが作った論理的公理をエンコードするよう依頼された楽曲が流れる。クルト・ゲーデルは賞の名前の由来となったオーストリア生まれの数学者だ。
「ヒルベルト・ハートブレイク・ホテル」と題された曲はデンマークの作曲家、ニールス・マルティンセン(Niels Marthinsen)によるもので、ルンド大学(スウェーデン)のコンピュータ科学者、トーレ・フシュフェルト(Thore Husfeldt)の考案だ。「芸術と科学の分裂が大きくなっていることにフラストレーションを感じていたんだと思う」とフシュフェルトは話した。「それはいくつかの文化を合わせる試みでとても楽しかった」
フシュフェルトによると、コンピュータ科学者になった理由の一つは彼が十代の頃に『ゲーデル、エッシャー、バッハ』(Godel, Escher, Bach)を読んだことだという。
認知科学者、ダグラス・ホフスタッター(Douglas Hofstadter)の手によるこの本は、ゲーデルの理論、ヨハン・セバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach)の音楽構造、そして19世紀のオランダの画家M・C・エッシャー(M.C. Escher)による入り組んだ幾何学模様のあいだにある相似を描き出したものだ。
マルティンセンはデンマークの作曲家、ペア・ノアゴー(Per Norgard)の学生だった。
ノアゴーは1960年代に数学を用いた作曲を探求し、たとえばフラクタル様の自己相似の性質を持った音の列を使った作曲をした。
したがってマルティンセンにこの曲を依頼するのは自然な選択だった。「彼はこう話していた。『これは完全に狂気じみていて私には時間がないが、とうぜん我々がそれをやらなくてはいけない』」とフシュフェルトは回想した。「そこから、このパズルはうまくいった」
ヒルベルト・ハートブレイク・ホテル。トーレ・フシュフェルトとニールス・マルティンセンがこの音楽作業の成果について議論する。(動画)
◆論理的出発点
「ヒルベルト・ハートブレイク・ホテル」が基礎としているのは19世紀後半のイタリアの数学者、ジュゼッペ・ペアノ(Giuseppe Peano)が提唱した自然数の公理系だ。この公理系は算術および数論を形式的、論理的な基盤の上に築く試みで、その出発点は次のようないくつかの自明に思われる主張だ。「すべての自然数 x について、x = x」、「x = y なら y = x」。
ペアノの公理は記号論理学の記法で表現でき、そこから全ての基本的な算術演算(乗算など)が導かれる。1900年にドイツの数学者、ダーフィト・ヒルベルト(David Hilbert)はこれらの公理の一貫性の証明が、数学の重用な未解決問題の一つであることに気づいた。
公理が互いに矛盾していたら、数学体系全体(微積分学やゲーム理論などの広い範囲の分野を含む)が揺らぐことになる。
(>>2以降につづく)
ソース:Nature News(03 July 2014)
Enigmatic foundations of maths put to music
http://www.nature.com/news/enigmatic-foundations-of-maths-put-to-music-1.15502
ゲーデル賞受賞研究:Journal of Computer and System Sciences
Ronald Fagin, Amnon Lotem, Moni Naor. Optimal aggregation algorithms for middleware.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022000003000266
しかし1931年、ゲーデルはペアノ算術の内側でそのような証明を見つけることはできないことを示した。ゲーデルは有名な「不完全性」定理の一つの中で、外側の「メタ算術」公理を追加したときにだけ算術が無矛盾になることを示した。数学が論理的閉包を達成できないと見られることを示したゲーデルの研究は、数学者と哲学者に衝撃を与えた。
ペアノの公理を音楽にするために、マルティンセンは論理記号をそれぞれ音符に割り当てて短い音楽フレーズを作った。彼はそのフレーズをゲーデリングと呼んでいる。彼はいくつかの異なった「エンコーディング」の短フレーズを使って、彼が「音楽的に満足な言語」と呼ぶものを作った。同じようにアルファベットや記号列を音符にエンコードすることは、バッハからロシアの作曲家ドミトリ・ショスタコヴィチ(Dmitri Shostakovich)まで、多くの作曲家が探求してきたことである。
マルティンセンはこれらのゲーデリングを重ねて「複雑だが理解可能な」声部を作った――バッハの対位法の折り重なった声部を思わせる。彼によると、その結果が音楽として成り立つことを保証するよう注意して、「数秘術」に迷わないようにしたという。
この曲の冒頭に、マルティンセンは自由に作曲したソプラノ声楽を置いた。「ソプラノがヒルベルトのハートブレイク・ホテルについて歌う。冬の夜にホテルに入ってくる一人のハートのない人物が客の一人からハートを受け取る様子と、客の全員が一つずつハートを持つまで客がハートを移していく様子だ。」と彼は説明する。このシナリオは無限集合のパラドックスをほのめかしている。ヒルベルトが客室が無限にあるホテルとして概念化したものだ。そしてエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)の歌「ハートブレイク・ホテル」にもちなんでいる。
「ヒルベルト・ハートブレイク・ホテル」のレコーディングは存在せず、授賞式での曲の演奏が世界初になる。
ゲーデル賞(5,000米ドル)は、IBMアルマデン研究センター(カリフォルニア州サンノゼ)の計算機科学者ロナルド・フェイギン(Ronald Fagin)、イスラエルのアルゴリズム専門家アムノン・ロテム(Amnon Lotem)、ワイツマン科学研究所(イスラエル、レホヴォト)の計算幾何学者モニ・ナオル(Moni Naor)の3人に与えられる。3人は音声、動画、画像などのさまざまな情報源から集まったデータを最適化し階層化するアルゴリズムを考案した。そのようなアルゴリズムは「ミドルウェア」(他のデバイスとのネットワークと通信してコンピュータのオペレーティング・システムを補助するソフトウェア)に必要だ。この賞は国際オートマトン・言語・プログラミング学会(ICALP)で表彰される。
おわり
『ゲーデル、エッシャー、バッハ』は、人工知能の項に入るとつまらなくなる。
現代音楽は意味不明
若いころに『ゲーデル、エッシャー、バッハ』が流行ったのって、いま40代や50代のオッサンだろ
モーツァルトの音楽の冗談が冗談に聴こえない
不完全性とは不良設定問題のことか?
そればかりか定理そのものも理解していない。
そうそう。
ニュー速とかで、科学と宗教の対立とか、オカルトと科学とかのスレ立つと、必ず「不完全定理から、科学は不完全であることが分かっている」って、ドヤ顔のカキコがあるなw
せめて、第一なのか第二なのか明記しろって話だが、多分、その区別も分かってないんだろうな。
それで、『ゲーデル、エッシャー、バッハ』以後、何か特筆すべき科学的業績を上げたんだろうか?
基本ラインは、人口知能研究の人なんでしょ?
マインズ・アイも結構面白かったな。
人工知能とか数学よりは、かなり認知科学寄りの本だが。
計算をする上での数の定義や演算子に不確かさを感じることはあるけども
まずは信じないと進めないよね
そもそも、ゲーデル当時は、大半の数学者は、数学の無矛盾かつ完全を信じてて、その検証として行われたのが、数学の算術化だったんだぞ。
お前の感性は、当時の第一線級の数学者より優れてるって言いたいのか?
完全とかどうでもいいわけで
そういや「頭の体操」的なのに凝ってた時、講談社かどっかの文庫本でゲーデルの不完全性定理が出てたな。
著者のおっさんが、ゲーデルでゲーが出たわって言ってのを覚えているな。特に意味はないんだけど。
そういえば、数学を音楽の根幹に初めて取り込んだのが、建築家でもあるクセナキスだったな。
確率統計とか集合論とかランダムウォークまで取り入れて音楽を構成した。
数学と音楽の融合とかやると両方氏ぬだけ
結局音楽は音楽,数学は数学別々にやるのが一番ってなるだけだろ.
全ての有限長の音楽や動画は、デジタル化により何メガバイト、何ギガバイト
のデーターディスクに収まる。すると、そのデジタルデータのビットの列を
0と1に対応させてやると、長大な桁数を持つひとつの二進数に等しい。
二進数はある一つの整数Nである。そのような整数Nは、0から初めて1を
順番に加えていくことで、到達できるし、人類の存在とは無関係に、宇宙の
開闢以前から論理の世界の中で、数学の世界では最初から存在している。
そのような人類とは無関係に超然と存在している整数Nに対して
JASRACが著作権がどうこうしようなどと、おこがましいとは思わんかね?
別に衝撃を受けんでも
S・・・メタ算術公理 + (メタ算術公理 + (メタ算術公理 + (メタ算術公理 + 論理閉包公理)))
で必要なところ(S)まで考えればいいということじゃ? あとは不可知の領域ということで
受賞研究は3種のデータの集まりを階層化して結合し一つのデータの集りにするアルゴリズムということか。(どうやるんだろう)
もしかすると、生物の遺伝子も情報が階層化されてるのかもしれないなぁ
純正律もピタゴラス律も、2倍とか1.5倍とかの数学的な音程だよね
うなりの有無で音程を決めるなら当然のこと
■編集元:http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/scienceplus/1404476027/
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