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「綺麗な薔薇にはトゲがある。」という慣用句がある。これはどんなに美しいからといって不用意に近づくと手痛い思いをするといった意味だが、手痛いなんてレベルじゃない。強烈な殺傷力を持つ花も存在する。
植物が花を咲かせるのは実を結び子孫を残すためだ。そのために美しい色や香りで虫を騙し、花に集まってくる虫の力を利用して受粉する。そして人間もこの美しい花に魅せられ近づこうとする。だが、花にとっては有用じゃない人間なんておよびじゃない。中には人を殺すほどの強い毒を持つ花が存在するという。
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10. カルミア・ラティフォリア
英名では、マウンテン・ローレル(山の月桂樹)として知られるツツジ科の植物である。晩春にピンクと白の花を咲かせる。ペンシルバニア州とコネチカット州の州花であり、アメリカの東部ではどこでも見られる。美しい花だが、その優美な見た目とは裏腹に、人を死に追いやる植物である。
含まれる毒物は、グラヤノトキシンIとアルブチン。とくにグラヤノトキシンIには注意が必要だ。大量に摂ると、WPW症候群と言われる危険な病態を造り出し、心拍がコントロールできなくなって死んでしまう。少量の場合は、まず最初に嘔吐が来る。頭部の穴という穴から液体が流れだし、1時間後には呼吸がゆっくりになり、筋弛緩し、昏睡して死ぬ。
花を食べなくてもこれらの中毒にかかる可能性がある。ミツバチがこの花の蜜を捕ってきて、そのハチミツを食べると花を食べたと同じことになるので注意が必要だ。かつてギリシャでは「狂気の蜜」と呼ばれ、紀元前400年にアテネのクセノポンを倒すために使われたという逸話がある。
9. ヤコブ・ボロ菊
ラグウォートと呼ばれる英国ではよく見かける野草で、英国の生態系の重要な役割をになっている。80種類の昆虫がこの野草を食べ、その中の30種以上はこの草のみを食べている。そのため保護の対象となっているが、実はこの花には毒がある。最低でも8種類のアルカロイド毒が含まれていることをWHOが認めており、実際には10種以上の毒を持つと言われている。
普通の毒は食するとすぐに影響を及ぼし始めるが、この野草に関しては、その毒が肝臓に蓄えられてしまう点が問題で、蓄積された毒により肝硬変が引き起こされる。肝臓は沈黙の臓器である。肝臓が75%以上のダメージを食らうまで何も兆候を示さず、兆候が出た時にはすでに手遅れなのである。
しかも困ったことに、この花の毒もまた蜂蜜となる。更にこの草を食べた山羊のミルクにも毒素が含まれる。気を付けていても間接的に人間の口に入ってしまう。そこで農家の人たちはこの草を除去しようとするが、その際、草の汁が手から沁み込んで行く、という、どうにも逃れられない最悪の草なのである。
8. シュロソウ(バイケイソウ)
北半球ではどこの山でも見られる。らせん状に白いハート形の花をつける。観賞用に育てられることもある。葉はニンニクと間違われやすいが、この植物は全草で猛毒の致死性をもつ毒草である。
食べた場合、30分で胃痙攣が来る。その後、心臓に異変が生じ、筋痙攣が起き、心臓麻痺が起きるか昏睡に至り、最終的には死亡する。この草はアレキサンダー大王を暗殺した毒草だとも言われている。
7. カラー
南極以外のすべての大陸に自生するオランダカイウ属の花の総称であるが、一般的には「カラー」として知られ、その独特の花の形が人気である。英語圏ではカラー・リリー(ユリ)と呼ばれるが、ユリ科ではなく、ユリに似てもいない。(訳注:サトイモ科である。)
この植物を食べると、含まれているシュウ酸カルシウム(結晶が針の山のようになる)のせいで大変なことになる。ほんのちょっとの量を飲むこむだけで喉が焼け付くように痛むので注意が必要だ。
6. イヌサフラン(コルチカム)
英国原産だが、欧州とニュージーランドにはどこにでも生えている。別名「裸の女」とも「冷血な殺人草」とも言われている。この花の毒について知られている唯一の事実は、「ゆっくりと、苦しみながら死に至る。」という点である。
食べたあと死ぬまでに数日から数週間かかり、少しずつ様々な症状が出てくる。臓器が異常を起こし、血液が凝固し、神経系統がやられ・・・。もちろん大量に食べると大変なことになるのだが、摂取した量にかかわらず、苦しみながら死ぬまで、ずっと意識がある状態が続く恐ろしい毒草である。このため、昔から「コレラとイヌサフラン、どっちで死んだほうがマシなのか?」という議論がなされてきた。
5. キングサリ(キバナフジ)
ニコチン代用物質として禁煙に役立つこともあるシチシンだが、大量投与すると死んでしまう。このシチシンを含む、キングサリの花や豆のさやを子供達が間違って食べるという事故が長年続いている。
キングサリのどの部分でも、間違って食べると、まずは激しい嘔吐に見舞われる。続いて痙攣が来る。普通、痙攣というものは波があるものだが、このシチシンによる痙攣は絶え間がない。筋肉が収縮したままとなり、最終的には昏睡し、死に至る。ただし、近年では、キングサリを食べてもすぐに病院に行けば死なないで済むそうだ。
4. ミフクラギ
ミフクラギはインドでは「自殺の木」と呼ばれている。しかし調査によれば、この木の毒性は自殺などという生易しいものではなかった。南西インドでは過去10年で500人がミフクラギによって死亡している。おそるべき毒性を持つ花木なのである。
この毒の正体はケルベリンというアルカロイドの配糖体で、ミフクラギを食べるとすぐに作用する。胃が少し痛むなと思った後、静かに昏睡し、心臓は動きを停める。これらのことが約3時間以内で起きる。
死後、体内からケルベリンを探知することが出来なかっため、かつては秘密の殺人兵器と言われていた。インドの研究チームによると、今判明している倍以上の人がミフクラギによって極秘に殺されたのであろうと推測している。
3. アカネグサ
英語ではブラッドルート(血の根)という名前で通っている。この花は北東アメリカに自生しており、ネイティブ・インディアンたちは、根から採れる赤い汁を使って染色をしたり、人工的に流産させたりしていた。たくさん摂ると昏睡に陥る危険な植物である。
現代でも一部の人々は、これを皮膚がんのホーム・レメディとして使っているが、これは間違っている。この植物はサングアラインという化学物質を含んでおり、単に危険な毒物であるばかりか、腐食性の性質をもつ。この植物の成分を皮膚に塗るということは、皮膚を殺すということに他ならない。もちろん、服用すると同じ事が起き、死に至る。
2. アデニウム
アフリカ原産のこの植物の別名は「砂漠の花」で、アフリカの部族の間で槍の先につける毒として長年愛用されてきた。この植物を12時間煮詰めて作った毒は強力なため、動物に打ち込むと大きな獲物でも2kmも行かないうちに倒れてしまうという。この植物に含まれるウアバインという毒は、大量服用すると即座に呼吸器系の機能を麻痺させてしまうのだ。
アフリカ・タテガミ・ネズミは、外敵から身を守るために、同様の毒がある同じキョウチクトウ科の別の木の樹液を吸って毒を毛先に貯め、いざという時はそれを武器にするという。
1. ヘムロック・ドクゼリ
2002年、スコットランドを旅行中の8人が水辺のハナウドを採取し、カレーに入れて食べた。翌日、4人が病院に担ぎ込まれた。彼らがハナウドだと思ったものは実はドクゼリだった。ドクゼリの死亡率は70%と言われているが、幸いにして死者は出なかったそうだ。
このドクゼリに含まれる致死性のあるオエナンゾトキシンという毒物は、筋弛緩をもたらすため、どんなに苦しんでいても口元が緩み、笑っているように見える。ギリシャでは紀元前8世紀から用いられており、詩人ホーマーはこの毒草により苦しんでいる(けれど笑っている顔の)状態を”痙笑”と名付けたのである。
via:listverse・原文翻訳:LK
植物だから、天然素材だから”体にやさしい”という誤った認識が日本で広まっているために、うっかり植物の餌食となってしまう人もいるかもしれない。確かに植物は薬となる成分も含まれているが、猛毒となる成分も含まれているのだ。体にやさしいどころか、きっついなんてレベルじゃない植物も存在するということを忘れないでおくことにしよう。
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コメント
1. 匿名処理班
人間をころせるほどの毒ってすごい。なんのためにそこまで強い毒性を持ったんだろう?
うちの庭に福寿草があって、オカンが大切にしてるんだけど、ワンコが間違って食べたら困るので、正直抜いて欲しい・・・(´ω`;)
2. 匿名処理班
WPW症候群て先天性疾患じゃなかったけ?
3. 匿名処理班
有毒のキノコは見るからに毒々のが多いけど
植物の場合はフツーというかむしろ地味だなブルリ
4. 匿名処理班
日本で同様な性格「園芸植物だけどやばい毒持ちの」植物というと、
夾竹桃を筆頭に、オモト、水仙、スズラン、福寿草あたりかね
致死性とまでいかなくても毒を持つ園芸植物だったら枚挙に暇がないな
朝顔ですら食ったら腹壊すし
5. 匿名処理班
お庭にはゲルセミウム・エレガンスを植えましょう
可愛らしい黄色い花が一杯咲くのです
6. 匿名処理班
日本でかつ、ガーデニングに詳しくない人にも身近なものとして、
スズランとキョウチクトウが半端ない。
7. 匿名処理班
子供の頃、クワズイモの葉をふざけて齧ったら
喉に刺すような痛みが走って死ぬかと思った
8. 匿名処理班
綺麗だけれどこれはあかんなあぁ…ってのよりも、「お越し(6.イヌサフランのとこ)」が気になって気になって
9. 匿名処理班
カルミアと犬サフランはうちに植わってるわw
カラーとか花屋に行けば簡単に手に入るw
10. 匿名処理班
↑庭じゃなくて鉢植えにして隔離してもらうしかないね。アルカロイドもまた植物の魅力の一つ。有用の薬物のヒントになったりするし。
11. 匿名処理班
※1
ワンコちゃんは臭いでわかるんじゃないかな?
と、言うかそうであることを祈ります(−ω−;)
12. 匿名処理班
ミフクラギがうちの夾竹桃によく似てる
13. 匿名処理班
犬サフランって一般的にはコルチカムで流通してね?
14. 匿名処理班
キョウチクトウが入ってると思ったんだがな。
あれ、結構死人出てるぞ。
15. 匿名処理班
ミフクラギは安楽死に利用できそう。少し胃が痛いかな、くらいで昏睡して死ねるなら、病苦の中にある人にとっては天の助けとも思われそうだ。
16. 匿名処理班
夾竹桃が近所に群生してるぜ
17. 匿名処理班
ゆっくり苦しんでってやつはどこで手に入りますか?^^
解剖したら死因でばれますか?^^
18. 匿名処理班
園芸用の花はまず間違いなく華も葉も茎も根も食わないし
庭いじりした後手をきれいに洗うとは思うけど
でもやっぱりちょっと怖いよな
とりあえず野菜と果物とハーブだけ植えとこう
19. 匿名処理班
これを知ってれば知らずに料理に混ぜちゃったテヘペロ(・ω<)って殺せるな
20. 匿名処理班
園芸種でも結構有毒植物多いからなー。
小さい子供のいる家は誤食事故が怖いよね。
21. 匿名処理班
※3
見た目真っ青でアウトっぽいのに食べられる (しかも旨い) 茸もあるし,
天然物の椎茸にそっくりな超毒茸もあります。
植物も, 触っただけでも痛いなんてモンじゃない思いするイラクサは, 紫蘇と
間違える人もいるくらい地味に育ったりします。
何がいいたいのかってーと, 見た目と毒性・危険性は全然関係ないですよって
ことです。
特に茸は, スーパーで売ってるものだけにしといたほうがいいですよ・・・.
22. 匿名処理班
ドクゼリ→セリに似てる
バイケイソウ→若芽がギボウシに似てる
日本でも、これでたまに中毒出してるね
庭にある、スイセン、ヒガンバナ、ニチニチソウ、ジキタリスとかも毒あるよね