阿良々木暦「かなこエレファント」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:04:58.41 ID:IM3GD9YU0
- ・化物語×アイドルマスターシンデレラガールズのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
関連作品
阿良々木暦「ちひろスパロウ」
阿良々木暦「ののウィーズル」
阿良々木暦「あんずアント」
阿良々木暦「ふみかワーム」
阿良々木暦「になショウ」
阿良々木暦「きらりホッパー」 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:23:27.97 ID:HorbTFBDO
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001
「今日はイチゴのタルト、ですか」
アーニャが苺の乗ったタルトを一口含み、顔を綻ばせる。
年齢の割に大人びたイメージの強いアーニャにしては珍しい光景だ。
ロシアには日本で言う生クリーム主体のケーキが文化として少ないと聞く。
ひょっとしたら、故郷を思い出しているのかも知れなかった。
タルト。パートシュクレと呼ばれるタルト生地の上にたっぷりのクリームと旬の果物を乗せたものを指す。
バターをたっぷりと使用した濃厚な生地の味わいとクリームの相性は抜群だが、上記の通りカロリーは群を抜いて高いので女の子にとってはジレンマを呼び起こす類のスイーツだろう。
「アーニャさん、ロシアのお菓子ってあんまり聞かないですけど、どんなのなんですか?」
椎名がシナモンミルクティーを飲み干しながらアーニャに問う。
椎名は忍と同じで大のドーナツ好きだが、やはり年頃の女の子の常識を問うにあたり、甘いものを嫌うという選択肢は初めから存在しないのだろう。
実に幸せそうな笑顔でタルトを頬張っていた。
甘いものが嫌いな女の子なんてのは、そうはいないだろう。
あの唐辛子とデスソースで身体が錬成されている、と言われても違和感がないひたぎですらケーキを食べている時は笑顔で機嫌も良く、実に女子力が増す。
スイーツの力は偉大なのだ。
ちなみに僕もあまり進んで食べはしないが甘いものは好きだ。
甘いお菓子が女の子の独壇場であることは百も承知な上に同意することにも遺憾を示さないが、男がスイーツを好んではいけない理由にはなり得ない。
今度、ひたぎを誘って昔みたいにケーキバイキングにでも行こうかな……。
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:26:24.65 ID:HorbTFBDO
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「ロシアは、リンゴを使ったお菓子が多いです。簡単なものだとヴァトリュシカ……ジャムやチーズを塗って食べるパイや、チャク・チャクという蜂蜜の焼き菓子がとても美味しい、ですよ」
話は変わるが、巷にはフードファイト、という催し物がある。
その名の通り、食べるという至極普遍的な行為において優劣を競うのだが、僕はこの対決を平和の象徴として捉えている。
過去においては食糧不足で人が死ぬことなど日常茶飯事、とまでは行かなくとも珍しい事ではなかったと聞く。
現在でも発展途上国では稀に見られる光景ではあるらしいが、少なくとも世界一平和な国に産まれて来た身としては実感が湧かない、というのが不謹慎極まりないが本音だ。
食べる、という行為はそのものが人間の欲求に根付いているだけあって、睡眠と繁殖に並んで大切であり、人生においての楽しみにもなり得る。
近代化において食事の質も一定標準を保てるようになり、食品の過剰流通とその廃棄が問題になる程だ。
ひょっとしたら現代がこの先の未来も含め、人類歴において最も食に関して豊かな時代なのかも知れない。
ならば場合によっては食文化を冒涜しているとも取れるフードファイトを、娯楽として楽しめると思うのも致し方ないというものだ。
「リンゴかぁ……だったら今度、アップルパイを焼いてくるね!」
三村が口周りにタルト生地をくっつけながら微笑む。
三村は、本当に美味しそうにものを食べる。
三村を見ていると、食べる、という当たり前の行為がさぞ神聖で尊いものであるかのように思えてくるから不思議だ。
その幸せそうな笑顔に、餌付けをしてやりたいと何度も思ったのは僕だけではあるまい。
しかし……平均年齢十五歳のアイドルたちに囲まれてアイドル手作りのスイーツを食べる、なんてファンに見られたら撲殺されそうな場面だな……。
- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:28:20.79 ID:HorbTFBDO
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話を戻そう。
結局僕が何を言いたいのかというと、よく食べる女の子は好ましい、ということだ。
僕の知り合いにはあまり食に関してこだわる人間はいない。
敢えて言えば忍がドーナツ好き、というくらいだが、彼女にとっての本当の意味での食は人間の血液なのであって、ドーナツを含める他の食物は嗜好品に過ぎない。
忍が人間の血液に好き嫌いがあるのかどうかは不明だし、聞きたくもない。
もし僕の血が人間の中では不味い、なんて言われた日には泣いてしまうかも知れない。
「アップルパイ……ハラショー、素晴らしいです」
「アップルパイってリンゴを一番おいしく食べられるお菓子だと思うんですよ!」
「そうだよね! あのサクサクしたパイ生地としっとりとしたタルト生地のハーモニーにリンゴの酸味……」
アップルパイについて目を輝かせながら語る女の子の脇で、三村謹製の切り分けられたタルトを一口で頬張る。
苺の酸味とタルトの卵とバターの甘味が絶妙に相乗効果となってお互いを高め合っている。
うん、美味い。
これなら身内贔屓抜きにしても喫茶店でも開けそうだ。
何でも三村はお菓子作りが趣味なのだとのこと。
趣味でこれ程の腕前ならば普段からあれだけ自分で作って食べてを繰り返しても仕方ないというものか。
「どうですかプロデューサーさん?」
「ああ、すごく美味しいよ。三村はお菓子作りが得意なんだな」
口元を拭い、これまた三村の淹れてくれたシナモンティーに口をつける。
シナモンは男女共通で好みの分かれる素材だと聞くが、僕はかなり好きな類に入る。
確かに多少癖はあるがつんと鼻腔をくすぐりながらも、華やかな花壇をイメージさせる高貴な香りだと思うのだ。
……と、詩人になっている場合ではない。
「ありがとうございます。えへへ、私、嫌なことがあったりするとストレス発散も兼ねてお菓子作りに没頭したりしちゃって……」
気付いたら趣味になっちゃいました、と三村。
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:31:33.56 ID:HorbTFBDO
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「へえ、三村らしいな」
……ん?
ちょっと待て。今なんて言った?
ストレス発散も兼ねてお菓子作り?
今僕は何か気付いてはいけない真実を知ってしまった気がするぞ?
ストレスとは、先程三村も述べたように、嫌なことがあったり心身に負担があった場合に溜まる生体における歪みを指す。
つまり、三村は悲しいこと、辛いことがあるとお菓子を作るのだ。
そして出来たお菓子は毎回捨てる訳でもあるまい。
今日のようにアイドルたちにお裾分けすることはあれど、何割かは三村の魅惑的なお腹の中へ収められる、と考えていいだろう。
ということは、だ。
ストレス溜まる→お菓子を作る。
うん、ここまではいい。何の問題もない。
→食べる→太る(悲しいこと)→ストレス溜まる→お菓子を作る→食べる→以下エンドレス。
…………。
「本末転倒にも程があるぞ!?」
「ええっ!?」
三村が他のアイドルと比べてふっくらしている理由がこんなところにあったなんて!
いや、僕は三村くらいふっくらしている方が好きなんだけれどね。
ぶっちゃけ、女の子としてはごく普通の体型だと思うし。
だが、ひたぎと言い神原と言い渋谷と言い木場さんと言い、僕の周りの女性は痩せ過ぎてて心配になるレベルの女の子が多すぎるのだ。
だからと言ってデラックス体型が好き、という訳でもないのだけれど、要するに健康的な女の子が好きなのだ。
まあ、体型維持もアイドルの仕事だし、僕は男だから太れとは言いにくいのが実際のところだ。
そんな世の女性に対し反旗を翻すような我らがシンデレラプロダクションにおいて、平均的女性体型を体現している三村が推しメンになったのは至極当然の結果と言えよう。
だから少々意地悪と称して三村を突つきたくなってしまうのも仕方ないのだ。
「三村……お前、太ってないか?」
「はうっ!?」
紅茶を吹き出しそうになりながら、目を点にして仰け反る三村。
しまった、女の子は太らない、と昔ひたぎに注意されたのを忘れていた。
ええと、女の子に体型の変化の真否を問う場合はどう言えばいいんだっけ?
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:34:06.09 ID:HorbTFBDO
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「あ、すまん、間違えた。三村、お前貫禄が出て来てない?」
「言い方がほんの少しマイルドになっただけで変わってません!」
言い直したことで悪意が増しました!と三村。
むう、難しいな。
ああ、貫禄は男に言う場合だったか。僕もまだ勉強不足だな。
「ダー、お菓子は好きですけど、食べ過ぎるとバハルネール……太って、しまいますからね」
「うぅ……そうなんですよねぇ……」
「いや、お前ら二人はもう少し太った方がいいと思う」
成長期の真っ只中である椎名はともかく、アーニャは見ているだけで折れそうだ。
述懐したようにアーニャと椎名に限った事ではない。
シンデレラプロダクションの所属アイドルは皆、五キロくらい増えた方がいい。
いや本当に。
「で、どうなんだ三村」
「蒸し返さないでくださいよう……」
「いや、正直なところを言えば三村くらいふっくらしている方が僕の好みなんだが……」
「こ、好みって……」
「僕の好みはどうでもいい。けれどライブも控えているんだ、当日になって衣装が入らない、なんて状態になったら事だぞ」
アイドルの衣装っていうのは割ときつく作られている。
理由は無論、細く見せるためなのだが、そのせいでちょっと気を抜くとスカートが入らない……なんてこともあり得るのだ。
誠に申し訳ありませんが、本日のライブは三村かな子のウエストが増加して衣装を着られなかった為、中止とさせていただきます。
うん、違う意味で伝説になるかも知れないがあまりにも酷すぎるな。
「だ、大丈夫ですよ?」
「……まぁ、男の僕が殊更首を突っ込む話でもないんだが、プロデューサーとして一応な」
それにこういう話は千川さんの役目だ。
が、やっぱり三村に体型の話を振るのはとっても楽しい。
男としてもプロデューサーとしても下衆なこと極まりないが、可愛い女の子を弄るのは僕のライフワークと言ってもいい。
「好きなものを食べるなとは言わないが、お腹が出ない程度にな」
「は、はいぃ……でも最近、何を食べてもおいしくて……」
プロデューサーとして言えるのはこの辺りが限界だろう。三村も心当たりがあるのか、萎縮してしまった。
ううん、少しやり過ぎたか?
- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/09(水) 18:36:38.43 ID:HorbTFBDO
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「……僕のお腹を触るか?」
「結構です!」
お腹を見せる、という行為は犬や猫にとって白旗を上げるに等しいと聞く。
それに倣いカッターシャツと紳士肌着をはだけて腹を見せるが、何が気に入らないのか三村はそっぽを向いてしまった。
なんでだよ。
「プロデューサー、とっても腹筋綺麗ですね」
「ほんとだー、鍛えてるんですか?」
「まぁな」
「ふっきん……」
実際には鍛えているのではなく体質なのだが、そこは黙っておこう。
僕の腹筋を見て濡れた仔犬のように震えている三村がちょっと怖いし、触らぬ神に何とやらだ。
「わかりました……プロデューサーさんがそこまで言うのなら、私も覚悟を決めます!」
「覚悟?」
何らかの決コメント一覧
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- 2014年07月09日 21:47
- スレタイ腹立つ
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- 2014年07月09日 22:03
- スレタイで草
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- 2014年07月09日 22:29
- 象のことかな子って言うのやめろよ!
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- 2014年07月09日 22:31
- エレファント(直球)
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- 2014年07月09日 22:34
- スレタイで訴訟も辞さぬ覚悟を決めた
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- 2014年07月09日 22:50
- 空腹is親友のシャツ欲しい
エレファントに食いつき過ぎwww
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- 2014年07月09日 23:12
- 久しぶりだなと思ったらかなこで増加よwwwww
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- 2014年07月09日 23:15
- ピッ...なんでもない
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- 2014年07月09日 23:16
- でもこれ以外のタイ、何があんねん
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- 2014年07月09日 23:21
- ※9
かなこピッグでしょ(適当)
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- 2014年07月09日 23:25
- 普段ネタにしてるクセに
ピッグならもっと文句言ってただろ?
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- 2014年07月09日 23:39
- これはエ レ フ ァ ン ト にのる
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